「山林・険阻・沮澤(そたく)の形を知らざる者は、軍を行(や)ることあたわず。郷道(きょうどう)を用いざる者は、地の利を得ることあたわず。」[テキストは銀雀山漢簡孫子に基づく]
『孫子』九地篇第十一より。
私は、スマホ内にGPSアプリを一応セットしているが、今のところは使わないようにしている。私にとって山登りは情報分析力と判断力を鍛えるスポーツであると考えているので、事前の情報収集と現場での撤退を含む判断を率先して行いたいと考えての事である。
上の『孫子』の文中で、「郷道(郷導)」とは地元のガイドを指す。行軍する軍隊には、地元の土地勘を知っているガイドから情報を得ることが必要である。孫子の兵法は、作戦遂行のための情報を得ることを最も重視する。地形の情報は、地元のガイドから聞き取ることを必須とする。そして外国の情報は、スパイを放って盗み出すことを推奨するのである。的確な情報を持っているか持っていないかで、軍隊は生きるか死ぬかが分かれ、国家は生き残るか滅亡するかが分かれる。指揮官が情報を持っていないか、あるいは間違った情報を掴まされていたならば、配下の者がどんなによく働いても結果はたいていが手痛い敗北となり、悪ければ全滅するであろう。
21世紀の今、古典的な地図とコンパスに加えて、GPSが使えるようになった。GPSは、人ならぬ機械による「郷道」であると言えよう。私じしんはソロ登山か、せいぜい一人または二人の親しい仲間としか登山をしないので、あえてGPSなしでやっている。
しかしもし私が複数の人を率いて登山を実施するとすれば、私はGPSをオンにするだろう。たとえ自分の判断力を重視するにしても、多くの人を連れて行くからにはフェイルセーフのためにせっかくの便利な補助器具を用いて万全を期すことにしたい。
念の為に携帯していたものの若い頃はストックを使って山登りする事は、己の力のみで登山をする事にはならない気がして使わずじまいでした
歳を重ね下山時に膝の違和感を覚える様になり、試しにストックを使うと膝への負担が軽減されて山行が楽になりました
それからまた暫くして登りでのみストックを使用する、という人の話しを聞いて下山だけで無く登りでも使用するようになりました
折角の道具は生かしてスムーズな山行にした方が良いと今更乍ら気付いた次第です
前回「楽」がキーワードだったと思います
仕事の上で楽をするというと手抜きの様に囚われがちですが、楽をして浮いた労力と時間を他に向ければ更なる仕事のステップアップが望めると思います
しかし「楽」という言葉を使うと語弊があるというか、周りの反応も宜しくないので封印しています
或る小説では大勢の兵を死なせて勝つ将軍の方が楽して勝つ将軍より偉いと思われがちなんだ、と表現していました
(この場合の楽は兵を死なせないで勝つ事と言ってます)
とても穿った表現だと思いました
私は一本ストックを使用しています。キャンプはせずに日帰りをするので、ストックで上り下りのスピードを速めています。
登山のような長時間スポーツでは、「楽」をするというと何だかスポーツの醍醐味を損なってしまうようで、反対意見が多いかと存じます。あくまで道迷いとか楽しめない長丁場のような無駄を省いて「楽」する、と言うのが正しいでしょう。仕事については、私は上位レベルであればあるほど自分は「楽」をして配下にも「楽」ができるように仕向けるのがベストであると思います。おっしゃるとおり浮いた労力と時間を別のことに使えば、もっと人としての幅が広がって結局は高度な仕事ができるようになるはずだと思います。時間を浮かして資格の勉強とかスキル上達とかに費やす、という目の前の仕事に直結する学習ばかりが強調されますが、人としての成長はそこからだけで得られるのではないはずです。
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