|
恋愛小説で定評のある作家が山を題材にしている辺り意外な感じがしますが、実は唯川さん、大の山好きなんだそうです。エッセイ「バッグをザックに持ち替えて」にその経緯が詳しく書かれています。山好き人間なら共感できる内容なので、そちらも読んでみる事をお勧めします。
そのエッセイの中に、田部井さんと知り合ったのがきっかけでこの小説を書く事になったという一節があり、今回読んでみる事にしました。(主人公は”田名部”としてあります。)
東北大震災で被災した高校生を富士登山に招いて一緒に頂上を目指す様子が、前編はプロローグに、後編はエピローグに書かれています。
小説は田部井さんの生い立ちや、どの様に山に接して来たかに始まり、上京して山岳会で技術習得、体力増強していく様子から、やがてアンナプルナやエヴェレストへ向かって行く姿がドキュメンタリータッチで書かれています。
特にヒマラヤ遠征の場面では、メンバー集め、山岳会への登録、女性蔑視、ネパール政府への申請、スポンサー探し、荷物の梱包出荷、現地到着後の手続き、そして隊員同士の軋轢、葛藤などが生々しく描かれていて、まるで著者がその場で一部始終を見てきたかのようなリアルさにあふれています。読み進めるに従ってどんどん引き込まれてしまう、そんな感じの小説です。
読んでみると、当時の海外遠征登山がいかに大変な事だったかが良く分かります。この小説を書くにあたり、著者はかなり詳しく調査されたに違いありません。山が好きだからこそ書ける小説ですね。
田部井さんご本人にどのくらい踏み込んで取材できたかは、私達の知るところではありません。架空の人物も登場して、フィクションもかなりの部分含まれていると思いますが、違和感なく仕上がっています。田部井さんの気持ちを上手に代弁している小説だなと感じました。
田部井さんご自身この小説の連載を楽しみにしておられたそうですが、完結を待たずにお亡くなりになったとの事です。
”淳子のてっぺん”は、エヴェレストの頂上じゃなかった。
まだの方はぜひ一度読んでみて下さい。
今晩は。
若いころは新田次郎の小説を好んで読んでいました。
気象庁にお勤めで御自身もよく山を歩かれて、そのリアルな描写は
インドアクライムとして、また実在の人物を題材にした山岳小説も多く、
主人公やヨーロッパの山岳都市に憧れたものです。
最近は読書もご無沙汰ですが、共感できる本に出会えるのは
嬉しいものですね。
こんにちはonetotaniさん
この本を読んで印象的だったのは、女性だけの編成隊がヒマラヤに挑む様子を細かく描写しているところです。数々の困難を乗り越えてたどり着いたエベレストの頂上に立つ事ができたのは、サーダー以外は淳子ただ一人。そこに至る葛藤を上手に代弁している所が、唯川さんならではだと思います。
新田次郎氏の小説で最初に読んだのは「八甲田山死の彷徨」。その他も文庫本を買って幾つか読みましたが、もうほとんど覚えてないです。(^^;
最初に買ったのは今も持っている「アルプスの谷 アルプスの村」というA5版本で、氏がスイスへ旅した時の紀行文です。本屋さんでマッターホルンのカバーに惹かれて衝動買い、胸をときめかせて読みました。久しぶりに開いてみようかな?
teppanさん:まいど(^^♪ そして こんばんは!
田部井のおばちゃん、若いころはメチャ可愛かったですよ!!NHKだったか?!テレビで昔の写真が映し出され、感激したことを思い出します。
そうそう、NHKラジオの「ラジオ深夜便」でご主人(田部井政伸さん)が田部井のおばちゃんの足跡を話されていたけど、何か山を今宵なく愛する夫婦だと感じる放送でした。
この本も一度 読みたいです!
