八ヶ岳の南北を結ぶ〜ピラタスから硫黄岳〜
- GPS
- 32:00
- 距離
- 25.7km
- 登り
- 1,966m
- 下り
- 2,239m
コースタイム
6月6日:5:50高見石小屋-6:40中山-7:10中山峠-8:20東天狗岳-8:50根石岳-9:30夏沢峠-10:30硫黄岳-11:55赤岳鉱泉-12:40行者小屋-14:20ホテイラン自生地-14:50美濃戸山荘-15:40八ヶ岳山荘
天候 | 6月5日:曇り。 6月6日:綾線上、雨。下界は晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
http://www.alpico.co.jp/access/suwa/ 復路:美濃戸口よりアルピコタクシー(0266-71-1181)にて茅野駅へ。 茅野駅から特急スーパーあずさにて新宿へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
全体を通して:雨池峠から樹林帯に残雪あり。一部ガチガチに凍っている。このガチガチ残雪は樹林帯に多々出てくるので注意。乗っかるとツルっといきます。赤岳鉱泉から下は残雪なし。ほか、危険個所なし。 行者小屋からの南沢コースは、一部、分かりにくいところあり。また、現在、堰堤工事が行われているため、迂回路を歩く。北沢コースの方が絶対、楽。 高見石小屋:テント場代500円。5張りほど設営可能か。 水2リットルまで無料! |
写真
感想
約ひと月ぶりの連休だ。テント担いで山へ行こう。
甲武信岳のシャクナゲはまだ堅い蕾のようだ。
だったら、八ヶ岳のツクモグサが見たい。
ソファーに横になり、手をいっぱいに伸ばし地図を広げる。
どこから行こう。
南八は阿弥陀を除いて歩いている。北八はまだ足を踏み入れていない。
森や苔がきれいだという。面白そうだ。
朝、家を出て、公共交通機関を利用するとなると、
登山口の出発はどうしても昼になってしまう。
ゴールの美濃戸口の最終バスは平日3時。早すぎるけど仕方ない。
それでもたっぷり歩くにはピラタスロープウェイから赤岳っていうのが
面白そうだ。ツクモグサも見れる。決まった。
特急あずさ3号に乗り、茅野へ。初めてピラタスロープウェイ行きのバスに乗る。
10名ほど乗車したが、終点では一人きりだった。
予報では青空が期待できたが、見事な曇りだ。ロープウェイの乗車客もまばらで、
なんだかさみしい。
ここでサンドウィッチを作りランチ。腹ごしらえをし、登山口へ。
一時間ほどで山頂駅へ上がる。初めて歩く道でなんだか、わくわくする。
天気はいまいちだが、樹林帯に入るとたちまち野鳥たちの声に癒される。
5,6種類の鳴き声が確認できたが、はたして何種類の鳥がいたことだろう。
青い羽根の鳥はオオルリだろうか。
頭に黄色の模様が入った小さな鳥はキクイタダキだろうか。
木々の隙間から一瞬姿を見せては羽ばたいて消えていく。
簡単に写真なんて撮らせてくれない。撮れたらホントにうれしいだろう。
鳥に夢中になる人の気持ちが少しわかる気がした。
縞枯山の縞枯れ現象は単なる山の荒廃だと思っていた。
帰って調べたら、まったく見当違いだったことが分かった。
山は不思議で分からないことがたくさんある。
縞枯山、茶臼山を越し、麦草峠へ出る。なんと立派な峠だろう。
国道299号だ。八ヶ岳を分断している。
麦草ヒュッテでは小屋の方が薪を割っていた。
国道をまたいで、興覚めしそうになったが、この響きを聞きながら、先へと進む。
ここからまた、樹林帯に入る。
素晴らしい苔の森だった。
コメツガやシラビソの原生林に様々な種類の苔が生きている。
その苔の中に小さな花が咲いていた。
ウスギオウレンだろうか。薄暗い森に小さな星がきらめいていた。
そこから丸山に登って降りると、森の中から高見石小屋が現れた。
時間はもう6時近かった。
黒百合ヒュッテまで行けたらと当初考えていたが、甘かった。
小屋には若い小屋番さんの他に2人の宿泊客がいた。
白駒の池から来たベテランの男性と若い女性。私も含め、皆単独だ。
