81年8月黒部丸山東壁

2014年06月06日 19:03山の思い出話全体に公開

この年（81年）の夏、どこかアルプスに岩登りに行きたいと思っていたけれど、ザイルパートナーが見つからず、どうしようか考えあぐねていました。当時、ラインホルト・メスナーの「第七級」の影響を強く受けていたので、「フリーソロ」（ザイルによるビレイ無しで岩を登ること）で長いルートを登ってみたいという憧れに近い気持ちも持ってました。しかしメスナー程の力量は当然無いので、とりあえずやさしくってフリーソロの気分だけでも味わえるルートはないかと、第二次RCC編「新編：日本の岩場」を探しました。そして、この丸山東壁の横にある１ルンゼというルートが目についたのでした。

黒部の丸山東壁は奥鐘山西壁、別山東壁と並んで３大岩壁の一つで、黒部の巨人と呼ばれた見るかにオーバーハングと垂壁からなる高度差６００ｍほどにもなる一枚岩状の岩壁です。今は知りませんが、そのころは、主にあぶみ（岩登り用の３段くらいの簡易梯子）の架け替えで登る人工登攀主体の壁でした。（いまではフリー化されているのかな。。。）しかし１ルンゼのルートは、6ピッチほどありますが傾斜も緩くUIAAグレードでⅡ級～Ⅲ級＋と、初めてのフリーソロをするには手ごろです。

母親に
「一人でアルプスに岩登りに行って来る」
と言うと、
「危ないから、やめて」
「せめて、沢登りにして」
と言います。沢登りの方が安全と思ってたんでしょうねぇ。岩登りは危険が前面に出てますが、困難さは予想できます。沢登りの方が不確定な危険要素が多いと思います。まあ、どっちにしても、この時は親の忠告を無視して、単独で出かけてしまいました。今思えば、心配ばかりかけて親不孝な息子です。自分の子供がもし同じことを言い出しても、絶対許さないでしょう。。。

ルート自体は、傾斜が緩いせいで草つきや浮石も多く、一箇所だけちょっと緊張した数歩がありました。しかし取り付きから終了点まで１時間ほどで登れました。万が一ルートファインディングにミスして途中で行き詰ったときのために、下降用に念のためハンマー・ハーケンとザイルを担いで行きましたが、登ってるときには使わず、下降路でザイルを一回だけ懸垂下降に使っただけでした。

この後で、後輩の高校山岳部合宿に合流して、4泊5日のアルプス縦走をしました。やはり若いときは元気だったんだと、つくづく思います。

写真１：丸山東壁全景
２：１ルンゼの途中から岩場取り付き見下ろす。
３：１ルンゼ途中で、カメラを岩棚においての記念撮影。

2014-06-02 81年5月後立山連峰

2014-06-16 82年10月明星山南壁

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