木曽駒高原スキー場の駐車場に車を止めて、ここで入渓準備をする。準備をしていると一台車が入ってきて男性が話しかけてきた。大阪の堺からだという66歳の男性は、麦草山にどうしても登りたいという細君のためにここまで来たという。
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木曽駒高原スキー場の駐車場に車を止めて、ここで入渓準備をする。準備をしていると一台車が入ってきて男性が話しかけてきた。大阪の堺からだという66歳の男性は、麦草山にどうしても登りたいという細君のためにここまで来たという。
幸ノ川橋を過ぎたところで茶臼山と沢コースの分岐に突き当たる。沢コースを見るとこんな状態。ほとんど人は入っていないようだ。
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幸ノ川橋を過ぎたところで茶臼山と沢コースの分岐に突き当たる。沢コースを見るとこんな状態。ほとんど人は入っていないようだ。
正沢川入渓点。
30分くらい突き進んだ適当な所でヤブを漕ぎ、入渓点をさがした。川と名がついているだけあって水量も多く川幅もある。
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正沢川入渓点。
30分くらい突き進んだ適当な所でヤブを漕ぎ、入渓点をさがした。川と名がついているだけあって水量も多く川幅もある。
しかし、水の色はエメラルドグリーンで美しい。もう少し気温が上がれば飛び込んでひと泳ぎしたいところだ。
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しかし、水の色はエメラルドグリーンで美しい。もう少し気温が上がれば飛び込んでひと泳ぎしたいところだ。
右から玉ノ窪沢が出合う。
美しいのはいいが、ザック背負っての長いゴーロ歩きは老体にはかなり応える。
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右から玉ノ窪沢が出合う。
美しいのはいいが、ザック背負っての長いゴーロ歩きは老体にはかなり応える。
沢をやるには申し分ない天気だ。
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沢をやるには申し分ない天気だ。
暑くなってきたこのあたりから、ゴーロ選びを止めて水流を歩き始める。腰位だったらかまわず突き進む。
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暑くなってきたこのあたりから、ゴーロ選びを止めて水流を歩き始める。腰位だったらかまわず突き進む。
それでもゴーロは続き、入渓してから約4時間、そろそろ勘弁してよ思っている頃、やっと本命の細尾沢が出合ってきた。細尾沢出合だ。左が正沢川の本谷。
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それでもゴーロは続き、入渓してから約4時間、そろそろ勘弁してよ思っている頃、やっと本命の細尾沢が出合ってきた。細尾沢出合だ。左が正沢川の本谷。
細尾沢入って最初の滝。つるつるのスラブを流れ落ちる白滝。同じく右を登っていて落ちる自分。行きつくところは同じ釜の中。でも楽しい。
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細尾沢入って最初の滝。つるつるのスラブを流れ落ちる白滝。同じく右を登っていて落ちる自分。行きつくところは同じ釜の中。でも楽しい。
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この沢の核心部、細尾大滝がみえてきた。
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この沢の核心部、細尾大滝がみえてきた。
圧巻の滝だ。滝のかなり手前から飛沫が飛んでくる。丹沢で言うなら伊勢沢の大滝って感じか。この距離から全体像を写し撮ることはできない。迫力の大滝を伝えられないのが残念。
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圧巻の滝だ。滝のかなり手前から飛沫が飛んでくる。丹沢で言うなら伊勢沢の大滝って感じか。この距離から全体像を写し撮ることはできない。迫力の大滝を伝えられないのが残念。
高巻きは定石通り大滝右側のガレ沢を登った。ルンゼに入りすぐ左から取り付いた。すぐ上のテラスに着き、そこをトラバース。淡い踏み跡を辿ったが行き詰まってしまった。
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高巻きは定石通り大滝右側のガレ沢を登った。ルンゼに入りすぐ左から取り付いた。すぐ上のテラスに着き、そこをトラバース。淡い踏み跡を辿ったが行き詰まってしまった。
再びテラスに戻り、どうしたものかと考えた挙句出た結論がこのガレ沢を登ろうと云う事だった。しかし、取り付いてみるとこの岩壁ボロボロなのだ。緊張感を飛び越えた恐怖心が体の中を走った。何度もセミになった。
