剱岳 残雪の早月尾根〜別山尾根を経て室堂へ
- GPS
- 30:00
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 2,793m
- 下り
- 1,119m
コースタイム
移動日 馬場島17:50 幕営
6月8日
馬場島5:40 - 9:51早月小屋10:15 - 13:41剱岳14:05 - 剱沢17:10 幕営
行動時間11時間30分
※予想タイムは早月小屋まで5時間、剱山頂まで8時間。小屋までは快適に標高を
稼げたけどその後は少し時間がかかってしまった。夏道での転倒や岩場の通過
に慎重になったためだ。山頂から剱沢までは3時間くらいをみていた。
全体としては剱沢まで11〜12時間ほどを見込んでいたので予定どおりに歩く
ことが出来てよかった。
6月9日
剱沢8:25 - 9:06剱御前小舎9:20 - 室堂11:40
行動時間3時間15分
※室堂へ下山するだけなので遅めに出発。お昼くらいの到着を目指してひたすら
雪渓を下りていった。まあ、こんなものかな。
天候 | 6月8日 くもりのち晴れ 6月9日 晴れ ※ヤマテン予報(剱岳) 6月7日 500hPaで−15℃以下のこの時期としては強い寒気が南下する。 このため、非常に変わりやすいお天気になる。 午後遅くには、標高の高い稜線では雪となり、雷を伴うこともある。 6月8日 上部では概ね晴れるが、北方稜線の北部など低い雲が残るところがある。 6月9日 日本海の高気圧に覆われ、上空の寒気も抜けて晴れる。 風も次第に落ち着き登山日和になる。 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
町田11:39 → 新宿12:10(小田急線) 新宿12:17 → 東京12:31(中央線快速) 東京12:44 → 越後湯沢14:12(上越新幹線Maxたにがわ411号) 越後湯沢14:38 → 富山16:35(はくたか14号) 電鉄富山16:48 → 上市17:14(富山地方鉄道) 上市17:20 → 馬場島17:50(タクシー) 6月9日 室堂12:15 → 扇沢14:21(立山黒部アルペンルート) 扇沢15:00 → 信濃大町15:35(路線バス) 信濃大町15:56 → 松本17:00(大糸線) 松本17:18 → 八王子19:35(あずさ30号) 八王子19:49 → 町田20:14(横浜線) |
コース状況/ 危険箇所等 |
★登山ポスト 馬場島荘の玄関にあり。 ★早月尾根 長い雪稜歩きが続く。 時々現れる夏道の存在と赤テープを常に意識しながら見失わないように 雪稜の端を登る。 1800m付近からアイゼンを装着。 早月小屋はまだ営業していない。 断続的に雪の消えた夏道が出てくる。 2800mから上部のクサリは露出している。 ★別山尾根 剱岳山頂から「カニのヨコバイ」〜ハシゴ〜平蔵のコルまで雪はない。 コルから先は雪の付いた岩場の登り、雪渓上部の稜線歩き、雪の消えた 夏道のトラバースなど雪面歩きと夏道歩きが交互する。 懸案の前剱の下降は急斜面の雪渓下降を避けてハイマツ混じりの岩稜帯を 下った。ここは夏道ではないがなんとなく歩かれている様子がありおかげで 無事に前剱を下りることが出来た。 4年前の同じ時期にここで滑落事故が発生していることを後で知った。 アンザイレンしていた2名の滑落だったようだ。 そういう意味で前剱の下降が核心だったような気がする。 その後は一服剱を越えて剱沢まで雪渓歩きが続く。 ★雷鳥坂 夏道は上部でわずかに出ているがほとんどまだ雪に埋もれている。 雪の大斜面の登下降になる。 ★トレース 早月尾根では1400m〜1500mくらいで1名の下山者とすれ違った。 途中までその方の踏み跡はあったが早月小屋のだいぶ手前で引き返した ようだった。その後は1人分の数日前と思われる辛うじて見分けがつく 薄い踏み跡が雪稜に続いていた。 別山尾根には鮮明な踏み跡があったが平蔵谷に続いていた。 思わずそれに引き込まれて平蔵谷を下ろうかと思ったが自重した。 結局、剱沢まで1〜2名の薄い踏み跡しかなく、誰とも会わなかった。 週末なのでもう少し人が入っているかと思ったがそうではなかったようだ。 剱沢からは鮮明な踏み跡が続いている。 ★アイゼン着脱 早月尾根では1800m付近で装着し、途中、雪の消えた夏道が出てきても 外さずに剱岳山頂までそのまま通した。 それが災いしたのか、夏道で石か枝にアイゼンを引っ掛けてしまい派手に 転んでしまった。