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日記

カテゴリー「書評」の日記リスト 全体に公開

2020年 09月 25日 13:34書評

今ごろ「博士の愛した数式」を読む + 篠田節子の熱〜い小説

前々回の日記で女性作家を3人とりあげたけど、お一人重要人物を書きそびれていた。小川洋子さん。 「博士の愛した数式」はもういろんな賞をとっているし、高等学校の読書感想文課題図書にもなっているし、さらには深津絵里で映画にもなっているらしい。事故の後遺症で、新しい記憶は80分しか続かない数学者。家政婦と
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2020年 08月 17日 10:59書評

ブレイディみかこ×ワーキングクラスヒーロー×メロディ

ブレイディみかこさんが今年もノンフィクション大賞のノミネート5作に入った、という記事を最近読んだ。さすがに二年連続はないだろうと思うが。 昨年は「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」で本屋大賞ノンフィクション部門の大賞をとった。キャッチーな装丁もかっこいいし、痛快無比な子育てとイギリスの学校制
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2015年 12月 17日 22:02書評

「職業としての小説家」村上春樹 「チベットの先生」中沢新一

「職業としての小説家」村上春樹(スイッチ・パブリッシング)2015/9/17 村上春樹が自分の小説作法について語ったエッセイ集。最後に京大での河合隼雄の追悼の講演が載っているが、河合隼雄とかユングとかを村上春樹は読んだことがなかったのだという。河合に会ったのも、奥さんがこんな風に勧めてくれたから:
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2015年 12月 08日 21:44書評

「それをお金で買いますか」マイケル・サンデル「火星の人」アンディ・ウィアー「日の名残り」カズオ・イシグロ

「それをお金で買いますか」マイケル・サンデル(ハヤカワ文庫) 例えば次のような問題提起がある。 「個体数が激減したカナダのセイウチ漁はイヌイットにのみ許可されている。彼らは4500年もセイウチを狩って暮らしてきた。1990年代、イヌイットはカナダ政府に次のように提案した。イヌイットに割り当てられ
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2015年 12月 01日 17:35書評

「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」「幼年期の終わり」「夏への扉」

古典SFの3作をまとめて読む。SFファンじゃないけど、いいSFは読みだすと止まらない。 「幼年期の終わり」アーサー・クラーク(ハヤカワ文庫:福島正実訳) 原題:Childhood’s End 1953年発表 核戦争の危機に瀕した人類の頭上に突然巨大な宇宙船が現れる。宇宙船は沈黙しただ世界の大都
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2015年 11月 25日 17:23書評

「イスラム圏で働く」「女子の国はいつも内戦」「マックス・ウェーバーを読む」

「イスラーム圏で働く」桜井啓子編(岩波新書)2015/9/18 イスラム世界で働いた経験のある(今も働いておられる)13人の日本人にインタビュー。湾岸諸国から中東、イラン、トルコ、パキスタン、インドネシアまでイスラム圏をほぼ網羅し、その職業も航空、商社、建設、食品、観光、ジャーナリストなど多岐にわ
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2015年 11月 15日 18:25書評

「誰が墓を守るのか」「グレン・グールドは語る」「学生時代にやらなくてもいい20のこと」「しんがりの思想」

「だれが墓を守るのか」小谷みどり(岩波ブックレット)2015/8/1 自分が死んだら、子供がきっと墓に遺骨を埋葬してくれるだろう。でも墓の場所を覚えているだろうか、とふと思う。お盆とお彼岸に墓に連れて行ったのは、ずいぶん小さい頃まで。墓掃除をする習慣も子どもに教えなかった。 無縁化する墓が増えて
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2015年 10月 31日 11:00書評

「ルポ にっぽんのごみ」&「『昭和天皇実録』にみる開戦と終戦」

「ルポ にっぽんのごみ」杉本裕明(岩波新書)2015/7/22刊 ペットボトルはリサイクルの優等生である。卵パック、トレイ、繊維製品、シートなどに二次利用される。使用済みペットボトルは実はなかなかの争奪戦があり、市場価格も乱高下している。一方で大量のペットボトルが海を渡っている。行き先は中国。プラ
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2015年 10月 25日 11:21書評

