【奥美濃】磯谷から磯倉（ベロリ穴探索）
福井県
岐阜県
hillwanderer
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.5km
- 登り
- 1,745m
- 下り
- 1,731m
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- 山行
- 12:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:00
| 天候 | 晴れのち雨（標高約1300mより上は雪） |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2020年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
国道417号線の徳山ダム周辺の橋梁やトンネルは個性的な名前が付いたものが多いが，その中でも恐らく最も強烈な印象を残すのが，磯谷出合に架かる「磯谷ベロリ橋」。磯谷の奥に，「磯倉」というクラ（岩場）があり，そこに開いている「ベロリ穴」という穴で熊狩りの男が白い熊に遭遇し，その白い熊に出会ったことを口止めされるが，約束を破って熊に殺されてしまった，という伝承にちなんだ名称であるという。今回は，磯谷を遡ってベロリ穴を探索し，ついでに磯谷を詰めて能郷白山の南にある鋭鋒である磯倉（イソクラ，1541m峰。おそらく上記の伝承の中にある「磯倉」という岩場から山名が付けられたか？）にも登頂しようという山行。 ※ベロリ穴については，後日，3回にわたり探索を行っています。記録は↓ 【奥美濃】第二次ベロリ穴探査（磯倉のクラ）https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4852483.html 【奥美濃】第三次ベロリ穴探査（新資料に基づく再探索）https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4936363.html 【奥美濃】第四次ベロリ穴探査（オオクボダニ＆タワンボラ探索） https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4955798.html 【磯谷までのアプローチ】 ・ 磯谷の出合はダム湖になってしまっており直接降りられないため，磯谷右岸尾根経由で磯谷までアプローチした。磯谷ベロリ橋の西詰（櫨原義徳隧道の手前）から左手に道路外に出ると，薄い踏み跡が続いているため，それを辿って磯谷右岸尾根に取りつく。磯谷右岸尾根は様々な奥美濃愛好家の方々に歩かれている尾根で，藪はほとんどなく歩きやすく，気持ちの良い尾根。磯谷までは標高点644mの手前のコルからが一番標高差が少ないため，そこから下降した。急斜面だが，藪はなく問題なく下れる。 【磯谷】 ・ 基本的に坦々とした平流が続く。源頭に入ってから小滝が連続するが，いずれも容易に直登又は巻くことが可能。沢沿いに歩くだけなら，ロープ等の登攀具は必要ない。 ・ ただし，ベロリ穴探索のために（そんなことをしようと考える物好きが他にいるとはあまり思えないが…），二俣以降の両岸の斜面に入る場合は，かなり岩がちで急峻な斜面なので注意（ロープ等はあったほうがよい）。 ・ 詰めは急斜面なうえ，稜線まで背丈を越える激烈な笹薮が続く。かなりしんどいです。（ただ，源頭で沢が消える直前で小さな壁にぶつかるところで，右手の沢状地形に入ると，かなり上まで藪漕ぎなしで辿れます。帰路はここを辿ったところ，かなり楽だった。） 【磯倉西側のコル〜磯倉山頂】 ・ 当然踏み跡はなく，背丈を越える笹と灌木の濃い藪が続き，結構しんどい部類に入る藪漕ぎ（灌木の藪ではないので，まだましだが）。山頂はちょっとだけ笹が低くなっており，プラスチックの杭が打たれている（三角点はない）。以前来たときは見かけなかった立派な山名板があり，ちょっとびっくりした。 ・ 藪が濃くてただでさえ視界が制限されるため，ガスっている場合は帰路の下降時に尾根を外してしまう可能性があるので，注意が必要（まさに今回，ガスっていたため，かなり苦労しました。）。 |
写真
国道417号線の磯谷出合に架かる「磯谷ベロリ橋」。恐らく，誰もが最初見た時は「な，なんじゃこりゃ？」と思わず二度見してしまう橋名なのではないだろうか。今日の山旅はこの橋が出発点。