膝を数cm裂傷し出血したが幸い歩行には影響なかった。 山頂でいったん外して別山尾根の下りにかかった。 平蔵のコルまでアイゼン必要なし。コルで再び装着し前剱の下降で外した。 一服剱を下りたところで再度装着、そのままテン場まで通した。 剱御前小舎からの雷鳥坂の夏道はほとんどまだ雪の下。早々にアイゼンを 装着した。そこそこの傾斜のある雪の大斜面だったので慎重に下降した。 ★剱沢テン場 野営場管理所付近、雪面上もしくは雪のない平地に張ることが出来る。 ただし、平地の方は3張り程度しか張れないだろう。 この日は私を含めて8張りだった。 水が出ているので随時補給可能。 近くの公衆トイレが掘り起こされていて利用出来た。 ★山小屋営業期間 早月小屋・・・7月1日〜 剣山荘・・・6月下旬〜 剱沢小屋・・・7月1日〜 剱御前小舎・・・営業中 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ 1
予備電池 2
1/25,000地形図
ガイド地図 1
コンパス 1
笛 1
筆記具 1
ライター 1
飲料 1
ティッシュ 2
バンドエイド 1
タオル 1
携帯電話 1
雨具 1
防寒着 1
スパッツ 1
手袋 2
ビニール袋 1
替え衣類 1
シュラフ 1
シュラフカバー 1
水筒 1
時計 1
日焼け止め 1
非常食
アイゼン 1
ピッケル 1
サングラス 1
ヘルメット 1
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共同装備 |
テント 1
テントマット 1
コンロ 1
ガスカートリッジ 1
コッヘル(鍋) 1
ラジオ 1
カメラ 1
|
感想
剱に登頂するときは早月尾根からと決めている。
それは雪がなくてもあっても同じこと。
もちろん厳冬期など考えられない。
5月15日までの富山県登山届出条例期間内も私のような
レベルの低いヤマヤには難しいかもしれない。
だからやるとしたら5月15日以降〜6月上旬くらいかなと
考えていた。
当初の予定は、
6月7日 早月小屋で幕営
8日 剱岳登頂、剱沢で幕営
9日 室堂へ下山
こんな感じの日程的にも無理のない余裕のある行程だった。
ところが、ヤマテンの予報で7日〜8日午前中は上空500hPaで
−15℃以下というこの時期としては強い寒気が南下してくる
という情報に接した。この影響で不安定な天候になり落雷に
注意とのことだった。
この予報を受け、直ちに7日の登山を中止し、行程を変更した。
6月7日 馬場島で幕営
8日 剱岳登頂、剱沢で幕営
9日 室堂へ下山
8日は体力勝負になるが山頂は晴れの予報だったので何の
迷いもなかった。
早月尾根は池ノ谷側の雪稜歩きが長く夏道は時々顔を出す程度だった。
登りながら感じていたのが悪天時、特に濃霧時はルートファインディングが
難しいだろうなということ。登りより下降のほうが迷いやすいと思う。
一応、目印の赤テープはあるので常に周囲に気を配って見逃さないことだろう。
それとアイゼン着脱のタイミングの難しさを実感した。
本来ならば面倒くさがらずにその都度着脱すればいいのだろう。
しかし、それが出来ない性格なので夏道もアイゼンで通してしまった。
その結果、転倒して出血、おまけにアンチスノープレートの脱落という
おまけまでついてしまった。
上部、クサリ場のアイゼンでの登りも慣れていないと難しいかもしれない。
アイゼン着脱のタイミング、アイゼンでの岩場の登りは残雪期ゆえの難しさだろう。
別山尾根はもう少し人が入っていると思っていたので拍子抜けした。
剱の山頂意外では誰にも会わず静けさを保っていた。
まあ、確かに、無雪期は一般ルートだけど積雪期は数段難しくなる。
それと北方稜線や長次郎谷、平蔵谷などのバリエーションをやる力のある人達は
わざわざ別山尾根を使うことはないだろうし。
やっぱり実際に来て見ないとわからないね。
一番の難所、核心部は何といっても前剱からの下降。
事前の情報収集でここをもっとも警戒していた。
幸いにも急斜面の雪渓を下降せずに下りられてよかった。
4年前にはここで滑落があって亡くなられた方がいる。
ほんとに滑ったらどこまでも墜ちていってしまうと思う。
下り切ったときの安堵感はいうまでもなかった。
そして剱沢テン場からの剱。
苦労して登頂して眺める剱は格別だった。
剱には雪がよく似合う。
岩と雪の殿堂。よくいったものだ。ほんとにそのとおりだね!
