北山崎展望所に立つ。今シーズン初の太平洋、青空と青海がどこまでも広がり、絶景の隆起した海岸が南方向にずーっと連なる。圧倒的な解放感、高くなってきた気温と湿度を気にする余地はない。いざ出陣!
一気に下る崖下の洞門の波打ち際までは何度か来ている。はじめて来たのは高校の時の夏休みのグループ旅行だったと懐かしく思い出す。そこから先は未踏ルートである。道があることすら想像していなかった。どこまでも続く急登の階段、海のアルプスとの異名の通り、ブナと赤松と岩礁が織りなす急登と急降下が何度も何度も繰り返される。時折美しい浜や浦に遭遇しほっと一息つく。
なんといっても圧巻は、波打ち際の岸壁に穿たれた手彫りのトンネル2か所通過である。入り口付近が濡れていることから、潮が満ちているときは波に洗われているようだ。ヘッドランプ必携、蝙蝠も暮らしている。生活のためとは言え開鑿時の血のにじむ苦労がが偲ばれる。今は内陸側に国道44号が、そしてさらに三陸縦貫高速道が開通し、車社会の快適さを満喫しているが、道路のはじまりには、このような昔人の労苦があったことを知る。今日一番感動した場面だ。
机浜の番屋群にたどり着く。二戸の高田画伯は好んでここの情景を油絵に描く。吹雪に浮かぶ番屋は漁の厳しさと北浜の人々のたくましさが迫る絵だ。その風情はどこにもなく新しい小屋の屋根が日の光を照り返している。下ってきた斜面に「津波到達点」の表示看板があることを教えてもらう。はるか高所である。津波にすっぽりと沈んだ番屋が想像された。引潮に高台の国道沿いにあった食堂まで破壊尽くされたという。
机浜から国道を少したどり、トンネル前の左斜面のトレイルを登り弁天崎にとりつく。これが最後の急登と力を振り絞る。時折ケイレンの兆候が現れ、私の体力限界が近づいてきた。それでも筋肉のこわばりをだましだまし詰めると、そこに弁天崎灯台が待っていた。紅白の壁面で初潮風トレイル完歩を祝ってくれた。ありがたや。
本日の企画担当したTさん、Yさん感動をありがとう。堪能しました。
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