ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 294895
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
剱・立山

快晴の毛勝山[雪崩に巻き込まれる]

2013年05月05日(日) [日帰り]
 - 拍手
GPS
12:10
距離
23.8km
登り
2,204m
下り
2,204m

コースタイム

駐車地点(325m) 5:10
片貝第四発電所(475m) 5:50
阿部木谷入口(713m) 6:45-55
宗次郎谷出合(840m) 7:15
毛勝谷入口(1250m) 8:40
稜線コル(2365m) 12:05-10
毛勝山山頂(2414m) 12:30-45
稜線コル(2365m) 13:10
片貝山荘(700m) 16:00
駐車地点(325m) 17:20
 Total 44,000歩
 累計標高差 上り2150m 下り2150m
天候 快晴のち曇り(ガス)
過去天気図(気象庁) 2013年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
◇今年は4月に肌寒い日が続き、山の残雪も例年になく多い。谷筋をたどる毛勝山は雪崩が懸念されるため、一旦立てた計画を先送りするつもりになっていた。しかし、5月5日が全国的な晴天と聞いて、病い膏肓というか念願の毛勝山登山を決行してしまった。

◇登山口への道路状況
 片貝川沿いの道路は季節の進行にあわせて奥まで順次開通して行く。5月5日時点で、片貝第四発電所の手前2.8km地点で通行止め。登山口の片貝山荘まで約6kmである。
 当日早朝5時に現地に到着すると、既に10台の乗用車が駐車していた。みな揃って未明から毛勝山をめざしているようにわたしには思われた。

◇阿部木谷まで
 第四発電所を過ぎると支谷からの残雪で道路はところどころ寸断されている。ときに大きく登り越えることも。
 僧ヶ岳に登る男性1人が先を行き、別にもう1人男性スキーヤーが自転車で追い越していった。あとで聞くと、このスキーヤーは毎年この時期に毛勝谷を滑降しているとのこと。

◇阿部木谷の状況
 阿部木谷は入口付近だけ若干道路が露出しているが、進むにつれて川筋以外全面残雪に覆い尽くされている。さらに支沢からの土砂を含んだ雪崩が生々しく連続する。5月2日まで降雪があったことを考えると、最近頻々と雪崩が発生しているといえる。ただ土石崩壊流で有名な大明神沢はいまのところおとなしいようである。

◇毛勝谷の上り
 無風で陽射しが強く、ひどく暑い。ちなみにこの日の気温、出発時2℃、毛勝谷10℃以上、主稜線0℃
 1500m付近、勾配が出てきたところでアイゼン装着。健脚者はキックステップだけで登っている。
 結局この日の登山者はわたしがしんがりで、そのほか2人×2組、スキーヤー1名以上6人および猫又から毛勝三山を縦走(テント泊)の男女4人だけだった。駐車地点のあの10台のクルマは何だったのか?
 毛勝谷も雪崩は歩くうちにも頻々と起きていたが、主に最近積もった新雪がブロック状に崩落してくるもの。
 新雪の深さは上部の深いところで膝高さほど、見た目は純白で美しいが、アイゼンを効きづらくさせている。
 主稜線直下の斜面勾配は35度程度、評判ほどの急勾配ではなく恐怖感も特にない。延々と続く直登に息があがりバテぎみ、こういうシチュエーションではスタミナ補給が重要。
 谷の登高中、下方の阿部木谷から雪崩の地響きがしきりに聞こえる。強い陽射しで雪が緩んできたのだろう。帰路が思いやられる。

◇主稜線
 しんがりのわたしが主稜線に到達したのが12時過ぎ、期待通り剱岳や後立山連峰の大眺望が展開していた。しかし30分もしない間に西から発生したガス雲が山稜をたちまちのうちに包み込んでしまった。
 北アルプスの主稜線はすべて最近までの新雪に覆われ、冬山に近い純白の装いであった。

◇毛勝谷の下り
 主稜線直下は急勾配だが、後ろ向きにフロントポインティングで下るほどでもなく、迷う。新雪が斜面に被っているのでアイゼンも効きにくい。わたしを含めて5人がほぼ13時前後に下りはじめたが、見れば各人とも自分のスタイルで下っている。犬連れの男性などは犬と一緒に尻セードであっという間に遠ざかって行った。

