桟敷ヶ岳~魚谷山~貴船山☆京都の我が家に帰る山旅
- GPS
- 06:45
- 距離
- 18.1km
- 登り
- 1,304m
- 下り
- 1,507m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
帰りは二ノ瀬口より京都バスで国際会館へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
長谷から桟敷ヶ岳へのコースは踏み跡はなくほぼ完全に廃道、特に長谷は沢の中を歩くことになるので難路 柳谷峠~滝谷峠も倒木多数。詳しくは感想で |
写真
感想
前夜は大森キャンプ場まで次男と歩いたのだが、我が家の車には長女と家内の友人の母娘が乗るので私の乗る余地はない。明日からのテン泊の長距離縦走を控えていることもあり、次男も車に乗って京都まで帰ることにする。私はいくつもの山と峠を越えて、京都までの長い道のりを歩いて帰ることに。
テントを撤収し、キャンプ場をチェックアウトすると、昨夕にも訪れたところではあるが、まずは霧又の滝の朝の光景が気になるので再訪する。東の方角に向いた滝は木漏れ陽を浴びて神秘的な輝きを放っている。滝の周囲では苔むした岩肌にも光があたり、昨日とは全く異なる雰囲気を見せていた。
まずは昨日も登った桟敷ヶ岳に再び登る。山と高原地図に破線で記されている長谷沿いの沢道のコースを辿ることにする。長谷に入ると谷の周囲は伐採された後のようだ。長谷の左岸に崩壊気味の林道が作られているが、林道はすぐにも終わる。私の探し方が悪かったのかもしれないが、林道終点からは踏み跡は見当たらない。沢の両岸の伐採地の後は無数の有蕀植物が繁茂しており、到底、通過できるようなものではない。
沢登りは想定していなかったが、石を伝って沢を歩くことが出来そうなので沢の中を進むことにした。それでも鉤爪のように曲がった茨の棘はかなり慎重に避けないと容赦なく私の皮膚に引っかかる。そして沢に横たわる多くの倒木が遡行の難易度を上げる。
左岸に植林地が現われると植林地の中に踏み跡が現われた。二俣に出ると左手のナベクロ峠の方から流れる沢へと踏み跡は続いていくようだ。右手の長谷の奥に小滝を見つけるので、滝に立ち寄ってから左手の谷へと入る。
踏み跡はすぐにも不明瞭となるが沢沿いを進むのはさほど困難ではない。左岸の急斜面には古いロープがつけられている。沢の傾斜が緩やかになり、水が少なくなると左手に古い炭焼き窯の跡が現れる。炭焼き窯から上は檜の植林地となるが、踏み跡は完全になくなる。植林の中を峠のあたりを目指して登ると、忽然と崩壊した小屋が現われた。
ナベクロ峠から桟敷ヶ岳の山頂を目指す。この日は山頂では小さな幼児を連れたファミリーとその親御さんご夫婦だろう、三世代の家族がランチを準備しておられるところだった。先に山頂に到着された単独行の男性との会話が聞こえてくる。岩屋志明院のシャクナゲはほとんど咲いていないとのこと・・・この時期に咲いていないというのは、やはり今年はハズレ年なのだろう。今度はナベクロ峠の方からトレラン・スタイルの別の男性が到着される。昨日は下山まで誰にも遭わなかったのが信じられないほどに、やはり人気の山だ。
私は山頂を辞して東の尾根を下る。尾根上のテープと踏み跡は南東に降りていくようだが、狼峠に向かうので北東に分岐する尾根を下る。尾根上には踏み跡もなく、それなりの急下降である。下り始めると斜面に山芍薬の群落が現われるが、まだ蕾の状態で一輪の花も見られない。尾根の下りは馬酔木の間の藪漕ぎを強いられる箇所もあったが、尾根の下部で植林地となると藪もなく歩きやすくなる。林床では深山片喰が終わりかけの花を咲かせている。
祖父谷の林道に出ると周囲の植林の倒木の酷さが目につく。林道とはいえ京都京北線県道へと出ると、谷の対岸のガレた斜面を登ってゆく林道が目に入る。沢を渡渉して林道を登るが、こちらの林道もかなり崩壊が進行中だ。斜面には樹木が一切ないので、下ってきたばかりの桟敷ヶ岳を仰ぎ見ながら登ってゆく。山肌では随所に桜が咲いている。
林道が狼峠を越えると隣の谷の上部をトラバースしてゆく。好展望の林道からは谷の新緑の樹々を見下ろすが、そのまま谷は祖父谷へと続いていく。
林道の終点からは魚谷峠へと続く長い尾根に入る。新緑の自然林の中には小葉の三葉躑躅の花を多く見かける。踏み跡は薄いが京都の北山らしい自然林というのはこういう尾根なのだろうと思う。