「目の見えない人は世界をどう見ているのか」伊藤亜紗(光文社新書)2015/4/20

今年読んだ新書のうち、ベストの一冊かもしれない。福祉系の本ではない。 筆者は、視覚障害の6人との交わりの中で、むしろ健常者の側が、目が見える、モノが見えているとはどういうことなのかを思索する。視力のない人が、世界をどうとらえているか(見ているか)を対峙しながら、私たちがどれだけ視覚という五つの感覚
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2015年 10月 20日 17:57書評

「The Sixth Extinction 6度目の大絶滅」

「The Sixth Extinction 6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート(NHK出版)2015/3/25 ¥2500 ピューリツアー賞のノンフィクション部門を今年受賞した。筆者は雑誌「ニューヨーカー」の女性記者で、時間と気合の入ったよい作品である。地球がこれまで5回の生物大絶滅を経験して
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2015年 10月 13日 19:05書評

「ネアンデルタール人は私たちと交配した」スヴァンテ・ペーボ(文藝春秋)2015/6/30

ペーボがネアンデルタール人の全ゲノムを解析し、「サイエンス」に発表したのが2010年5月。大きなニュースになった。 ヨーロッパを中心に生きていたネアンデルタール人が2万数千年前に絶滅し、南からやってきたホモサピエンスがそれにとってかわった。無論同じ類人猿の出自だが、遠い昔に枝分かれし独自に進化した
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2015年 10月 03日 23:13書評

「花火」又吉直樹 「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介 (文藝春秋9月号)

田舎の本屋さんに、芥川賞を取り上げた文藝春秋のバックナンバーが何故か(売れ?)残っていて、ビニル包装してあった。どうして?でもビニルを破るのは嫌いではない。 仕事帰りに本を買って喫茶店で読みだす、こっちのほうがもっと好きだけど。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「花火」はお笑
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2015年 06月 23日 20:35書評

上橋菜穂子「鹿の王」・吉田秋生「海街ダイアリー」

上橋菜穂子「鹿の王」(角川書店) 下巻読書途中でBS「百名山雲取山」が始まるが、ちら見しながら読書を継続。さらに「クライマーズハイ」、ちょっと迷ったが、やっぱりここは一気に読み終えよう。テレビを消して残り100ページ、やや嫌な予感。幾つか謎が残っていて、もしかして作者はこれを解明せずに終わらせるの
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2015年 06月 20日 12:16書評

「老人喰い」鈴木大介 「戦後生まれの俳人」宇多喜代子

「老人喰い」鈴木大介(ちくま新書) 「振り込め詐欺」をとりあげた、ルポルタージュの力作。同著者の「最貧困女子」も読まれている。 読みだして間もなく、若者詐欺集団の人材確保(リクルート)と初任研修。ちょっとブラックな企業ならどこにでもあるような光景(想像ですけど)。厳しくて、でも上手くスケジュール
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2015年 06月 13日 09:41書評

高橋源一郎「ぼくらの民主主義なんだぜ」

エクアドルの憲法の目玉は、「自然」自体の「権利」を保障している条項だとか。 母なる大地を意味する「パチャママ」は「その存在と維持そして再生を尊重される権利を有する」と書いてあって、恣意的な乱獲を拒めるのだそうな。どこかでお目にかかった、あれれ300年時代が戻っちゃったよというアレと比べると、もしか
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2015年 03月 18日 17:06書評

<読書日記>「はじめての福島学」「子どもの貧困」「はっとする味」「被災弱者」「愛と暴力の戦後とその後」

「子どもの貧困」池上彰編(ちくま新書)2015/3/10初版 母子家庭で精神疾患のある母親が突然家をでて数日帰らない。それまでは母が買ってくる真空パックのご飯を食べるだけだったが、「いつになったらご飯の時間になるのか、それともお母さんはご飯を買って帰ってくるのか、予測のつかない母親の行動で食事が翻
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2015年 03月 05日 09:56書評

