地蔵岳辺りから飯豊本山方面の雪山の写真を見て、歩いてみたいと思ったのでした。
せっかくなら縦走をと思い、ムーンライト越後から米坂線、小国町バスと乗り継いで、川入にから西俣の峰の尾根に取り付きました。
その年は雪が多く、民宿の辺りもまだ1m以上雪が残っていました。
春の安定した雪で順調に進み、午前中は天候も良くて頼母木山が近くなると、遥か彼方に飯豊本山が見えました。
あんな遠くまでゆけるか?などと不安感じながら進みました。
昼を過ぎると予報どおり天候が崩れ始め、頼母木山に着いた時には風が非常に強く、雪になっていました。
初日は門内小屋を予定していたので早く地神山を越えよう、と先を急ぎました。
しかし風雪共に強くなり、地神山の手前で立ち往生してしまいました。
普通紙に印刷した地形図は雪と風で細切れになってしまって広げることが出来ません。
ゴーグルを持ってきてなかったのでほとんど目を開ける事ができません。
あわてて服装を整えていなかったので徐々に濡れてきています。
5月連休でも冬の天候になり得る、という知識はあったのですが、現実は想像を超えていました。
引き返して頼母木小屋避難を考えますが、ホワイトアウトしていて視界も無く目も開けれず不可能でした。
風を避けようと考えて穴を掘ろうと思ったのですが、春の雪は氷の様に硬く、歯が立ちませんでした。
体温も下がるのが解ります。
最後の選択肢は高度を下げる事でした。
地形が詳細に頭に入っているわけでもなく、視界も利かない状態で行動する事は危険なのですが、停滞してはほぼ凍死するように思えたからでした。
地面を舐めるように凝視しつつ、少しでも斜度がゆるい方角をさぐりながら、高度を下げれるところまで下げてみようと彷徨いました。
「死んでたまるか!」と必死で下ります。
30分か1時間ぐらいでしょうか、少しずつ風が弱くなり、真っ白で視界ゼロだったのが一瞬ガスが消えました。
その時、100mぐらい先に小さな尾根と立ち木が見えました。
「助かった」
テントが張れるぐらいの平地がありました。
ザックを下し、インナーを出して骨を入れないまま中に入りました。
落ち着きを取り戻し、骨を入れても大丈夫かもしてないと思い、フレームを組みました。
時折突風が来ます。
当時、幅80cmのトレックライズ0で薄い事が幸いしたのか横の風が来たらテントはそのままベチャっと地べたに潰れたようになります。
結局フレームが少し歪んだものの壊れる事はありませんでした。
バーナーを体で覆うようにしながら火を炊く事ができました。
暖かい飲み物をのんで生き返り、濡れた服を乾かしました。
食事もして、時折突風があるものの結局熟睡しました。
夜が明けると天候が回復し、荷をまとめて昨日下っただだっ広い斜面を登り返します。
右に尾根がみえました。
どうも丸森尾根の南側を東に下っていたようです。
体のあちこちが筋肉痛になっています。
かなり必死で行動したようです。
疲れてしまったので今回は下山する事にします。
西俣ノ峰で山スキーのパーティーが休憩していました。
「吹雪いた時は雪洞を掘ると良い」と教えてくれました。
というわけで私の初飯豊連邦は反省だらけでした

kiha58さん、こんにちは。
「飯豊連邦」は保全連絡会の皆様のご尽力により登山道及びその周辺の荒廃が、可能な限り自然と調和する様に整備されています。
私も、何度か登りましたが、万年雪もあり軽装での登山は厳禁ですね。
時として、自ら体験する事が今後の安全な登山に繋がりますね。
こんにちは
飯豊連峰保全連絡会技術部のおちこぼれです
タイミング良く昨日西俣峰まで上がってきました
今年はまだ雪が少ないです〜
去年からお天気のいい日を狙って積雪期の西俣尾根を月1回目標で歩かせていただいています
今年は1月に稜線まで3月に門内岳まで日帰りながら歩くことができたので、味をしめて今季も狙っているのですがさてさてどうなることやらです
西俣尾根を使うと必ず寄るのが民宿奥川入
昨日ももちろん寄せてもらって、お風呂に入って茶の間でコーヒーと沢庵をいただいて帰ってきました
おじいさんが栃餅作りのためにずっと栃の実を殻から出していて、おトラおばあさんが手作りの優しい味の水あめを木の棒に巻いてくれる。もうでっかくなった孫二人もマタギのご主人も一緒に録画していた「にっぽん百名山の飯豊山」を一緒に見て、メイキングの裏話なんかが飛び出して。。一人400円
実は帰りにお土産までいただいて
お料理も美味しくっていいところです!
「ただいま」と言いたくなるあったかいところ、おススメの一軒です(ってこれ以上のところは知りません)
nonkibouさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
山を良く知った方から見れば危なっかしい素人の軽率な行動と捕らえられても止むを得ないと思います。間抜けな事例だから真似はするな、程度に考えてもらえればと思っています。
個人的に最大の誤りは日程の余裕の無さだったと思っています。予備日があれば頼母木山から迷わず頼母木小屋に向かっていました。
この体験から私は飯豊のやさしく美しい稜線の成り立ちを実感しました。厳しい気候にじっと耐える飯豊連邦に、更に愛着を感じました。
ちなみにこの時は稜線の風で雪が飛ばされている箇所を除いては深い雪で覆われており、登山道外を歩いていますが植物には影響していない、と思っています。
hirappeさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
飯豊連峰保全連絡会の皆さん、飯豊朝日山岳遭難対策委員会の方、地元の方々のお陰で安全快適な登山ができる事を感謝致します。
西俣ノ峰まで行かれたのですね。
厳冬期はなかなか晴れなくて厳しいと想像します。
でも晴れたらすごい光景でしょうね。
チャンスに即行動するって地元の方の特権ですよね。
民宿奥川入さんの前は何度か通過しているのですが、いい方なんですねぇ。
お料理も美味しいんですか。
いつか泊めてもらおうかなぁ
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する