18日に、テントへ戻る途中で2400mの幕営適地でお会いした方が、22日に遺体で発見された。
19日の夕方に、警察に道に迷ったとの連絡をされたらしい。
蒲田富士まで、私のトレースがある事、積雪の状況等をお伝えした。
明日も天気予報は良さそうなので、山頂を目指してみると仰っていた。
お互いに、お気をつけてと挨拶を交わして、1800mに張ってある自分のテントへと戻った。
この日、他に登山者は無し。
2400mからなら、雪も少なく、山頂までは2、3時間の距離。
6時に出れば、9時か10時には山頂に着くと思う。
19日は、午後から天候が崩れる予報だったが、私が下山し、風呂に入り飯を喰ってのんびり帰る途中の高速道路からは、晴天の山々がまだ見えていた。
見通し良く、山頂を目指すだけの一本の岩と雪の尾根。
天候の良いあの日の午前中なら、道に迷うような尾根ではない。
発見されたのは2900mの斜面。
何が起きたのか、ご本人にしか分からない。
滑落し、しかし、天候の良さが自力での復帰に希望を持たせ、通報を遅らせてしまったのか。
奮闘するうちに時間が経ち、天候が悪化してしまったのか。
翌20日、山岳救助隊が早朝から捜索したが見つからず、21日からはヘリも捜索に加わったが、結局、発見されたのは、22日。
私にとっては、家族でもなく、友人でもなく、知り合いですらないけれど…
ああ…あの人、死んだんだ…。
そう思うと…なんだか、消化しきれないというか…。
山をやる以上、その覚悟はあるつもりだし、山で死ねれば本望と言いつつも、やっぱり、人の死に直面すると…
ネットのニュースでは、低山をやらずに、いきなり高山に行くような登山者だから遭難するんだとか、雪山をやるのに遭難対策の装備を持っていないのかとか、地図やGPSを持っていないのかとか、批判する人もいるけれど
あの人は、そんな感じの人ではなかった。
涸沢岳西尾根は、無雪期の観光地みたいな高山のルートとは違う。
そんな人が行こうと思うルートじゃない。
きっと、沢山の低山のバリエーションを歩いて、知識と経験を積んだ上で来てる。
高山も沢山歩いているだろうと思う。
1800mでへたれる私と違い、20kgの荷物を背負い、雪の中、1日で標高2400mまで担ぎ上げる体力もあるのだから。
雪山テント泊も不慣れな人が、こんなルートに練習になんか来ない。
アタック装備に、シュラフやバーナーを加えますか?
私は、ツェルトは常備しているけど、アタック装備に、シュラフやバーナーは加えない。
持って行く人が、どれだけいますか?
地形図も地図アプリも使うけど、あの尾根で遭難した状況で、地図やGPSが何の役に立つの?
今回のは、そんな問題じゃないと思う。
じゃあ、何が問題だったのか、どうすれば良かったのか…
そんな事、私には分からない…
自分が同じ状況になった時、やっぱり自分も死ぬんだろうか…
ツェルトとローソクとわずかな行動食だけで、2日も3日も厳冬期の3000m級の稜線で耐えられる…?
どうして、救助隊は初日に発見出来なかったの?雪でトレースが消えてた?
救助隊批判になってしまいそうで怖いので、あまり考えたくないけど…
せめて、夕方ではなく、もっと早い時間に通報していれば…?
やっぱり、アタック装備にもシュラフとバーナーを加えて、なるべく早い段階で遠慮なく110番。ですか?
先に行って待っていてください。
登山者の順番は、山やらない人よりも少し早いかもしれませんが、いずれみんなそっち側に行きますよ。
死なない人なんていないので。
どうか安らかにお眠りください。
お疲れ様でした。
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