<読書日記>永田和宏「現代秀歌」・ヴァイツゼッカー「荒れ野の40年」・水野直樹「在日朝鮮人 歴史と現在」

水野 直樹・文 京洙「「在日朝鮮人 歴史と現在」(岩波新書) 2015/1/20 良書である。「在日」というマーカーの本当の意味を知りたいと思うなら、まず第一に読むべき基礎的な本だと思う。日本における在日朝鮮人の100年の歴史が描かれている。筆者は公平で偏らない観点から事実を通時的に俯瞰的に書いて
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2015年 02月 15日 20:14書評

<読書日記> 無常という事・モオツァルト/路地裏の資本主義

先日読んだ白洲正子の『縁あって』は、小林秀雄の思い出から始まる。そのエッセイの副題は小林のこんな言葉、   美しい「花」がある  「花」の美しさといふ様なものはない 随筆『当麻』の中で、世阿弥の「花」に触れた、小林らしいレトリックである。花の美しさについて幾ら言葉を重ねても虚しい。美しい花があ
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2015年 02月 01日 17:34書評

<読書日記> 白洲正子/茨木のり子/石垣りん

「自分の感受性くらい」の作者、茨木のり子さんの詩集・エッセイ集「茨木のり子集 言の葉2」(ちくま文庫)を読む。詩集は時々読んでいたのだが、エッセイをまとめて読むのは初めて。 …無造作に投げ出されている金子光晴の言葉は、出土品の玉のように美しい… 反骨の詩人金子へのオマージュは、言葉穏やかに控
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2015年 01月 15日 22:39書評

<1月の読書>「新・戦争論」「地方消滅」「沈みゆく大国」その他(★5個が最高点)

「新・戦争論」池上彰・佐藤優(文春新書)★★★ 明晰でバランスのとれたジャーナリスト池上彰さんと、「怪人」佐藤優さんの対談本だけど、佐藤さんメインのお話かな。なかなか刺激的で面白いが、微妙にエキセントリックなところも。でも嫌いではない。主に国際情勢のお話で、佐藤優さんといえばやはりロシア。ニュース
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2015年 01月 04日 13:26書評

<正月読書日記> 「このミス」1位「その女アレックス」「満願」…その他あれこれ

2015の「このミステリーが面白い」「週刊文春」など史上初の6冠をとった話題の「その女アレックス」、国内編で3冠をとった「満願」をつい購入。雪に埋もれて無聊の中、読了してしまう。 「その女アレックス」ピエール・ルメートル(文春文庫) 450頁の長編だが、5時間ほどで読了。若い女性のかなり際ど
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2014年 12月 08日 22:33書評

<読書日記>「ニッポン景観論」アレックス・カー、「日本劣化論」白井聡・笠井潔

アレックス・カー「ニッポン景観論」集英社新書ビジュアル版 久しぶりの読書日記。長年日本に暮らす米国人アレックス・カーさんが、日本の景観がいかに劣化しているかを、数百枚の写真とともにユーモラスに解説。文化遺産の前に立っている種々雑多な看板、無残な土木工事、無数の空中電線、醜悪なハコモノ建築物などなど
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2014年 07月 22日 18:09書評

10年遅れで「海辺のカフカ」村上春樹

2004年の作品である。村上春樹の小説は、大部分を同時代に読んできたのだが、この時期のものはすっぽり抜けていた。併せて、春樹に関する蓮見重彦と内田樹の論争?も興味深く「拾い」読みした。こちらもなかなか面白い。春樹の小説を「詐欺」と言う蓮見に、春樹ファンの内田が反論したわけだが、10年経った今どのよう
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2014年 06月 16日 07:27書評

