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下巻読書途中でBS「百名山雲取山」が始まるが、ちら見しながら読書を継続。さらに「クライマーズハイ」、ちょっと迷ったが、やっぱりここは一気に読み終えよう。テレビを消して残り100ページ、やや嫌な予感。幾つか謎が残っていて、もしかして作者はこれを解明せずに終わらせるのではと。
2015本屋大賞を受賞した「鹿の王」。ファンタジーは苦手なわけではないが、大体は長編なので時間がとられすぎの感があり、なかなか手が出ない。久しぶりに読んだ上橋菜穂子さんの作品は、真面目なエンターテインメントで、筆力は抜群。やや面倒なテーマと複雑なストーリーなのだが、一気読みしてしまう。
中央アジアの小国の興亡と、狼・犬・ダニを媒介とした黒死病に似た感染症の恐怖がまず全体の背景。主人公は一人生き延びた辺境の戦士で、偶然に巡り合った幼い女の子を連れ、その病と闘う旅に。実は二人とも病原の狼(犬)に襲われながら発症しなかった稀有な例でもあり、その事件で不思議な身体の変化を示すようになる。もう一人の主人公は、この病気と闘う医師団の若いリーダー。二人の物語が、章毎に交代しながら、最後に交わっていく。
こういう作品はディテールが重要で、鹿、トナカイ、羊、馬、酪農、森、地衣類、ケバブ、香辛料、弓、幾つも出てくる小道具の小さな魅力が、物語の仮想のリアリティを深めていく。なかなかいい。メインテーマになる感染症との闘いは、豊富な医療知識を基に正確な記述。かつて読んだミトコンドリアや利己的遺伝子のお話が思い浮かぶ。やや長くて、ストーリーの駆動力を失わせているのがちょっと残念。
ところで。
ヒロインの一人、幼女ユナちゃんは、かけねなしに可愛いので、もっとトリックスター的活躍をさせてほしかった。かつてこの感染症に侵された首都を王が民を引き連れて出て行くという神話、旧約聖書的な響きがあってなかなかいいのだが、もう少し膨らませて今のストーリーに絡めてもいいのになあ。主人公と幼女に起きた身体の変化、ウルフガイ的展開になるのかと思ったら、そういう方向じゃありませんよと言われた気分、などなど。
注文はいろいろあるが、これはこれで楽しめる。本屋大賞、いろんなジャンルが一位になるのはいいこと。
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吉田秋生「海街ダイアリー」(小学館)
田舎町の映画館のラインアップをネットで見てたら、あれ、吉田秋生さん…映画館じゃなく、書店に行ってみた。吉田さん、どれを読んでもはずれがない。決めのせりふがかっこいいし、やっぱり泣ける。
訳あって鎌倉の古い家で暮らす3姉妹に、腹違いの妹が加わる。それぞれの恋と仕事と青春の形、両親の不在、と文字通り日常のダイアリーだが、若い女性が4人もいれば、いろんなドラマが生まれてくるし、作者がキャラクターを明確にしておけば、自然とそれぞれが動き出す。吉田さんの昔の名作・大作とは多分一味違うと思うけど、心温まる。明るくて、元気で、しんみりする。なにより絵がきれいで好みです。
6巻まででていたけど、とりあえず3巻まで。「蝉時雨のやむ頃」で思わずもらい涙。さて残り3冊はどうしようかな。映画は見ないような…
栞なのかコースターなのか、おまけがついていた。
「鹿の王」上下巻昨夜読了したばかりです。
上橋さんの才能にただただ感嘆するばかり。
ネットで他の人の感想など読みましたら、大変面白かったという人と、難しくて進まなかった、という方とに二分しているようです。
ところでcheezeさんの書評を拝読して、よりよく理解できました。読みが深いと強く首肯されました。開眼させていただいたような、、。
吉田さんのは映画になったのは知っていましたが、原作は未読です。機会をとらえて読んでみたいと思います。
カイエさん、同じ時間帯に読んでいたのですね、奇遇でした
鹿の王、少し語りあいたいものですが、ネタばれはマズイのでそのうち
吉田秋生さんの絵が好きなのです。今回はせりふで埋め尽くされているページもあるんですが、なんでしょう、娘が家にいた頃を思い出していました。
「さざほざ」とおしゃべりが流れ、少し離れてそれを聞くともなしに聞いている自分。涙とか、見ちゃいけないところも。
なんとなく父親気分で読んでたかも
ファンタジーも少女マンガも門外漢です。面白い作品があったらご紹介くださいね
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