打掛山〜岩籠山縦走☆秋風の吹き始めた平原と山毛欅林に
- GPS
- 04:49
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 942m
- 下り
- 857m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
下山は北陸本線 新疋田駅へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
打掛山〜反射板ピーク間は一般登山道なし 所々にテープはあるがしばしば踏み跡は不明瞭 この時期はコアジサイの藪の中に踏み跡が埋もれており、ルート・ファインディング必至 |
写真
感想
しばらく前まで日曜日は天気が良くない予報だったので午前中は免許の更新に行こうかと思っていたが、直前になるとどうやら秋晴れが期待できそうな予報となる。この日は家の車を家内が使う予定があるので公共交通機関を使ってアプローチ出来る山に山行先が制限される。前日までは大嶺方面も候補に考えてはいたものの、前日の二の谷山と比良という二つの山行の疲れのせいか、朝は大きく出遅れる。山行先を散々思案した挙句、岩籠山を目指すべく京都から敦賀を目指すことにした。
当初、新疋田の駅から市橋の登山口まで歩くことを考えたが、flatwellさんのレコを思い出し、参照させて頂いたところ敦賀の打掛山から岩籠山まで縦走することを思いつく。京都発の9時42分発のサンダーバードに乗ると敦賀駅でおよそ10分ほどの待ち合わせで小浜線に乗り継ぐ。敦賀駅で駅中のセブン・イレブンでランチの行動食や水分を購入。小浜線はICCOCAに対応していないということがわかったので、ICCOCAを払い戻して新たに乗車券を購入する。
西敦賀駅はホームに小さな待合室があるばかりの無人駅である。Flatwellさんのログを頼りに田舎道を歩いて打掛山の登山口に向かう。登山口は最早、藪化しており、その奥に登山路があるとは到底思えないような荒れっぷりである。登山口から奥へと進むとすぐに右手の踏み跡を登ってゆくことになる。
尾根をひとしきり登ったところで、今度は左手の斜面を下って北陸自動車道の下を潜る。高速道路の下には突然、アスファルトの舗装が現れるが、ここに登ってくる道路がある訳ではないようだ。さて、この舗装路から先に道が見当たらない・・・舗装路の先の藪の中に階段が埋もれているのだった。問題はこの階段を覆っている植物は茨だらけである。トレッキング・ポールで茨をかき分けてなんとか先へ進むと、高速道路脇の擁壁の縁を登ってゆく急階段が現れる。階段は一段ごとに蜘蛛の巣が張り巡らされており、ここでもトレッキング・ポールが活躍する。
階段を上部まで上り詰めると獣避けの柵に設けられた扉を開けて自然林の木立の中へと入ってゆく。依然として登山道にはかなりの数の蜘蛛の巣だらけではあるが、その点を除けば、ようやく歩きやすい一般登山道の雰囲気となる。すぐに打掛山の山頂に達する。木立の間からわずかに西方ヶ岳を望むばかりである。打掛山の先のピークには赤い山名標が架けられているが、こちらのピークの方が高いように思われる。
尾根上には薄い踏み跡と時折のピンクテープが続いている。尾根の西側からは間断なく涼しい風が吹き上がってくる。眺望のない尾根を黙々と辿り、次の220m峰にたどり着くと、堂山という山名標が掛けられている。
さらに尾根を南下すると尾根が非常に広くなり雰囲気の良い樹林になるが、踏み跡が不明瞭となりピンク・テープも見当たらなくなる。幸い林床には下草はほとんどなく、広い尾根を南に辿れば良いことが判っていたので、適当に林の中を歩いてゆくと、突然、明瞭な道に出る。道に従って尾根を右折すると、突然、切り開かれた草原に飛び出した。頭上には送電線が通過しており、送電線巡視路に出たようだ。草原からは彼方に岩籠山のピークを望む。
尾根上には歩きやすい広い道が続いていく。送電線鉄塔からは東西に展望が開け、遠くに見えるシルエットは横山岳を始め、江美国境の山々に見える。
送電線鉄塔を過ぎると再び薄い踏み跡となるが尾根はやせ尾根であり、道はわかりやすい。しかしp560を過ぎて、地図をよくよく見ると、二重山稜となっており、その間を下ってゆく。p613の南側から西側にかけて斜面をトラバースしながらピークを回り込んでゆく。
小さなコルを経てその先の急登に取り憑くと左手の斜面からガサゴソと音がする。見ると大きなイノシシが地面に鼻を擦り付けるようにして何かをあさっているようだ。向こうもこちらに気がついたのか、威嚇するように「ブヒッ」と音を立てると茂みの中へと消えていった。
急登を登りきると、尾根の西側をトラバースが続く。踏み跡はコアジサイの藪の中に埋もれているが、足元の踏み跡を頼りにルートを探していく。以前、flatwellさんが辿られた時は12月の上旬だったのでコアジサイの藪によるルート・ファインディングに苦慮することはなかったのかもしれない。
やがて目の前に赤茶けた反射板が見えてくると岩籠山から夕暮山に向かう明瞭な登山路に飛び出すことになる。わずかに樹林の中を登ると反射板のある見晴らしの良い草原のピークに出る。ピークからは東の方向に展望が開けており、正面には岩籠山を望み、南には乗鞍岳へと続く稜線が見えているのだが、北西の方向から雲が近づいてきたかと思うとあれよあれよという間に岩籠山も乗鞍岳も雲の中へと消えてゆく。
反射板の下で行動食のランチを済ませると夕暮山を往復する。山頂からは本来は南側に好展望が開けるだろうが、全ては雲の中だ。登山道を引き返し、岩籠山の山頂を目指す。山頂の手前の鞍部では魅力的な山毛欅の美林が広がる。
