笛吹川東沢釜ノ沢
- GPS
- 12:52
- 距離
- 23.6km
- 登り
- 2,727m
- 下り
- 2,711m
コースタイム
天候 | 曇り(15〜20℃) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
道の駅みとみに駐車。広い公衆トイレが使いやすいのでここより近くにも無料駐車場はあるもののここが気に入っている。土産物も買える。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆登山ポスト 何箇所か登山ポストがある。 ◆道の状況(東沢) 基本的に沢登りなのでしっかりとした道は無い。それでも丹沢の沢と比べてもテープや標識も豊富だし、踏み跡も明確なので安心できる。 ◆装備 装備としては長目のシュリンゲ程度と言う記述のガイドブックもあるが、ナメでの転倒リスクを考えればヘルメットは必須、靴もきっちりと沢に適したものを選ぶ必要がある。やはり通常の沢登りの装備を基準にした方が無難だろう。 ただロープよりも10m程度の細引きの方が便利が良いと感じた。(荷も軽くなる) ◆幕営 所々に焚き火と幕営の跡が見られた。広河原の樹林辺りが好適と感じた。 |
写真
感想
かねてから是非訪れてみたいと思っていた笛吹川東沢釜ノ沢からの甲武信岳への登路。1月に乙女ノ滝にアイスクライミングに訪れてより一層その念を強くしていたが、A木CLがまるでテレパシストのように計画してくれた。日程的にも僕にはここしかないと言う日程であり、梅雨の時期にしてちょうど良く前線が遠くなっている。日帰りで強行軍ではあるけど、好い山旅になる予感があった。
梅雨だけどこの週末は前線も遠退いてくれた。湘南は猛暑になるらしい。湘南を午前1時に出発し、道の駅みとみに着いたのは3:40過ぎ、まだ暗いので明るくなるまで車中で仮眠を取ることとした。
4時を過ぎてくると段々と空も白んでくる。4:20過ぎにモゾモゾと起き出して準備をしだす。4:42に出発。
林道を歩き東沢と西沢の二俣の吊り橋を渡り、更に冬季には凍結して氷壁よりも難しかった斜めに掛けられたステンレスの橋を渡ると西沢渓谷の看板がある。ここから東沢に向かったところが入渓点だ。
A木CLはここでの徒渉を見越して最初から渓流足袋仕立てだ。流石。その他3人はここでそれぞれ沢靴に履き替えた。すぐに鶏冠谷出合になる。魚留滝を高巻き、清兵衛のF1上を通過すると法螺貝のゴルシュに至る。山ノ神までほぼ東沢左岸に付けられた径を行き、順調にコースタイム通りに山ノ神に着いた。多少崩壊している所はあるものの赤テープやケルンを目印に拾って行けば問題ない。山ノ神から河原に出て朝食休憩とする。
ここからは河原のゴーロを右に左に徒渉しながら歩いていく。やがて左右から名だたる沢が壮麗な滑滝を懸けて合わさってくる。まずは東御築江沢が右から、そして左から乙女ノ沢が乙女ノ滝を懸けて合流する。凍りついた氷壁も圧巻だったが、50mのツルツルのスラブはいよいよ以て難しく見える。次に右手からまた長大な300mの滑滝で東ノナメ沢が合流する。
吊り橋から河原を行く2人パーティーが見えたがその2人だろう、一段目を横切っていた。おそらく偵察しながら釜ノ沢を溯行しているのだろう。他の皆は河原を進んで行ったが僕は一段目を登ってみる。それなりに細かい筋目を拾っていくと登れる。しかしこれが300mも続くと神経戦って感じだ。そして左から名無し沢のスラブを経て西ノナメ沢が合流すると、もう少しで釜ノ沢出合になる。
