人形山BC - 奥大勘場から...岩長谷から這い上がった -
- GPS
- 12:07
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,368m
- 下り
- 1,367m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
最初の沢渡は2m程度の雪壁崩して渡渉。 林道の途中で、小さいスノーブリッジあり。 1138, 1341ピークを経ての人形山までの登路は良好。 岩長谷は標高1050mから下で埋まっておらず、通過不能と判断して右岸斜面へ登り返し、林道の橋へ向かって下りトラバースした。 ‐ |
その他周辺情報 | 天竺の湯営業中(600円) http://www.tenjiku-onsen.com/%E6%B8%A9%E6%B3%89/ |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
ゲイター
ネックウォーマー
バラクラバ
毛帽子
着替え
ブーツ
ザック
ビーコン
スコップ
ゾンデ
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
ガムテープ
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
ビンディング
スキー板
シール
クトー
|
---|
感想
富山県の最奥、奥大勘場から、岐阜県境にそびえる人形山(にんぎょうさん)へ山スキーで登ってきました。ニシデンさん、チカさんに案内してもらったのですが、今回の山スキー3連荘のメインイベントとして、正直、シビレました。
詳しい行程は、他の方の感想を読んでいただきたいのですが、今回の山行で一番良かったのは、パーティ全員で相談して決め、お互い補いあって行動したことではないでしょうか。とにかくパーティ結束力が強くて、心地の良い時間を過ごすことが出来ました。つまり時間を共有しがいのあるメンバーでした。個人的にも何かしら経験値が上がったような気がします。
人形山には悲しい物語があり、まんが日本昔ばなしの第533話(*)でも放映されています。昔話には教訓があり、人形山の話の教訓は、ちょっと難しいのですが、あえて新しい教訓を考えました。山スキー、天国あれば、地獄もあり!どんな局面でも対応できる体力、技術、経験、装備をパーティで協力して!そしたらどんな局面も楽しめるのだ!
クマ
(*)https://www.youtube.com/watch?v=oires75VqWU
‐
北陸山スキー三連チャン中日のハイライトとして人形山を選んだ。二人の関西客人にとって、取り付きの利賀村奥大勘場などと言う富山県(冬の)最奥地にはおいそれとは行かないだろうと、そして天気に恵まれれば、ルート景観の移り変わり、稜線の展望、滑降の爽快さ、どれも満足してもらえるものと考えた。山スキーのグレードとしても今回のメンバーにも十分に遣り甲斐のあるものと思った。
過去僕は同じアプローチで人形山に2度、お隣の三ヶ辻山に2度登り、今回問題の岩長谷は3度スキーで通過した。ただし谷の通過はいずれも2-3月で1月始めにはなかった。今回計画では、出来れば三ヶ辻山まで足を伸ばしてその尾根を滑り降りるとしてはいたのだが…
僕とモモちゃん、クマさんの3人は昨日三方岩岳に登った連荘で、そうでなくても一番元気でラッセル好きなチカウさんが15分、残り3人は5分ずつで先頭を引こうと、これは冗談で言ったつもりだがチカウさんは本当にそれ以上の働きをしてくれたので、登りは全体として楽だった。僕もラッセル好きかと言われるが、代わろうと声がかかれば基本僕は素直に代わってもらうが、チカウさんは「まだまだ」と引き続ける。そこが全然違う。
