ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 2012078
全員に公開
沢登り
八幡平・岩手山・秋田駒

明通沢下降〜葛根田川遡行

2019年09月06日(金) 〜 2019年09月09日(月)
 - 拍手
GPS
80:00
距離
44.0km
登り
2,214m
下り
1,709m

コースタイム

1日目
山行
4:55
休憩
1:00
合計
5:55
8:20
70
スタート地点
10:20
10:30
10
10:40
10:40
10
地熱発電所ゲート
10:50
11:20
140
滝ノ上温泉登山口
13:40
13:50
25
2日目
山行
9:00
休憩
0:35
合計
9:35
5:35
30
6:05
6:15
25
6:40
6:40
170
9:30
9:30
185
1020m二俣
12:35
12:50
100
葛根田川出合
14:30
14:40
30
15:10
中ノ又沢出合
3日目
山行
7:35
休憩
2:15
合計
9:50
5:30
30
中ノ又沢出合
6:00
6:15
55
7:10
7:10
70
8:20
9:10
80
右俣の滝付近(ルートミス)
10:30
10:55
40
1020m二俣の滝
11:35
12:00
75
終了点(登山道)
13:15
13:15
80
1283m湿原
14:35
14:45
10
14:55
15:05
15
15:20
4日目
山行
1:50
休憩
0:10
合計
2:00
4:40
45
5:25
5:35
55
6:30
6:30
10
6:40
ゴール地点
天候 9月6日:晴れ
9月7日:晴れ
9月8日:快晴
9月9日:曇り
過去天気図(気象庁) 2019年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
雫石駅〜玄武温泉は雫石町営の予約制バス「あねっこバス」を利用。
https://www.town.shizukuishi.iwate.jp/docs/2018040300019/
※以前は雫石駅〜網張温泉までの路線バスが運行されていたが、現在は廃止され、代わりに雫石駅〜ありね山荘の区間を一律料金200円の「あねっこバス」が運行している。
コース状況/
危険箇所等
沢区間:特段困難な箇所はありません。ただし、今回のルートで明通沢を上部から下降する場合、少なくとも1箇所懸垂が必要な滝が出てきます。
登山道:葛根田川の終了点から1283mの区間がかなり藪を被っており、また景色もほぼ無いため、精神的に辛いところです。その他は基本的に歩きやすい登山道です。
その他周辺情報 下山口に一番近い松川温泉「峡雲荘」の温泉を日帰りで利用。
盛岡駅にて。説明を読んで時間をつぶす。
盛岡駅にて。説明を読んで時間をつぶす。
玄武温泉。ここからスタート!
1
玄武温泉。ここからスタート!
タマゴタケです!今晩のおかずにしたいところだが、採るには時間が早すぎる。
タマゴタケです!今晩のおかずにしたいところだが、採るには時間が早すぎる。
滝ノ上温泉まで8km。長い。
滝ノ上温泉まで8km。長い。
「葛根田の大岩屋」。崩落に備え、厳重にフェンスが張ってあった。
「葛根田の大岩屋」。崩落に備え、厳重にフェンスが張ってあった。
意識していなかったが、登っていくと大規模な湿原があるらしい。
1
意識していなかったが、登っていくと大規模な湿原があるらしい。
トンネルを越すと滝ノ上温泉はすぐ
トンネルを越すと滝ノ上温泉はすぐ
車道脇から見える「鳥越ノ滝」
車道脇から見える「鳥越ノ滝」
おおっ!滝の釜から噴気が出てるぞ!
1
おおっ!滝の釜から噴気が出てるぞ!
山肌からも噴気が出てあたり一帯硫黄臭がします
山肌からも噴気が出てあたり一帯硫黄臭がします
地熱発電所先のゲートで引き返す
1
地熱発電所先のゲートで引き返す
ベンチで計画を練り直す
ベンチで計画を練り直す
何の変哲もない登山道を登る。暑い!
何の変哲もない登山道を登る。暑い!
水場。直下に踏み跡があるが、言われなければ気付かない。
水場。直下に踏み跡があるが、言われなければ気付かない。
大分登ってきました。発電所の煙がはるか下に見えます。
大分登ってきました。発電所の煙がはるか下に見えます。
鮮やかな青紫のエゾリンドウ(後でネットで調べました)。山行中ずっと見かけました。
