【屋久島2011】決死の縦走(尾之間〜宮之浦岳〜荒川口)


コースタイム
6:40尾之間温泉〜8:30蛇ノ口分岐着〜8:50蛇ノ口分岐発〜16:30淀川登山口着〜16:50淀川登山口発〜17:20淀川小屋着→泊
2日目
6:35淀川小屋〜7:50花之江河〜8:00黒味岳分岐〜8:35黒味岳山頂〜9:05黒味岳分岐〜9:40投石岩屋〜10:35栗生岳〜10:50宮之浦岳〜13:20新高塚小屋着→泊
3日目
6:05新高塚小屋〜6:55高塚小屋〜7:00縄文杉着〜7:10縄文杉発〜7:35大王杉〜8:15ウイルソン株〜9:35楠川分かれ〜10:00小杉谷〜10:50荒川口→下山
天候 | 雨雨雨(3日間、雨が上がることはなかった・・) |
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過去天気図(気象庁) | 2011年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
飛行機
羽田空港〜(飛行機)〜鹿児島空港〜(バス)〜鹿児島市内(フェリー乗り場)〜(高速船トッピー)〜宮浦港〜(バス)〜尾之間温泉付近→宿(四季の宿尾之間) □登山口へのアクセス方法 宿のマスターが尾之間温泉まで車で送ってくれた □下山後の移動方法 荒川口〜(車)〜バス停(三叉路)〜(バス)〜安房〜(レンタカー)〜宮浦へ ※荒川口から下山するバスの始発は14:00。今回はたまたま荒川口を清掃しているおじさまに車でバス停まで乗せてもらえた。本来であればタクシー等を呼んでおく必要がある。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
□尾之間歩道について 尾之間温泉から淀川登山口への道は尾之間歩道と呼ばれ、初級コースとされている。しかし、この道は危険である。人に勧めようとは思わない。理由は3点。 1つ目は、道に迷いやすいこと。木々がうっそうと茂っており、また倒木も多く見られるため道に迷いやすい。 2つ目は、水の事故の危険性が高いこと。尾之間歩道は、整備がされている訳ではないので、川に橋はない。そのため、川をいくつか渡る必要がある。雨の多い屋久島では川の水量は容易に増える。水量の増えた川ほど厄介なものはない。 3つ目は、尾之間歩道はマイナーなコースであること。何よりも人がいない。今回は、誰とも会わなかった。登山ポストもない。万が一の時に人が通りかかる可能性はないと見ていいと考える。 □登山道に着いて 基本的には歩きやすい。ただし、木道は滑りやすく、下りの際は注意をする必要がある。僕もぷーもこけた。 |
写真
頭上遥か彼方に山頂(?)が見え、そこから水が流れ落ちてきている。ギアナ高地の縮小版か?滝の名前はわからない。これが蛇ノ口滝の上流なのか?雨の唯一といっていいメリットを享受した。
こればっかりは見ないとすごさがわからないと思う。
まずは僕が先頭を切ってチャレンジ。川に足を突っ込みながら、最後の岩はリスクをとってジャンプ!本当に死ぬ可能性があった。ジャンプの前に十字を切ったおかげか。クリスチャンではないけど。
こいつを見た瞬間はさすがに感動した。既に体がびしょびしょで、体力も使い果たしていた。なんとか17時までには淀川口に着かなければまずいなと思いながら急いでいたので、こいつを見たときはうれしくてうれしくて。まだ生きていると実感できた。
感想
□背景(なぜ屋久島縦走をしようと思ったか)
(1)ガイドの一言:「縄文杉も白谷雲水峡も世界遺産の一部だよ」
2010年11月ー屋久島に初めて訪れた。目的は縄文杉と白谷雲水峡。屋久島を訪れたことのある両親や友人が「屋久島はいい!」と言うので、それを感じたくて行った。縄文杉も白谷雲水峡もよかったことには変わりないが、何か物足りなさを感じた。白谷雲水峡をガイドしてくれた田中さんの言った一言が、その物足りなさが何なのかを的確に言い表していた。「縄文杉も白谷雲水峡も世界遺産のほんの一部だよ。あそこには人が多く行くけど、面積的にはほんの一部だよ。なんで世界遺産の大半を占める山にはあまり人が行かないんだろうね。」・・やっぱり山なんだ。九州最高峰の宮之浦岳を筆頭に山を制覇しないと屋久島の世界遺産に行ったことにはならないな!そう思った。「屋久島縦走をしにまた来よう!」
(2)敗北:蛇の口ハイキングコースに敗れる
午前中に白谷雲水峡に行った後、午後になって僕とぷーは蛇ノ口滝を目指し尾之間に向かった。尾之間温泉から蛇ノ口滝まで片道約2時間。蛇の口ハイキングコースという名のその道は、僕らを多いに苦しめた。道がわからない。川を渡る。切り立った山道を這い上がる。これが、初級コースである。結局、2時間以上歩いても着くことができず、日暮れもあったので蛇の口分岐で引き返すことになった。僕らは蛇ノ口滝に敗れた。山の怖さを知った。蛇の口ハイキングコースから帰ってきた僕とぷーは、リベンジを誓った。「いつか絶対に蛇ノ口滝を見てやろう!」