追伸:おばちゃんの番組で一番感動したのは…
夏の北アルプス あぁ絶景! 雲上のアドベンチャー(2009年、NHK)
登山歴1年の内多勝康アナウンサーと共に、夏の北アルプスを3週間かけて縦走する模様を描いた紀行番組
追伸2:これはNHK名古屋の制作ですので、全国放送されたかは不明
こんにちはkarlさん
おっ!karlさんは田部井さんファンでしたか
本書にも御主人との出合が書かれています。御主人あっての淳子さんだったみたい。
山という共通の趣味を持つ素敵なご夫婦。さらに歳をとっても一緒に山を歩けるよう、私達も見習いたいものです。
田部井さん出演の山番組、teppanも幾つか見ました。田部井さんの飾らない姿は好感が持てましたね。
karlさんも山メシランチで、これからもヤマレコユーザーをホッコリさせ続けて下さいね。
teppanさん、紹介ありがとうございます。
ぜひ読んでみたくなりました。
山岳小説、女流登山家と言えば今井通子さんをモデルにした「銀嶺の人」新田次郎著が記憶にあります。
岩場のビバークなどでは女性ならの大変な事を知りました。
さて田部井淳子さんは、私の勤め先の川越市に住まれていました。
田部井さんを初めて知ったのは「山と渓谷」に連載された
エベレストママさん・・なるものでした。
へぇーこんな人がエベレストに立ったのか。
一ノ倉沢もずいぶんと登っているな。
1970年代の話になりますが、
女性世界初のエベレスト登頂は、日本山岳界の金字塔でしたね。
teppanさんが書かれている通りで、女性登山隊ならではの人間関係や女性差別のなど多くのハードルを乗り越えたエベレスト登頂であったと思い出しました。
田部井さんはお子さんを旦那さんへ託してのネパール行きでしたね。
旦那さんも岩場の虫と呼ばれた、それなりに知られたクライマーだったけれど淳子さんの夢に賭けた・・・
見事な夫婦愛ですね。
こんばんはredsさん
redsさんのコメントを拝見して、あらためてググってみました。
「銀嶺の人」のモデルは今井道子さんと若山美子さん。私も昔文庫買って読みましたが、ほとんど覚えてなくて… 若山さんは「淳子のてっぺん」の中にも少しだけ出てきます。
久しぶりに読んでみようかな? けど、どこにしまったか忘れてしまいました(^^;
ご主人は谷川岳の”猿飛佐助”として出てきて、川越の新居の事も書いてありました。淳子さんが山に没頭できたのも、理解あるご主人のおかげだったんですね。
現在とは違って、当時のヒマラヤ遠征は大変なことだったんですね。そんな時代に女性だけの登山隊でエベレストに登頂する事が、いかに偉大なことだったのか、この小説を読んで良く分かりました。
teppan2013さん、こんばんわ。
この本と『バッグをザックに持ちかえて』ともに私も読みました
私たち女性が気軽に山に行けるのも田部井さんのおかげですね。そして同時に田部井さんのご主人のおかげでもあります。
2015年に木曽駒ヶ岳で田部井さんご夫婦と一緒に登りましたが、「妻は俺が全力で守る!」という感じでSPのように周囲に気を配り、話しかけて来る人だけでなく遠くも見渡している姿が印象的でした。
小柄でシャイなイケメンクライマーだったな
こんばんはritaさん
実は、この本を読むキッカケになったのは、唯川さんの本を紹介してくれたritaさんの日記。https://www.yamareco.com/modules/diary/40420-detail-177462
その時すぐ日記にコメントを入れたんだけど、ヤマレコのサーバーが故障中で書き込めなかった…
「淳子のてっぺん」に出てくる”濱野麗香”は元読売新聞社の記者・北村節子さん。田部井さんと幾つもの山を共にした仲間です。彼女の著書に「ピッケルと口紅」という面白そうな本があるので、今度借りて読んでみようと思ってます。
そうそう!ritaさんは田部井さんご夫婦と一緒に木曽駒行ったんだよね!
ご主人はそんな方だったんだ。良き伴侶を得たのも淳子さんの人徳だね、きっと。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する