1
鮮やかな青紫のエゾリンドウ(後でネットで調べました)。山行中ずっと見かけました。
三ツ石山荘到着〜
2
三ツ石山荘到着〜
目の前は湿原と三ツ石山
目の前は湿原と三ツ石山
窓からは大松倉山
窓からは大松倉山
次々に花弁に入っては蜜を吸っています
次々に花弁に入っては蜜を吸っています
アキアカネが水辺を舞っていました
1
アキアカネが水辺を舞っていました
非対称の特徴的な花弁を付けていますが何でしょうか
1
非対称の特徴的な花弁を付けていますが何でしょうか
シモツケソウに似てるけどなんか違う気がする・・・高山植物は難しい!
シモツケソウに似てるけどなんか違う気がする・・・高山植物は難しい!
朝日が顔を出す
コウメバチソウ???
1
コウメバチソウ???
三ツ石山着
朝靄の立ち込める湿原
朝靄の立ち込める湿原
岩手山方面にも縦走してみたいなぁ
1
岩手山方面にも縦走してみたいなぁ
三ツ石のシンボル
1
三ツ石のシンボル
鏡のような三ツ沼
鏡のような三ツ沼
アーチのよう
1447.9mピーク。今回はここから明通沢へ下降!
1447.9mピーク。今回はここから明通沢へ下降!
ここにダイブしていきます
ここにダイブしていきます
とりあえず快適な稜線は見納め
とりあえず快適な稜線は見納め
藪を10分ほど漕ぐと既に沢形が現れます
藪を10分ほど漕ぐと既に沢形が現れます
水が出てきたが快適とは程遠い状況
水が出てきたが快適とは程遠い状況
1つ目の懸垂下降(下から見たらクライムダウンも出来そう)
1つ目の懸垂下降(下から見たらクライムダウンも出来そう)
大分マシになってきました
大分マシになってきました
このあたりから硫黄臭が強くなります
このあたりから硫黄臭が強くなります
硫黄臭のする壁から落ちる水流沿いには苔が豊富に生えていました。何かの成分が混じっているのでしょう。
硫黄臭のする壁から落ちる水流沿いには苔が豊富に生えていました。何かの成分が混じっているのでしょう。
ここは右岸の藪から懸垂
ここは右岸の藪から懸垂
1回で降りようとしたが断念し、2ピッチで下降。写真は2ピッチ目の開始時。
2
1回で降りようとしたが断念し、2ピッチで下降。写真は2ピッチ目の開始時。
なんとか降りられました。
なんとか降りられました。
こんな滝でした。頑張ったら登れるかも。
こんな滝でした。頑張ったら登れるかも。
意外と深い
ザ・倒木
陽が射して綺麗な感じになってきました
1
陽が射して綺麗な感じになってきました
ここも落ちないように慎重に
1
ここも落ちないように慎重に
1020m二俣。左俣は小滝となって出合います。
1020m二俣。左俣は小滝となって出合います。
下るにつれて岩床が発達して良い感じに♪
下るにつれて岩床が発達して良い感じに♪
歪なポットホール
1
歪なポットホール
円形のポットホール
2
円形のポットホール
透明感が素晴らしい
1
透明感が素晴らしい
側壁はなかなかですが悪い箇所は出てきません
側壁はなかなかですが悪い箇所は出てきません
側壁から落ちる滝
側壁から落ちる滝
滝・滝・滝・・・
滝・滝・滝・・・
広角レンズでないと収まらない
広角レンズでないと収まらない
逃げない
岩床が広がります
岩床が広がります
810mで出合う林道(おそらく廃道)
810mで出合う林道(おそらく廃道)
水の回廊を下ります
水の回廊を下ります
とにかく長いので段々疲れてきました・・・
とにかく長いので段々疲れてきました・・・
深みを増すブルー
1
深みを増すブルー
葛根田まであと一息!
葛根田まであと一息!
この滝を快適にクライムダウンすると・・・
この滝を快適にクライムダウンすると・・・
遂に葛根田川本流到達!
1
遂に葛根田川本流到達!
定番のドクロ滝
噂に違わず美しい
1
噂に違わず美しい
平和な流れ
覗いてみますがこのあたりは魚影は見えませんでした
1
覗いてみますがこのあたりは魚影は見えませんでした
左から巻いていきます
左から巻いていきます
調べたが同じような花が多すぎて分からん・・・
調べたが同じような花が多すぎて分からん・・・
独特の地形
静かに手を合わせる
静かに手を合わせる
渓谷美を凝縮したような場所
1
渓谷美を凝縮したような場所
自然の造形には驚かされるばかり
1
自然の造形には驚かされるばかり
ポットホールと滝
1
ポットホールと滝
怪しい実が落ちていました
怪しい実が落ちていました
大石沢出合
