高島トレイル☆赤坂山〜三国岳〜乗鞍岳
- GPS
- 07:06
- 距離
- 17.5km
- 上り
- 1,388m
- 下り
- 1,146m
コースタイム
- 山行
- 6:36
- 休憩
- 0:31
- 合計
- 7:07
芦原岳に13:25着、13:35出発
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
下山の国境スキー場からはタクシーでマキノスキー場まで |
コース状況/ 危険箇所等 |
きわめて良好に整備された一般登山道 |
写真
感想
梅雨入り直前で、絶好の好天に恵まれた日曜日である。長男、次男を誘って山に行くのに歩きやすく眺望に恵まれたコースということで、赤坂山から明王の禿を越えて、黒河峠に至る人気のコースを選ぶことにした。しかし、長男が前日になって風邪気味ということになり、子供たちをおいて行くことになると、乗鞍岳を越えて、高島トレイルの始点へと至るコースを縦走する予定とした。
マキノ高原から赤坂山への行程は昨年の12月に訪れた時の記憶がまだ新しい。スキー場からは積雪期の情景を追憶しながら登山路を進んでゆく。登り始めると道の両脇は多くのコアジサイの花が彩る。一株のものから群生した株まで。コアジサイは通常の紫陽花と異なり、芳香がある。山藤の香りに似ているが、山藤ほど官能的ではなく、清楚な印象の香りだ。登るにつれてコアジサイの花の数が増してくると、辺り一帯にコアジサイの香りに包まれているようだ。
高度を増すにつれて咲いているコアジサイの数が減り、蕾の状態のコアジサイが目立つようになる。おそらく6月の下旬まではコアジサイを愉しむことが出来るだろう。武奈の木平ではミンミンと蝉の鳴き声が聞こえはじめる。果たしてそんな季節なのだろうか。やがて登山路は落下した白い花で彩られるようになる。見上げると樹からは無数のウツギの花が垂れ下がっている。ヒメウツギの薄紅色の艶やかな花も咲いている。
粟柄越が近くなると樹林は終わり、風衝草原となり、低木と草原があたりを覆う。12月の積雪期は植物を目にすることはなかったが、低木はほぼ水平に幹を伸ばしており、この山の雪の多さと風の強さを物語るようだ。日差しがきついがマキノ高原から吹き上がってくる微風が涼しく、暑さを全く感じることはない。
赤坂山からの360度の眺望の素晴らしさは述べるまでもない。霞のために朧げな伊吹山のシルエットは残念ながら写真では再現されない。東を眺めると眼前に明王の禿の荒々しい岩肌が威容を誇るようだ。その彼方にはこれから進む乗鞍岳が遠く感じられる。果たしてあの山頂までどのくらいの時間を要するのだろうか・・・と思案せざろう得ない。
明王の禿はその上部の樹林帯を通過してゆくので、危険なことはない。樹林に入ると数多くの紅花灯台躑躅が咲いている。しかし、間近にその崩落した岩肌を眺めると大迫力である。明王の禿を通過すると登山路の路傍には紅灯台よりもむしろ更紗灯台(サラサドウダン)が目立つようになる。更紗灯台越しに赤坂山山頂と明王の禿に別れを告げて、先へと進む。
再び樹林の中を進むようになる。登山路には迷い込んだかのように大葉黄菫(オオバキスミレ)が一輪だけ咲いているのが目にとまる。稜線に近いところを歩いている筈ではあるが、どこからこんな沢が湧き出るのだろうかと思うほどに小さな沢をいくつも横切り、三国岳に近づいてゆく。分岐から頂上までも樹林が続くが、頂上でようやく北の方角以外に眺望が開ける。分岐に戻り、東に進むと小さな山頂湿原がある。キンコウカは花穂を出しているが、残念ながら花は時期にはまだ早いようだ。
三国岳から黒河峠へは南斜面をジグザグと下るが、辺りは低木地帯なのでマキノ高原と琵琶湖を見ながら下りとなる。ふと見ると荒れた山肌にいくつもの砂防のための石垣が築かれ、急峻な沢には堰堤が設けられている。まもなく黒河林道に出るが、この立派な林道がこれらの石垣や堰堤を作るためのものだったのだろうと思う。それにしてもあとどれほどの時間、砂防のための役割を果たすのかわからないが、かなりの危険を伴ったであろう作業に恐れ入る。