◇雪崩に巻き込まれる
 上りと同じくわたしが最後尾を歩いていたところ、支沢からまとまって新雪のブロック雪崩が襲ってきた。止まる気配もなく雪塊群がうねりながら津波のようにどんどん迫ってくる。走って逃げられる速度ではない。観念して雪塊群に乗った。ザックの背に圧力を受け、騎馬軍団の先陣を駆けるがごとく、斜面を滑降し、およそ100mほど流されて自然停止。うまい具合に先を歩いていたひとたちに追いつくことができた。怪我の功名?
 しかし、これ以上雪崩にあうのはたまらない。毛勝谷・阿部木谷の雪崩の巣をとにかく一刻も早く通過せねばならない。一時も休まず急ぎに急いだ。午後は雪がグズグズに腐ってツボ足が沈む。気は焦るが速度は出ない。
 阿部木谷の堰堤橋までたどりついて、ようやくひと安心。足がふらつき、ひどく空腹を覚え、堰堤にへたりこみ、口にはいるものを片っ端から喰らう。アイゼンを外し終えて、「無事生還」を実感。

◇フィナーレ
 ひと心地を取り戻した頃には先行4人の姿は既になく、あとは駐車地点までひとりのんびりと歩くだけとなった。
 戻り来てみれば、12時間に及ぶかなり際どい毛勝山はじめての山行だった。
 駐車地点では汗に誘われたか羽虫が襲来、着替えもできず、汗まみれのまますぐにクルマを出発させた。
 魚津の平野に出ると背後に遠く、毛勝三山が夕陽に輝いていた。
片貝川線は第四発電所手前
2.8km地点で通行止め
2013年05月05日 05:16撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 5:16
片貝川線は第四発電所手前
2.8km地点で通行止め
川沿いに歩いて行くと、遠くに
残雪の山が‥あれは何だろう
2013年05月05日 05:23撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 5:23
川沿いに歩いて行くと、遠くに
残雪の山が‥あれは何だろう
山岳スキーヤーが自転車で
アプローチ(なるほど)
2013年05月05日 05:50撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 5:50
山岳スキーヤーが自転車で
アプローチ(なるほど)
道路に徐々に解け残った残雪が
はみ出してくる
2013年05月05日 05:59撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 5:59
道路に徐々に解け残った残雪が
はみ出してくる
片貝山荘と第五発電所
2013年05月05日 06:35撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 6:35
片貝山荘と第五発電所
阿部木谷入口手前から遠望
毛勝山が遥か遠く
2013年05月05日 06:44撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 6:44
阿部木谷入口手前から遠望
毛勝山が遥か遠く
阿部木谷にも立山杉が?
樹齢何百年だろう
2013年05月05日 07:10撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 7:10
阿部木谷にも立山杉が?
樹齢何百年だろう
阿部木谷875m地点の堰堤橋
谷は残雪で埋めつくされ、道路は
ほとんど見えない
2013年05月05日 07:25撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 7:25
阿部木谷875m地点の堰堤橋
谷は残雪で埋めつくされ、道路は
ほとんど見えない
阿部木谷は奥に入るにつれ
支沢から土砂混じりの雪崩の
あとが生々しい
2013年05月05日 08:10撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 8:10
阿部木谷は奥に入るにつれ
支沢から土砂混じりの雪崩の
あとが生々しい
阿部木谷の上部
谷幅が狭まり威圧的
2013年05月05日 08:10撮影 by  DSC-WX100, SONY
5
5/5 8:10
阿部木谷の上部
谷幅が狭まり威圧的
土砂混じりのデブリ
2013年05月05日 08:16撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 8:16
土砂混じりのデブリ
こんな雪ブロックが衝突したら
ダメージが大きい
2013年05月05日 08:11撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 8:11
こんな雪ブロックが衝突したら
ダメージが大きい
阿部木谷屈折点・板菱(1030m付近)
尾根裾の小さな黒点が先ほどの
スキーヤー(健脚だ!)
2013年05月05日 08:21撮影 by  DSC-WX100, SONY
2
5/5 8:21
阿部木谷屈折点・板菱(1030m付近)
尾根裾の小さな黒点が先ほどの
スキーヤー(健脚だ!)
阿部木谷の終わり近く
まわりが段々明るくなってきた
(どの支沢からもデブリ)
2013年05月05日 08:33撮影 by  DSC-WX100, SONY
2
5/5 8:33
阿部木谷の終わり近く
まわりが段々明るくなってきた
(どの支沢からもデブリ)
大明神沢からの土砂雪崩が
見えない(新雪で覆われたのか)
2013年05月05日 08:39撮影 by  DSC-WX100, SONY
4
5/5 8:39
大明神沢からの土砂雪崩が
見えない(新雪で覆われたのか)
いよいよ毛勝谷入口(1250m付近)
太陽の陽射しがまぶしい
2013年05月05日 08:40撮影 by  DSC-WX100, SONY
4
5/5 8:40
いよいよ毛勝谷入口(1250m付近)
太陽の陽射しがまぶしい
登ってきた阿部木谷を振り返る
2013年05月05日 08:41撮影 by  DSC-WX100, SONY
2
5/5 8:41
登ってきた阿部木谷を振り返る
1500m付近でアイゼンをつける
地元の人は毛勝谷でも平気で
アイゼンなしで登るというが‥
2013年05月05日 09:36撮影 by  DSC-WX100, SONY
2
5/5 9:36
1500m付近でアイゼンをつける
地元の人は毛勝谷でも平気で
アイゼンなしで登るというが‥
大きく右に蛇行しながら毛勝谷を
ひたすら登る、先行者の姿も
視認できるようになった
2013年05月05日 09:47撮影 by  DSC-WX100, SONY
8
5/5 9:47
大きく右に蛇行しながら毛勝谷を
ひたすら登る、先行者の姿も
視認できるようになった
歩くピッチが全然あがらない
バテぎみ
先行者も似たような感じ?
2013年05月05日 10:03撮影 by  DSC-WX100, SONY
6
5/5 10:03
歩くピッチが全然あがらない
バテぎみ
先行者も似たような感じ?
男女4人パーティが下りてきた。
テント泊で毛勝三山を縦走したと
2013年05月05日 11:10撮影 by  DSC-WX100, SONY
3
5/5 11:10
男女4人パーティが下りてきた。
テント泊で毛勝三山を縦走したと
稜線コル、犬連れの2人組が
休憩中(毛勝谷入口からコル
まで3時間以上かかった)
2013年05月05日 12:15撮影 by  DSC-WX100, SONY
3
5/5 12:15
稜線コル、犬連れの2人組が
休憩中(毛勝谷入口からコル
まで3時間以上かかった)
コルから毛勝山山頂
2013年05月05日 12:26撮影 by  DSC-WX100, SONY
4
5/5 12:26
コルから毛勝山山頂
威風堂々の剱岳
2013年05月05日 12:14撮影 by  DSC-WX100, SONY
9
5/5 12:14
威風堂々の剱岳
後立山連峰が一望
五竜岳から鹿島槍ヶ岳
2013年05月05日 12:26撮影 by  DSC-WX100, SONY
6
5/5 12:26
後立山連峰が一望
五竜岳から鹿島槍ヶ岳
後立山・白馬岳方面
2013年05月05日 12:27撮影 by  DSC-WX100, SONY
3
5/5 12:27
後立山・白馬岳方面
山岳アドヴェンチャースキーヤー
朝言葉をかわし、山頂で再会
急峻な谷を颯爽と滑降していった
2013年05月05日 12:35撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 12:35
山岳アドヴェンチャースキーヤー
朝言葉をかわし、山頂で再会
急峻な谷を颯爽と滑降していった
毛勝山山頂はひたすら広い
雪の下にはお地蔵さんなどが
あるとのこと
2013年05月05日 12:44撮影 by  DSC-WX100, SONY
2
5/5 12:44
毛勝山山頂はひたすら広い
雪の下にはお地蔵さんなどが
あるとのこと
快晴の空に突然のガス雲
猫又山・釜谷山が呑込まれて行く

