奥久慈男体山〜籠岩☆紅葉の森を逍遥


- GPS
- 06:25
- 距離
- 10.8km
- 登り
- 1,148m
- 下り
- 1,135m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
紅葉真っ盛りのこの季節、丹沢でも奥多摩でも混雑が予想される。静かな山歩きを期待して山行先は奥久慈の男体山を考える。前日の宿泊地が横浜なので、公共の交通機関を使って奥久慈の山域までたどり着くのは難しいのだがtakhim君が車を出してくれることになったので、ご厚意に甘えることにする。男体山からは北に月居山を経て袋田の滝に縦走するコースや東の白木山、高崎山を周回するコース取りも考えられたが、takhim君から南の籠岩山に向かうコースをご提案いただく。
Takhim君の運転で奥久慈男体山の大円地登山口の駐車場に到着したのは8時過ぎ。車10台ほどの駐車場は既に満車であり、トイレの横の余地に路駐する。この山行記を書いている時点でこの山の多くのレコが上がっていることを考えるとやはり紅葉の時期は人気の山なのだろう。
登山口から見上げると男体山の迫力ある岩壁が目に入る。岩壁の間には色とりどりに紅葉した樹々も見える。果たして登ることが出来るのだろうかと思うような峻険な山容だが、地図を確認すると岩壁を避けて南西の尾根から上手く登山道がつけられているようだ。
最初は植林の中を登ってゆく。斜面をトラバースして滝倉からの登山道と合流すると色鮮やかな紅葉の自然林となる。尾根の下端部には岩場の展望台があり、既に周囲の山よりかなり高い。登山路はかなりの急登になり岩場が続くが、細かい石が堆積して出来たと思われる礫岩はホールドが多く、しかも岩が堅牢なので安心して登ることが出来る。前日に登っていた丹沢の岩屑がボロボロと剥がれ落ちる岩場とは大違いだ。
東屋のある稜線に辿り着くと、樹高の高い山毛欅の大樹が目を惹く。標高は600mをわずかに越えたところと思われるが、この高さでこれだけの立派な山毛欅の大樹が見られるところは関西では滅多にない。
わずかばかり登って祠のある山頂に辿り着くと、南の方角に茨城県の展望が広がる。南東の方角には絶壁が聳えるが、その向こう側、これから辿る籠岩山にかけてはなだらかな台地状の尾根が広がっている。はるか彼方には朝陽を反射して銀盤のように光り輝く海が見える。鹿島灘だろう。
男体山の山頂を辞すと、まずは東の大円地越と呼ばれる峠に向かって下降してゆく。峠が近づくにつれ樹々の樹高が高くなり、大円地越に至ると樹高の高い山毛欅の樹の壮麗な森となった。山毛欅の樹々の間では楓が賑やかな紅葉を見せる。
櫛ヶ峰にかけて南下すると笹原の中の細い登山道となる。まもなく樹林の中は紅葉した楓が多くなり、柔らかい秋の陽射しが林の中に紅い輝きをもたらす。京都の古刹でも滅多に見られないほどの見事な紅葉だ。
登山路を逸れて西側に突き出した展望地を出ると、山名標は見当たらなかったが、ここがどうやら櫛ヶ峰のピークらしい。北側には再び男体山の峻険な岩壁が視界に飛び込んでくる。
樹林の中を歩いて小草越を過ぎると台地状の広い尾根は複雑な二重山稜となる。一般登山道は鷹取岩を目指して西側の尾根を行くが、籠岩山へと続く東側の尾根を行くバリエーション・ルートことにする。最初の小さなピークの西側に分岐があり、笹の中をピークに向かって直登する踏み跡がバリエーション・ルートである。
笹原の中はしっかりと刈り払いされた跡がある。笹原が途切れると尾根上には薄い踏み跡が続いている。樹林の紅葉は紅い楓は少なくなり、黄葉が多くなる。期待通りの静かな自然林が続く。やがて尾根が東に大きく方向を変え、三角点ピークの536m峰が近づくと先行者に追いつく。意外なことに10人ほどの大きなパーティーであった。尾根を縦走して武生神社まで行かれるという。
籠岩山の手前には小さなピークが三つほど続く。三つ目のピークから尾根上の踏み跡を辿りかけて北東に伸びる尾根に入りかけたことに気がついた。ピークに戻って踏み跡を探すと、尾根から南の斜面をトラバース気味に下る別の踏み跡を見出すことが出来たが、ここは迷いやすいところだろう。急下降を降り植林の鞍部に辿り着くと、釜沢越から登ってくる一般登山道と合流した。分岐部ではバリエーション・ルートにロープが張られ、道迷いが頻発するので通行を注意する案内が貼られていた。
この鞍部からは歩きやすい登山道を登って一息で篭岩山の山頂に辿り着く。南から東にかけて好展望が広がっている。行動食でランチ休憩をとると出発しようという段になって先ほどのパーティーが到着する。行程からしてもかなり健脚のパーティーに思われる。
篭岩山からは南側のピークとの間はキレットとなっている。ロープの張られた急峻な坂を下ると鎖場のある大きな岩場が聳え立つ。丁度五人のパーティーが通過しているところであった。鎖場を過ぎると篭岩の展望台まではなだらかな紅葉の樹林が続く。
篭岩の展望台に立つと右手の斜面にいくつもの穴が穿たれた異様な岩壁が見える。なるほどこれが篭岩か。あたかも人工的に掘削されたように思われるが、長年の風雨によって形成されたものらしい。篭岩の下に降り立つと石仏の法印を結ぶ阿弥陀如来像とその周りにはいくつかの小さな表情豊かな羅漢像が無造作に置いてある。歴史の古いものであろうが、心ない人に持ち去られないか心配である。
篭岩の穴の一つに向かって梯子が設けられている。登ってみると梯子はかなり激しく横揺れする。篭岩を後に深い谷間に降ってゆくと、まもなく小さな滝の落ち口に辿り着く。下には石鳥居が見える。ここが不動滝のようだ。滝の下から見上げると白糸のような細い水流が静かに流れ落ちているのだった。
狭隘なV字の谷を進むと視界が開け、民家が現れる。最後は奥久慈パノラマライン林道の舗装路を大円地まで1時間弱の行程を歩くことになる。途中で何台もの車とすれ違う。ここも人気のドライブコースなのであろう。
道端から伸びている草に何気なく触れると途端に登山用のタイツや靴下に無数の線状の種子がくっついた。後で調べるとコセンダングサであった。登山口が近づくと右手の斜面には櫛ヶ峰の岩壁を見上げる。トンネルと潜ったところで登山口の駐車場に帰り着く。途端に再び男体山の
峻険な岩壁が視界に飛び込むのだった。
磐越自動車道を戻り利根川を渡り茨城県を後にすると都心の方向には夕陽が沈んでゆくところだった。滅多に訪れる機会のないと思われる奥久慈であるが、この魅力的な山域にご案内いただき、しかも長距離の運転をしてくれたtakhim君には深謝に堪えない。
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