鳥海山再訪――祓川から雪渓と花の北東面ルートを登る
- GPS
- 56:00
- 距離
- 9.5km
- 登り
- 1,210m
- 下り
- 1,193m
コースタイム
東京・西多摩の自宅(6時20分)車→東北道経由。途中、郷里の福島市で墓参り→山形道、東北中央道路、国道13号経由→秋田側の湯沢市院内から鳥海町を経て矢島町→花立牧場公園キャンプ場(18時25分)泊
8月8日
キャンプ場(5時45分)車→祓川駐車場・車道終点(6時21分)
祓川駐車場(6時47分発)→祓川ヒュッテ(6時49分)→竜ヶ原湿原→タッチラ坂→賽の河原・6合目(7時41分〜50分)→御田・7合目→七ッ釜避難小屋(8時10分)→七ッ釜・8合目→康新道分岐(8時27分)→大雪渓→氷の薬師・9合目・岩のV字谷(9時02分)→舎利坂→七高山(10時27分〜38分)→新山(11時12分〜29分)→七高山(12時03分〜15分)→康新道分岐→康新道コース・尾根ルート→分岐(13時59分)→賽の河原(14時27分)→祓川ヒュッテ(15時12分〜16分)→駐車場(15時20分)
駐車場(15時35分)車→ふもとの宿着(16時02分)泊
8月9日
ブナ林できのこ探索と撮影。
宿発→仁賀保高原→象潟より日本海岸の道路を南下→酒田市街→鶴岡→笹川流れ→新潟県村上市の瀬波温泉 泊。
8月10日
→東京・西多摩の自宅 着。
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
7年ぶりで、今度は北面の矢島口(祓川・はらいがわルート)から鳥海山に登ってきました。 7月まで雨が少なかったこの夏の、豊富な残雪と花を期待して。 キタエゾシオガマ、チョウカイフスマ、チョウカイアザミ、イワブクロ、ヒナザクラなど、東北地方でも限られた地域に分布する、この山の独特の花々が迎えてくれました。 ただ、東京から鳥海山はやはり遥かな山になります。北面の秋田県側からの入山となったため、往復の走行キロは1165キロに達しました。 登山の記録はこちら http://trace.kinokoyama.net/touhoku/chokai2008.htm きのこ探索の記録はこちら http://trace.kinokoyama.net/fungi/field-rpt/tyoukaisan-murasakiyamadoritake080809.htm 前回の鳥海山の記録はこちら 鳥海山――心字雪渓と静寂の草原 2001年8月5日 http://trace.kinokoyama.net/touhoku/chokai2001.htm |
写真
感想
8月8日
花立キャンプ場を、5時45分発。
車道は分岐が2回あるだけで、これならば夜でも走ることができるしっかりした舗装道路だった。ブナの美しい林の中を道は続く。見晴らしがいい場所で、朝日に照らされる鳥海山を撮影した。
6時20分、祓川の駐車場に着く。40台ほどのスペースがあり、給水施設とトイレが併設されている。
6時47分、登山開始。
3分とかからずに、祓川ヒュッテの前に出た。ここは、素泊まりの登山者を受けいれている。水も補給できる。
ヒュッテからは、「竜ヶ原湿原」を横断する木道をすすむ。コバギボウシの赤紫色のつぼみが目立つ。白花タイプのヒオウギアヤメも群生していた。
湿原をぬけると、潅木帯の登りになる。モミジイチゴの花がまだ盛り。雪解けが遅いのがわかる。サンカヨウやトリカブトなども芽吹いて間がないという姿だった。
30分とかからずに、「賽の河原」と呼ばれる少し開けた湿地に出る。ここからさっそく最初の雪渓を登る。雪と湿原と、そして上部では火山らしい景観に独特の高山植物群が加わる。変化が大きい鳥海山の登山道だ。
潅木帯の登りが平坦な木道歩きに変わると、今度は大きく開けた湿原に出た。 「御田」(7時41分)と名づけられた場所。
目の前に大きな雪渓の末端があり、雪解け水が天然の堀となってめぐっている。その傍らにヒナザクラがちょうど見ごろの白い花を咲かせている。こんなに小さなサクラソウの仲間が、ここ鳥海山では夏の花の主役の一つになっている。
私たちは、2人分で合計3・5リットルの水と、6個の果物(梨、ネクタリン)を持ってきた。そのうち私は水1リットルしか担いでこなかった。ここでカミさんのザックにその水と食糧の全部を持ってもらうことにした。腰に違和感があり力を入れられないのと、右足の股関節がひどく痛くしびれるため。昨日、郷里の福島市の墓参りと墓掃除のときに、雑草除けに25キログラムの塩の袋を担いだ。腰の違和感はそのときからのもの。股関節は、2年越しのことだが、今日はいつもより痛みがひどい。
一休みして、また気持ちがよい雪渓登りとなる。雪渓の下部は傾斜あるので、ガレのうえの踏み跡をたどり、雪の上に乗った。右へ回り込みながら雪渓が伸びているので大きさは正確につかめないが、300メートルあまりはありそう。前方に雪渓上部の末端が見えてくると、そこにある「赤テープ」などの標識を目印に、登山道への合流地点を定めて、登って行った。
潅木帯の登りの見通しが利かない場所に、「七ツ釜避難小屋」の道標があり、その少し先に「康ケルン」が建っていた。そしてまた小さな雪田と湿性の花畑。ミヤマツボスミレの群落がある。そばの矮木は、木の枝からタカネザクラとわかる。カミさんが、「これ、ブルーベリーの仲間だね」というので、近づいて見ると、ブルーベリーそのままの形の、ふたまわりほど小さな実をたくさんつけた木があった。マルバスノキかな。