この二つが今回、屋久島縦走をするきっかけである。
【参考】昨年の屋久島の記録】http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-90687.html
□ルート
(1)計画ルート
jugglingさんのルートを参考に次のように計画を立てた(http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-88300.html)
1日目:尾之間温泉〜蛇ノ口滝〜淀川口〜淀川小屋(泊)
2日目:淀川小屋〜黒味岳(ピストン)〜栗生岳〜宮之浦岳〜永田岳(ピストン)〜新高塚小屋
3日目:新高塚小屋〜縄文杉〜白谷雲水峡
(2)実際
1日目:時間が押していたため、蛇ノ口滝はまたもや拝めず
2日目:雨&右膝の痛みによりスピードアップができず、永田岳回避。
3日目:右膝の痛みにより白谷雲水峡へは抜けず荒川口で下山。
□感想
【総括】
今年は、北アルプスを中心に13回の山行を重ねて来た。昨年敗れた蛇ノ口滝はもちろん、屋久島を縦走する自信をもって屋久島に降り立った。そんな自信は初日にして崩れ去る。尾之間から淀川口のルートが今年登ったどこの山よりもキツく、非常に手こずった。うっそうと茂る森と3度の渡渉で淀川口に着いたのはコースタイムよりも3時間以上経ってからだった。99.9%淀川口から諦めて下山することを考えていたが、思いとどまり縦走を達成できたのは、今後の山人生を考えても大きいと思う。とにもかくにも生きて下山できてよかった。
(1)感じた事
1)挫折
・自信が打ち砕かれた。整備されていない道を歩くこと、重荷を背負う事に不慣れ。山は厳しい。スキルのなさを実感。沢登りのスキルが必要か?それでも諦めずにやり切った事は評価できる。
・自然を満喫できていいね、なんてもう言えない。自然は厳しい。人工物にほっとする自分を隠しきれなかった。だからこそ、山は楽しい。
・下りは膝が痛む。
・木は滑る。こける。
2)感動
・尾之間歩道から見た壮大な滝
見上げると山頂から流れ落ちる滝が見えた。雨の日だからこその絶景に違いない。
・尾之間大杉を見つけた瞬間
尾之間歩道のゴールは尾之間大杉。こいつを見つければゴールダッタのだが、どれが尾之間大杉かわからない。
日も暮れ始め焦りと戸惑いとがごちゃまぜになった頃、こいつを見つけた。でかく立派にそびえ立つこいつを見て、生きて帰れる!そう心から思った。
・淀川口に人がいた時。僕らはまだ生きている事を実感した。自然っていいよね。なんて言うけど、結局人間は厳しい自然よりも人間が好きなんだ。
森をずっと歩いていると、人工物に懐かしさを感じた。山道の中に人の手が加わったもの(木の丸太で作った階段など)を見つけると、どこか「ほっ」とする自分がいた。
・ゴールした瞬間
右膝の痛みが激しく、下りはキツいと言う事でゴールを白谷雲水峡から荒川口に変更したものの、トロッコ道の長いこと長いこと・・小杉谷からずっと「サライ」が流れていた。
ヒーローインタビューを頭の中で思いめぐらせなんとか気を保つ。ゴールした瞬間(実際にはもっと前からずっと)叫んだ。気分はW杯でゴールした後の本田圭佑。
・動物が普通にそこにいて、こちらがお邪魔していることを再認識。子鹿のもふもふ感がたまらなく可愛かった。
3)生死
・尾之間歩道に出現する川を渡るとき。足を滑らせて川に落ちていたら・・流されていたな。死の可能性は十分にあった。
・山行中雨がやむ事はなく、身につけている衣服すべてがびしょびしょに(シャツ、ズボン、靴下、下着)。着ながら乾かそうとしていたので、朝一は低体温症にならないかが不安だった。
なんとか生きて下山できて本当によかった。「僕は生きている!」
4)感謝
山行中、下山後に出会ったすべてに感謝。
・動物:猿、鹿、カエル
君たちを見ると笑顔になれたよ。ありがとう。お邪魔させてもらってありがとう。
・植物:でかい木々、かわいい葉っぱ
古くでかい木々(杉など)は、そこら中にあった。疲れている時は君たちのエネルギーを分けてもらったね。ありがとう。
僕は下りになると膝が痛む。そんな時、笑いかけてくれるような表情をした可愛い葉っぱを見ると元気をもらえたよ。ありがとう。
・自然:巨岩群、滝
巨岩群の力強さに感動!ありがとう。
遥か彼方の山頂から落ちてくる滝に感動!尾之間歩道を歩く勇気をもらった。
・もの:山小屋、橋、コインランドリー、温泉
山小屋、僕らを風雨から守ってくれてありがとう。
橋、僕らを濡れずに渡らせてくれてありがとう。荒川はさすがに渡れないよ。
コインランドリー、君たちがいなかったらずっと濡れたままだったよ。特にザックを乾燥できる事を知ったのは大きい!
