白馬・小蓮華山〜金山沢
- GPS
- 07:00
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 1,277m
- 下り
- 1,277m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
グレートサミッツ国内編 NO24 春の白馬・小蓮華山2768m
夏の縦走者にとって、小蓮華山は栂池から白馬へ行くときの稜線上のコブに過ぎないのだが、春のスキーヤーにとっては、ここは白馬の大雪渓へ向かって何本もの大きな残雪の谷を持っている。猿倉から見て、蓮華の花びらのようにゴツゴツして見えるから小蓮華山で、では大蓮華山とは何かといえば、それは白馬岳のことだ。
金山沢という谷が小蓮華山で有名なのだが、5月の連休辺りだと、栂池ゴンドラから天狗原〜白馬乗鞍と経由して、船越の頭あたりからこの金山沢に滑り込む。滑って大雪渓の末端辺りで本流に合流して、残雪を横断し終点は猿倉。そこにもう一台のマイカーをデポしておけば、その車で下山。数人のパーティならば、ゴンドラ利用のアプローチで中級の山スキーコースを滑り降りるという人気のクラシックルートになっているのだが。
さてそれを過ぎたシーズン後半は栂池もクローズされていて、自力で上がるしかない。猿倉から大雪渓への林道を辿りながら、先の残雪横断が可能かどうかをそのときに判断して、金山沢を登るのか、別のルートに取りつくのかその場で決める。残雪が切れていれば、シーズンは終了である。
さて今シーズンは、例年よりやはり残雪が豊富だ。猿倉の駐車場に付くと、脇の林道から残雪。毎度見上げる代掻き馬の雪形も、まだ雪が多い。駐車場脇からスキーで登りだして、大雪渓方面に行くが、先の金山沢合流点の残雪を見て、今日はそこを登ることにした。ここからの入山は三度目だ。
出合の崩れかけた雪渓を渡ると、その上に思ったように豊富な残雪がある。昨日1パーティが下ったか、スキートレースが残って心強い。
少し登って気が付いたが、実は昨日に降雪があった。5月のこんな遅い時期になっても雪が降る。そうそう、北海道の北見でも雪が降ったと昼間のニュースでやっていた。ここ白馬でも標高1700mから上は降雪だったようだ。そうか残雪も綺麗に真っ白になっている。ということだからちょっと登りづらい。7時過ぎに直射が入ると、みるみる雪はウェットになって、なんとシールに雪が団子になって、固まりつく。3月の頃のようだ。
スキーで登れなければ、アイゼンに履き替えるし、そのアイゼンにも携帯用の防水スプレーをかけて、団子まとわりつきを防ぐ。シールも一度雪を落として、シールワックスを塗りなおして、団子を防ぐ。
急斜面は2000m付近で一旦開けて大斜面になる。栂池から白馬への稜線が、すぐそこに見える。つい一週前に6人が遭難したその場所は、小蓮華の先の三国境という平坦地。あんなのどかなところで気の毒だ。
ちょっと前からクトー(スキーアイゼン)の跡が気になっていたが、先行者が一人いた。彼のトレースを辿って行くが、稜線に上がる最後の急斜面がいつものように登れなくて、それは30センチほどの新雪がグズグズに残っているからで、彼もスキーを担ぎ出した。つぼ足がぐぐっと潜って、アイゼンを履いても安定感がない。ウェットのパウダーがいきなり直射で湿ると、重いシャーベットに早変わりする。あの快適なザラメは、その下に隠された。
というわけで頂上まで行くのを辞めて、ここで降りることにした。標高2540mで稜線の直下100m。案外急な斜面でも、どうにかスキーに履き替えて、さあ、下る頃に2人が登ってきた。今日も午前中に下降に入る。
下りはどうだろう。シャーベットが重くてスキーも重いが、だから急なのにボーゲンでターンして、どうにも疲れる。
少し降りて、2200mから下は快適なザラメになった。5月のザラメに5センチくらいの積雪がいい感じのミックスして、そのまま1500mくらいまでは、快適に降りた。春の白馬はこれだから好きだ。
さて、問題の崩れかかったブリッジを朝の逆に渡る。朝渡れたしその後も10人くらいは登ったし、だから大丈夫だと思ったが、昼過ぎた今はそうでもない。静かに跨いだつもりだったのだが、割れて崩れて1m下の小さな滝に背中から落ちた。浅い谷なのは知っていたが、でも自分で驚く。流れに半分つかると、ストックとかスキーが流れの抵抗になって、自分が流されそうになるものだ。右手のストックが邪魔でそうにかはずして、そのまま流れに捨てた。左足のスキーはすでに外れていたことに気が付いたが、流されてしまったと思い込んだが、(後で雪渓の上に残っていたことが判明)。右足のスキーを懸命にはずして、それは流れに捨てなくて良かった、杖にして立ち上がる。そして安全な雪渓の上に避難。
周囲を見ると左のスキーが向こうに雪渓の上に残っていて、雪が割れたとき体が寝た反動で板が外れたようだ、それを取りに戻ろうと思うがどうしたものか。向こうに渡り返すのに雪が崩れて流れの中に入るしかない、ブーツがズブズブに濡れるのは気にしている場合じゃない。
流れは緩い小滝で、飛び石に簡単に向こうに行けたが、板を拾ってまた戻る。ああそうだ、登っていたスキーヤーはこのコースを戻るとしたら、このように靴で渡渉することになるが、私の責任じゃない雪が割れた責任だ。
ストック一本を流れの中でなくしたが、あんなものは消耗品だと諦めた。あとは人通りの多い林道を猿倉に戻るだけ。
過去10年間のスキーで、ブリッジが割れて下に落ちたことは何度あったかと思い返す。そう言えば先月も扇沢で道路の側溝に落ちた。落ちてもなんとか大丈夫だという理屈での落下なのだが。そうでもなくて、渡渉してブーツまで濡れたことは、それも毎年一度くらいある。12月にもそんなことをした。
雪割れの落下は、危険なことか、想定内か。脇腹ちょっと打っただけで、湿布して翌日には治った。大事故だけは起こさないようにねと、いつも仲間に言われていることではある。渡っているブリッジの崩壊は、万が一ではなくて、五十が一くらいだ。本当に危険なゴルジュならば、もっと慎重になろうが。
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