十石山BC(平湯から金山岩経由、ワサビ谷滑走)
- GPS
- 09:45
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,484m
- 下り
- 1,467m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り(山頂強風) |
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過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【平湯温泉スキー場〜ゲレンデトップ】 ・ファミリーゲレンデ〜湯の平コースをハイクアップ。この日は既に圧雪済みだったが、降雪後は早朝に圧雪作業している可能性があるので注意する。 【ゲレンデトップ〜金山岩】 ・やせ尾根やアップダウンがあり木々も濃かったりするのでルート取りは慎重に。 ・この日は前日の降雪によりくるぶし〜膝下ラッセルだった。 ・金山岩手前から風衝地となり凍結しているためシートラーゲン&アイゼン+ピッケルに換装した方がよい。 【金山岩〜十石山〜十石山避難小屋】 ・アップダウンやナイフリッジの通過があるため十石山手前までスキーは利用できない。(アイゼン+ピッケルの冬山登山装備必須) ・特に左側(北側)は垂直に切れ落ちた崖なので絶対に滑落しないように。 ・十石山避難小屋は冬季小屋として利用可能。出入口はハシゴを使う形となっている。 【十石山避難小屋〜ワサビ谷〜国道158号線】 ・十石山避難小屋を少し東側へ登った小高い丘からスキー滑走を開始した。 ・2400m近辺まで左側(北側)のドロップポイントを確認しながらやせ尾根を慎重に滑走し、頃合をみて樹林帯にエスケープする。 ・本来は無難に尾根筋を滑走すべきだったが、軽くルートミスをしたため上部の急斜面からワサビ谷を滑走することとなった。(前日の降雪で雪崩れも発生したが、降雪量が少なかったため問題にならなかった)今回はPTだったのでそのまま慎重に滑る選択をしたが、ソロだったら登り返すべきポイントだった。 【国道158号線〜平湯温泉スキー場】 ・国道158号線(安房平)までワサビ谷を滑った後、平湯方面に向けて車道を滑走する。 ・途中、平湯温泉スキー場の1720m地点まで延びる旧林道と合流するため、スキー場まで登り返してゲレンデを滑走して下山するのが効率的。 |
その他周辺情報 | ひらゆの森の日帰り温泉を利用。 露天風呂多数で料金も500円。 |
写真
装備
個人装備 |
標準日帰りBC装備にクトー
アイゼン
ピッケル(ウィペット)
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感想
1月にソロで、平湯スキー場から金山岩の北尾根辿って登頂、ワサビ谷に滑り降り、このBCルートを気に入っていた。一方その後、Sanchan33が十石山に白骨温泉から登ったのを知ったが、この一般ルートは彼には物足りなかっただろうと思い、今回のルートを提案した。前回行程より十石山への痩せ尾根縦走が加わってちょっとハードになるが、Sanchan33となら行けるし、彼もきっと満足するだろうと。
夜明け前に平湯スキー場のゲレンデボトムから歩き出す。前回より1時間ほど早く出発したが、1月半経って夜明けが早まり、ゲレンデ上部で大崩山、四ッ岳、そして笠ヶ岳ののモルゲンを迎えたタイミングはほぼ同じだった。前回より焼け方は鮮やかに赤い。雲が少しかかっているので、朝焼けはなんとやらになるのだろうか。
圧雪のゲレンデを離れて新雪領域に踏み込むと、途端に雪が深い。前回の倍は沈むな。概ね踝から脛だが、時々は膝下になるとかなりのハードラッセルだ。
北尾根はアップダウンと樹林の濃さのためルート選びは重要。Sanchan33は本コース初めてだが、彼にリード任せても全く不安なく、迷いなく無駄もなく金山岩の肩までやって来た。
シートラ・アイゼン装着にしてピークを目指す。風が強いのは予想通りだが、打って変わってガス・視界不良の登頂となった。そのまま十石山への稜線へと方角を定めて進んで行く。