樹林を抜けて再び草原になると岩籠山の山頂直下だ。山頂からは人の声が聞こえる。山頂では3人のパーティーの先客がおられた。山頂にいる間に雲が上がっていき、先客の方達が歓声をあげる。うねうねと続く稜線の先に乗鞍岳が見える。右手の野坂岳は雲を被ったままだが、その南に伸びる稜線上の芦原山、三国岳を展望する。
山頂を辞しインディアン平原に寄り道すると青空が覗き始めた。トレラン・スタイルのご夫婦が休憩されておられる。草原を吹き渡る秋風が清々しく、なんとも心地よい。
山毛欅の林を登り返すと駄口方面に登山路が折れ曲がる。野坂岳方面には尾根を直進することになるが尾根上には踏み跡は全く見当たらない。ここはまた改めて捲土重来することにしよう。
駄口までは一気に下る。わずかな温度差ではあろうが、下降するにつれ暑さを感じる。尾根の下部で6人ほどの若い男女のパーティーに追いつく。「暑くなってきましたね〜」とご挨拶申し上げると「丁度、僕らもそう話していたところです」とのお返事が返ってきた。
駄口に下るとここからはしばらくR161に沿って新疋田の駅を目指す。こういう道路を歩くといつも嘆かわしく思うことだが、国道脇には車から放擲された大量の空き缶やペットボトルが散逸している。さらに空恐ろしく思うのは空き缶には金麦、のどごし生などといったアルコール飲料が目立つことだ。
少し行ったところで国道とほぼ平行に東側を走る旧街道に入り込むと一安心する。愛発の集落は昔ながらの旧家もあり心慰められる田園風景が広がる。新疋田の駅に到着すると京都方面の列車が行ったばかりである。ログハウス風の無人の駅舎は「撮り鉄」と呼ばれる鉄道マニアの聖地として知られるところであり、壁面の至る所に鉄道の写真が隙間なく貼られている。駅には数人の鉄道マニアが大きなバズーカ砲のようなカメラを抱えている。彼等の会話を聞いていると、彼等の頭の中には通過する特急列車の時刻表までもが頭の中に入っているようだ。
帰りの湖西線が琵琶湖の西岸を南下するとみるみるうちに空が暗くなってゆく。あたりの道路はすっかり濡れており、どうやら少し前に夕立があったようだ。暑い夏が終わるのももうすぐだろうか。
コメント
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私が行ったときは登山口〜衣掛山〜夕暮山の登山道は綺麗に刈られてたんですが。
舞鶴若狭道が開通したときに登山道を整備したものの、その後は放置されてしまったようです。登山口〜衣掛山はもはや廃道ですね。
ところで岩籠山から乗鞍岳方面は立派なブナ林ですよ。冬に縦走をおすすめします。
では
今回のルートを辿ることが出来たのもflatwellさんの精確なログのお陰でした。mailでそのことを感謝を込めてご報告するつもりでしたが、先にコメントを頂いて恐縮です。それにしても一日で乗鞍岳から打掛山まで歩かれるとは恐れ入りました。このコースは岩籠山までで既に満腹です。
勿論、岩籠山〜乗鞍岳は近日中に改めて捲土重来したいと思います。紅葉の季節も美しそうですね。
yamaneko0922さん、こんばんは。
岩籠山はちょうど3年前に登ったので懐かしく拝見しました。
私が行った時は残暑の厳しいよく晴れた日でしたが、ブナ林の美しさやインデアン平原の爽快な景色は強く印象に残っております。
私は新疋田から山の集落へ抜けたのですが、西敦賀駅からのルートは初めて拝見しました。
登ってからも岩籠山のレコをたまに見ますが、新疋田から沢沿いを上がるレコや動画はよく目にし、そちらにもまた行きたいなと思ってました。
しかしこの西敦賀駅からのアプローチも頭に入れておきたく思います。レコを拝見する限り冬場に登るのが良いのでしょうね。
yukkyさん コメント有難うございます。。
flatwellさんのコメントにもありますが、一度は綺麗に整備された登山路が急速に荒れていくのは残念です。機会があればyukkyさんも是非、歩いて頂きたいと思います。しかしコアアジサイの藪が深い今の季節は難しいのかもしれません。冬もいいかもしれませんが、ルーファイが難しいかもしれませんね。岩籠山は秋も綺麗そうです。
念の為、このコースの過去のログを紹介させて頂きます。
まずflatwellさんの乗鞍〜打掛山のレコです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1328047.html
それから今年に入ってからnaojiroさん打掛山〜岩籠の今回のものとほぼ同じレコがあり、こちらも参考になるかと思います。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1792158.html
衣掛山登山口は夏草が繁茂していて「えっ」ってなりますよね。
当日もマキノ越坂道の駅に用事があり、昼頃に駄口登山口を通りかかったところ5台の車が駐車してありました。
北尾根は下草が繁茂したら分かりにくいルートだと思います。鉄塔より上は落葉樹が多いのでアジサイも含めて秋には黄葉が楽しめそうですね。あまり人が歩かれてなく新鮮でした。
積雪期は難易度高そうです。冬季駄口からの東尾根は何回か登っていて、静かで展望が楽しめる良いルートだと思います。私はflatwellさんのように技量と根性がないので、乗鞍岳までは歩けていません(笑)
flatwellさんに引き続き、このルートを歩かれた先達の方々にコメントを頂戴出来て幸甚です。
岩籠山は四季折々に楽しめるところですね。
乗鞍岳〜岩籠山のルートをいつの季節に歩こうかと悩んで(?)おります。その前に家内がインディアン平原がとても気になるようで、近日中に再訪することになるかと思います。
ところでマキノ越坂の道の駅は私の好物が多く、通る度に立ち寄るところです。
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