黒河峠の乗鞍岳への登山口に辿り着くと、折しも単独行の男性一人が二組、下山して来られたところであった。そのうちの一人の方は電波塔までのピストンとのことであったが、樹々の新緑が綺麗との印象を教えていただく。我々は、この日はコンビニで購入したハンバークを湯煎して昼食とする。昼食を終えて峠を後にしたのは12時半近くであった。
黒河峠から乗鞍岳へのコースに入ると辺りの光景がかなり異なる。樹高の高いブナの美林のせいだ。確かにブナの新緑が美しい。随所にマルバアオダモが咲き誇る。この乗鞍岳の登山路は関西電力の送電線巡視路となっているのだろう。鉄塔に出る度に眺望が拡がる。
乗鞍岳は山容が非常に大きいが、西側のピークは芦原岳と呼称されている。その芦原岳の手前の鉄塔のある稜線に出た瞬間、私の熊鈴の音に反応したのだろうか。蜘蛛の子を散らすように斜面を駆け下りてゆく茶褐色の動物の群れがある。猿の大きな群れであった。群れの一部は斜面とは反対側の森に逃げ込んだようだ。しきりとキーキーという甲高い警戒音を発している。猿の騒ぎが収まると辺りは強い日差しを受けて、何事もなかったかの如く静まり返る。
芦原岳へのピークは高島トレイルからわずかに逸れたところにある。山頂についたのは黒河峠から丁度1時間が過ぎた頃だ。山頂といっても山名を刻んだ標識があるわけでもなく、鉄塔広場があるのみだ。北には敦賀湾を望み、東西に大きく展望が開ける。ようやく乗鞍岳の頂上が近くに見えるようになってきた。
芦原岳からコルへと下り、ブナの美林が続く尾根をなだらかに進む。目の前に電波塔が近づいたと思うと、突然、舗装された車道に出る。電波塔へと続く関電の作業道らしいが、舗装路の立派さに戸惑いを覚える。この辺りで急に蒸し暑さを感じる。ここまでがブナ林の木陰であったということもあるが、三国岳のあたりでは間断なく吹いていた風がいつのまにか凪いでいる。先程までは透き通るような蒼さを見せていた空もいつの間にか薄曇りとなっている。
電波塔からは低木が続く尾根道をたどり、間もなく乗鞍岳の山頂へ辿り着く。乗鞍岳の山頂の広場はおそらく関西電力のものと思われる殺風景な建物に占拠されている。建物の東側に回り込んで、ようやく国境(くにざかい)方面の眺望を得る。正面には横山岳、金糞岳と湖北の盟主が大きな山容を広げている。さて、ここでタクシーを予約しようと携帯を取り出すが、なんと圏外。大きな電波塔があるから当然、電波が通じるだろうと思ったのは間違いであった。電波が通じた電波塔のあたりで電話をかけておかなければならなかった。後悔先に立たず。国境からのバスは15時20分、今から1時間弱。コースタイムは1時間50分。急げばなんとかたどり着ける時間だろう。
国境へはしばらく乗鞍岳の北稜をたどる。鉄塔のあるところに出ると、ようやく携帯のアンテナが2本たつ。無事、タクシーを予約することが出来、一安心。スキー場を下り、バス停の手前に下りてくると丁度、マキノ駅行きのバスが停留所を折り返すところであった。バス停の反対側の電光温度計は27℃を示していた。
こんばんは、今年2月に雪の山中(鎌倉山付近)でお会いした者です。今回、私も赤坂山へ、翌日に行きましたので、マキノから赤坂山にかけて、道々、同じ花々に出会いながら通過したのではないかと思います。私は、山頂から引き返して南の大谷山の方へ向かいましたので黒河越方面へは行きませんでしたが、?とされている花のうち、花びら5枚の白い花は、もしかしたら「タニギキョウ」かもしれません..。
いつも、花や木の名前が知りたくて、うずくまってミニ図鑑を開いたり、他の方のレコを見たりして勉強させていただいています...。
(追)2月に教えていただいたカマクラ谷からの935m峰、まだチャレンジできていません(あきらめてません)。
お久しぶりです。まずタニギキョウ、教えて下さり有難うございます。このような機会に再びこうしてコメント頂けますこと、嬉しく思います。赤坂山への山行が一日違いであったことが残念です。また八丁平の辺りでお遭いする機会がありますことを願っております。
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