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磯谷は出合いがダム湖になってしまっており直接降りられないので，磯谷右岸尾根を経由して磯谷を目指す。磯谷ベロリ橋の西詰の，櫨原義徳隧道（これもすごい名前）の坑門前の左手斜面に踏み跡があるので，それを辿って磯谷右岸尾根に上がる。
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磯谷右岸尾根は，様々な先人達が開拓され，歩かれている素敵な尾根。藪がほとんどなく，快適に歩ける。紅葉の時期ならもっときれいだっただろうが，冬枯れの尾根も悪くはない。
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谷の奥に見える大きな山。地図的にはあれが磯倉っぽいのだが…。能郷白山から見る形の良い尖った磯倉の姿が記憶に残っていたので，あまりに印象が違って確信が持てない。
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北又と南又の出合。今回は，磯倉までの距離が近く，また地形的にも険しくてベロリ穴のある岩場が存在する可能性が高い北又に入る。※地形図では，北又の水線が点線，南又の水線が実線になっており，南又のほうが水量が多いように書いてあるのだが，実際は逆で，北又のほうに水が流れており，南又は伏流のようになっている。
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※地形図では，北又の水線が点線，南又の水線が実線になっており，南又のほうが水量が多いように書いてあるのだが，実際は逆で，北又のほうに水が流れており，南又は伏流のようになっている。
すると，谷の左岸側の山腹に，かなり大きな岩壁が見えてきた（地形図で言うと，標高点1199mの西側，岩記号のあるあたり）。遠くから見てもかなり目立つので，もしかしたらこれが伝承にある「磯倉」というクラ（岩場）なのかもしれない。
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岩壁の基部に近い辺りまで谷を進むと，谷の左岸側に岩場が現れ始めた。ベロリ穴があるとしたら，この辺りなのかもしれない。両岸の岩場に注意しながら進んでいく。
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そして，まさに熊が冬眠に使いそうな小さな穴も随所に…。しかし，ベロリ穴の民話から想像されるような，岩壁にぽっかり洞窟が開いているような，「これぞベロリ穴！」というような光景はなかなか見つからない。
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雰囲気的に，本当に熊が冬眠に使っている可能性もあり，あまり近くに寄りたくなかったのだが，滝の高巻きルートの途中にあって前を通らざるを得ず，正面から撮影。ありがたいことに熊はいなかったが，穴の中は砂が均されて居心地がよさそうで，実際に熊の冬眠穴である可能性もある。ただ，この小さな穴を「ベロリ穴」と呼ぶには抵抗がある。民話になるくらいだから，もっと大きな洞窟がぽっかり口を開けていてほしいのだが…。
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ただ，この小さな穴を「ベロリ穴」と呼ぶには抵抗がある。民話になるくらいだから，もっと大きな洞窟がぽっかり口を開けていてほしいのだが…。
水が枯れた後は，ひたすらガレ谷が続く。とにかく急で，息が上がる。そりゃそうだ，この谷は源頭部に入ってから一気に磯倉まで1000m近く標高を上げるのだ。
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そしてこれ，奇妙な光景。まるで人が作ったかのような，きれいな一本道のような岩場が，稜線に向かって続いている。45°くらいの傾斜で，滑落しないように気を付けながら攀じ登っていく。
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しかし，朝方は晴れていたのだが，この頃になると雲が垂れ込め始め，しかも雪まで降り始めた。沢用グローブを冬季用グローブに替えたが，足元は沢足袋のままなので冷たいのなんの。もうさすがに今年の沢登りは終了かなぁ…。
