今度も点名クイズ。下記の点名の三等三角点は北アルプスのメジャーなルートがある尾根の一つ隣の尾根にあります。何岳だかわかります?
(3)赤手岳
正解は、北アルプスの裏銀座コースの途中、水晶小屋から北に派生する尾根にある赤牛岳です(明治39年設置)。手書きだと”牛”と”手”は”ノ”の位置によっては微妙。赤牛岳の点の記の点名表記は、一旦”牛”と書き、斜線で消して”手”に書き直したように思えます。俗称記載は”手”としか見えません。
明治の記録を読んで行くと、測量官の癖字には泣かされるケースが多々あります。もちろん丁寧な読みやすい字で書いていらっしゃる測量官もいます。「アカウシ」を「アカテ」(アカシュ?)と聞き間違えるというのは考えにくいので、このケースは「筆が滑った」のがそのまま点名として定着したと思うのですが、経緯は良くわかりません。明確に筆が滑っちゃったと解るのは、中央アルプスの南部の下記の点名
(4)念大山
です。どこだか解りますね?空木岳の更に南、念丈岳にある三角点(明治39年設置)です。この点の記では俗称表記は明確に”念丈”と書かれているので、測量官は正しく認識していたと思われます。が、点名表記はどう見ても”念大”としか読めない。筆が滑ったのがそのまま点名として残ったのでしょう。
今ではパソコンで書いて印刷が多いし、大体それなりの字を書く人が多い。昔は字の綺麗・汚いがそのまま人格を表すかの様にいわれたりして、不当(?)な言いがかりの様に思え、字を書くのに苦痛を感じた方もいました。この点、明治の測量官はおおらか(?)だったようですが、癖字や崩し書き、筆の滑りには泣かされます。それに旧漢字が重なると、もしやこんな字があるのか?と、漢和辞典片手にウンウン唸るしかない。丁寧に書くというのは大事ですな。
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