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再びテラスに戻り、どうしたものかと考えた挙句出た結論がこのガレ沢を登ろうと云う事だった。しかし、取り付いてみるとこの岩壁ボロボロなのだ。緊張感を飛び越えた恐怖心が体の中を走った。何度もセミになった。
後日ウェブなどをよく読んでみると、トラバースした後はみなさん尾根から上に登り、そこから落ち口目指し再度トラバースするようだった。通常30分の高巻きを1時間30分も費やしてしまった。ただ今回はこんな結果に終わってしまったが、バリや沢はあまり念入りな下調べはしないほうがいい。楽しみが半減してしまう。
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後日ウェブなどをよく読んでみると、トラバースした後はみなさん尾根から上に登り、そこから落ち口目指し再度トラバースするようだった。通常30分の高巻きを1時間30分も費やしてしまった。ただ今回はこんな結果に終わってしまったが、バリや沢はあまり念入りな下調べはしないほうがいい。楽しみが半減してしまう。
降り立ったところから少し戻って落ち口を見てきた。
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降り立ったところから少し戻って落ち口を見てきた。
大滝からは簡単な小滝が続き軽快な遡行が楽しめる。
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大滝からは簡単な小滝が続き軽快な遡行が楽しめる。
振り返ればV字の彼方に乗鞍岳が望める。
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振り返ればV字の彼方に乗鞍岳が望める。
何とも気持ちの良いナメ滝の向こうに木曽駒からの稜線が見えた。この頃から空には暗い雲がかかってきた。積乱雲ではないが、ひと雨あるかなと思った。
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何とも気持ちの良いナメ滝の向こうに木曽駒からの稜線が見えた。この頃から空には暗い雲がかかってきた。積乱雲ではないが、ひと雨あるかなと思った。
しばらく行くと予想は的中。ポツポツと降り始めてきた。一時的なものだとは思ったが、濡れるのも癪なので、ビバークすることにした。増水を警戒してやや高い斜面にテントを張ったが、沢音はハンパなく、耳栓なしでは眠れなかった。
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しばらく行くと予想は的中。ポツポツと降り始めてきた。一時的なものだとは思ったが、濡れるのも癪なので、ビバークすることにした。増水を警戒してやや高い斜面にテントを張ったが、沢音はハンパなく、耳栓なしでは眠れなかった。
テント場横に流れ落ちる2段12mの滝。はるか彼方に朝陽を浴びる稜線が見える。いやが上にもテンションはあがる。ヨッシャーと声に出して気合を入れると今日最初の滝に取り付いた。
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テント場横に流れ落ちる2段12mの滝。はるか彼方に朝陽を浴びる稜線が見える。いやが上にもテンションはあがる。ヨッシャーと声に出して気合を入れると今日最初の滝に取り付いた。
しばらく行くと雪渓が現れた。ビビりながら雪渓のトンネルを潜ったりしての遡行は500mにも及んだ。遡行終了後聞いた木曽小屋の主人の話では、とにかく今年の雪渓は多く中々消えないそうだ。こんな年は珍しいとのことだ。
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しばらく行くと雪渓が現れた。ビビりながら雪渓のトンネルを潜ったりしての遡行は500mにも及んだ。遡行終了後聞いた木曽小屋の主人の話では、とにかく今年の雪渓は多く中々消えないそうだ。こんな年は珍しいとのことだ。
これほど長く雪渓を沢靴で歩いたのは初めてだ。勾配もある中、凍っていてキックステップもままならず、はじめのうち心配だったが、それもじきに慣れた。
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これほど長く雪渓を沢靴で歩いたのは初めてだ。勾配もある中、凍っていてキックステップもままならず、はじめのうち心配だったが、それもじきに慣れた。
やがて沢は急速に水流を細くしていく。
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やがて沢は急速に水流を細くしていく。
今回沢山の花たちに癒された。写真こそ掲載は少ないが、その多くは僕の瞼にしっかりと焼き付いている。
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今回沢山の花たちに癒された。写真こそ掲載は少ないが、その多くは僕の瞼にしっかりと焼き付いている。
水は完全に涸れた。どうも下の二俣で間違えたようだが、ここまで来て、ここまで見通しがきくのであるのなら何処を登っても同じことと、そのまま進む。
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水は完全に涸れた。どうも下の二俣で間違えたようだが、ここまで来て、ここまで見通しがきくのであるのなら何処を登っても同じことと、そのまま進む。
このあたりで、不安定な石、岩にうんざりする。おまけに勾配がきつくなってきたので、西側のもう一本の開放的なガレに移動することにした。
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このあたりで、不安定な石、岩にうんざりする。おまけに勾配がきつくなってきたので、西側のもう一本の開放的なガレに移動することにした。
これがそのガレ。灌木帯をトラバースしながらやや上をめざす。ここも上部はきつそうだと思ったが、いずれにせよどのルートも稜線直下はきびしいもの。まずは一歩を出すしかないだろう。
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これがそのガレ。灌木帯をトラバースしながらやや上をめざす。ここも上部はきつそうだと思ったが、いずれにせよどのルートも稜線直下はきびしいもの。まずは一歩を出すしかないだろう。
そんな時、ここでも癒された。
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そんな時、ここでも癒された。
ここはきつかった。ザックのハーネスが肩に食い込み、不安定な石に踏ん張る足の筋肉は悲鳴をあげていた。それに、落石も怖かった。
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ここはきつかった。ザックのハーネスが肩に食い込み、不安定な石に踏ん張る足の筋肉は悲鳴をあげていた。それに、落石も怖かった。
やっとのことでガレを乗り越え、遠くの稜線と同じ目線になる頃、ハイマツ帯下ではプチお花畑が広がっていた。
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やっとのことでガレを乗り越え、遠くの稜線と同じ目線になる頃、ハイマツ帯下ではプチお花畑が広がっていた。
西側に目を向けてみた。正面に木曽前岳、眼下に玉ノ窪山荘が見えた。もう木曽前岳より高いところまで登ってきたのだ。しつこくにじり寄ってきたのだ。うれしかった。
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西側に目を向けてみた。正面に木曽前岳、眼下に玉ノ窪山荘が見えた。もう木曽前岳より高いところまで登ってきたのだ。しつこくにじり寄ってきたのだ。うれしかった。
東側には木曽駒ヶ岳の山頂が見えた。僕は初めて神奈備(かむなび)としての霊験あらたかな木曽駒ヶ岳に出会ったような気がした。ルートによって山はそれぞれの思いを反映させて違った表情を見せてくれる。
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東側には木曽駒ヶ岳の山頂が見えた。僕は初めて神奈備(かむなび)としての霊験あらたかな木曽駒ヶ岳に出会ったような気がした。ルートによって山はそれぞれの思いを反映させて違った表情を見せてくれる。
大きな岩まじりのハイマツ群を越えると目の前に「頂上木曽小屋」の建物が現れた。ヤッタと思った。この細尾沢は何年も前から行きたかったところなので素直にうれしかった。
頂上ではロープーウェ登山の人でごった返していると思ったので、ここでしばし感傷に浸ることにした。
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大きな岩まじりのハイマツ群を越えると目の前に「頂上木曽小屋」の建物が現れた。ヤッタと思った。この細尾沢は何年も前から行きたかったところなので素直にうれしかった。
頂上ではロープーウェ登山の人でごった返していると思ったので、ここでしばし感傷に浸ることにした。
案の定、山頂はウイークデーにもかかわらず沢山の登山客で賑わっていた。写真だけ撮るとすぐに下山の準備をした。その頃には御岳や北アルプスは雲に隠れていた。
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案の定、山頂はウイークデーにもかかわらず沢山の登山客で賑わっていた。写真だけ撮るとすぐに下山の準備をした。その頃には御岳や北アルプスは雲に隠れていた。
帰途、自分の不注意から上松コースを下ってしまった。帰りは一般登山道だからと高をくくったあげくのお粗末な結果だった。代償は往復1時間のアルバイト。
なお、下山に使った福島Bコースは結構辛いものだった(飽くまで個人的な感想)。
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帰途、自分の不注意から上松コースを下ってしまった。帰りは一般登山道だからと高をくくったあげくのお粗末な結果だった。代償は往復1時間のアルバイト。
なお、下山に使った福島Bコースは結構辛いものだった(飽くまで個人的な感想)。
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