釜ノ沢出合でハーネスとヘルメットを着けた。釜ノ沢に入るとすぐに突き当たり左に魚止滝が見える。滑らかなスラブの美しい滝だ。ここは左壁から樹林に取り付く。浅いスタンスに立ち込んで背を延ばしフレークを両手で取ってオポジション気味に攀っていくと数手で立木に届くく。A木、I坂、僕と続いたが、最後に残されたT女史が登れない。ゴム底の靴が上手くグリップさせられないと言うのもあるが、リーチが足りないのも一因だ。A木CLが昔はお助け流木が掛かっていてそれほど難易度は高くなかったと言うが。結局ロープを下ろしてゴボウで上がった。
この上から千畳ノナメになる。本当に美しい。新緑の木々がナメの上に差し掛かり更に美しさを増している。一枚岩のスラブを緩やかに水が流れていく。T女史はもはや全然靴が信用できなくなり、ナメの右端をおっかなびっくりで歩いている。更に数分で三段のナメ滝に至る。各段毎に碧の釜を湛えている。
曲り滝を経て両門ノ滝に至る。両門ノ滝も想像以上の迫力で落ちている。ここで時間を見ると若干遅れを戻して来たようだ。小休止して左岸の巻き道に取り付く。すぐに迷い沢と本流の合流点だが、迷い沢側に赤テープがあってちょっと迷わせる。赤テープに従って数m登り迷い沢をトラバースして薬研の滝との間の尾根を行くのが正解のようだ。6m滝を越すと川幅が広がり明るいゴーロの広河原になる。この歩きが1時間位続く。途中で赤テープに導かれて右側の樹林の径に入ったが、その方が遥かに歩きやすく大分時間稼ぎにはなったようだ。所々に焚き火の跡が見られる。この辺りなら安心して幕営もできそうだ。
標高1870mで右手から明確な沢が入って来るので少し迷わせる。左側の本流を行くとすぐに2段20mのナメ滝に出る。これを超えて10分程登ると二俣の中心に幹に標識が打ち付けられている大木が見えてきた。水師沢出合だ。ここから小滝とナメが連続するが、傾斜も強くなってくるので登高にも喘ぐようになる。みんな身体が重いと口々に言い出した。でも振り返ると来し方の渓が深く見え気持ちが好い。水師沢出合から35分で木賊沢出合になる。木賊沢の手前に1本涸れ沢があった。木賊沢を横切って本流との間の尾根の明確な踏み跡を辿って行く。この源流域のナメもどこでも登れて楽しめるところだ。キラリと光るものが見えたと思ったらポンプ小屋だった。
ポンプ小屋で沢装備を解いて一休みして稜線に向かう。ここからは普通のハイキング道。コイワカガミとキスミレが大群落を成していた。シャクナゲも見られたがもう新芽が出ていて残念ながら花はひとひらも残っていなかった。稜線の甲武信小屋に出てそこに荷物をデポして甲武信岳を往復した。天気予報では午後は晴天となっていたが、生憎曇天のままだ。それでも奥秩父から奥多摩の山々の重なっている展望は得られた。
甲武信小屋は丸太のウッドデッキも設けられてとても瀟洒な感じだ。北面斜面にテント場が設けられているが夜はどんな景色が見えるんだろう?さてここからの帰り道も相当なもの。まずは木賊山に100m位登り返しが必要だし、そこからの下りも1300m以上あり、長い。戸渡尾根を下り1869mの分岐点で近丸新道を取るか徳ちゃん新道を取るか相談し、結局徳ちゃん新道を降りることにした。時折、鶏冠谷の沢音が近づいてきて期待させてくれるのだがいつの間にかまた遠ざかり落胆し、そんなことを繰り返していたが、左手からヌク沢の音がしてくるともう100m程度と元気づけてくれた。とは言え西沢渓谷の林道に着いた時にはへたり込んでしまった。
道の駅に帰り着いての疲労感はこの間の鳳凰三山日帰り山行の時と同じくらいだった。案の定、GPSのログを見たらそんな結果だった。もうみんなこう言う山行する歳じゃないよね、とあの時話していたのに、またちょっと頑張ってしまった。
さりとて皆がこんな山行をできる訳ではないし、まだこんな山行ができるってなんだか自信も取り戻せる。まあ、頑張れるのも幸せだし、頑張れる内は頑張るかな。
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