神璽の滝〜釈迦岳☆連瀑を巡って


- GPS
- 04:19
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 938m
- 下り
- 921m
コースタイム
- 山行
- 2:45
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 4:18
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
神璽の滝はF4の雄滝以外はかなり高度なバリエーション・ルート 詳しくは感想、またはHB1214さんの日記に |
写真
感想
車が廃車になったところなので、公共の交通機関を使ってこの時間からアプローチ出来るところはないかと考える。折しも、ここ数日、HB1214さんが一連の神璽の滝の紹介を日記にアップされておられる。この日の朝は修学院で用事があったのだが、予定が終了してHB1214さんの神事の滝の日記を確認すると一連の滝の最後のF5/6/7の記事が30分程前にアップされたところだった。この神璽の滝の一連の滝を訪れるというなんとも魅力的な山行を思いつくのは必然であった。
修学院からは京都駅に出るのが実に不便な場所だが、本数の少ない北8系統のバスがどうぞと言わんばかりに修学院の駅前に到着する。北山駅でバスを降りると地下鉄に乗り継いで京都駅には10時過ぎに到着することが出来ぐ。京都駅からは湖西線で比良駅に丁度11時11分に到着する。丁度というのは単に同じ数字が4つ揃う1日に二回しかない時間という以外の意味はない。
比良駅からはイン谷口までタクシーで移動する。ところでイン谷口はこれまで数えきれないほど訪れているのだが、その名称はイン谷の入り口であることを意味するということに今更ながらに思い当たる。
歩き始めると、すぐに登山道のすぐ右手にはシャカ谷から流れ落ちる滝がある。カマブロ洞と呼ばれる滝だ。折しも滝に光が差し込み、滝と斑らな木洩れ陽が交錯する。
登山道を進み、右手に釈迦岳への登山道を見送り、神璽の谷への道に入るとまもなく左下の谷から滝音が聞こえてくる。ここで一連の神璽の滝の雌滝にたどり着くためにはこの登山道を歩くのではなく、谷沿いを遡行して来た方が良かったことに思い当たる。時既に遅しである。滝に降りる細尾根を見つけると薄い踏み跡を辿って急峻な尾根を下る。
しかし、この尾根は登るのはともかく下降するにはあまりにも急であり、安易に下れるようなところではない。尾根は下るにつれて電気コードのような灰色のビニールが巻かれた古びたワイヤーが現れる。ワイヤーの助けを借りてF2の滝の下に着地する。初めからF2と判っていたわけではなく、滝壺のない二段の滝であることからHB1214さんの案内によりF2と判別することが出来た。滝は上から二筋に分かれて落ちているが、落差の大きな迫力のある滝だ。
F3が上にあるのだろうが、もう一度尾根を下ることが憚られたので、まずは尾根をさらに下ってF1の雌滝の下に降り立つ。F1は狭い滝壺に向かって垂直に流れ落ちる滝で、その直線的な落下が印象的だ。滝の右手の斜面にはイワウチワの花が咲いていた。
ここから再び上に上がるのだが、右手の谷が登りやすく、下降した尾根にトラバースしようと思っているうちに先ほどまで辿ってきた登山道まで登ってしまった。F3にたどり着くために先ほどの尾根を再び下降する。F2の上部から谷にトラバース気味に下る薄い踏み跡を見出すことが出来る。斜面にはかつてはワイヤーがつけられていたのであろうが、木に巻かれた針金の先は既に欠失している。急峻な斜面の木の根を掴みながら谷に降りると平流の奥に右手から流れ落ちる滝が目に入る。滝そのものより谷の両側で切り立った岩肌の壁が壮麗な印象を与えるところだ。
降りてきた道を引き返し、登山道に戻るとすぐ先に神璽の滝の道標があり、滝に下る明瞭な道がついている。すぐに落差の大きな滝の途中で大きく跳ね上がる飛沫が目に入る。この神璽の滝として知られる滝はF4に相当し、雄滝とも呼称されるらしい。滝の上に小さなF5が見える。
大きな滝音を聞きながらまずは登山道に戻る。F5に下降を試みるが、登山道が大きく曲がる手前で降りやすそうな谷筋を下降する。F5があると思しきあたりで右手にトラバースすると滝の正面に出ることが出来た。
問題は最後のF6/7であった。斜面には夥しい数の倒木が重なりあっており容易に近づけない。致し方ないので尾根の上から藪を漕いで倒木の上に降り立つ。最後は木を登ってなんとか二段のF6とその上に流れ落ちるF7の写真を撮ることが出来た。
滝に訣れを告げて登山道に戻ると石灯籠が現れ、これまでの労苦をねぎらってくれるようだ。ここからは先ほどまでの狭隘な谷間とは一転して谷は大きく広がり、沢の流れも平流となる。登山道は連続する堰堤を緩やかに越えてゆく。
やがて右手には天満宮と書かれた朱色の鳥居が現れる。鳥居の上には杉の巨樹がそびえ立っている。かつては祠があったのだろう、杉の根元には何かの遺構が朽ち果てていた。少なくとも昔はこんな険しい山中までお参りに来られていた人々がおられたというのが驚きだ。
谷は奥に進むにつれ斜度を上げてゆく。カモシカ台からのダケ道と合流する手前になると樹木のない斜面には一面に苔が広がり、日本庭園のような趣となる。背後には周回する予定のカラ岳とその背後に釈迦岳を大きく眺望する。
ダケ道と合流するとなだらかに尾根の先に北比良峠、その先には長尾と釣瓶岳が視界に入る。北比良峠に到着すると正面に武奈ヶ岳とコヤマノ岳を眺めながら行動食でランチ休憩をとる。空にはいつしか乳白色の曇り空が一面に広がっている。峠から琵琶湖の対岸に望む長命寺山の輪郭も朧げに霞んでいるようだ。
カラ岳にかけては緩やかな尾根上にはリョウブのアーケードが続き、快適に進む。釈迦岳の山頂が近くなると山毛欅が多くなる。樹高の高い山毛欅は少ないものの幹の下の方から枝分かれした力強い樹影の山毛欅が多いように思われる。尾根の左手からは展望が随所で開け、蛇谷ヶ峰へと続く裏比良の稜線、その先に三重獄を中心とした野坂山地の山を望むことが出来る。
釈迦岳の山頂でタクシーを予約すると一気に下る。かつての比良ロープウェイの駅の跡の手前からは大きく眺望が開ける。ここから眺める琵琶湖の南湖は蛇行する大きな河川のようにも見える。いつしか空は再び晴れ渡り、明日は朝から雨模様という予報が信じられないほどだ。
カマブロ洞に再び立ち寄ると山の陰に入っているせいで先ほど見た光はすっかり消失し、まるで別の滝のように見える。滝は天候、時間によっても大きく印象が変わるとHB1214さんが仰る通りだと思う。この滝見の山行はHBさんの精緻な地図なくしては到底、全ての滝を見ることは能わないものであり、改めてHB1214さんには深謝の限りだ。
参考;HB1214さんの神璽の滝の記事
1)
https://www.yamareco.com/modules/diary/256361-detail-205309
2)
https://www.yamareco.com/modules/diary/256361-detail-205373
3)
https://www.yamareco.com/modules/diary/256361-detail-205456
4)
https://www.yamareco.com/modules/diary/256361-detail-205503
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