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磯倉までは地図上ではわずかな登りなのだが，背丈を越える濃密な笹薮で，足元は雪で滑り，なかなか前に進まない。固い笹をかき分け，体をめり込ませながらじりじり登っていく。
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本来は能郷白山をはじめとした眺望が素晴らしいはずなのだが，今日はタッチの差でガスに包まれてしまい，何も見えない。残念！ しかも次第に風雪も強まり，テルモスのお茶を飲んで少し休憩しただけで山頂を後にした。
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装備
| 備考 | ・フェルトソール沢足袋使用。磯谷はぬめりが強いので，フェルト推奨。 ・磯谷は源頭で小滝が連続するものの通過は問題なく，ロープなどの登攀用具がなくても遡下降可能。ただし，ベロリ穴探索のために両岸の斜面に入る場合は，かなり急峻で岩がちなので注意が必要。 |
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感想
国道417号線の徳山ダム周辺の橋梁やトンネルには，個性的な名前が付いたものが多いが，その中でも最も強烈な印象を残すのは「磯谷ベロリ橋」ではないだろうか。私も初めてこの道を走った時に，カーナビを二度見してしまった記憶がある。
水資源機構のホームページによると，この橋の名前は，徳山の民話に出てくる「ベロリ穴」に由来したものであるという。磯谷の奥に磯倉というクラ（岩場）があり，そのクラの下の洞窟で，熊狩りの男が巨大な白い熊に遭遇。命は助けてやるから，出会ったことを他言してはいけない，と白い熊に約束させられ，村に戻った男が，どうにも我慢できずに村人にしゃべってしまい，白い熊に真っ二つに引き裂かれて殺される，というちょっと恐ろしい民話である。穴の中で白い熊に会ったことを話したくてたまらず，悶々と悩んだ男の頭がベロリと禿げてしまった，というところから，ベロリ穴というらしい。（下の「備考�◆廚任海量穎辰慮曲犬魴悩椶靴討い泙垢里如ざ縮�があればご覧ください。）
磯谷は，磯倉（こちらは能郷白山の南にある1541m峰の名前。上記の民話の「磯倉」というクラにちなんで付けられた山名ではないだろうか。）を源頭に持つ大きな谷で，現在では徳山ダムのダム湖にさえぎられて容易に近づけなくなってしまっており，いつか歩いてみたいと思っていたところだった。磯倉には，過去に，残雪期に能郷谷〜能郷白山経由で一度登ったことがあるが，無雪期には登ったことがなかったので，山名の由来となったと考えられる「磯倉」という岩場があるという磯谷を詰めて登頂すれば，趣の深い山行になりそうだと考えた。また，その途上で，ベロリ穴の探索も兼ねれば一石二鳥である。
結論から言うと，今回の山行では，これがベロリ穴だ，と確信できるような洞窟は発見できなかったのだが，少なくとも以下の2つの事実は確認できた。
・民話に出てくる「磯倉」というクラ（岩場）に当たると思われる大きな岩場は実在
（特に，磯谷北又の標高点1199m西側の岩記号の箇所に顕著な岩場あり）
・実際に熊が巣穴として使っていそうな小さな岩穴は随所に実在
そして，磯谷の奥を歩き回りながら考えたのだが，ベロリ穴の存否については，以下の4つの可能性が考えられると思う。
� 〆２鷂�つけられなかっただけで，この谷のどこかに実在する（今回入らなかった磯谷の南又や，山腹のもっと上のほうの岩場に存在する可能性もある）
�◆＿甬遒砲麓尊澆靴燭�，崖崩れ等で消失してしまった
�� 民話の中のフィクションであり，もともと実際には存在しない
�ぁ 屮戰蹈蠏蝓廚箸いγ碓譴亮詑里和減澆靴覆い�，実在する「磯倉」という岩場と，その周辺に無数に点在する熊穴の記憶が，徳山の猟師たちの間で語り継がれるうちに，「磯倉というクラの下にあるベロリ穴」という一つの民話として結晶化した