宮本常一 「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む」平凡社ライブラリー

イザベラ・バードの「日本奥地紀行」は知る人ぞ知るという本だが、これをテキストに民俗学者、宮本常一が講演会を月1回開き、その7回分をまとめたのが、本書である。ちょっと古い本で恐縮ですが。 イザベラ・バードは英国女性で、明治11年47歳で日本にやってきている。この方は旅行家という「職業」、紀行文を
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2014年 04月 12日 16:17書評

「身体のいいなり」

内澤旬子「身体のいいなり」(朝日文庫)2013/8/13初版 を読む。 イラストレーター兼エッセイストの内澤さんの、一言で言うと「乳癌闘病記」なのだが…抜群に面白い。 面白さは、スピード感のある文体と爽快な批評的精神、多分彼女自身のいさぎよい生き方による。癌はもう「隠喩としての病」ではなく、
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2014年 04月 12日 16:15書評

ハンナ・アーレントと絶滅収容所

矢野久美子「ハンナ・アーレント」(中公新書)を読む。 2014年3月25日初版。ナチズムの時代を生きたユダヤ人女性哲学者の評伝である。読後しばらく頭を離れず、翌日、船形の山麓を歩きながら、アーレントの言葉を思い出していた。 ハイデッガー、ヤスパース、ベンヤミン、ブレヒト、エリック・ホッファー
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2014年 03月 14日 19:43書評

<辞書屋>列伝

オクスフォード英語辞典(OED)は語数41万、引用例182万例、全20巻。世界最大の辞書である。見たことがあるが、触ったことはない。「そして僕はOEDを読んだ」の著者アモン・シェイは最初から最後まで通読した。その本は、ついに憧れのOEDを読み始めた著者がその経過を綴った生活エッセイと、OEDから拾っ
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2014年 03月 14日 19:41書評

【書評】マスタードをお取りねがえますか

料理を巡るエッセイなのだが、料理をしない男向き。料理をする男ならこの本との出会いはちょっとした事件になるかもしれない。こんなにウキウキする読後感は伊丹十三以来。伊丹さんからも若いころに一杯教わったけどね。1988年の本なのに、文庫初版は2014年2月20日。 西川治『マスタードをお取りねがえま
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2014年 03月 14日 19:39書評

【書評】永続敗戦論

難しい本である。 白井聡「永続敗戦論」(atプラス叢書04) 原発への怒り、政治への怒り、そして敗戦を終戦としてしか受け止めてこなかった日本人総体への怒りを、生の資料をもとにストレートに、しかも詳細に説明された気持ちがする。 戦後とは、「平和と繁栄」の時代であったのは疑いがない。なぜその平和と
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2014年 03月 14日 19:37書評

【書評】消失グラデーション

電車を乗り過ごして、駅の書店に入り目にとまった本。目立つ帯で、著名な撰者3人が激賞している。 長沢樹「消失グラデーション」(角川文庫) 綾辻行人「歴代受賞作の中でも三本の指にはいる逸品」 北村薫「誤りなく組み上げられた建築である。感心した」 馳星周「間違いなく、わた.しが読んだ中で最高の傑作
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2014年 03月 14日 19:34書評

かつお節と日本人

1980年代の岩波新書の名著、鶴見良行「バナナと日本人」、そして村井吉敬「エビと日本人」は、日本とアジアの関係をモノとヒトの移動の歴史を通して気づかせてくれた本だった。いずれも感心しながら読んだ記憶がある。前者がグローバリズムの走り、後者はエコロジーの走りだったのだと今更ながら思い出す。さて今日の本
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2014年 03月 13日 21:04書評

ヒト、動物に会う

タイトルがコンラート・ローレンツの名作に似ているので手に取ったけど…前書きがすでにローレンツへの献辞になってた。動物行動学、面白いね。でてくる主役たちは、カラス・カナヘビ・プレーリードッグ・ヒミズ・コウモリ・トンビ・ドバト・アカネズミなどなど。全部、小林さんと一緒に暮らした仲間である。今は大学教授だ
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