この稜線は僕にも初体験。明瞭な一本の痩せ尾根で、ガス中でも方向は迷わない。雪質が頻繁に変わり、アイゼンの効く堅雪は良いが、ツボ足のラッセル、そして踏み抜きが辛い。ごく一部だが、際どい岩場のクライムダウンもなんとかこなした。
視界が少しずつは良くなって、十石山山頂を臨むなだらかな斜面に来た。アイゼンの世界は脱したと、再びスキーを履いてシュカブラの上を歩いて、間もなくピークのはっきりしない、山頂らしき所に着いた。一瞬乗鞍本峰が見えたが遠望は今一、取り敢えず直ぐ下に見える小屋に逃げ込むことにした。
この小屋で僕としては大失敗。梯子が掛けてある窓から入り込んで、上開きの扉が閉まると、外の明るさに慣れた目には真っ暗になる。小屋中の構造を全く理解していなかった僕は、普通に床の上にいると思い込んでいた。ところがそこは、梯子で降りなくてはいけないステップの上だった。一歩下がった僕は、見事にステップから落ちてしまった。着地は足からで問題なかったのだが、ステップから張り出した横木に右胸の脇を打ち、しばらく痛みに耐えていた。
食べて落ち着いて、そろそろ行くかと小屋を出ると概ね期待通り、乗鞍本峰と周辺、槍穂がきれいに見えていた。東から南の面はなだらな丘のような十石山だが、西北面は崖マークが続く非対称山稜で、西側にドロップできるまで標高差100mほど稜線を北に進む。そこがウインドパックのガリガリ・ガチガチの雪面で、左は前記の崖マーク、右もかなり急で落ちたらなかなか止まれなさそう。自分が慎重・安全に下りるのが第一で、Sanchan33の心配はしていられないし、する必要もない。
この辺ならいけるだろうと、灌木の間をそろそろ・恐々と西向きの斜面に滑り込んでいく。するとそこからは、極上パウダーの雪が始まり、そしてずっと続いていた。朝から8時間かけてここまでやって来た、その苦労が報われた感じだった。あまりに愉悦の斜面を真っすぐ下って行ったため、予定していた2188m標高点を通る尾根筋よりも大分南に寄っていた。修正しようとトラバースしながら下りて行ったが、途中で斜度と植生の点から渡るのが厳しい。協議の結果、尾根に戻らず今いる沢状をそのまま下りようということになった。雪崩が怖いので、一人下りて安全地帯へ、と間欠的に進む。急斜面が続き、雪質も若干重くなってきたが、この二人なら滑り降りることには問題ない。斜度が緩んで、もう大丈夫だろうとほっと一息。
ワサビ谷方面に下りてきたので、緩斜面中の沢の存在を気にしながら進む。すると突然スキーのトレースが現れた。1月に僕が下りてきたルートに近いので、金山岩から滑り降りてきたものと思われる。そのトレースに乗り、途中スキー板裏の雪団子のトラブルもあったが、しばらくで国道上に達した。そこからは300mほどで林道への分岐、林道上もスキートレースがあって、標高差130mを登り返してゲレンデに戻ってきた。ゲレンデ滑降でフィナーレ。BCスキーと雪山の要素をふんだんに味わえた充実の一日だった。
2月に白骨温泉から登った「十石山」だが、その時は山頂ガスガス&強風で眺望なし・・・リベンジしようと思っていた矢先にNishidenさんから「平湯から金山岩経由で周回しないか」と声がかかった。
金山岩も登ってみたかったし、十石山からの景色も見てみたかったのでご一緒させていただくことになった。
天気予報は上々だし前日の降雪によるパウダー滑走も期待できる。
ラッセルも待ち構えているだろうがそれくらいの方が登り甲斐があって良い。
暗闇のゲレンデを登ってゲレンデトップにたどり着く頃には四ッ岳、大崩山、笠ヶ岳等のモルゲンロートを楽しむことができた。
そこから先はやせ尾根の登りとなり、密集した木々を避けながらのルートファインディングはまだ雪が少ない初冬の山スキーを彷彿させる。
前回金山岩までのルートを経験しているNishidenさんが還暦ラッセルでガンガンルートを切り開いていく。
金山岩の手前からは氷化斜面となるためシートラに換装してアイゼンとウィペットで登ることになる。
その頃にはさっきの晴れ間はなくなり、金山岩の山頂に到着する頃には視界がない状態となっていた。
