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記録ID: 160507
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無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

甲斐駒ケ岳・仙丈岳 (竹宇駒ケ岳神社―甲斐駒ケ岳―藪沢―仙丈ヶ岳―北沢峠―戸台)

1983年07月25日(月) 〜 1983年07月27日(水)
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tanno1967 その他1人
GPS
56:00
距離
31.6km
登り
3,693m
下り
3,455m

コースタイム

7/25
竹宇駒ヶ岳神社6:06―粥餅石―刃渡り―11:15五合目12:30―13:55七丈小屋(泊)

7/26
七丈小屋4:07―6:13甲斐駒ケ岳6:55―摩利支天―8:50駒津峰―双児山10:00―11:20北沢峠―11:30大平小屋12:36―14:55藪沢小屋(泊)

7/27
藪沢小屋4:50―馬の背―藪沢カール―6:17仙丈岳6:56―7:30小仙丈岳―9:25北沢峠―丹渓山荘―15:30戸台
天候 7/25は曇りのち午後一時雨
7/26は晴れだが頂上付近ガス
7/27は晴れ
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
往路は中央本線韮崎駅からバスで竹宇駒ヶ岳神社へ。
復路は戸台バス停からバスで飯田線伊那北駅へ。
コース状況/
危険箇所等
黒戸尾根の道はよく整備されていたが、五合目から七丈小屋の間にはオーバーハング気味の梯子か鎖が一箇所あった。

七丈小屋は当時新しい建物で、13時過ぎに到着して、窓から鳳凰三山方面の雷雨の様子を見たりして楽しんでいたが、食事つき宿泊の客が後から次々と到着すると、自炊客は古い小屋の方に追い出されてしまった。こちらの棟は新しい小屋に比べると見劣りがするところで残念だった。しかし、小屋の眺めは素晴らしく、とくに宮ノ頭方面に見える「双子山」と鳳凰山が見事だった。

七丈小屋から甲斐駒を経て北沢峠までは問題なし。藪沢の登りも特に問題はなかった。

藪沢小屋は比較的新しい建物だったが、私が行ったときは無人小屋で、ありがたく無料で利用させてもらった。小さな二階建ての小屋で、二階に泊まったが、午後は屋根の熱で暑く、朝は少し寒かった。

藪沢小屋から仙丈岳を経て北沢峠までも問題なし。その先丹渓山荘まではよかった。しかし、丹渓山荘から戸台方面の川沿いの道はルートがはっきりせず、渡渉個所を自分で見極めなければならなかった。渡渉した個所もあったと思うが、一箇所では水深・水勢の関係で渡渉できず、先行していたパーティーと協力して丸木橋をかけて渡った。そんなわけで戸台までは予想以上に時間がかかった。

当時北沢峠までバスが来ていたかどうかは覚えていないが、少なくとも途中まではバスがあったので、戸台への道はすでにあまり使われなくなっていたのだろう。
予約できる山小屋
馬の背ヒュッテ
北沢峠 こもれび山荘
七丈小屋
仙丈岳の頂上から鋸岳を望む。
2012年02月04日 19:35撮影
2/4 19:35
仙丈岳の頂上から鋸岳を望む。
仙丈岳のコマクサ
仙丈岳のコマクサ
戸台川の河原歩きは予想以上にしんどかった。後方に甲斐駒が見える。
戸台川の河原歩きは予想以上にしんどかった。後方に甲斐駒が見える。

感想

登ったのは一度だけですが、甲斐駒ケ岳は私の一番好きな山の一つです。その存在を初めて意識したのは小学校高学年のころだったかもしれません。

その頃親戚の別荘が八ヶ岳の富士見高原にあり、夏になると家族で利用させてもらっていたのですが、新宿か八王子あたりから、各駅停車に乗って富士見へ向かうのが常でした。高尾を過ぎると山間に入り、駅のプラットホームに当時あった「名所案内」に記されている山の標高も1000m、2000mと上がっていくと、いかにも山国に来た、と感じたものです。甲府を過ぎ、いよいよ信州に向かって登っていく際、夏場なので南アルプスの山は雲に隠れているのが常でしたが、何かそこにとても高い山があるらしい、ということは聞き知っていたと思います。

私にとって甲斐駒ケ岳という山の印象を決定的にしたのは、中学生のころ父が買ってきた南アルプスのガイドブックでした。山渓から出ていた当時の「アルパインガイド」で、白簱史朗氏の執筆でした。当時のアルパインガイドは、それぞれ執筆者の個性、山への思い入れが出ていて、コースのガイドを越えて、山に対する考え方、登り方という面でも多くのことを教わったように思います。このガイドブックの「甲斐駒・仙丈・鋸」の章の初めにあった、山域の概要を紹介する文章がなかなかの名文で、甲斐駒の印象を私の中で決定づけました。「優美な山裾を引く八ヶ岳と対照的に、南の空に突っ立つ甲斐駒ケ岳。それは、私たちがこの山を思い浮かべる際、必ずと言ってよいほど、まず第一に現れてくる姿である」というのが今でも覚えているその冒頭部分で、甲斐駒に登るなら黒戸尾根側から登らなければだめだ、と考えたのはこの文章を読んだためでした。深田久弥の『日本百名山』におさめられた甲斐駒についての文章もまた名文で、百名山の文章のうちでも最も優れたものの一つだと思っています。

黒戸尾根の登りでもう一つ覚えているのは、当時の七丈小屋の主人が、登山客を相手に、「甲斐駒の本当の標高は3200mで日本で二番目に高い。国土地理院の測量は間違っている」と真顔で説いていたことでした。だれも本気で信じる人はいなかったと思いますが、表だって異論を唱える人もいませんでした。自分も大好きな山だけに、嬉しいような恥ずかしいような気持になりました。小屋の主人の話を聞いた人は他にもおられるようで、ほかの方の登山記にも書かれています。
http://www4.tokai.or.jp/seizan/80.08.13kaikoma.html

この山行はまた、私にとって初めてのアルプス行でもありました。確か白簱氏のガイドブックには、「この黒戸尾根を登ったということが、立派に南アルプス登山を成し遂げたということにもつながる」と書かれていました。甲斐駒の頂上では残念ながらガスに巻かれ、眺めを楽しむことはできませんでしたが、標高差2200mをひたすらに上り詰めて頂上に達する爽快感、達成感は素晴らしいものでした。甲斐駒に登る方の過半数が北沢峠まで車かバスで入るようですが、甲斐駒をよく味わいたい方は、ぜひ黒戸尾根側から登ることをお勧めします。甲斐駒近辺では、尾白川渓谷道も登ってみたいし、鋸岳への縦走もこれからの課題です。

この頃は、当時の国鉄の青春18きっぷが発売したての時期で、この切符を使って山に行っていました。金はなくとも暇だけはある時分、甲斐駒と仙丈から降りた後は、戸台からバスで伊那大島に出て、飯田線・中央線・篠ノ井線・飯山線・上越線・只見線と乗り継いで、会津若松を見て郡山方面から帰京する計画を立てていました。ところが戸台川の渡渉に時間をとられてバスの時間に遅れ、時刻表を見て分単位の乗り換えで計画を立てていた会津若松行きはあえなく中止となりました。




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