あ。なぜ、「おんたけさん」と平仮名で書いたのかというと・・・
木曽に近い実家の辺りでは御嶽山への親しみが並々ならず、盆踊りではかならず「木曽節」が流れておりました。
木曽節ってのは
♪ 木曽のナア〜なかのりさん
木曽の御嶽ナンチャラホイ
夏でも寒いヨイヨイヨイ
という、盆踊り業界(?)の中でも非常にキャッチーな楽曲でして
とってもまったりゆったりしながらも愉快な気分になるというか
地域のお祭りのときには木曽節ひとつで一気に「祭」っぽくなるという・・・
(なかのりさんというのは『中乗りさんどっとこむ』によると木曽ヒノキを運ぶ筏の船頭さんみたいな役目をした人のことらしいです。謎は今解けた)
そんなわけで
木曽節によって夏祭りのアイデンティティを育まれたわたくしは、
なかのりさんも御嶽さんも個人の名前だと思ってました。
(歌詞なんてみんなノリで覚えるからさ♪)
そんなわけで御嶽山ではなくおんたけさんなのです。
「山→人」の軽い擬人化はこんな身近なきっかけでやってくるものなんですなあ・・・
しかし因縁の出来事は中学時代にやってきました。
因縁ってほどじゃないのかな。トラウマってやつですよ。
わたしが登山大嫌いになったきっかけなので因縁でいいかもしれません。
(因縁>トラウマ の尺度があってるのかどうかしりませんけど)
中学で一度、高校で一度だったと思いますが当時、御嶽登山が義務のように学校行事にあったのです。大勢の人間が動く行事は今にも降りそうな曇天程度では中止にはなりませんでした。
平地にいても低気圧が来ると偏頭痛がして寝込むこともある私は登れば登るほど気分が悪く遅れがちで、歩いては立ち止まりながらノロノロと進んでいました。
同級生の男の子で体力のある子は早く登れるのが嬉しくって嬉しくって、誇らしくてしょうがない、という感じで「おっせーよ、がんばれよ!」と言いながら小走りで抜かしていきます。(その後オーバーペースで倒れたということもなく、その調子で頂上まで行ってさっさとバスに戻ってゆっくり寝ていたらしい・・・今思い出しても憎たらしいですね)
山腹から降り出した雨はだんだん強くなり、強い風が吹いてきて疲れきった体から体温をどんどん奪っていきます。薄い上着とレインコートを着ても寒くて凍えながら小さな建物だったか階段の下だったかで風を避けながら止むのを待ってました。
やがて先生がやってきて
「風が強すぎてこれ以上進むのは危ないから戻るぞ〜。頂上まですぐそこなのに残念だけど撤収!」
ザーザーと水が流れる登山道を引き返しました。
凍えそうで心肺がしんどくて頭痛も来てたわたしにとっては、ちょっと嬉しかったような気もします。そうなるよりもっと早くに降りた方が良かったかも・・・
二度目もほぼ同じ状況。
違うのは前回より厚手のナイロンの上着を持っていったので多少は暖かかったことくらい。高度順応できずに頭痛と息苦しさは相変わらず。
進むごとに死にそうな気分になりながらのただの苦行でした。(早く降りろ〜)
御嶽山といえば暴風、土砂降り、登山道が川、というイメージが完全に定着。
この期を境に二度と山には登らないと心に決めたのでした。
実にほんの二ヶ月前まではそういう気持ちで『山は見るもの』でした。
ちょっとしたきっかけで山歩きするようになった今の自分が物珍しいわ・・・・
ヤマレコはたくさんの先人、師匠たちがいろんな知恵を授けてくれるので助かります。山好き、アウトドア好きな友人がひとりもおらんので。
一人歩きだと完全に自分のペースを守れるので、今回の御嶽山は成功できた気がします。
体調と天気と時間の都合を微調整しながら二日見送って決行、最高の天気に恵まれて(気圧と体調の関係上も)、登りも下りも20人以上の人に道を譲りながらとにかくゆっくりと進みました。
普通なら7時くらいに登れば間に合うところを5時半出発。
同じコースをたどってきたらしい青年二人とニノ池本館あたりですれ違いましたが、彼らは7時出発だったらしい・・・
下山ではやはり右膝が突き上げるように痛くてトレッキングポールを松葉杖のように使って降りる場面もありました。想定内だけど困っちゃうな、あの痛みは。降りてしばらくすればケロッと治るからまたよくわからんのです。
しかし登りよりゆっくり下りた気がする・・・
登りでは、最初人っ子一人いない歩きがだんだん後ろから人が抜かしていって、やがて前方に行列が出来てました。
下りでは、前方にも後方にも人がたくさん歩いていたのが、だんだん抜かされたり引き離されて大江権現の辺りでは誰も見えなくなりました・・・
山小屋の人たちが三人、颯爽と降りてきて道を譲ったのですが、熊鈴をつけていらしたので(やっぱり熊でるんだな)とちょっと怖くなり後をついて行こうとしたけどあっという間に見えなくなっちゃった。1週間ぶりに下界に降りてきたらしいです。あのような空気の薄い場所に一週間・・・しかしすごい健脚。
エコモード全開でゆっくり歩いたので、膝が痛くなければスキップできるくらい体力は余ってました。
心配していた頭痛も(朝の時点で少し偏頭痛があった)前日に付け焼刃で覚えた呼吸法で全く大丈夫でした。ありがとうナカノさん。
王滝村へ向かう帰りの道で、太った猫か子犬くらいの黒いのがもっさもっさと先の方の道路を横切ってゆきました。
「わ、・・・なにアレもっこもこでかわいー・・・・・・・熊!? 仔熊!!!」
咄嗟にバックミラーを見て母熊が襲ってこないか確認しました。
あんなに恐ろしくてかわいらしい動物がいていいのだろうか。
王滝口には熊が出ないと聞いていたんで熊鈴用意しなかったけど、次に木曽の山に入るときはぜったい要る・・・・・・お互いのためにも要りますよ。
あと牧尾ダムのとこで猿が二匹ガードレールの下を歩いているのも見かけました。野生のお猿は初めて見たなあ。車に轢かれた仲間のそばに見に来た様子で、気の毒でした。なんていうか・・・ごめんなあ(こんなとこに道路が走ってて・・・)
オチのない話をだらだらしてしまいました。
先日亡くなった年上の友人が御嶽山に縁の深い人だったので、その供養(といってもお参りしただけだけど)も兼ねての今回の山行は成功してほんとにうれしかった。
冗談ばっかり言ってる人だったんで亡くなったのもなにかの冗談みたいで、楽しい思い出と一緒に思い出しては「カワちゃん、もういないのか・・・」と寂しくなります。
ある日突然「びっくりした?」って出てきてもびっくりしないわ〜
そしたらまた焼肉食べ放題行こうぜ〜