2013年05月05日 12:37撮影 by  DSC-WX100, SONY
2
5/5 12:37
快晴の空に突然のガス雲
猫又山・釜谷山が呑込まれて行く

毛勝山南峰もすぐにガス雲に
包まれそうだ
2013年05月05日 12:37撮影 by  DSC-WX100, SONY
5/5 12:37
毛勝山南峰もすぐにガス雲に
包まれそうだ
下り来て、片貝川の畔の山の神に
きょうの山行の御礼
(なんとか生還できて感謝)
2013年05月05日 17:19撮影 by  DSC-WX100, SONY
1
5/5 17:19
下り来て、片貝川の畔の山の神に
きょうの山行の御礼
(なんとか生還できて感謝)
帰路振りかえれば、魚津平野の
向こう毛勝山が夕陽に輝いていた
2013年05月05日 18:12撮影 by  DSC-WX100, SONY
5
5/5 18:12
帰路振りかえれば、魚津平野の
向こう毛勝山が夕陽に輝いていた

感想

◇5月下旬の山行に向けて、この日はもともと下調べの予定でした。従って確かな山行計画のないまま山に入ってしまった。しかも山域は携帯通信の圏外で登山中連絡不可、夕刻クルマに戻ってはじめて家族に結果報告。
 こういうときに限って事故は起こりがち。最大の反省点です。

◇いまだに自分流のスタミナ補給のスタイルが確立していない。今回のような重負荷の山行ではあまり食べないまま登り続けることはできない。食べ方の創意工夫と研究の必要性をあらためて実感しました。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:7415人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら