「女の法廷」渥美雅子著、中公文庫
昭和40年代以降に活躍した女性弁護士の、扱った事件のエッセー集。私の持っているのは、ブックオフで手に入れた昭和59年発行のもの。まぁ、およそヤマレコに紹介するような本ではないのですけれど.....。
・北アルプスのど真ん中にある小屋
・三千メートルのハイマツの絨毯の中に、ぽっかりと赤い屋根が浮かんでいた
・人形劇にでも出てきそうな赤いトンガリ屋根の小屋
・その小屋の主は、十二年かかって、信州側からその小屋へまっすぐ登る道を切り開き、その道には彼の名前が付けられている。
私の知る限り、これに該当する山小屋は、あそこしかありません。そこのご主人ならかなりの有名人。で、その小屋がなんでこの本に登場するのかと言うと、
・一千万円近い借金の取り立ての依頼を受けた。その相手が何と、その小屋の主。
・仕方がないから、例の山小屋を仮差し押さえる事にした。
・執行官は、十時間近くの道を登って、小屋の入口に仮差押えの公示札を張ってきた。
それほど山に入れあげていた訳ではないですが、差し押さえ札の張られた山小屋と言うのは初めて聞きました。ビックリ。どうも昭和40年代前半の話のよう。ざっと半世紀は昔の話。あそこまで公務で登って差し押さえ札を張って帰って来るのかぁ。裁判所の執行官も大変だ。冬なら命がけ。(まぁ、冬には差し押さえ出来ないでしょうね。)
どうも山小屋やスキーロッジを借金して作ったけれど、思惑が外れて返済に窮したらしい。山小屋のご主人と聞くと、自然との闘いや、非常識な登山者への苦労話を見聞しますが、こんな苦労もあったのですね。解決に7年位かかったそうな。
この本に書かれているご主人の姿は、(あの小屋のご主人とすればですが)私が他の書物で読んで受けた印象とはけっこう異なります。まぁ、借金の取り立てにあっているという、およそ山中で自然相手に暮らす姿とは、かけ離れた側面を見ているのですから、当たり前と言えば当たり前ですけれど。どうも自然相手の苦闘とはずいぶん勝手が違ったようです。興味があればご一読を。
P.S.
当たり前ですが、本には山小屋名を始め、小屋を特定できるような固有名詞は書かれていません。
P.S.-2
コロナ下で経営的に苦しい山小屋もあるのではないかと推察します。私はワクチン接種二回済ですけれど、この流行状況では、山行再開をためらっています。公共交通機関を使わねば行けない為です。奥多摩町ではこの一週間で12名の新規PCR検査陽性者発生。檜原村でも2名。まだ早いと判断しています。秋のシーズンには再開し、勘が戻れば山小屋泊もと考えているのですが.....。どうも今年も山小屋泊山行は無理のようです。少しは貢献しないと、閉鎖されちゃ困ると思ってはいるのですが。
>・北アルプスのど真ん中にある小屋
>・三千メートルのハイマツの絨毯の中に、・・・
>・人形劇にでも出てきそうな赤いトンガリ屋根の小屋
>・その小屋の主は、十二年かかって、・・・
これらに関心があり、ネットで検索しました。
登山道は昭和28年に着工、昭和31年に完成するも、昭和58年には通行困難となったとあります。
昭和40年代なら、健脚な執行官なら日帰りできたでしょう。
現管理人のご尊父には山小屋でお会いしたことがあります。
渋沢栄一翁に似た温厚な表情をなさっていました。
若い頃は体力はあっても金なしなので、もっぱら天泊でした。小屋泊まりなんて無料の避難小屋以外考えられなかったですね。もう歳なので、一式担ぎ上げる天泊はちょっと厳しい。もっぱら単独ですしね。小屋泊まりならまだ行けそうです。おかげで山行の幅が広げられます。
様々な困難な歴史を経て、今でも小屋を存続させているご苦労に感謝です。中にはこんな例もあったという意味で紹介させていただきました。盛夏の稼ぎ時にこのコロナ下で、厳しい状況の小屋も多いのではないかと思いますが、なんとか存続して欲しいと思います。状況が改善すれば、利用することで、ささやかながら応援したいと思ってます。この話のように、昔はそんなこともあったんだよねぇ〜〜と言える日が、早く来ますように。
P.S.
そうです。その御尊父様の話だと思います。
興味をもって地元の図書館で探しましたが無かったので、古本を購入しました。なんと¥20(送料の方が高かった)でした。
山小屋の土地使用料をめぐって裁判を起こしたことでも有名ですよね。超有名人ですのでネット批判的な事を書くと総攻撃に会いそうですが、どこかで氏を快く思わない山関係者?のコメントを読んだことがありましたが、よく覚えていません。
全体を通して面白い本でした、紹介ありがとうございました。
もうADSLサービスはオシマイにするよん!との通知を受け、ついに我が家も光回線になりました。動画再生が早くてスムーズ。ヤマレコの写真アップも速く成るかも...お試しはいつの日か...とウダウダやっていてコメントを見逃してました。すいません。
わたしゃ108円で買って来ました。その昔、勤めていた頃、通勤の暇つぶしに、どうせ108円だからとたいして期待もせず買って、思わぬ話にビックリ。このご時世で畳む小屋も出るんじゃ....と思い出して、紹介してみた次第です。
まぁ、人も色々な面があり、人生にも色々な事が起こりますから。同じ山の同じコースでも、季節を変えると全然雰囲気が変わるようなもの。だから面白い。そういうことだろうと思います。でも、色々苦労しながらも、小屋を残してくれたのは感謝感謝です。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する