尾根の向こうから自転車の四人組のパーティーと出遭う。毎年、この時期に山菜を求めて自転車でこの尾根を縦走されておられるらしい。「滅多に人に出遭わないところですから・・・」と、向こうも驚いておられるようだった。
自転車のパーティーとお別れすると道は尾根から下り、小さなピークが集簇した広い尾根の間を辿るようになる。新緑の尾根に取り囲まれ、広々とした山稜の間を歩く悦びを堪能する。
魚谷峠が近づくと南西の斜面が大きく開け、正面に愛宕山の展望が大きく広がる。下には蛇行する林道が見える。見下ろす谷の新緑が緑のパッチワークを見せる。ほとんど眺望のないこのコースで一番の見どころだろう。
柳谷峠へと下り、細ヶ谷の沢道を下り始めるとすぐにもクリンソウの群落が現れ始める。今回の山行で楽しみにしていたところの一つである。しかし、今年は花の時期が遅いのだろう。花は殆ど咲いておらず、わずかに花をつけた下部がちらほらと散見するばかりだ。沢を下るにつれて倒木が増える。向こうから倒木を乗り越えてくる男性が来られた。「この先は倒木は結構酷いですよ」と仰る。この界隈のルートの倒木の状態をいろいろと教えて下さる。とてもお話しやすい方で、情報交換をするうちに時間を忘れて話こむ。
谷の下部で北山倶楽部のレリーフを過ぎた頃になると先程の男性の言葉通り、倒木が酷い状態となる。それでもさすがに人気の山、踏み跡を辿ると倒木をなんとか越えてゆくことが出来る。渡渉した沢沿いの踏み跡にはチラホラと二輪草を見かける。
直谷から登ってくる林道と合流すると、滝谷峠に向かうべく林道を登る。林道の終点からは左手にアズキ坂からレリーフに至る道が分岐するが、こちらは倒木で全く通れる状態ではなかった。
滝谷峠へと登ってゆく道も最初は快調であったが、沢沿いには多くの倒木の集中がみられる。右岸を登ってゆく踏み跡を辿って小さな尾根に乗り、倒木地帯を巻く。倒木が積み重なる植林の谷間から上がった自然林の尾根は急に明るく、新緑が一層鮮やかに感じられる。西に傾いていく午後の陽光がいつしか新緑に黄金色の彩りを添えていた。
峠からは貴船山三角点を越えて、植林の中を尾根伝いに下る。一般登山道は尾根の右手の谷を通るが、上から見る限りかなりの倒木が谷にあるようだ。尾根上にはほとんど倒木はなく、快適なコースである。尾根から見える比叡山は昨日、天童山の登りから展望したシルエットに比べるとかなり近くなり、ようやく京都の帰ってきたという実感を得る。
最後はさすがに夜泣き峠まで尾根道を辿る気力はなく、二ノ瀬ユリで二ノ瀬口まで近道をして下山する。家に帰ってビールを喉に流し込むと翌日の台高のテン泊山行の準備をする余裕がなくなってしまった。未明に早起きをして準備をする他ない。
コメント
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「いいよ。歩いて帰るから」って言う行程では無いですけどね。
自転車の四人組と遭遇されてとのこと。地理院地形図では、この辺りは結構実線のルート明記がありますよね。
府道とかが峠部分のみ登山道になっていて取りあえず繋がっているような道の場合、自転車担いで越えておられる方を見掛けます。
この前yamanekoさんが歩かれた廃村八丁近くのダンノ峠で遭遇した時は「どちらへ抜けるの?」って聞いてしまったことがあります。廃村八丁へ抜けて丹波広域基幹林道へ出るものかとは想像しましたが、トラゴシ峠からコシキ峠?? ババ谷上がってソトバ峠? よくわかっておられなかったようで心配でしたけどね。
昔ですが、私も自転車やってましたからね。北海道も走ったり、輪行で鳥取行って中国山脈横断して岡山に抜けて新幹線で帰って来るとか。
今は専らチャリデポの折畳みマウンテンバイクで、山に行かない日はトレーニングと称して近くを転がしている程度です。
滝谷峠手前で、ログが重複していますね。一旦戻られたのですか?
ののさん コメント有難うございます。
すれ違った自転車の方達は毎年恒例の行事になっているとのことで、そうとう慣れておられるようでした。リーダー格の男性は桟敷ヶ岳の私が下ってきたバリルートのことも知っておられて、わずかな会話からも只者ではない感じを受け取りました。
さすが、ログを細かく見ておられますね。ご明察の通りです。倒木に気をとられているうちにうっかりレリーフを通り過ぎてしまったので、今西先生のお顔を拝みに戻りました
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