冬は残雪期限定の剱だけどこの山の底知れぬ魅力の一部を堪能出来た。
次は北方稜線だね。
きっとまた違う魅力を見せてくれるに違いない。
どこに行かれてたかと、剱岳でしたか
それも残雪の早月尾根
すばらしいですね
年々登山の難易度を上げてらっしゃるのがすごいです
向上心に頭が下がります
9月に北方稜線ですか、いいですね
自分もチャレンジしてみたくなりました
sakura0725さんもチャレンジしましょう!
北鎌尾根でも北方稜線でもいいです。
とにかく前をみて進んでいきましょう。
成功しようが失敗しようが関係ありません。
とにかくやってみなければ何も始まりません。
ちなみに今は「前穂北尾根」を単独でやれないものかと
日毎DVDを見ながら考えています。
残雪の剱、早月尾根。お疲れ様でした。
流石、siriusさんですね。
いやあ、素晴らしい景色ですね。
昨年の夏、剣沢から見た絶景を僕も思い出しました。
早月尾根からの残雪期の縦走は憧れです。
しかし、東京からだと、アプローチがね。
北方綾線、八つ峰、前穂北尾根単独。
同じこと。僕も妄想してます。
makasioさん、こんにちは。
北陸新幹線が開業すれば少し楽になりますよ。
もうちょっと先の話ですが。
憧れで終わらせるにはモッタイナイ。
充実度200%のいいルートだから。
挑戦あるのみ。
最近はいろいろ妄想が多くて大変。
実現すればいいけどどうかな。
妄想で終わらせないようにお互い頑張りましょう!
Siriusさん、こんばんは。
いいサイトをご紹介しましょう。
僕もいろいろここで学びました。
Siriusさんも、ぜひ!
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Asagao/1031/page003.html
クマ
P.S 前穂北尾根は、商業登山の団体さんが結構やってきて、混み合います。あまりおすすめできません。
こんにちは。
サイト拝見しました。
まだ全ては見ていませんが
かなり詳細な説明ですね。
学ぶべきことがたくさんありそうです。
じっくり読ませてもらいます。
ありがとうございます。
前穂北尾根はガイドツアーが多そうですね。
人気のルートだから仕方ないですけど。
1度は是非、やり抜いてみたいと思っているんです。
まだいつかはわかりません。
DVDを見てから日増しにその思いが強くなっています。
siriusさん、ご無沙汰しております。
いや〜、私も狙っていた残雪期の剱岳、じっくり読ませていただきました。
なかなかに手ごわそうですね。
まさに「試練と憧れ」でしょうか?
siriusさんは一度、滑落を経験されているせいか、厳しい場面でも、勝算があって突破されているのが、文章から伝わってきます。
私も行けるのか行けないのか判断をきちっとできる登山者になりたいですが、勢いで行っちゃうことがあるので、まだまだです。
今年の夏山もパワフルなレコをお待ちしていますよ〜
nagagutuさん、こんにちは。
おひさしぶりですね。
他の方のレコを見て、
早月尾根の登高はそれほど心配しませんでした。
問題は前剱の下降でした。
最悪、引き返すことも頭にいれてました。
急斜面の雪渓を下降せずにすんだのは結果オーライです。
滑落を経験してから特に雪面の下降に慎重になりましたね。
教訓が生きてるのかもしれません。
それにしてももっと人が入っていると思っていたのに
少し拍子抜けしました。
残雪といえど難しいイメージがあるのかな。
もちろん簡単ではないですが。
近々、再び上高地から日本海を目指しますよ!
西穂から北上します。
前穂北尾根単独、計画されてますね
出来ます、しかもロープ無しで、ただし
晴天、ガス風なし、ルートミス無し、が絶対条件です。
それにフリークライミングの経験か、三級の岩を
楽に登れる技術が有れば、単独フリー出来ます。
頑張って下さい。
higaerisazenさん、こんにちは。
コメント遅くなってすみません。
7月30日〜8月5日で北ア縦走してきました。
北尾根やってみたいのです。
問題はクライミングの経験がないことなんです。
そこをどうするのか。
よく考えてみます。
貴重なアドバイスありがとうございました。
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