塩見岳−南アルプスど真ん中−
- GPS
- 29:12
- 距離
- 31.0km
- 登り
- 3,179m
- 下り
- 3,171m
コースタイム
- 山行
- 5:59
- 休憩
- 3:04
- 合計
- 9:03
- 山行
- 3:53
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 4:06
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【鳥倉登山口〜三伏峠】 大部分は整備されているが、巻道などで木のハシゴや橋がある箇所は慎重に歩いた方がよい。 【三伏峠〜塩見小屋】 樹林帯の登山道。整備されていて危険個所なし。 【塩見小屋〜塩見岳】 岩場の急登続く。技術的にそれほど難しい箇所はないが、ザレた箇所などがあり、落石には注意が必要か。北アルプスほどルート明確ではないため、悪天時はルーファイが大変かも。 |
その他周辺情報 | 【日帰り入浴】 赤石荘:10時30分に到着しましたが、準備中。11時30分からだったので入浴せず。 山塩館:当日、宿泊客混雑のため日帰り入浴不可。。要事前確認。 ※結局、日帰り入浴せず帰りました・・・。 |
写真
感想
【感想】
南アルプスのど真ん中、塩見岳で絶景を堪能しました!
南アルプスらしい樹林帯の登山道は、北アルプスの賑やかな登山道とは違った静かな山行を楽しむことができました。
初日はガスで塩見岳がなかなか見えないまま登りましたが、山頂についてからは、みるみるガスが取れて南アルプスの絶景を眺めることができました。
翌朝にはご来光。
北には雲海に浮かぶ仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳、手前には北岳から間ノ岳・農鳥岳の稜線。南には赤石岳・荒川岳。
頑張れば日帰り可能な行程でしたが、1泊にしたことで本当に贅沢な山行とすることができました。
今年は北アルプスと南アルプス、両方をじっくりと楽しむことができた素晴らしい夏になりました!
【塩見岳】百名山76座目、長男(中3)75座目
●前夜泊
ノロノロ台風が接近してきていた水曜日のこと。
木曜日は既に西日本の新幹線は計画運休決定。でも、金曜日の朝には台風は抜けていきそうで土曜日は天気がよさそうだ。
ということで、白山?御嶽?それとも空木岳?どこにしようかなぁと考える。なかなか予約が取れない塩見小屋は、逆に台風の影響でキャンセルが出てたりして・・・なんて思って、ダメ元で電話すると「混雑しますが予約可能です」との思いがけない言葉が。ということで塩見岳で決定!
塩見岳のもうひとつのネックは駐車場が狭いこと。朝に到着しようものなら、1km手前の第2駐車場しか空いていないなんて可能性も。
金曜日の夜に出発して、午前0時過ぎに駐車場到着。まだ空きがあった。よかった。長男はずっと後部座席で寝ていた。私も仮眠を取る。
●1日目
4時過ぎる頃と登山準備をする人たちの物音が聞こえ始める。4時半で明るくなってきたころ起きて準備を始める。
朝食は菓子パン。駐車場にはトイレがあるので長男もトイレを済ませる。
5時きっかりにスタート。
まずは舗装道路歩き。結構長い。帰りにことを思うと嫌になってしまう。
40分弱歩いてようやく登山口。ここでウィダーインゼリーを飲んで準備万端。ここからが本番。
南アルプスらしい樹林帯の登山道。気持ちの良い森だ。
少し登ると三伏峠までの標識「1/10」が出てくる。ヤマレコで事前勉強済み。三伏峠まではこの標識が目安となる。
「3/10」の標識で小休止していると後続のお父さんが「あれー?2/10が無かったなぁ」と独り言。「途中にありましたよー」と伝える。「そうかぁ見逃したのか」とのこと。このお父さんとは2日目まで同じ行程で何度もお会いすることになる。
三伏峠までは急登箇所があったり、平坦な巻道があったりと飽きることなく登って行ける。良いペースで三伏峠小屋に到着。ここで少し休憩して水分補給。