しばらく岩陰で風をしのぎながら雲が去るのを待ってみたものの一向に晴れる気配はなく、仕方ないので十石山へ向けて移動を開始することにした。
そして金山岩〜十石山までの区間が今回のルートの核心部となった。
アップダウンのあるナイフリッジ状のやせ尾根をアイゼンとウィペットで通過していく。
久し振りに本気の冬山登山スキルを必要とするようなシチュエーションに出会った気がする。
十石山に到着する頃には少しずつ晴れ間が覗く時間が増えてきたが、このまま景色を見ることなく下山してしまうのはもったいないので避難小屋でエネルギー補給しながら時間稼ぎすることにした。
休憩後に外へ出てみると狙い通りの青空と乗鞍岳の絶景が目の前に広がっていた。
風が強かったのであまりのんびりできなかったが、気が済むまで絶景を写真に収めたらいよいよ滑走開始だ。
樹林帯まではやせ尾根の滑走となるため慎重に下ったが、そこからは快適パウダー滑走となった。
本当なら安全重視で尾根筋を滑走する予定だったが、気持ちよく滑り過ぎて思わず谷筋へ入ってしまう。
一人なら雪崩れリスクから尾根まで登り返すところだがNishidenさんと二人であること、前日の降雪量がそれほど多くないこと、気温がそれほど高くないこと等を勘案し、そのまま谷筋を滑走することとした。
雪が溜まっている場所では敢えて雪を落としながら、時には「埋まったら助けてください」と確認しながらお互いの間隔を開けて滑っていく。
急な谷筋をこなすとあとは斜度がない森の中を国道158号線に向けて移動し、スキー場まで林道を登り返してゲレンデ滑走で終了。
久し振りに山とスキーの総合力が試される、とてもやり甲斐のある山旅となった。
コメント
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雪山スキルがないといけないルートですね。ガリガリとかヤセ尾根とか落ちたらとまらないとかのキーワードを見ると無理!って思いました^_^;
そろそろパウダーも味わえなくなるので貴重ですね。景色も最高だしまた遠征してみたくなります。機会があればお願いします!!Nishidenさん、肋骨はお気の毒です。しばらくは安静ですね(といってもサラッと今週末もどこか行ってそうですけど…)
koueiさん、おはようございます。
最近はぬるめの山スキーが多かったので久し振りに総合力を試される充実した山行になりました。
ほとんどの場合シール+クトーだけでこなせちゃうパターンが多いと思いますが、アイゼン+ピッケル(ウィペット)を使用した雪山登山の要素を含んだ山行ってのも別の達成感があって良いものです。
Nishidenさんの骨折にはビックリでしたが、驚異的な回復を見せてくれるはずなのでまたご一緒しましょう。
ニシデンさん、サンちゃん、お疲れ様でした。これまで金山岩は天候不良で敗退したりして、未踏でしたので、いつか行きたいと思っていました。今回は踏み抜きや29の写真なんぞを見るとエクストリーマーの世界ですね。さらりとこなしておられて流石です。ニシデンさんのリポートを読み、山頂小屋は下にかなり降りたことを思い出しました。気をつけていかねば・・・ボクなら骨折して下山はできなかったかもしれない。とにかく無事でなにより。鉄人の早い回復を祈念しております。
Chikauさん、こんばんは。
最近山に行けてなくて残念ですね。
今回のようなバリエーション豊富なルートは今シーズン初だったのでとても刺激的で楽しかったです。
Nishidenさんが小屋の踊り場から転落した時はヒヤっとしましたが何事もなかったかのように滑走してしまうところはさすが鉄人といったところですね。
今回だいぶルートの全容は把握できたので次回機会があればご一緒しましょう。
こんにちは。
翌日にトレースを拝借した者です。たいへん助かりました。ありがとうございます。
maoyukiさん、コメントありがとうございます。
3年ほど前に白山東面台地でお会いしましたね!
今回は金山岩でしたか。トレース、多少なりともお役に立てて嬉しいです。
またどこかでお会いできればと思います。
お疲れ様でした
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