屏風岩山〜畦ヶ丸〜加入道山☆雨が降る前に
- GPS
- 07:38
- 距離
- 18.6km
- 登り
- 1,612m
- 下り
- 1,335m
コースタイム
- 山行
- 6:41
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 7:36
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山は用木沢出合まで |
コース状況/ 危険箇所等 |
良好に整備された登山道 二本杉峠〜屏風岩山までも踏み跡は明瞭 |
写真
感想
前泊した中川温泉のホテルを出て歩きだすと、5時過ぎでは既にヘッデンの明かりを必要としないほどにあたりは明るい。天気予報は午後から雨の予報ではあったが、果たして本当に昼過ぎから雨が降るのだろうかと思うほどに青空が広がっている。
権現山への登山口からは大きな堰堤が設けられた沢の左岸を進んでゆく。沢を奥に進むと三叉の群落が出現する。沢沿いから道が離れて三叉の群落の中を尾根筋を目がけてジグザグと登るようになるが、残念ながら花期の盛りは過ぎているのだろう。花々の黄色い色はすっかり色褪せてしまっている。
尾根の上に出ると、今度は反対側の斜面をゆるやかにトラバースするようになる。二本杉峠が近くなると再び林の中に三叉が登場する。このあたりでは三叉の黄色い花がまだ残っている。朝陽が三叉の花に差し込むと既に色褪せてしまった花も含めて、枝先に明かりが灯ったかのように花が白く輝く。峠に辿り着くと、西の方角には樹間から青空を背景にした富士山が見える。湿った空気が山頂を越えているのだろう。富士山の山頂にはわずかに笠雲がかかっている。
二本杉峠からは尾根を北に進む。屏風岩山への道標には「踏み跡不明瞭」と書かれているが、全く問題ないほどに明瞭な踏み跡が続いている。最初はかなりの急登ではあるが、ひとしきり登るとすぐにも広くなだらかな尾根になる。広い尾根は中川の側は植林地、反対側は自然林が続く。植林地の中ではここでも三叉の群落が現われる。
尾根からは随所で東の展望が開け、正面に檜洞丸を望む。檜洞丸は畦ヶ丸より標高が一声高いせいだろう、山の斜面はすっかり白くなっている。西の方角では樹間から富士山を望むのだが、展望が開けて綺麗に富士山を望むポイントがない。
尾根上には随所に山毛欅や欅が現われる。高校時代に畦ヶ丸を二度ほど訪れているのだが、一度は晩秋、もう一度は雪の季節であった。新緑の頃も林相が美しいことだろう。
畦ヶ丸が近づくと急に尾根上の雪が増え始める。畦ヶ丸避難小屋の手前で尾根の左手の斜面で遂に大きく富士山の展望が開ける。いつしか山頂にかかっていた笠雲もとれている。空には高曇りの雲が薄く広がりはじめるが、富士山の方角のみは相変わらず青空が広がっている。
避難小屋の周りの地面はすっかり雪に覆われている。風も強くなく、朝の陽射しが暖かいので避難小屋の手前のベンチで朝食を料理する。まずは焼売を蒸し、その湯を使ってインスタントの酸辣湯のフォーを作る。最後はフライパンでベーコンを炒めて炒飯を作る。
食事を取り終わっても時間はまだ9時前である。当初は屏風岩山と畦ヶ丸のみの周回予定であったが、ここで下山するにはあまりにも時間が早い。この分でいくと加入道山まで行っても昼過ぎには下山出来るであろう。ということで、予定を変更して加入道山へと向かうことにする。
避難小屋から畦ヶ丸の山頂までは一息で到着する。ここからが問題であった。山頂から道なりに下ると、正面の山に向かってなだらかに続く長い稜線が左手に見える。ここではたと気がついた。本来、辿らねばならない稜線が左手に見えている?初歩的なルート・ミスで下山ルートを辿ってしまっていた。畦ヶ丸に登り返すと、先程、通過した時には視界に入らなかったのだが、遠くに銀盤のように輝く駿河湾とその右手に愛鷹連峰の山々が見える。