水中ポットホール
水中ポットホール
水中テラス
お函を過ぎても美しい部分がずっと続きます
お函を過ぎても美しい部分がずっと続きます
沼ノ沢出合
中ノ又沢出合。今日はここまで。
中ノ又沢出合。今日はここまで。
ここを登ると・・・
ここを登ると・・・
快適なテン場が!
快適なテン場が!
ツェルト設営
火の付きはイマイチでした
1
火の付きはイマイチでした
今日はいきなりこんな渓相からスタート
今日はいきなりこんな渓相からスタート
葛根田大滝の手前左岸枝沢の滝(大滝より高い)
葛根田大滝の手前左岸枝沢の滝(大滝より高い)
葛根田大滝。高さはさほどでないが風格がある。
1
葛根田大滝。高さはさほどでないが風格がある。
巻き道から沢床へ復帰することろ。残置ロープあり。
巻き道から沢床へ復帰することろ。残置ロープあり。
これはセリ・・・でいいのかな?
これはセリ・・・でいいのかな?
滝ノ又沢出合より少し前。ここに泊まれば非常に快適そうです。
滝ノ又沢出合より少し前。ここに泊まれば非常に快適そうです。
ここで竿を出してみたところ・・・
ここで竿を出してみたところ・・・
人生初イワナが掛かりました!
2
人生初イワナが掛かりました!
が、浮かれたせいか間違いルートへ(大白森へ続く沢の標高870mの滝)
が、浮かれたせいか間違いルートへ(大白森へ続く沢の標高870mの滝)
しばらくたってようやく間違いに気づき引き返す。写真右側に見える滝となって出合うルートへ進むのが正解。
しばらくたってようやく間違いに気づき引き返す。写真右側に見える滝となって出合うルートへ進むのが正解。
快適に小滝を越えていきます
快適に小滝を越えていきます
木漏れ日が美しい〜
木漏れ日が美しい〜
沢の定番トリカブト
沢の定番トリカブト
今日は一番の好天
今日は一番の好天
このあたりはとても穏やか
このあたりはとても穏やか
ふきの群生
再び岩床が現れる。本当に変化に富んだ沢だ。
再び岩床が現れる。本当に変化に富んだ沢だ。
こんな面白い形の小滝や、
こんな面白い形の小滝や、
ちょっと歪なハート形の釜などが次々に出てくる。
ちょっと歪なハート形の釜などが次々に出てくる。
トリカブトだらけ
トリカブトだらけ
陽が射してますますキレイ
陽が射してますますキレイ
側壁から落ちる一条の流れ
側壁から落ちる一条の流れ
標高1020m二俣の右俣の滝(左巻き)
標高1020m二俣の右俣の滝(左巻き)
一箇所トラバースがいやらしかったため、念のため空身で「手すり」をセット
一箇所トラバースがいやらしかったため、念のため空身で「手すり」をセット
これも左巻き
のっぺりしているがフリクションがめちゃくちゃ効くので直登
のっぺりしているがフリクションがめちゃくちゃ効くので直登
分岐を右へ
最後は倒木で塞がっていたので、
最後は倒木で塞がっていたので、
左の尾根に乗って藪を漕ぎ、
左の尾根に乗って藪を漕ぎ、
登山道着!
調べると「ツバメオモト」っぽい
調べると「ツバメオモト」っぽい
しかし、快適な登山道を期待したのに、、
しかし、快適な登山道を期待したのに、、
笹被りまくり、、、
笹被りまくり、、、
心を和ませてくれます
心を和ませてくれます
「湿原」のあたりまくると本当に快適になってきます
「湿原」のあたりまくると本当に快適になってきます
狩り払いもされています
狩り払いもされています
でも暑い!
大深岳が見えました。結構遠い・・・
大深岳が見えました。結構遠い・・・
遂にメインルートに復帰!
遂にメインルートに復帰!
いやー登山道で結構疲れた!
いやー登山道で結構疲れた!
大深岳。一応今回の山行のメインピーク。
1
大深岳。一応今回の山行のメインピーク。
快適な山荘に到着♪
1
快適な山荘に到着♪
水場は少し距離があるけれど水量豊富です
水場は少し距離があるけれど水量豊富です
今日は台風も近づいてくるので早めに下山
今日は台風も近づいてくるので早めに下山
かろうじで朝日と岩手山が見えました☆
1
かろうじで朝日と岩手山が見えました☆
木道のおかげで歩きやすい。昨日とは雲泥の差だ。
木道のおかげで歩きやすい。昨日とは雲泥の差だ。
立派な木
雲が多くなってきました。天気が悪化しそうな感じです。
雲が多くなってきました。天気が悪化しそうな感じです。
淡々と歩いて、
源太ヶ岳登山口に下山!(このあと峡雲荘で汗を流し帰途に就く)
源太ヶ岳登山口に下山!(このあと峡雲荘で汗を流し帰途に就く)