今回の山行で実際に見た風景の中で一番近そうなのは，�い硫椎柔�である。徳山では「ベロリ穴」の民話にも描かれているように熊狩りがさかんで，わざわざ遠く広島から熊の胆を買い取りに来る商人もいたらしい（「徳山村民俗誌−ダム水没地域社会の解体と再生」田中宣一，2000年）。下記の備考�，乃�すとおり，熊は急傾斜地の岩場に住みつく傾向があり，磯谷の源頭部に広がる急峻な岩場は，熊の棲家となるとともに，猟師たちにとって格好の猟場ともなりそうである。磯谷の奥の磯倉とよばれる実在の岩場と，その中に点在する熊穴をめぐる熊狩りの記憶が，長い年月の中で生み出した伝承が「ベロリ穴」なのではないだろうか。民話の中でベロリ穴のことを他人に話そうとして殺されてしまうのは，貴重な猟場のありかを他に漏らしてはいけない，という狩猟上の掟の反映なのかもしれない。
しかし，個人的には，�，硫椎柔�，つまり，ベロリ穴は確かに実在していて，今もこの谷のどこかに眠っている，という可能性を夢見てみたい気もする。特に気になるのが，下の備考�△飽�用した民話原文を読んでいただけるとわかると思うが，「ベロリ穴」の民話で語られるベロリ穴の描写が妙に具体的なことである。もし単なるフィクションだとしたら，こんなに詳しい描写をするだろうか？ 今回の山行では，磯倉の登頂とベロリ穴の探索という二兎を追ってしまったため，あまり後者に時間を割くことができなかった。いつになるかは分からないが，今度はベロリ穴探索をメインにして，この谷を再訪してみたい。
でも，本当にベロリ穴を見つけてしまって，そこで出会った白い熊に口止めされたらどうしよう。頭が「ベロリ」とはげてしまうかもしれない…。
【備考� ХЪ蹐蠅函屮�ラ」地名について】
「白山麓焼畑出作り民の山地語彙その2〜狩猟を中心に（橘礼吉，山口一男）」という論文に，熊狩りについて興味深い記述があったので書き留めておきたい。（なお，以下はあくまで白山山麓の風習なので，奥美濃にも全く同じ風習があるかは分からないが，恐らく似たようなものだったのではないだろうか。）
猟師たちは熊の猟場を「クラ（倉）」と呼んでいたそうだ。もともと「クラ」は岩場や露出した巨岩を意味するが，ツキノワグマはそうした岩がちな急斜面にいる傾向が強く，猟場を意味する言葉として定着したらしい。猟師の言う「クラ」は，下部に急峻な傾斜地または岩場があって，その上部は尾根に連なっている場所であるという。
これらの「クラ」には，「桧倉」「大倉」「トマリ倉」など，植生や地形的な特徴などから猟師たちによって様々な固有名称が付けられていた。クラでの猟法としては，尾根の上に打ち手が陣取り，谷底から勢子（追い上げ役）が急峻な斜面を登りながらクラの中にいる熊を追い上げ，熊が尾根に出てきたところを打ち手が打ち取ったものらしい。熊狩りの猟師はかなりの急斜面を登る必要があり，特に残雪期に行う巻き狩りでは，カナカンジキ（現在で言うアイゼン）をつけて氷化した急斜面を直登したりトラバースできなければ熊は獲れなかったという。猟師はかなりの氷雪技術を身に着けたアルパインクライマーだったわけだ。
今回歩いた磯谷の奥で見た岩場の地形は，この猟師たちが言う「クラ」に似通っていた。もしかしたら，「ベロリ穴」の民話に出てくる（そして1541m峰「磯倉」の山名の由来となったかもしれない）「磯倉」も，こうした熊狩りの猟場で，熊狩りに由来する「クラ」地名だったのかもしれない。
【備考�◆�民話「ベロリ穴」 〜「とく山 むかし話」（徳山小学校編）より引用〜】
磯谷の奥に、磯倉ってとこがあるが、そこの倉もとに、深い岩の洞が有る。
斜めに底へ降りとって、人がかがんで入れるくらいのいかさで、足もとは砂利になっとる。
むかし山手の猟師が、櫨原へ年頭に出かけて、磯谷口にかかったとこが、そこにいかい熊の足跡があった。年頭を先にへしようかどうしようかと迷ったが、そうじゃ、ほんのそこまで、見るだけでもみといたれと思って、ついづい磯倉までつけていくと、それがこの洞穴ん中へ入っとった。
はは、この中か、こいつはうまいと思って、猟師がそん中をのぞいてみると、暗てようわからんが、どうも、さっきのやつらしい熊がどってと寝とり、その奥にまた、白い動くものがぼやっと見える。
ふしぎじゃなぁ、なんじゃいなと思うしなに猟師がじっと見とった時や、その白いものが、ずいずいっつと目の前に来て、猟師はびっくりついて腰を抜かいた。
むりもない。
それは今まで見たこともない、白い毛の熊やった。
そうしてそのクマが腰をぬかいた猟師に言うには
「命も助けてやる。それからおまいの見つけたこの熊もくれてやる。そのかわり、この穴に俺が居ったことは、村の者にもだれにも、かならず言うな、言うとその場で命はないど。これをかつんて、早う行け」
