比良南北縦断(権現山〜リトル比良)☆シロヤシオ咲く縦走路に
- GPS
- 09:55
- 距離
- 28.4km
- 登り
- 2,141m
- 下り
- 2,495m
コースタイム
- 山行
- 9:02
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 9:55
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー 自家用車
和邇駅から権現山登山口までタクシー(¥2390) |
写真
感想
最近、長距離の歩いていなかったので、久しぶりに比良の縦走を試みる。権現山から縦走を始めることは決めていたが、下山ルートは未定であった。釈迦岳からインタ谷口に下り、近江舞子駅に向かうか、あるいはヤケオ山から楊梅の滝を経て北小松駅に下るかは釈迦岳に着いた時点での時間と体力次第で決めることにする。
この日は晴天の予報ではあったが、未明の京都市内は雲が広がっている。ラジオ深夜便の天気予報では日本海側の高気圧に覆われ、関西は広範囲に晴天が広がることを告げている。日中は相当に気温が上昇し、名古屋では30度の真夏日となるらしい。
権現山の登山口に向かうべく栗原を抜けたところで、ふと空を見上げると空はすっかり晴れて、天の川が見えている。想定外ではあったがミニ三脚を立てて、天の川の撮影を試みる。写真を撮るうちに肉眼ではわからないが、写真が明るくなってゆく。空が明るくなりつつあるようだ。登山口に到着したのは4時前なっていた。
この日の日の出の刻は4時54分、何とか日の出の時間には間に合うだろう。しかし、ズコノパンの展望地で琵琶湖大橋の夜景を写真に撮っていたせいだろうか、権現山の山頂に到着したのは日の出にギリギリの時間であった。すぐに山頂の北東の展望地に移動すると朝陽が伊吹山の右手から顔を出すところであった。
朝陽が東の空を昇り始めたのを見届けるとホッケ山へ向かう。ホッケ山からは京都の北山の展望が一気に広がるが、やはり北山の方は雲が多い。
苔の緑が朝陽を浴びて黄金色を帯びる。ホッケ山から小女郎峠に向かうと朝露にしとどに濡れた草がシューズに当たると瞬く間に靴の中まで濡れてゆく。今日はトレラン・シューズなのだが、このシューズは防水性が全く無い。
小女郎ヶ池のあたりはいつも鹿が多いところだ。鹿の群れが笹を食んでいたようだが、私の出現に驚いて慌てて斜面を駆け上がってゆく。池のほとりを巡ると、さざ波ひとつない水面はまるで鏡のように空の景色を映している。風が全く無いことを知る。上空には意外にも雲が多い。
再び縦走路に戻ると朝日は雲の中に隠れてしまい、琵琶湖の景色がすっかり変わっている。湖東の方面はうっすらと朝霧がかかり、なんとも幻想的な光景が広がっている。
蓬莱山の山頂にたどり着くと武奈ヶ岳、釈迦岳の比良の北の山々の景色が視界に入る。ふと見ると伊吹山の左手には御嶽山、右手には中央アルプスの山並みが見えている。さらにその右手、鈴鹿山脈の彼方には見慣れない山々のシルエットが見える。どうやら八ヶ岳と南アルプスのシルエットのようだ。やはり今朝はこの季節にしては珍しく空気が澄んでいるのだろう。雲の合間から琵琶湖のこぼれ落ちた朝陽が湖上に金属的な眩い反射を放っている。
比良岳に向かうには打見山から木戸峠を経るルートが一般的かもしれないが、朝の人がいない時間帯とはいえ打見山を越えるのはあまり食指が動かない。水仙の花が植えられたスキー場の斜面を横に見ながら、スキー場を下ると打見山との鞍部から汁谷に下る。
汁谷のシャクナゲは終盤ではあるが、クリンソウはこれからのようだ。比良岳の南斜面を流れる谷との出合に至るとここのシャクナゲは咲き始めであり、まだ蕾も多い。ホンシャクナゲとは種類が違うせいだろうか、葉の様子も異なるようだ。
比良岳の南の谷に入ると途端に新緑の緑の世界に飛び込む。このあたりの沢沿いにはどこにも多くのバイケイソウが見られる、新緑のブナが多く見られる南尾根を辿って比良岳の山頂に立つ。
烏戸山に近づくといよいよシロヤシオの花が登場する。山頂の近くはまだ咲き始めのものが多かったが、ブナの高木が立ち並ぶ鞍部を越えて小ピークca1010mに登り返すと華やかに満開の花を咲かせたシロヤシオが多く目立つようになる。途端に花々の写真を撮るのに夢中になり、なかなか先に進めなくなる。
南比良峠に向かうべく西側斜面の植林帯に入るまでシロヤシオの花が続く。南比良峠から堂満岳ヘは躊躇なく南尾根を進む。最初は踏み跡が薄いがやがて尾根が細くなると尾根芯上に明瞭な踏み跡が現れるようになる。東側には朝霧に浮かぶ湖東の山々、南には蓬莱山から辿ってきた表比良の縦走路の好展望を見ながら堂満岳の山頂を目指す。
堂満岳の山頂が近づくと、シャクナゲの群落の中に入る。山頂のあたりではシャクナゲはほとんどが終盤であったが、東レ新道に入るとまだ綺麗に花をつけたシャクナゲが少なくない。金糞峠の手前で左手の沢に降りて水を補給する。
金糞峠に至るとアオガレを登ってこられたのだろうか、単独行の男性に出遭う。北比良峠からは釈迦岳を見ると東側斜面に雲が立ち上っている。新緑の低木は黄色の花がよく目立つ。花の上に突き出た特徴的な三裂葉はシロモジのようだ。カラ岳を過ぎて釈迦岳が近づくとここでもシロヤシオの花が多くみられる。もう少しで満開になりそうな花株が多い。