感想

GW以来仕事が忙しく、ほとんどまともな山に行けていない状態だった。ようやく仕事がひと段落して遅めの夏休みを取ることにしたが、体調がずっと芳しなく厳しい沢に行けるような状態ではないため、王道中の王道ではあるが、兼ねてから行きたかった癒しの名渓、葛根田川を遡行する事にした。
もともとの予定では葛根田川遡行〜関東沢下降〜大深沢(北ノ又沢)遡行〜(夏道縦走)〜岩手山という贅沢なプランだったのだが…

---------------
9月6日(金)
雫石駅を降り立つと、既にあねっこバスが待機していた。バスとは言いつつ、車両も利用方法もほぼタクシーと変わらない。ただし、料金だけはどれだけ乗っても200円/人という破格の安さだ。むしろ申し訳なくなるくらい。

葛根田川の入渓点に一番近い玄武温泉で下車。
一番近いと言ってもここから地熱発電所まで約10キロの車道歩きとなる。準備運動にしては少々長い。

「葛根田の大岩屋」以外特段の見所もない車道を2時間延々と歩き、ようやく滝ノ上温泉着。

予定ではこの先の地熱発電所を過ぎたところから入渓するはずだったが、地熱発電所のゲートが思いのほか入りづらい雰囲気だったため、迷った挙句ここからの入渓を断念し、一度三ツ石山荘まで登り、明通沢経由で葛根田に入渓するという計画に急遽変更。

いきなり出鼻をくじかれた形だが、とにかく決めたのだから、三ツ石山荘までの登山道に取り付いて登っていく。相変わらず体調が悪い上にとにかく暑く、初っ端からなかなか辛い状況だ。

三ツ石山荘の水場は涸れていることも多いそうで、標高1050mの水場で今晩必要な分の水を補給する。

1180mで登山道が右手から合流するまでは誰にも会わなかったが、この分岐を過ぎると人通りが増える。特に今日は地元の中学生の60人くらいの団体(!)が登っていて、すれ違うのにだいぶん時間がかかった。

三ツ石山荘の水場は山荘手前にあるが、幸いちゃんと水が出ていたので汲みなおす。

三ツ石山荘はなかなか素晴らしい場所だ。目前にはアキアカネの舞う湿原が広がり、東に目をやると岩手山へと続く縦走路を望むことができる。小屋自体も避難小屋としては非常に良く整備されている。

山荘のテラスで寛いでいると、三石山方面から年配のご夫婦が到着。今日中に下山されるということで、休憩されている間しばらく談笑。

お二人が出発された後、単独行の男性が到着される。今日は小屋泊まりということだったので、食事を作ったりしながらまた色々話をする。

考えると、単独行の時はほとんどツェルト泊かテント泊なので、こんなに人と話をするのは久しぶりな気がした。

ということで、今晩は非常に快適な環境で就寝。

9月7日(土)
今日からいよいよ沢旅の始まり。最初から沢装備で気を引き締めて行く。

どこから明通沢に下降しようか迷ったが、比較的すぐに沢形が現れそうな1447.9mピークから下降する事にした。

読み通り15分も藪を漕ぐと沢形が現れたが、水が出てきてもかなり藪を被っており快適とは程遠い状況が暫く続く。

しばらく進み、まだ藪っぽさが抜けきらない中、滝が現れる。

明通沢はメジャーではあるものの、ほぼ全ての記録はまず葛根田川を遡行して大白森の湿原から枝沢を経て本流を下降している記録であり、今回自分が行くルートの標高930m以上の区間の記録は皆無である。

そのため、悪いゴルジュなどが出て来ないかが不安だったが、幸い最初の滝は30メートルロープでの1回の懸垂で済んだ。(しかも下から見るとうまくやればクライムダウン出来そうな感じだった)

その次の滝はもう少し厄介で、右岸の藪を懸垂しようとしたが、30メートル1本では届かなかった。そのため、途中のテラスの立木でピッチを切り2段で懸垂したところ、無事に下まで降りられた。

運良くこれ以上顕著な滝は現れず、順調に下降し、記録のある区間に到達した。

ちなみにこの明通沢、あちこちで硫黄の臭いが漂っており、水も飲めないほどではないが、明らかに鉄の味がする。

一方で、岩床と側壁の景観はなかなかで(しかも下流に行けば行くほど渓相が良くなる)、これだけの地形でいやらしい箇所が現れないのが、奇跡的に思えるほどだ。

大分足が疲れてきた頃、ようやく葛根田川に到着。元の予定より1日以上遅れての入渓となってしまったが、感慨も一入だ。

しばらく休憩したのち、定番のドクロ滝などを眺めながら、美しい渓谷を進んでいく。

ちなみに、これまで釣りの経験はほぼ無く釣果も無かったが、葛根田で釣りをしないのは流石に勿体ないと思って竿を持ってきたので、何度か出してみる。が、特に当たりなし。

そうこうしているうちに、意外とあっけなくお函に到着。

ここは、昔大学のワンゲル部だった頃に良くお世話になった先輩が命を落とされた場所。
柔らかい日差しの中、滔々と流れる水の音、虫の鳴く声だけが聞こえ、とても悲惨な事故が起きそうには思えない。

静かに手を合わせたのち、お函を通過。
日本の渓谷美を凝縮したような場所。
先輩の魂は今もこの場所に眠っているのでしょうか?

定番の幕営地は滝ノ又沢出合だが、明通沢の長大な下りで既に結構足にきていたため、今日は中ノ又沢出合に泊まることにする。

葛根田に入ってから新鮮な足跡が付いていたので他の遡行者に会うかと思っていたが、結局今日は誰にも会わなかった。

中ノ又沢出合に着き、どこにツェルトを張ろうかと思って見渡すと、手前右岸の一段高い所に向かって何となく人工的な登り口っぽいものが付けられていたため、覗いてみると、ツェルト1張分の快適なテン場があり、ここで泊まることに決定!

唯一の難点は若干湿っぽいことで、細い巻きを集めて焚き火を試みるもなかなか持続しない。頑張って何度も着火しようとしたところ、しまいにはライターが高温になり上部が爆発してしまった(・_・;)
予備のライターを持ち出し、若干反則な気もするが今度は着火剤を使用してみたところ、すぐに火が付き燃え上がった。

着火剤最強。

虫も少なく、今日もなかなか快適な夜だった。

9月8日(日)
昨日に続き美しい渓相の中を進む。
歩き始めてすぐスリップし、左手の皮が剥がれて血が沢山出てくる。絆創膏で処置。

ほどなく葛根田大滝着。高さはさほどでないが、かなかな風格のある滝だ。(高さで言えばすぐ手前の左岸から流入する滝の方がよほどデカイ)

巻き道は左岸で明瞭。特に問題なし。

この先の小滝で魚影が見えたため、何度か竿を出したところイワナが掛かる!小ぶりだが人生初イワナなので嬉しい。
しかし、イワナが釣れて浮かれていたためか、滝ノ又沢出合の先の分岐で折れて左に入らなければならないところ、そのまま直進してしまい、大きな滝にぶち当たってしまう。

ここで気づくべきなのだが、まあ葛根田なので明瞭な巻き道があるだろうと思い、右岸の踏み跡っぽい藪を登っていく。しかし、行けども行けども登り続けで、しかも踏み跡は不明瞭になる一方なので、ここでようやくおかしいと感じよくよく地形を考えると完全に間違った場所にいることに気づき、元の場所まで引き返す。