三伏峠から少し登ると三伏山。一気に視界が開けて明るい稜線だ。
しかし、塩見岳方面はガスで見えない。
午前中はガス、午後からは晴れるとの予報なので、あとからのお楽しみにしよう。
ここから本谷山までは稜線歩きだが木々に囲まれていて眺望は楽しめない。
ただ丁度ガスもあって比較的涼しいのが有難い。今日の下界は灼熱だそうだから天国みたいなものだ。
本谷山に到着するも、ここもガスで景色は見えない。小休止して塩見小屋に向けて再出発。樹林帯の道を進む。途中、緑の綺麗な森やら立ち枯れの森など変化に富む登山道を行く。平坦な道も多く、非常に歩きやすい。
塩見新道との分岐を過ぎるともうひと踏ん張り。ぐぐっと急登を登るとハイマツの稜線に出た。一気に視界が広がるが、まだガスで肝心の塩見岳は見れない。
ほどなくして塩見小屋に到着。スタートから5時間半。歩きやすい道で疲れもそれほどない。
時間に余裕があるのでチェックインを済ませてまずは腹ごしらえ。
食堂でカップ麺を食べる。誤算だったのはジュース類が売り切れだったこと。仕方なく(?)私は缶ビールを注文。長男は担ぎ上げたお茶ですます(ゴメン)。
食事を済ませ、重たい荷物は部屋に置いて、長男はサブザックで登る。
まだガスが晴れないが、どんどん晴れてきそうな雰囲気だ。
さて、塩見小屋から山頂までは標高差が300mほどもある。しかも結構な岩場。両手両足を使って三点保持で慎重に登る。天候が悪い日はちょっと危険かも。しかし、今日は天気も良く、ありがたいことにほとんどすれ違いもないのでサクサク登って行ける。
登っていくとガスが取れて塩見岳ドーン!
おお、存在感ある山頂だ。さぁ、もう一息!
上り詰めると西峰3047m登頂。
そこからは最高峰・東峰はすぐそこだ。稜線をさくっと歩いて塩見岳登頂!
登頂すると先行者から「富士山が見えるよ!」と教えてもらえた。ガスの中に富士山の頭が浮かんでいる。
ここからが絶景ショーの始まりだった。もう今日は小屋まで降りるだけなので山頂でのんびりできる。
さて、順番にガスが取れてきた。
間近には北岳・間ノ岳・農鳥岳の広大な稜線。その手前には塩見岳から続く仙塩尾根、分岐して蝙蝠尾根。
残念ながら仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳は雲の中で見れないが、富士山、北岳、間ノ岳の日本トップ3を一度に眺めることができる。
そして、南に目を向ければ赤石岳・荒川岳もくっきり。
北岳・間ノ岳の縦走、聖岳・赤石岳・荒川岳の縦走の思い出が脳裏に浮かぶ。
ああ、ここは本当に南アルプスのど真ん中なんだなぁと実感。
こんなに山頂でのんびりしたのは初めてぐらいのんびり景色を楽しむ。
今朝から一緒の行程のお父さんも登ってきて、一緒に山座同定をして楽しむ。
なんとか仙丈ケ岳が見えないかなぁと粘ってみたけれど今日は顔を出してくれなかった。
若干、人が増えてきたので下山することに。
夕食は野菜カレー!当然、お替わり!しかし、長男はお替わりせず。どうやら調子が悪かったよう。頭痛薬を飲んだらすっきりしたようだ。
夕食後は小屋を少し登ったところで景色を眺める。
塩見岳を見上げたり、赤石・荒川岳を眺めたり。ついでにブロッケンも現れたりとのんびり時間を過ごした。
さて、小屋は満員御礼。要予約の小屋のためシュラフは1人づつ確保できたが寝床はぎゅうぎゅう。しかも暑かった。なかなかぐっすりとはいかなかった。
●2日目
3時過ぎ頃から登山の準備をする人たちも出てくる。
しかし、本日は下山するだけの余裕の日程のため、うとうとしながら過ごす。
4時半に電気が点いたのでむくりと起きる。日の出の時間が近づいてきたので小屋を出て時を待つ。
雲海の上に日の出前の青い山並みが眼前に広がっている。昨日は見ることができなかった仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳のシルエットも見える。
仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳・北岳・間ノ岳・農鳥岳・荒川岳・赤石岳。西には中央アルプスも。
いよいよご来光。赤く染まる雲たち、そして峰々。神々しい景色が眼前に広がる。
素晴らしい絶景。これだから登山は止められない。ありがとう南アルプスの山々。
さて、絶景を楽しんだ後は下山の準備。
南アルプス北部の山々たちの姿を目に焼き付けて下山へ。
目指す三伏峠の小屋ははるか向こうに見える。基本的には樹林帯の中を歩くこととなる。ゆるやかな下りや平坦の箇所もあって良いペースで歩いて行ける。
登って来る登山者とのすれ違いが徐々に増えてきた。
小屋を出て1時間ちょっと、本谷山まで来るとちょうど学生たちが登ってきたところだった。
他の登山者と学生たちが話をしているのが聞こえてくる。
「今日は塩見小屋まで行って明日、熊ノ平、そこから北岳へ縦走します」とのこと。
いやー長いけどいい縦走だなー。でも、まだ7時。今日、塩見小屋までだと歩き足りなくないかなー、彼らなら熊ノ平まで今日行けちゃうんじゃないかなーとか、一人で思ってしまった。でも、午後から天候崩れるかもしれないから塩見小屋までが無難だろう。
本谷山も立ち止まった程度で休みなく歩いていく。三伏山まで来ると視界が開ける。振り返れば塩見岳がドドーン。行きの時はガスで見えなかったが、今日はよく見える。いい山だなぁ。見納めということでようやく本日初めての休憩。腰を下ろして塩見岳を眺める。
そこへご夫婦が登ってきた。
旦那さんに「あれが塩見岳?」と聞かれて「そうですよ」と答える。
旦那さん「昨日は塩見岳でしたか?景色はどうでした?」
私「バッチリでした!」
旦那さん「そうかぁ。やっぱり昨日登っておくんだったなぁ。」
などとお話をする。
すると、旦那さんに「兄弟ですか?」と聞かれる。2週間前に北アルプスで聞かれたのと一緒だ。「親子です」。
塩見岳にお別れをして三伏峠小屋へ。ここで昨日からずっと同じ行程のお父さんが休憩中だった。
三伏峠小屋でコーラとお茶、そして登山バッジを購入。
さぁあとは下るだけ。基本的には道は整備されていて歩きやすいが、木のハシゴは滑りやすく注意が必要だった。休憩せずにどんどんと下っていく。南アルプスらしい樹林帯の静かな登山道。標識が目安で励みにもなる。休まずくだっていって登山口到着!長男バンザイ!
しかし、本当のゴールはまだ先だ。
舗装道路を30分以上歩かなくてはいけない。駐車場はぐるっと回りこんだはるか向こうの山壁に見える。南アルプスの絶景を思い出しながら黙々と歩く。
ようやくたどり着いたゲート。本当のバンザイをして登山終了!
登山の醍醐味が凝縮された素晴らしい山行。一緒に歩いてくれた長男に感謝!
塩見岳は他の南アルプスの百名山にはない特徴を持つ山でした。
南アルプスのど真ん中、さらに周りに3000m級の山がなく独立した感じを受けるのが第一の特徴です。その立地のお陰で山頂からは、北を向いても南アルプスの白根三山、甲斐駒、仙丈。南を向いても荒川三山、赤石、聖とまさに南アルプスの大絶景を楽しめました。何時間居ても飽きない場所でした。
二つ目の特徴は山名です。多くは「北にあるから『北岳』」、「赤い石があるから『赤石岳』」という風に、山の特徴などに基づいた山名であるのに対し、塩見岳の由来の説を見てみると「海が見えたから」、「麓で塩が取れるから」。山の特徴から付けられたわけではないのです。ここが面白いところです。
三つ目は登山道中にある断層です。断層といっても「構造線」とよばれる長大な断層です。これは「仏像構造線」と呼ばれ、ジュラ紀と白亜紀の境目ともいえる地質的に重要な場所です。塩見岳は道中も興味深い山でした。
北アルプスの大キレットに続き、このような特徴的で面白い山を登ることができ、いい夏となりました。
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