温泉、僕らを暖めてくれてありがとう。
・人々
山小屋で出会ったすべての方々に感謝。
淀川口で出会った3人のパーティの方々に感謝。あなた達がいなかったら、間違いなく淀川口から諦めて下山していました。ありがとうございます。
特にリーダーの男性の方は礼儀正しく、美味しそうな料理も作っていて、憧れます。あのかっこいい靴はどこでゲットしたのか聞きたかったな。
下山後に、荒川口から三叉路まで車で送ってくれたおっちゃん、ありがとう。びちょびちょな僕らを車に乗せてくれて、本当に助かりました。
バスの運ちゃん、やたらと船の話をしてくれました。面白い話をありがとう。
安房の観光案内所のおばちゃん、あたたかく迎え入れてくれてありがとう。
(2)よかった事
・ノブさん家にお邪魔で来た事。屋久島に行く理由がまた1つ増えた。多少の図々しさは必要だな。
・途中で帰らずになんとか縦走をやり遂げた事!この差は大きい。
・むらさきいもキャラメルは使える!
(3)反省点と改善策
1)衣
・靴下は日数分持って行く。
・ズボンの替えは持って行く。山小屋滞在中や下山後。ダウン下購入か?
・レインウェアは中まで濡れてしまう。
→よりよいウェアであればこの雨に耐えられたかは疑問。改善策見えず。
2)食
・食糧が重かった。
→食糧は厳選する。餅-。昼食-。(昼食は食べている余裕がないので、少なめの行動食のみとする。大事なのは集中力。)パンとまんじゅうはどちらか一方にする。
→重荷に耐えられる下半身に鍛え上げる。
・棒ラーメンに野菜を入れたい。
→野菜を持って行こう!
3)住
・テントが濡れて重くなる。
→防水の袋に入れる。2気室の下は必ず濡れるのでスタッフバックで荷をカバーするか?それとも上部の部屋にテントやシュラフを入れて、下部には濡れても大丈夫なものを入れるか?色々試したい。
・キネシオテープなどが濡れて使用できなくなってしまった
→荷物はスタッフバックなどに入れて濡れない工夫を必ずする。ザック内を覆えるものが理想。
4)動
・下山中に膝が痛む。本気で治し、鍛え直す。
・重荷を背負ってもコースタイムで歩けるようにしたい。
→重荷に耐えられる下半身と背筋を作り上げる。
→荷物は最小限にして現地調達?サバイバル・・
・川を渡るスキルをつける。
→沢登りのスキル?沢用の靴購入?
・ルートは濡れる可能性が高い箇所は最後に持ってくる。初日から靴の中が濡れてしまうとモチベーションに影響してしまう。どうしようもない時は気合い。
→要は気合いが必要!
・木は滑る。とてつもなく滑る。十分に気をつける。
5)その他
・ノブさんへの連絡が遅くなった事。
→何事も先手を打って行動しよう!
□その他
(1)宿
1)四季の宿尾之間(http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuakim/index.html)
雰囲気のある部屋で野郎2人で泊まるにはもったいないところ。バーベキューをする所もあり、下山後にお世話になるのも手か。
宿のご主人も奥様も暖かく迎えてくれる。ご主人には尾之間温泉まで送っていただいた。
かわいらしいお子様2人がいらっしゃる。娘さんは相棒のぷーに積極的に絡んでいた。ぷー、たじたじ。息子さんは坊主頭がかわいい。口笛ふけるようになったと自慢してきた。
2)やくしま家(http://www.yakushimaya-yado.com/index.php?FrontPage)
ご主人は陸上のコーチ。鍛え上げられた肉体が魅力的。僕の膝の悩みの相談に乗ってもらった。
朝食のみそ汁がめちゃくちゃうまい。今度はおかわりも準備しておいてもらおう。
(2)人
ノブさん:ノブヤックのご主人(URL: http://nobyak.juno.bindsite.jp/ http://www.h2.dion.ne.jp/~nobyak6/)
直前の連絡にも関わらずゆるりと迎え入れてくれた。壁がなく接してくれる方です。ノブさんオススメの映画を見せてくれたり、ゆるい一時を共有できて感謝。またあのゆるく暖かいお家にお邪魔します!
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