林道歩きから尾根に上がれば次第に樹林が疎となり、見通しの良い稜線では一層まばらな木が見事な樹氷、立ちはだかる筈の人形山がガスで見えなかったのが、次第に足元から気配を表す。梯子坂乗越への最後の壁では日差しと青空が出始め、山頂に着いて振り向くとそこには北アルプス全て+αの壮大な展望が、これ以上ないと思うダイナミックでタイムリーなドラマ展開だった。
人形山頂までにラッセルでは時間を使い、三ヶ辻に行くかどうか迷い、協議した。行けないことはないが、下山5-6時にはなるだろう、岩長谷埋まっていないというリスクはあるが、今年の雪の多さでは行けるのではないか、という判断をした。
岩長谷源頭の滑走もまたパウダー三昧で天国気分は続いた。谷がだんだん狭まり、標高1070mの堰堤が若干の障害だったが右岸から下りられた。地図を見たら確かに描いてあるが、過去の僕の通過ではこの堰堤は知らずに普通にスキーで通過していた。その直後に谷割れ、右岸は切り立ち進めば崩れて川にドボンだろう。左岸に渡ることも出来ないと、戻って高巻きすることにした。
高巻き斜面に、ここもチカウさんがほぼ終始先頭で、崩れや雪崩が心配な中を切り開き、西向き斜面から北向き斜面に移る尾根をどこから越すか、迷うところで少しだけ僕が先に進み、北斜面に移って下りトラバースで進んだ。ここもどこかで進退窮まる場所が出てこないかと不安だったが、時々GPS見ながら進んでいくと、上手いこと林道の橋に向かって進んでいると分かった。目の前に橋が見えた時は、これで今日中に生きて帰れるという思いだった。
残りは林道歩きで最後はヘッ電使い、渡渉もこなして無事帰還できた。この後も4人は明日朝まで統一行動、温泉で、夜の宴会で、天国も地獄もあった今日一日を笑い合える、これも山屋の醍醐味だ。
クマサンとモモチャンをお迎えしてのヤマスキー二日目は富山県の最深部利賀村奥大勘場からの人形山大周回だ。ロングコースではあるが、このメンバーなら大丈夫。林道をシールでがんがん進んで行った。途中渡渉を二回こなし、いよいよヤマに入っていく。薮は気にならないほど積雪があり、快適に登った。途中にヤドリギがたくさんあり、幻想的な雰囲気の中をみんなでラッセルをまわしながら進んだ。足首〜膝下ラッセルだったが、雪は軽く、疲労感はあまりない。
1618pを南にまいて、そのまま三ヶ辻山との分岐にまで一気に進んだ。このあたりからだんだん天気が良くなり、北アルプスがうっすらと見えてきた。ここから人形山山頂までは雪庇と表層雪崩に気をつけて、慎重に進む。雪庇のあるところは南側(左)を一人ずつ通過して、顔をあげると山頂が目の前だ。
山頂に到着すると、北アルプスがどーんとお出迎えしてくれた。最高のご褒美に一同大満足。生きてて良かった。西側に白山も見えて、本当に綺麗だった。シールを剥がして、分岐まで戻り、ここから三ヶ辻まで登り、尾根沿いに滑るか、岩長谷を滑走するか一同で協議して、岩長谷を滑走することになった。滑走は極上の新雪とロケーションでマンダム連発。一人ずつ視界の範囲内で滑走し、写真を撮り合い、青空と北アルプスを見ながら、歓声をあげて滑っていく。
しばらく進むと堰堤があり、この辺りからちょっと嫌な雰囲気が漂い始めた。さらに進むと谷が割れており、進退窮まった。なんとか活路を見いだそうと斜面を登ることにしたが、ここでモモチャンが小さい穴を見つけて、この斜面は実は中空になっていることに気付いてくれた。登っていたら、崩落して中に落ちて取り返しのつかない事態になるところだったが、間一髪助かった。その後、滑走してきたルートを少し戻り、急な斜面に取り付いて、ここももちろん慎重に進み、なんとか登り上げた。
ここからはシールを剥がして、ニシデンさんがトップでルーファイしながら、トラバース気味に東に進み、なんとか林道にうまく出ることができた。橋が見えて本当に嬉しかった。
