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原爆忌乾けば棘をもつタオル 横山房子
戦争が廊下の奥に立ってゐた 渡辺白泉
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広島と長崎、二つの原爆忌が今年も終わった。外にでかけていたその時間に、市内の広域放送が流れてきて、車を降りて黙祷した。
一週間ほど前だったか、NHKでは、沖縄戦の米軍による新しい資料と映像を流していた。6日には広島の原爆について、当時の米軍の上層部の決断が検証されていた。そして今日、長崎の原爆忌には、4年前のアニメ「この世界の片隅に」が再放送された。
どれを見ても涙がでた。死者だけではない。肉親を求めすぐに被爆地を訪れ、親を子を探し回る人たちもいた。なんとか生き延びられた人たちにも、長い長い戦後の苦しみがあった。
忘れてはいけないとか、そういうレベルの話ではない。それは、刻印のごとく日本人に刻まれた悲劇の記憶である。
今は本当に平和なのか。もし自分が平和で、日本が平和だとしたら、「平和」はこの世界の中で、きっと偏っているのだと思う。日本が核兵器禁止条約を批准できないのは、もしかして、「いずれ核兵器を持ちたい」と思ってる人がいるからだろうか?
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本の話を少し…
この冬の自粛期間に、2019年の新書大賞をとった「日本軍兵士」と2020年の大賞の「独ソ戦」を読んだ。二年続けて第二次世界大戦ものが賞を取り、また大いに売れたのは、もちろんそれぞれの作品の魅力にもよるけれど、このような「硬い」「昔の」ものがこれだけ多くの人に読まれるのは、少し嬉しい気もする。
どちらもお勧めの本である。前者は一兵士個人の観点から出発し戦争の現実を描いたもの。後者は第二次世界大戦の「白眉」とも言うべきドイツのソ連侵攻とソ連の反撃について、戦略的な観点から描かれている。独ソ戦でソ連犠牲者は2000万とか。(日本は軍人民間人併せて310万人の犠牲者)それは戦争が兵士と軍隊だけのものから、国家・民族の命運をかけた絶滅戦へと変わった転換点だった。
どちらも多少歴史に関心があれば一気に読める本だと思う。
「独ソ戦」大木毅(岩波新書)
「日本軍兵士」吉田裕(中公新書)
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