赤石山地縦走〜別子銅山へ
- GPS
- 05:12
- 距離
- 13.7km
- 登り
- 1,367m
- 下り
- 1,282m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
下山は東平の駐車場からタクシーで新居浜の駅へ(時間約35分、¥4500) |
コース状況/ 危険箇所等 |
八巻山のピークを越える尾根ルートは道標が少なく難ルート |
写真
感想
京都を早朝に出発し新大阪からの新幹線さくら号から松山行きのいしづち号に乗り継ぐと、新居浜駅でわずか6分で別子山域に向かうバスに乗り継ぐ。大慌てで出張道具、それから明後日からの石鎚縦走のためのザックをコインロッカーに放り込むと、バスが出発するところであった。
新居浜の市街を抜けて別子銅山に向かう山道に入ると途端に景色は一変し、バスは深い山間の隘路を進むようになる。筏津まではおよそ1時間少々で到着する。このバスは新居浜市の助成金で運行されているためか、どこまで乗っても400円均一というのは驚くばかりである。
筏津からは最初は檜の植林地をゆく。まもなく登山路脇には苔むした石垣が現れる。昔の屋敷の跡のように思われる。瀬場谷にかかる木橋を渡ると左俣に沿った登山路に入り赤石山荘を目指す。檜林から自然林へと林相が変わると、紅葉の盛りらしい。
左手から聞こえてくる沢音からは豊富な水量が予想されるので渡渉を心配していたが、最初の渡渉点はしっかりした木製の橋が掛けられていた。勾配も緩やかになり、沢沿いの
沢を離れて右手の尾根を登るようになると登山路の両側には笹が広がるようになる。驚いたことに笹は一様に枯れ果てているのだった。笹は数十年に一度、一斉に枯死するというが、笹の茎がしっかりしているところを見ると、枯死したのは最近の出来事のように思われる。
やがて西赤石山と権現越との分岐に出ると突然、八巻山のゴツゴツとした岩山の姿が目の前に大きく現れる。東赤石山へと向かう前にまずは今年一杯で営業を終了するという赤石山荘を訪ねてみる。小屋には既に人の気配はなく、小屋の扉はロープが巻かれていた。
小屋を後にするとまずは東赤石山をトラバースする権現越への道を辿る。東赤石山へと登る道に入ると地図ではかなりの急登に思われたが、意外と楽に登れる。赤石越から樹林の尾根を辿ると西側に大きく展望が開ける。東赤石山の山名標があるので山頂かと思いきや、GPSを確認すると山頂はどうやらもう少し東側のようだ。樹林を辿ると東側への眺望が開けた山頂に出た。銅製の格好良い山名標がかつての銅山の栄華を偲ばせる。
赤石越に戻ると八巻山への岩場の稜線となる。岩山は通常、ペンキで記された道標があるものだが、この八巻山にはそのような道標はほとんど見当たらない。登山者の往来による岩の表面が擦れた痕を頼りにルートを探す。当然ながらスリリングなルート・ファインディングが続く。
八巻山の山頂にたどり着くとやはり銅製の山名標があるのだが、なぜか山名標の杭が抜かれているのだった。西側にはこれから辿る稜線が目に入るが地図では読み取れない峻険なアップダウンが続いている。地図ではわずかな距離に長いコースタイムが設定されてる理由が理解される。
いくつもの小ピークを越えて樹林の中へと入るとまもなく南斜面をトラバースする道と合流する。石室越のようだ。すぐ目の前には前赤石山の鋭鋒が迫るが、登山路は南側の斜面を緩やかにトラバースしていく。南側には錦繍のなだらかな谷が広がる。
前赤石山を越えるとそれまでの峻険な山並みは一変し、なだらかな稜線が続いている。緩やかに尾根を辿って物住頭のピークに至るとここでも銅製の山名標がある。
物住頭からは再び笹ヶ峰への長い縦走路が視界に入る。いつの間にか笹ヶ峰の手前には山裾にかけて霞が広がっている。西赤石山はかなり遠くに感じられたが、なだらかな尾根を小走りに飛ばして14時過ぎに到着する。東平(とうなる)に16時にタクシーを予約しているので、2時間弱の時間があれば余裕でたどり着けるだろう。
尾根の広葉樹は既にかなりのものが落葉してしまったようだがアカイシミツバツツジだろうか、ツツジ系の樹が華やかな紅葉を見せてくれる。銅山越からは石畳の緩やかな道となる。かつての銅鉱石を運ぶための道だったのだろう。山道から突然、広場に出るとそこは苔むした高い石垣の間にかつての坑道の跡があった。
東平に到着したのは15時半過ぎ。タクシーが到着するまで銅山の遺構を見学するのに程よい時間である。広い駐車場には停められていた一台の車に先に来られていた観光客の方達が乗り込むところであった。「新居浜に下るのなら乗って行かれますか?」とご親切な提案を頂くが、電波の圏外であればタクシーを今更、断るすべもない。
かつての繁栄を偲ばせる貯蔵庫の壮麗な遺構は巨大な神殿の廃墟のようにも思われる。すっかり山の陰に入り、薄暗い遺構には深い寂寥感が漂っているようだ。まもなくタクシーが到着し、深い谷から新居浜の街に出ると急に明るくなり、夢の世界から舞い戻ってきたような錯覚を感じるのだった。
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