久しぶりにヘッデン下山となり、反省点は多かったが、みんなで力を合わせて難局を乗り切った充実感は大きかった。今後は谷を滑走する際は、時期をしっかりと見極め、情報を集め、慎重にルートを考えなければならない。(ソロなら谷を滑走しないが)自分一人ならもっと上部まで登り返して、最悪ビバークになっただろう。本当に良い教訓になった山行とあいなった。同行の三人に改めて感謝の意を伝えたい。ありがとうございました。
富山遠征・ヒュッテニシデン2泊3日の山スキーの旅の2日目は人形山です。この界隈は私は詳しくなく、土地勘がないので付いて行くのがメインになってしまいます。
スタートは6時にヘッデンで。早速板を外しての渡渉があり、ドボンしないように注意して渡ります。雪の壁を下ったり登ったりするのは大変です。
そこから道路沿いに進みますが、違うルートに進んでしまって少し引き返します。あとで見ると引き返さずに滑り降りて行けたに気づいてちょっともったいなかったかも。
黙々と林道ラッセルが続きます。とはいえラッセル好きのチカさんニシデンのおかげで、私はダダダーっとラッセルしては短時間で交代するというパターンです。
途中から尾根沿いに取り付き、素敵なブナ林の霧氷を鑑賞しながら進みます。そして急斜面と雪庇を乗り越えて稜線に到達します。この時点ではまだ視界は晴れ渡ってませんでした。
ここからは緩やかなアップダウンの続く素晴らしい稜線歩きです。スケールが大きくて、まるで白山周辺を歩いているような感じです。分岐点にさしかかる辺りで青空に恵まれ、ありえないくらいの大展望が望めるようになりました。
ここからは人形山への核心部、大きな上に突出した雪庇の左側を巻いてピークに向かいます。今回は特に危険ではありませんでしたが、これは雪の状況次第でしょう。
人形山の山頂では360度の大パノラマ、遠征したご褒美のようです。何度も写真を撮影した後はシールを剥がして稜線を分岐のコルまで滑ります。少しアップダウンがありましたがカニ歩きでクリアしました。
さてここからどうするか、三ヶ辻山に行って尾根沿いを滑るか、ここから谷筋を滑るかという選択で、時間も押しているので谷筋からそのまま帰ることにしました。滑りは最高のパウダーで天国、何度も滑っては写真撮影を続けます。谷の終わりに近づくと、堰堤と水流が顔を覗かせます。そして慎重に進むと谷が割れて岸は急斜面という難しい場面になり、ここは危険を冒さず登り返すことにしました。しかし最初に登り始めた斜面にはストックで突くと大きな穴が隠れていて、これは登れないと判断。戻った隣の斜面を登りましたがこれも雪崩のリスクと急斜面の方向転換の難しさで大いに苦労しました。
かなり時間がかかりましたが無事に尾根筋をまたぎ、そこからシールを剥がしてトラバースで少しずつ下降します。運良く道路沿いに滑ってたどり着き、みな安堵の表情。とはいえここからまだ林道ラッセルが続き、途中で暗くなってヘッデンを点灯。そして朝の渡渉をクリアして無事に下山できました。
とても強力なメンバーだったので難局を無事にクリアできましたが、判断を間違えるとビバークや穴に転落するなど危機が待ち受けていたと思います。やはり谷筋を滑るのはリスクが高いということを改めて認識させられた、とても内容の濃い山行となりました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
波乱万丈のツアーでしたね
4人の浮かれぶり(失礼)と落胆ぶりが目に浮かぶようで、楽しく読ませていただきました。
私も全く同じルートを4年前に行って這い上がって来ました。確かに最後のトラバースは右足がすごく疲れた記憶が・・・Nishidenさん、どうして左足???
donaさんおはようございます!
その通り、最高のパウダー滑走を写真撮影しながら浮かれて快調に滑った後は本当に地獄でした
donaさんも同じルートを這い上がったのですか?それはなかなかの実力があるという証拠でもありますね〜ガンガン行きましょう!