それでその猟師は、白熊に得た熊をかつんで、後も見ばこそ、磯谷を半分走り半分すべって村におり着いた。
ところがそれからというもの、猟師の胸には、その白熊のことがしみついてまって、それがまた業なことに、そのことを、他人に話いてみとて、どもならん。
話そうか、いや、話すと殺される。そうかってこのまま胸にかくいとくのも、なかなかのしんぼうじゃ。
どうじゃ、話すと、ほんとうに殺されるのじゃろうか。
いったいあれは、何じゃろう。
こがいなふうに思いわずらっとった。
そうしたら、その猟師の頭の毛が、日に日にはげてきて、それでついづい、ペロリはげに、はげてまった。
猟師が、しまいには、まあ辛抱できんようになってまって、よっしゃ、どうなってもええわいと思うしなに、その時来とった隣の者へ向いて・・・
おれがなぁ磯ん谷口の・・・と言わんと思い
「イソ・・・」と言いかけたら、直っきに猟師の後ろへその白熊が出て、その猟師を股からまふたつに裂いて投げたということやが、それからこの穴を、べロり穴 というようになったということじゃ。
＜関連記録（ベロリ穴探査シリーズ）＞
・ 第二次（磯倉のクラ探索）
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4852483.html
・ 第三次（新資料に基づくタワンボラ探索）
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4936363.html
・ 第四次（オオクボダニ探索＆タワンボラ再探索）
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4955798.html
・ 第五次（さらなる新情報に基づく磯倉のクラ探索）
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6223101.html
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take1104 さん
考察が鋭く、柳田国男ばりですね。
民話中の名詞は、ロランバルトの記号学でいう神話素で、神話作用があるものではないかと、思ったりしますがどうでしょう・・・。
白熊の「白」は、カモメのジョナサンの「白」に通じるのかもしれませんね。
hillwandarerさんのディスクールから、こんなことを思ったりしました。
hillwandarerさんの踏査力には、今回も圧倒されました。
floatcloudさん，こんばんは。そんな偉い先生と比べられると戦々恐々です…(^^;
磯倉，杉倉，雷倉，合セ倉…いろんな倉がありますが，岩場のクラであり，熊を追う場としてのクラであり，山の神様が降臨する場としての磐座（いわくら）でもあったのかもしれません。ダムに沈む前の徳山の住人の方々が深いところで共有していた神話の体系を私は持っていないので，そうした名詞がどんな神話作用というか，意味作用を持っていたかを少しでも知るためには，本を読んだり，藪を漕いだりするしかないのでしょうね。
白い動物は神の化身又は使いであるというのは，よく目にする神話素でもありますが，floatcloudさんのおっしゃるとおり，「ベロリ穴」の民話に出てくる白い熊は，かもめのジョナサンがかもめを超えたかもめであるのと同じように，熊を超えた熊，山の神様のような存在なのかもしれません。
ところで，また別の文献を読んでいたら，別バージョンのベロリ穴の民話が出てきてしまいました。その話ではベロリ穴は「磯谷の大久保」というところにあって，中にいるのは白い熊ではなく，「ベロリン婆」という山姥だというのです(^^; ベロリ穴，変幻自在だなぁ。大クボというからには，今度は枝谷なんかも探さないといけないかもしれません…。
酔狂とゆう言葉はhillwandererさんのためにあるようなもんすね。磯倉、膨らまし式カヤックのアプローチで のんびりいこかな…とか。
素晴らしいレコのアップあざましたー
ありがとうございます（笑）徳山ダムができる前は普通に入れてたんだと思いますが、ダムで塞がれると逆に気になりますね。ゴムボートも本気で考えたこともあります。お隣の漆谷も結構いいところらしいので行ってみたいです。
ゴムボートは直進性が悪いのでカヤックがオススメでーす
なるほど！ありがとうございます（笑）
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