滝の音が大きくなると、「七ツ釜」の連瀑帯。釜は全体の6割ほどが、スノーブリッジの下にあり、まだ姿を現していなかった。
8時27分、康新道分岐に出る。
火山岩のガレが堆積したくぼ地を、右手から雪田の雪解けの沢水が流れ、七ツ釜の沢へと通じている。湿原の植物が点在する美しい空間だ。
尾根ルートをたどる「康新道」は、ここから右手を進んでいる。
そこで休んでいた地元の2人の年配の男性に、「花はどっちが多いですか?」と聞いたら、「尾根の新道の方が多かったよ」という。2人は、昨日、新道を上がり、山頂の宿泊所に泊まって、今日は旧道コースを下りてきたところだった。
私たちは、まずは、変化が大きな旧道コースを上がることにした。私の足腰にさらに症状が強く出たときも、よく踏まれたこのルートの方が何かと融通が利く。
分岐からは、雪渓の登りとなった。左から右へ、回り込みながら登ってゆくと、幅が大きく広がり、前方はるか先まで大雪渓となって続いている。「大雪路」と呼ばれる一帯で、8月の今頃でも、500メートルほどの長さの雪渓が残っていた。
登りあがって、ガレをすすむと、また雪渓。その上に、もう一つ、くぼ地を埋める雪田があった。見上げると、七高山はもう目の前に立ち上がっている。けれども高度差はまだ相当にある。最後の雪田を過ぎると、上部は両岸が岩で囲まれたV字型の沢筋になり、その右岸(上流から見て)をときにへつるように、登山道は伸びている。足場に注意がいるところ。マルバシモツケが白いにぎやかな花を開花させたもの、まだ堅いつぼみのものなど、群生している場所があった。
9時02分、「氷の薬師」と呼ばれる場所に着いた。
「薬師」がどこを指しているのかは、判別できない。このあたりの岩と残雪の様子が、この名前を思い起こさせたのではないか。
沢筋はますます傾斜をまして、ついに登山道はその沢型を左に離れて、登りあがっていく。
足元に、きれいに隙間なく積んだ石畳が現れると、「舎利坂」と呼ばれる最後の急登の始まりだ。
ミヤマアキノキリンソウは、ここではもう花の盛り。
小さな流水が地表をぬらしている一帯に、ヒナザクラがここにも群生していた。ふつうのヨツバシオガマの群生もあるが、背丈が50センチ前後もあり、花を10数段にわたって付けるキタヨツバシオガマが、見つかった。
砂と岩くず、ガレが不安定に斜面にとどまっている、歩きにくい場所に、北日本の高山植物、イワブクロが群生していた。いよいよ七高山が近くなると、そのイワブクロの大きな群落もあった。そして、チョウカイアザミの大群落も。個性的な花があふれるような山だと感じた。
10時27分、七高山に到着。
青空を背景に黒ぐろとした岩の山が、すぐ目の前に立ち上がっている。水分と果物をとって、私のザックはデポして、その新山山頂を目指した。
11時12分、最高地点の新山山頂(2236メートル)に登りついた。
帰路は、チョウカイフスマを撮影しつつ、七高山へ戻った。
12時30分、七高山から下山開始。
新道のスタート地点は、尾根を最初から忠実に下るのではなく、舎利坂を高度差で40メートルばかり下った分岐点から始まる。ここの道標で旧道と別れ、山腹を左斜め下にトラバースしつつ、七高山から北北東に伸びる尾根筋に接近していく。尾根上部の岩場の危険地帯を、こうしてやり過ごして、切り立った尾根に合流した。
潅木とハイ松、岩場まじりの尾根は、2箇所ほど大きな段差の場所があるが、危険地帯はうまく避けながらルートが設定されているので、安心だった。強風や見通しの利かない条件では、このルートは避けた方が良いようだ。
そして、上部のわずかの危険箇所を通りぬければ、あとは旧道よりも歩きやすいハイ松や草原の道となる。尾根筋をすすむだけに、山頂部や外輪山、そして旧道側の俯瞰など、抜群の眺めが展開するのも、このコースの醍醐味です。外輪山の中は、山頂部が北に向かって崩壊した大斜面が展開している。人がほとんど立ち入ることがない残雪と沢筋なんだろう。どんな世界がそこにはあるのだろうか。
私も下半身の痛みとしびれを、ときどきは忘れながら、この展望ルートを楽しんだ。
13時59分、旧道との分岐点に合流した。所要時間は、旧道を降りるのと、ほとんど同じぐらい。
ここからの下降が、痛む足腰にはつらい行程でした。標準タイムよりゆっくり降りた。
14時27分、御田を通過。携行した水がほとんどなくなったが、あと一息のため、腕を冷水に漬けるだけにした。数秒で腕が痛いほどの冷たさがくる。気分一新、降り続けた。
15時12分、祓川ヒュッテに到着。軒先にひいた水で喉を潤した。
15時20分、駐車場 着。
この日は、ふもとの「フォレスタ鳥海」ホテルに泊まり、汗を流して、足腰を養生し、翌日のブナ林のきのこ探索にそなえた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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tanigawa さん
8月始めの鳥海山には残雪が多いのですね。
去年初めて8月末に湯の口台から登ったこと
思い出しています。
一番印象に残っている山です。
イワブクロとチョウカイフスマはきれい
残雪は、今年は雨が少なかったので、より多く残っていたのかもしれません。
湯ノ台からは、心字雪渓の付近が雪渓ですが、祓川のコースは大小の雪渓や雪田がつぎつぎ現れるので、変化がありました。
花も姿も独特でいい山ですね。
また、今度は別のルートから登ってみたいです。
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