再び避難小屋に辿り着くと時間を20分程ロスしていた。このタイム・ロスは後々に大きく響くことになる。
畦ヶ丸避難小屋から北尾根(県境尾根)に入ると途端に雪が多い。それまでは登山道は地面が露出しているところが多かったのだが、地面が露出している箇所は少なく、ほとんど雪の上を歩くことになる。
モロクボ沢ノ頭への鞍部からの緩やかな登り返しになるとようやく雪の間から地面が露出するようになった。モロクボ沢ノ頭から白石峠まで3.6kmの道のりと道標に記されている。ということはうまく行けば白石峠は11時頃に到着することが出来るだろう。
山の上では電波のアンテナが一本たっていたので、新松田の大きなタクシー会社には「その時間にはうちは予約が入っているんで、中川温泉の中川さんに頼んだらどうですか?」とけんもほろろに断られる。まだ3時間以上あるのに手配が出来ないほどの台数とは思えないが、配車センターの男性の愛想がたまたま悪かったのかもしれない。仕方がないのでおすすめに従って、中川ハイヤーに電話をすると、用木沢出合にタクシーを12時半に快く手配をしてくれることになった。12時半に辿り着くのはかなりきついタイム・スケジュールになるのだが、新松田の駅まで1時間を見込んで、予定している新幹線に乗るためにはこの時間には用木沢出合に辿り着かねばならない。
登山路からはしばしば東側の展望が開け、正面には檜洞丸、その左手には蛭ヶ岳を望むようになる。これらの山々はいずれも意外なほどに冠雪しており、4月半ばの丹沢とは思えぬ光景である。今回の山行ではチェーンスパイクか軽アイゼンは用意していなかったのだが、畦ヶ丸であったからこそ問題なく登れたのだろうと思われる。
白石峠に辿り着いたのは11時をわずかに過ぎたところである。峠に荷物をデポして、山頂を往復する。
白石峠に戻ると、ここからは用木沢出合まで3.6km程の道程である。まずは谷筋の急下降となる。融けたばかりの雪のせいだろう。ところどころで酷く泥濘んでいる。しかし、木の階段が整備されているところが多く、下りやすい。
傾斜が緩やかになると伏流の沢の中を歩くことになる。やがて沢が日陰になると沢沿いには再び雪が出現する。このような道ではなかなか距離を稼げないので、残りの距離が少なくならない。
左手の斜面をトラバースするようになると、右手に白石の滝が見える。とはいえ滝を大きく望む訳ではなく、落葉した樹々の樹間に白い岩肌を流れ落ちる細い筋を認めるばかりであり、滝としての迫力は乏しい。道はそのまま斜面をトラバースして、隣の沢へと降りると、丸木橋で沢を幾度か渡りながら、沢沿いの石の河原を下ってゆく。このあたりでは石が陽光の熱を吸収するせいだろう、急に暑く感じられる。強い陽射しはないが、空は十分に明るく、雨が降り出す気配は微塵も感じられない。
林道に出るまでの石の河原歩きが長く感じられたが、林道に出てからは用木沢の出合までは一息に到着したように思うが、タクシーを予約した時間から既に15分近く遅れていたせいで焦っていたせいかもしれない。タクシーの運転手は嫌な顔ひとつせず、それなら予定の電車に間に合うでしょうと、我々を新松田の駅まで送り届けてくれるのだった。
新松田から小田急線に乗り込むと本来、箱根の外輪山の上に綺麗に見える筈の富士山のあたりは白い緞帳を下ろしたかのような雲が広がっているばかりであった。しかし、殆どがガスの中を歩くことになった昨年の檜洞丸の山行に比べると、遥かに眺望に恵まれ、最後の三叉の花々にも出会うことが出来て、充実した山行であった。
※山行に同行したkznh氏のレコ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1792853.html
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