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その後、田部井さん関連で本を探していたところ、唯川 恵さんが2017年9月に幻冬舎から「淳子のてっぺん」という本を書いていることを知り、早速図書館から借りだした。
この本の著者の唯川 恵さんは、2001年に「肩ごしの恋人」で直木賞を受賞した作家で、これまで実在の人物をモデルにした作品は書かれていなかったが、今回のこの本で、田部井淳子さんをモデルにして、この本を書き上げたそうだ。
この本は、3部構成になっており、第1部;「谷川岳・一ノ倉沢」、第2部;「アンナプルナ」、第3部「エベレスト」というテーマに分けて前半生を綴っている。第1部では田部井淳子さんがクライミングに目覚め、後の伴侶となる夫;田部井政伸さんと知り合い、母親の猛烈な反対を乗り越えて結婚に至るまでを扱っている。
第2部では、女性だけでヒマラヤに遠征し、様々な苦難を乗り越え、アンナプルナ登頂を果たすまでを扱い、登頂に至る過程での遠征隊員内の赤裸々な葛藤を紹介している。
第3部では、エベレスト登頂を目指しての、遠征隊員の募集、資金集めの苦労、キャラバン、荷揚げ、ルート開拓、雪崩遭遇からエベレスト登頂に至るまでの様々な出来事を臨場感を持たせて読者を引き込んでいる。
この本では、田部井淳子さんは田名部淳子、田部井政伸さんは、田名部正之、北村節子さんは、濱野麗香という名前で登場しており、特に濱野さんは、田名部淳子さんの大学時代の寮仲間として登場し、後に新聞記者としてエベレスト遠征の取材で再会するという設定になっており、その他の登場人物の名前もちょっとずつ変えているが、田部井さんの足跡やアンナプルナ登頂、エベレスト登頂に関わるエピソードの多くは、田部井さんの著書から取っており、小説家の力量で読者をぐいぐい引き込んでいく流れになっている。
プロローグとエピローグでは、田部井さんが東北大震災で被災した福島県の高校生を富士山に登らせる取り組みが取り上げられており、ガンと戦いながらも高校生に山に登る楽しさを教えてやろうとして思うように動かない体に鞭打って高校生を励ましている夫婦の姿を取り上げており、胸をうたれた。なお、、本には写真や挿絵が無く、文字だけなのが寂しかった。
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