ドナさんが既にこんな経験をしていましたか、やはり強者ですね。
登り返してからの下りトラバース、山を右、谷を左にしての長い斜滑降で、基本の谷足荷重なら左足の方が力を使うと思っています。
蓮華温泉から木地屋に下りるルートでやはり長い片斜面があり、さんちゃん、あゆほさんとの3人で行って似たような、どっちの足が疲れるかの対話になりました。
さんちゃんと僕は同じでやはり疲れるのは谷足でした。
http://ayuho.yu-yake.com/Gambar/Yukikura/Yukikura.html
donaさん、こんばんは。
今回は天国から地獄へのギャップが大きかったので、ショツクでした。しかし、おんなじ地獄から這い上がってきた仲間の人間だったんですね。驚きです。
ニシデンさん、
トラバースの時に疲れる足は、体重がかかっている側でなくて、制動を掛けている側の足です。先頭で開拓する人は、両足荷重で少し谷側の足で制動がかかりますが、フォローワ―は、谷側に乗って山側で斜面を削って制動を掛けます。谷側で制動をかけるとトレースを崩してしまうので、こうなります。斜面が硬くなってくると、山側で制動を掛ける足の疲れ具合は半端ないですね。つまり、先頭とフォローワ―とで足の疲れる側が反対になるのです。
クマ
クマさん、納得!
確かに、斜面がカリカリでスピードが出る状況のトラバースほど、山足の腿がパンパンになります。
私はまだ山で地獄を味わった事はないんです。仕事ではよく味わってますけど
う〜ん、死ぬかも・・・と思った事は何度かありますが、天国で死ぬと思ってるんですね
もし地獄を味わうとしたら、目の前で仲間が死んで助けられなかった、そんな時だと思います。
クマさん、トラバースで疲れる足の件、なるほどです。
人形山雪形鑑賞ツアー検討しましょう。
人形山一般ルートの五箇山田向から上がる尾根は雪形を見る好位置ではないようで、チカさん提案のように大滝山辺りからが良さそうですね。カラモン-人形山と行くなら藪がうるさくならない内にしたいな。
ニシデンさん、
人形山雪形鑑賞ツアー、
是非お願いします。
タイミングもおまかせします。
モモちゃんは、もう
一人で行ってしまいそうな勢いです(笑)
また楽しみがひとつ増えました。
クマ
クマさん、伝説のリンクありがとうございます。
悲しい物語で朝から泣きそうになりました
これ、登る前に観ていたら神妙な気持ちで入山していたと思います。またいつか訪れて、この子たちのお参りをしたいと思いました。
モモちゃん、こんばんは。
朝からこの動画、観てしまいましたか・・・
この手の話には、弱そうですね。ボクもそうです。姉妹の雪形が出来るころに見に来たいですね。本当にそう思います。
さて、この昔話の教訓は何でしょうか? おそらく、子供達には、山に入るときは必ず、大人に行き先を告げてから山に登りなさい・・・とか言っていたのでしょうね。それだけでしょうか? 知らなかった女人禁制を破ったことで、母思いの姉妹の命が奪われるなんて、童話?としては、あまりにも理不尽すぎますね。
クマ
クマさんこんばんは。
雪形は調べると出てきますね。例えばこれとか。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/0e/a8f326ba6aafb42c585f5b98831540bc.jpg
昔話なので昔の環境で語られたことでしょうから、きっとクマさんの述べられた2点だと思います。昔の方が、今よりも残酷な面もあったと思います。それだけ生きることが精一杯だったとも言えるでしょう。
今の高性能な道具を使える環境で山スキーを楽しめるなんて、なんて贅沢なことかと思います。安全に末長く楽しみたいものですね。
みなさん、
なんかためになるなあ〜!
雪形を生で見に行くツアー、
大滝山〜ガラモン峰〜人形山あたり
4月にやりませう。
チカさん、
そのルート、興味ありです。
時期的に、山スキーは無理でも、
歩きでも行きたいです。
クマ
とはよく言ったもんで、最高のパウダーと悪戦苦闘の帰還、去年大滝山で谷筋にはまった悪夢のような記憶がよがりました(笑)
人形山は「行きたい山リスト」に入っているのですが、気合が足らないので(笑)遠征はやめました。
大滝山〜人形山は興味があり、挑戦したいと思ったルートですが、僕にはワンデイは無理かな。
レッズさん、
そーなんですよね・・・気合が足りません(笑)
ボクみたいに、玉砕モードで臨みましょう(爆)
せっかく、トレーニングを積んではるのに、実地に移さないと、もったいないです。
クマ
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する