とんだ大ポカをしてしまった。そして1時間近くロスしてしまった。

気をとりなおして、予定のルートの遡行を続ける。標高920mあたりは大分穏やかな流れで、少し単調なきらいもあるが、930m二俣を越すと特異な岩床が現れ、飽きさせない。

標高1020m二俣の右俣には顕著な滝があり、右岸を巻いて登る。踏み跡があるが、1箇所若干いやらしいトラバースがあり、念のため空身でスリングの手すりを作ってから通過する。

その後は、稜線に出た後の縦走を少しでも短くするため、分岐を右へ右へと進んでいく。滝らしい滝はあと2つ出てくるがら1つ目は同じく右岸巻き、2つ目はフリクションを効かせて直登してわりと容易に突破できた。

最後は若干の藪漕ぎで稜線登山道に飛び出した。

あとは快適な縦走だけだと思っていたのだが、この登山道が一般道としては結構酷いレベルで藪を被っており、景色の無さと暑さも加わり結構心が折れたのは誤算だった。

エアリア上で「湿原」と書かれたあたりまでこの状態が続いたが、この先はわりと快適になり、そのうち本格的な刈り払いのエリアとなり、あとはひたすらダラダラと登っていくと八瀬森分岐でようやくメインの縦走路と合流。

この時点でなかり足が疲れていた。

あとは本当に快適な縦走路を辿って大深岳を越えて、大深山荘に到着した。

大深山荘の水場は少々離れているものの、水量豊富。

さて、今日の同泊者は自分含めて3人。
八幡平方面から縦走して来られた方と、自分と同じく沢登りで来られた方。沢登りに来られた方は同じく葛根田を先行して遡行されていたということが分かり、自分が見た新鮮な足跡はこちらの方のものだったと判明。(その後、色々過去の山行の話などをお聞きして、もの凄い方だと知る事になるのだが…。)

明日は台風が近づき天気が崩れそうなので、早めに出る事にして就寝。

9月9日(月)
4時台に出発。
下るだけなので気が楽。

わずかな時間だけだったが、源太ヶ岳の山腹をトラバースする木道より雲海の上に顔を覗かせる朝日と岩手山のシルエットを望むことができた。

あとは筆すべき事なく淡々と下り、松川温泉峡雲荘に7時前に到着。

温泉は本来8:00からだが、先に到着していた昨日の沢登りの方が旅館の人と交渉されて、清掃前の短時間なら本来の営業時間より前に良いことになった。大変助かりました。
白濁した湯と施設の佇まいがとても良い雰囲気を醸し出しており、また来たいと思わせる温泉だった。

最後に、温泉前で昨日一緒に小屋に泊まった3人で記念撮影をして、本山行の締めくくりとなった。

---------------
いろいろと想定外もありましたが、東北の自然を存分に味わったうえに、色々な人との出会いもあった、とても密度の濃い4日間になりました。

冬は学生時代に来たし、今回夏に来たので、次は紅葉の時期に来てみたいけれど…混むんだろうなぁ…

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:1440人

コメント

カッコンタの響きが気になって…
どんな字をかくのだろうと検索してこのページに辿り着きました。
葛根田〜あたり!葛根湯から想像してた漢字でした。
写真を見て、記録を読んでひょっとしたら?と思ったら、最後でピンポンでした。その節はお世話になりました。八幡平方面からの縦走者です(笑)
調子に乗ってFBも探してみたら彼の記録も見つけました。
私もいつも単独行、テン張るのもソロなので大深山荘の一夜はなかなか楽しかったです。また、どこかで…
2019/9/19 0:13
Re: カッコンタの響きが気になって…
見つけていただきありがとうございます^ ^
大深山荘ではこちらこそいろいろお世話になりました!じっくり話せるのは山小屋ならではの楽しみですよね(営業小屋にはまず泊まらないですが汗)
そう、葛根湯のかっこんです。独特の響きがありますよね〜。全国の沢登りをする人達の憧れる渓谷です。

ちなみに、あの日は鈍行で帰っていたのですが、台風のせいで途中から電車が運休になってしまい大変でした。。そういう意味でも松川温泉に泊まられて良かったかもしれませんね。
また、機会がありましたら(^^)
2019/9/19 8:03
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら