記録ID: 24069
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無雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜
鹿島槍ヶ岳。花の稜線をたどって、大展望の山頂へ
2007年07月31日(火) 〜
2007年08月01日(水)
tanigawa
その他1人
- GPS
- 32:00
- 距離
- 21.3km
- 登り
- 2,334m
- 下り
- 2,320m
コースタイム
7月31日
東京・西多摩の自宅(5時08分 発)車→あきる野インター→圏央道・中央道・長野道経由→豊科インター→信濃大町→扇沢(8時15分 着)
扇沢(8時51分 発)→柏原新道(途中、3回計50分休憩)→種池山荘(12時21分 着、12時52分 発)→爺ヶ岳→冷池山荘(14時40分 着) 山荘から150メートルの距離にある冷池キャンプ指定地で幕営
8月1日
幕営地(4時35分 発)→鹿島槍ヶ岳・南峰(5時54分 着、撮影、食、布引岳との鞍部にもどりカミさんと合流、山頂にもどる、6時55分 発)→幕営地(8時38分 着、食事、テント撤収、9時47分 発)→爺ヶ岳→種池山荘(11時35分 着、12時16分 発)→扇沢(14時51分 着)
扇沢(15時25分 発)車→東京・西多摩の自宅(18時50分 着)
東京・西多摩の自宅(5時08分 発)車→あきる野インター→圏央道・中央道・長野道経由→豊科インター→信濃大町→扇沢(8時15分 着)
扇沢(8時51分 発)→柏原新道(途中、3回計50分休憩)→種池山荘(12時21分 着、12時52分 発)→爺ヶ岳→冷池山荘(14時40分 着) 山荘から150メートルの距離にある冷池キャンプ指定地で幕営
8月1日
幕営地(4時35分 発)→鹿島槍ヶ岳・南峰(5時54分 着、撮影、食、布引岳との鞍部にもどりカミさんと合流、山頂にもどる、6時55分 発)→幕営地(8時38分 着、食事、テント撤収、9時47分 発)→爺ヶ岳→種池山荘(11時35分 着、12時16分 発)→扇沢(14時51分 着)
扇沢(15時25分 発)車→東京・西多摩の自宅(18時50分 着)
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年07月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
テントで稜線に泊まるのを楽しみにして、今年も夏の北アルプスへ行きました。 鹿島槍ヶ岳は、夏に、そして春にと、これまで何度か山頂に立とうとして、かなわなかった山でした。天気の回復を見越して前日に決行を決め、雨の中を信濃大町へ。念願かなった鹿島槍の山頂では、日本屈指の大展望が迎えてくれました。 7月31日 上空に寒気が入り込んだ関東・甲信越地方は、29日から2日続けての猛烈な雷雨でした。「寒気の圏内からはずれる富山側はまずまずの好天」とよみ、早朝の中央道を、雨の中を長野へと向かいました。 大町から登山口の扇沢への登りにかかる、稜線はガスの中に隠れていますが、空は明るい。上空は晴れているようです。 8時51分、扇沢にかかる鉄橋のたもとの登山口から、柏原新道の登りにとりつきました。鹿島槍への道は、この登山道で種池山荘へ上がり、稜線上の爺ヶ岳を越えて北へ縦走することになります。コースタイムでは、6時間ほど。 爺ヶ岳には、初冬、4月、8月といろいろな季節にやってきました。雪がある季節は、急な山腹をトラバースしてゆく柏原新道が雪崩と滑落とで危険地帯になります。そのため、私たちも、爺ヶ岳の南尾根を忠実にたどる「冬コース」を使ってきました。夏道の柏原新道は、8月に下降したことはあるものの、登りに通しで使うのは、今回が初めてです。 登り出しでは樹林の木陰が、そして、尾根の山腹を斜めに延々と歩く区間ではガスが、日差しをさえぎってくれました。長丁場の登りのつらさを和らげて、ありがたい。 翌日の帰り道(下り)で気が付いたのですが、柏原新道が山腹をトラバースしてゆく長い区間、樹幹越しに見上げると、稜線にある種池山荘がずっと見えています。それも、ずいぶんと遠く、はるかに高い位置に、です。状況にもよりますが、簡単にたどり着けそうもない目標が見えちゃうのは、登る意気をくじかれそうになる場合もあります。 しかも、種池山荘が見え出すのは、登山口からジグザグの急登を1時間ほども登りあがって、登山道が山腹を斜上する区間に入ってからです。そこで、見えた小屋に、「あんなに高い位置に?!」と衝撃を受ける。実際、下山のときには単独行の年配の男性が、「山荘へあと3・7キロ、3時間半」の標識を見て、「この標識はまちがっているんじゃないか!?」と、私たちに声をかけてきたくらいでした。休憩を入れれば、ここからでも「3時間半」は、かかる場合がもあると感じました。 私たちが登った日は、霧が視界も、そして暑い日ざしも押し隠してくれていて、幸いしました。 盛夏にさしかかったこの時期、柏原新道のルートの7割程度の行程までは、花が少ないのが残念。ショウジョウバカマやイワカガミ、サンカヨウは花期をすぎ、シラネアオイもすでに緑色の実をつけていました。 しかし、高度を上げて大小の枝沢のトラバースが始まるあたりにゆくと、山道の両脇はぐんとにぎやかになってきます。 そして、稜線直下で、道が電光形に急ターンを切って登り出すと、周囲は潅木と草むらに変わり、湿性のお花畑のなかを種池山荘へと上りあがります。イワカガミはここまでくるとようやく花の盛り。ハンサンチドリ、クルマユリも咲きだし、花の数ではコバイケイソウ、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲ、色が濃いハクサンフウロがとくに目立ちます。ショウジョウバカマも、ここでは開花期を迎えていました。 ふと、視線を上げると、頭上には真っ青な空が広がっていました。私たちはガスの中を抜け出したのでした。 12時21分、種池山荘着。 立山、真砂岳、雄山へとつづく迫力の岩山が、ガスの間から姿をのぞかせました。正面の雄山沢を埋めた雪の量がすごい。梅雨どきに雨が少なかった今年は、例年よりも多めの雪が谷筋に残っていました。天気はどんどん回復しているものの、立山から南の山々は、この時点ではまだガスの中に隠れていました。 12時52分、種池山荘を出発。 今日の泊まり場は、冷池のテント場です。 冷池山荘までは、北北西に直線距離では2キロもないでしょう。肉眼でも建物の構造が大まかにわかるくらいの、まさに指呼の先です。今日は空気が澄んでいるため、いっそう近く感じます。それに、高度はこっちがやや高い。2時間もかかるなんて、とても思えない距離に見えます。 しかし、歩き出してみると、稜線をたどる道は意外に手ごわい。直線では2キロもなくとも、稜線はまず東へ、そして北へと大きく回りこんでいます。さらに、アップダウンがあります。 最初は、標高差300メートル余りを登って、東の爺ヶ岳南峰へ上がります。山頂の20メートルほど脇を、トラバース道は小迂回して、先へすすみました。 爺ヶ岳はこの南峰と、中峰、北峰と3つのピークがならびますが、この区間がけっこう上下があり、そして長い。通過には1時間近くかかります。 3つの主要ピークを抜けて、そろそろ鞍部への下降と思ったら、鞍部までにはもう1つ、2つ、小さな起伏が登下降を強いました。 足元はザレ地や砂質の地質で、高山植物の群生の規模は大きくはありません。種類は豊富。コマクサ、ミヤマダイコンソウ、コケモモ、ハクサンシャクナゲ、タカネバラ、イワカガミ、そして蕾のミヤマアキノキリンソウなどがところどころに咲いていました。 ぐんと大きくなった鹿島槍の双耳峰を目の前に見て、鞍部に下降して、針葉樹の樹林のなかを登り返すと、冷池山荘です。 14時40分着。 テント設営の申し込みをして、3リットルの水を購入(1リットル150円)。この水を担いで、150メートルほど鹿島槍方面へ登ったキャンプ指定地へ向かいました。 この天場は、稜線の高みの角にあり、風当たりが強そう。その分、眺めは抜群で、真北を除いて330度くらいが見渡せます。とくに、剣・立山連峰は、至近距離で迫力いっぱい。立山以南の北アの山々がほとんど全部、見渡せるのもすごい。南ア、富士山から浅間山、志賀、戸隠の山々も、好きな時に好きなだけ眺められます。 幸い、この晩は5張りのみの幕営でした。夕食は、うな丼と、生きゅうりと味噌。 夕陽が池ノ平山の北に沈んだあとも、残照が剱岳の岩と雪を荘厳に映し出しました。 8月1日 いつものように、私に、高度障害の頭痛がきて、バファリンを飲んでおさめました。夜半にカミさんが胃の不調を訴えました。 夜は、風が出始めたものの、北アの稜線にしては気温が高く、シュラフのみ、カバーはかけずに快眠できました。 満月が明るい朝4時に起床。私は頭痛もまったくなしの、快調。カミさんは相変わらず不調。相談のうえ、私だけが鹿島槍の山頂をピストンしてくることになりました。 4時35分、天場を出発。 快晴で、ガスもまったくありません。キャンプ指定地のすぐ先は、稜線の東側の穏やかな地形が続く場所を通過します。湿性のお花畑が続き、小さな池や窪地(ごく小規模の舟形地形)が展開して、今回の山行でたどる稜線のなかでは、もっとも花が多様な一帯でした。 雪解けが遅かった今年は、いまがドンピシャの花の盛期。シナノキンバイ、ミヤマキンバイの大きな群落があり、キヌガサソウもこんな稜線上で小さな群落をつくっていました。 5時すぎに、日の出。台風が九州に接近している余波でしょうか、風が強いなかを布引岳に登りあがり、ザレ地と岩まじりの吊尾根をたどります。この一帯では、チシマギキョウ、ムカゴトラノオが強風に耐えて群生していました。 5時54分、最後のひと登りに20分ほどを費やして、鹿島槍ヶ岳・南峰に着きました。 うれしい頂です。鹿島槍は、双耳の頂とのびやかな曲線の山稜が、遠くから眺めたときもよく目立つ山でした。いろいろな山から、この山を眺めてきました。この山に登りたいと思ってから、ずいぶん年月がかかりました。 まずは、これまで視界がさえぎられていた、五竜岳と北方の山です。五竜岳は、期待通りの武骨さ。予想したよりも大きな姿で、すぐ隣にありました。岩尾根のルートは、キレットの連続です。 次は、剱岳の眺めです。鹿島槍は、真正面から剱岳に対峙する位置にあります。岩場の小さな起伏や岩の風合いまで伝わってくるような眺めです。はるか下方に黒部別山を従えて、三ノ窓、小窓の雪渓と、左に剣沢雪渓が立ち上がり、高度感も申し分がありません。剣岳は、太陽が上昇するごとに、刻々と明るみをまし、コントラストを強めていきました。 遠望でも、鹿島槍ヶ岳は日本屈指の展望の山です。 最遠望は、鳥海山。距離は340キロ。妙高連山の金山の隣に、日本海ごしに見えてくるはずですが、今日の好条件でも、さすがに無理でした。 今朝、一番遠くに見えているのは、 富士山 165キロ 男体山 156キロ 日光白根山 146キロ 光岳 145キロ 燧ヶ岳 142キロ などの山々でした。 撮影と朝食を終えて、下山を始めたら、布引岳との鞍部に、どうもカミさんと同じ黄色のヤッケの人影が見えました。降りて行って合流すると、やはりカミさんでした。 「そこまで来たんだから、どうしても登りたかった」とのこと。体調は、お茶を飲んで日の出の山々を撮影していたら、元気が出てきたんだとのことでした。いろんな山から眺めてきた鹿島槍に、やはりいっしょに登りたかったのでしょう。 山頂に登りかえして、記念撮影。もう一度、大展望を楽しみました。 6時55分、山頂から下山開始。 花の撮影で、ゆっくり時間をかけて下って、8時38分に天場にもどりました。 テントを撤収し、9時47分 発。 種池山荘で、1個500円のアイスクリームをそれぞれ食べて、残りの果物で元気を補給。 今日の柏原新道は、登山者がぐんと増えたようです。カンカン照りの日向道と、木陰でほっとする一瞬とを、交互に味わいつつ、扇沢へと下降しました。(扇沢 14時51分 着) |
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素晴らしい稜線を歩いてきました。一日で鹿島槍ヶ岳の頂上に登りましたよ。北東北から長時間の車の旅で疲れたが登ったときの快感は最高です。下のアドレスに登山記録がかかれてあります。
http://happytown.orahoo.com/umeko127_2007/
登山口に着くまでがあんなにたいへんだったのに、翌みめいに登りだして、一気に山頂ですね。荷物もあったのに、すごいスタミナと頑張りだと思います。
夕陽の剣の写真も見事!
白神仙人登山紀行の鹿島槍ヶ岳を読んでくれましたか。体力はあると思いますよ。毎日10〜5キロを走っています。掲示板へ書き込みをしてください。妻と歩く山登りが一番好きです。
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