少し、あいさつを交わし、テントを設営する。
5張りほどのテント場だったが、貸切だ。この上ない自由を感じる。
テントでパスタを茹でていると、空が朱色に染まっていることに気がついた。
急いで、火を止め、ニコンを手に高見石に登る。
歩いてきたいくつもの山にかかっていた霧が川のように流れていく。
何かが始まりそうだ。
蓼科山の奥から空が赤く染まっていく。
下に見える白駒池や自分のいる高見石も夕日色に染まっていく。
北アルプスが夕日色の雲海の中に浮かんでいるが見えた。
空と山は10分間のうちに次々に表情を変え、
最後には一瞬、真っ赤に染まり、そして暗闇に消えていった。
一編の映画を見たかのようだった。
ビールを小屋に買いに行ったときに、夕日がきれいだったと話をした。
後ろで女性の宿泊客が「見たかった!」と声を上げた。
独り占めしてしまった自分に反省した。見せてあげたかったとホントに思った。
夕食を済ませると、小屋番さんに少し遊びにきてもいいとのこと。
男性は寝てしまったいたが、消灯時間(この日の消灯時間は少しだけ、長かったようだ)まで、3人で飲んだ。
(ほとんど、ここには書けないけど本当に小屋番さん、ありがとうございました!また、遊びに行きます。)
夜半から雨は降りだした。朝には小雨になったが、止む気配はない。
当初の赤岳縦走は無理だろうと夜中に思った。でも。
行けるところまで行きたい。
小屋に泊まった男性も女性も、車で来ており、
良ければ、どちらかの車で駅まで送っても良いと言う。
この優しさに触れただけでも充分。一人、南八を目指す。
高見石小屋、本当にいい小屋でした。
天狗岳、根石岳を越えた。天候は変わらなかった。
夏沢峠から硫黄岳の登り。ここが今回の核心のような気がした。
霧の中にケルンが浮かぶたび、まだか、まだかと頂上を探した。
10時30分。頂上にたどり着いた。濃霧だが、風は弱い。
赤岳、行こうと思えば行ける。どうするか。
ツクモグサの開花は望めない。太陽の光の下に開花する花だ。展望もない。
それでも行くか。バスなんてもうどうでもよかった。
立ちあがり、横岳へと数歩、進んだ。でも、すぐに立ち止った。
赤岳鉱泉に向かい下山する。これって敗走って言うのかな。
花は持ち越しでいい。でも自分に負けたような気がしてならない。
途中、一瞬、感極まってしまった自分にびっくりした。
薄暗い樹林帯のガチガチした残雪は厄介でならなかった。
赤岳鉱泉に降りると、しばし考えた末、バス停と反対の行者小屋に向かい登り返した。南沢に咲くという花が見たい。
行者小屋に行くと今日、初めて山が見えた。歩くはずだった横岳、赤岳だ。
南沢コースは初めてだった。北沢コースより難しい。
御目当ての花は終盤だった。観光客も入ってこれる場所にひっそりと咲いていた。
ホテイランは光の戻った森のありきたりの場所に当たり前のように咲いていた。
発狂しそうになる自分を抑え、シャッターを押した。
林道を歩き、八ヶ岳山荘でタクシーを呼んだ。
車内で、青空の八ヶ岳を見ながら、すぐにでもまた来たい。と、そう、思った。
コメント
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makasioさん、こんばんは。
八ヶ岳のテント泊、いいですね。
北八の森、いいなあ〜
ウスギオウレンの写真、神秘的ですごくかっこいいです。
色んな花がありますね。
縞枯れもそうですが、まだまだ人間の力では計り知れない自然の一面を知ると、なぜか僕は嬉しくなってしまいます。
縞枯れ、不思議ですね〜
ホテイラン、すごいですね
この造形、なんでこんなに美しくなってしまったのでしょうかね?
ホテイランの野生のものを見れるなんて、敗走ではないです!! うらやましい〜
シナノナデシコ、きれいですね。ナデシコ、好きです
他にも山野草を育てているのですか?
makasioさん、こんばんは
夕焼け、良い感じですね〜
この夕焼け見れただけでも、行った価値有りですよ。
お天気は残念でしたが、山野草探しながら歩くのも中々楽しいですよね!
八つの花はこれから楽しみですね!
お疲れ様でした!
momoさん、こんにちは。
北八、思った以上に良かったです。
是非、行かれてみてください。小屋もたくさんありますよ。
‐人間の力では計り知れない自然の一面を知ると、なぜか僕は嬉しくなってしまいます‐
分かります。 自然の魅力はそこにあるのかもしれませんね。
山野草、今はシナノナデシコしか咲いていませんが、
親父さんのつてで、ヤクシマスミレ、セッコク、
ハコネギクなど株分けしてもらいました。
まさか、親父さんが山野草好だったことに驚きました。
houraikenさん、こんにちは。
ホテイランにも出会え、満足しています。
テントを背負って、山野草を探す山旅。
実は、これが一番、好きなんです。
夕焼けなど、いろいろなおまけがついてきますしね。
ただ、赤岳を諦めたとき、本当に悔しさが残りました。
自分の中に山への情熱がこんなに育っていたことに驚きました。
私も高見石小屋の大ファンです。
八ヶ岳に行くときは、なぜか高見石小屋を宿泊指定地にした計画を立ててしまいます。
オーナーの「星博士」原田さん初め若い小屋番さんも素朴な方が多く、大ファンです。
今回の山行でも、予定宿泊地でしたが、無念。
あげぱん、食べたいなー。
オーナーさん、星博士なんですね。
今回は、いらっしゃらなかったのですが、
晴れたら、望遠鏡を出しますよと、
小屋番さんがおっしゃっていました。
もし、晴れたら、どんな星空が広がるでしょう。
想像をしただけでもわくわくしますね。
また、お気に入りの山小屋が増えました。
一人では、テントでしょうけど。
makasioさん、こんばんは。
ツクモグサは残念でしたが、
北八ヶ岳の樹林帯は綺麗ですね
カナダやアラスカのトレッキング写真を見ているようです。
大迫力の夕焼けも、最近行く度に雨続きなので、羨ましいです
自分も基本的に電車で行く山登りなので、ルートや料理が、非常に参考になりました。(冷凍パスタかぁ〜 )
北八ヶ岳は行った事無いのですが、
機会を見て行ってみたいと思います
どうも!やっと見つけました!
この前は楽しい夜をありがとうございました〜
硫黄岳まで行かれてたんですか!
赤岳はちょっと残念でしたが、ホテイラン見られて良かったですね
今度はゆっくり星でも見ましょう!
また来てください!
コメント遅くなり申し訳ありません。
また、当方の計画書に最新情報をお伝え頂き、本当にありがとうございました。
「高見石小屋」
テント場があるにも関わらず(テント装備だったのに)、「素泊まり」料金をはらってまで、
泊まったという過去をもつ私たち
オーナーの原田さん、スタッフの若いオニーサンたちも
ホント、優しさあふれる方たちで
それが小屋の雰囲気にも如実に反映されています。
手作りの「反射望遠鏡」があるんですよ!!
冬に泊まった時、肉眼ではありますが、「冬の大三角形」と「スバル」を
教えて頂いた時は、発狂しそうでした。
夏には「苔の観察会」もあるようですし、「森好き」(森ガール?ちょっと古い??)
「星好き」(宙ガール)には
たまらん小屋だと思います、ホント。
小さい小屋ですけど、大好きです、超オススメ。
(実は一番のおススメは、スペインワインのフルボトルがあることだったりして)
北八、ぜひ行かれてみてください。
高見石小屋、お勧めです。
八ヶ岳、南八ばかり、目が行っていましたが、
北八の苔や樹林の美しさ、それ自体の
雰囲気が、良かったですよ。
カナダやアラスカのトレッキング。なんて。
行ってみたいなー。
コメントありがとうございます
本当に楽しい八ヶ岳の一夜をありがとうございました。
オーナーさん、居なくて良かったですね?
チャリ旅のお話、面白かったです。
レインコート、助かりました。
また、星の見える夜にお邪魔しますね。
lonさんも高見石小屋、お気に入りなんですね。
反射望遠鏡?なんざんしょ!
あの小屋の裏の高見石の上、もし、星が見えたら、
発狂してしまいそうです。
泊まりたい山小屋ベスト1に認定です。
揚げパン、ワイン?
絶対行くぞー!
八ヶ岳、花の山としても、登る山としても素晴らしいですよね。
小屋の数も多くて、皆特色ある小屋ばかりの様子。
リピーターが多いのもうなずけます。
昨年、私も初めて行きました。
展望こそイマイチでしたが、ツクモグサもウルップソウも何とか見れて良かったです。
ただ、布袋蘭は終わってました。
少々遠いため、簡単に行ける場所ではないですが、機会があればまた行きたいものです。
八ヶ岳、東京からも行きやすいですし、
生涯、付き合うことになりそうです。
花の種類や山の展望、樹林帯と
日本アルプスに比べ、規模は小さいかも知れませんが、
僕のほしいものは全てそこに行けばあると、
言う感じでしょうか。
冬もいろいろなチャレンジもできますしね、
北海道や東北の山々にも行きたいですが、
近くて、素晴らしい場所があるものです。
山での一期一会が最高の喜びとなりますよね!
平地に居る時よりも何故か優しい心の自分が居たりしております
赤岳は残念でしたけど、決して敗退ではないと思いますよ!
むしろ「転進」ですよ
昔話ですけど、八ヶ岳は富士山みたいに独立峰で余りに綺麗で嫉妬した神様が頂上を砕き海に投げ捨てて、それが今の伊豆七島であると聞いたことがあります
歴史もあり、綺麗ときたらやっぱり登らずに入られませんよね
なんて、ひどい神様なんでしょう!
ワイルドすぎるぜえ、その神様。
まあ、でも綺麗で嫉妬されるのは分かります。
神様も我々も一緒ということでしょうかね。
敗退でなく、転進。
優しい言葉、ありがとう、acchi!
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