釈迦岳に到着すると時間は丁度、10時だ。斜面の北西の展望地でしばらく休憩する。釈迦岳は昨年の夏にも早朝にご来光登山をした時以来であるが、この展望地は切り払いがされて以前よりも広くなったように思うのは気のせいだろうか。眼下に黒谷のあたりの水田、釣瓶岳から蛇谷ヶ峰へと続く奥比良の新緑の稜線、その彼方には野坂山地の山々を眺めながら、この先の山行計画を逡巡する。
ここからワンゲル道を通って下山するには流石に時間が早いのでヤケオ山までは行くことにしよう。その先、リトル比良まで足をのばすという可能性もあるが、カメラのバッテリーの残量が少なくなっているのが気がかりだ。天の川やシロヤシオの写真を撮るのにバッテリーを消費しすぎたのだろう。寒風峠から下山することにしようと考える。
釈迦岳からヤケオ山にかけての尾根は好展望が続くところでついつい写真を撮ってしまう。ここでも随所にシロヤシオが咲いている。足元にはピンクのイワカガミに混じって白いイワカガミが目立つ。先ほどまではすっかり曇っていた空から陽射しが差し込むようになってきた。同時に急に蒸し暑さが感じられるようになってきた。
ヤケオ山からはその北東にリトル比良の山並みを俯瞰する。この日は夕方に大きなプレゼンテーションの仕事があり、帰宅後はその準備のために数時間を要するところではあるが、ここからの景色を眺めていると、やはりリトル比良の稜線を縦走してみたくなる。
正面に山々を見下ろしながら寒風峠への急下降を下ると、ここでは数名の単独行の男性とすれ違う。嬉しいのは紅紫色の花を満開に咲かせたユキグニミツバツツジに出遭えたことだ。この時期、稜線のどこかで出遭えないものかと期待していたのだった。
寒風峠から先に進むと樹林帯に入り、途端に林相が異なる。所々でヤマツツジやベニバナドウダンツツジが紅い花を咲かせている。岩阿沙利山は山頂の西側の仏岩から再び奥比良方面の大展望が広がる。いつしか三重獄を中心とする野坂山地の山並みが近づいたようだ。
登山路は岩が多く、快足で飛ばすわけにもいかない。陽射しが強くなってきたが、樹林帯であるのが救いだ。単独行の女性とすれ違うが、大きなリュックを背負い、力強く歩いて行かれる。荷物の大きさからするとテン泊縦走の山行だろうか。
鳥越峰の山頂手前の分岐点で今度は単独行の男性とすれ違う。ご挨拶すると暑いですね〜とのこと。確かに標高が低くなり、風も少ないので、午前中とは異なりかなり暑く感じられる。ヤケオ山から眺めた時の大きな山容とは対照的に山頂は樹林に囲まれた狭く殺風景なところだった。
鳥越を過ぎて岳山に向かうと地味に小さなアップダウンを繰り返す。岳山は峻険な印象の山名とは裏腹に地味な山であるが、山頂には祠があり、その中には石仏が祀られていた。山岳信仰の対象の山なのだろう。登山道の周囲では朱色のヤマツツジやベニバナドウダンツツジの花が目立つ。
ここからは近江高島に向かって下る一方ではあるが、これが結構長く感じられる。ザレ場を過ぎると古い石の階段が現れる。かつて観音堂があった名残りらしい。石段のすぐ近くてコポコポという音が聞こえ、水が湧き出しているところがあった。水がほとんどなくなっていたので、ここで水を補給できたのはまさに観音様の救いのように思われた。
林道に出ると日差しを遮るものがないので、暑さが増す。左手にエメラルド・グリーンの水を湛えたため池が現れる。池の手前からは岳山と蛇谷ヶ峰が綺麗に見えていた。
近江高島の駅に到着すると湖西線の列車は1時間に二本しかない。次の新快速まで30分ほど待たなければならない。車を回収して帰る必要がなければビールを喉に流し込みたいところである。到着した新快速の列車にはほとんど人は乗っていなかった。
最後は近江舞子駅で新快速から各駅停車に乗り換えて和邇の駅まで移動する。駅にはタクシーはいなかったが、タクシー乗り場の案内板に記された第一交通に電話するとすぐにもタクシーが到来する。運転手は私のいでたちを見るや、行き先を告げるまでもなく「権現山登山口までやね」と合点する。説明をするまでもなく「車をそこに停めてあるんやな」と理解される。
タクシーはすぐに大津日赤の志賀分院の前を過ぎる。運転手によるとコロナのせいで病院は予約患者と救急車で運ばれる急患しか受け付けていないそうだ。それでも受け入れ先の見つからないコロナの患者を乗せた救急車が一二台ほど病院の前で停まっていることが多いという。
登山口に到着すると駐車場は他に5台ほど停められ、満車状態である。この日は家に帰ってもビールが飲めないのがなんとも残念であった。
比良山全山縦走は、まだ八雲ヶ原にヒュッテがあった学生時代にテント泊で2日間に渡り実行したことがあります。まさか1日で、しかも10時間足らずで踏破されるなんて!yamanekoさんは矢張りbakenekoさんですね😁
私なんぞは3月の坊村から平の南比良縦走でさえヘトヘトになっておりました😂
権現山〜蓬莱山で迎える朝の景色は相変わらず美しいですね。空気が澄んでいてしかも無風だという条件は稀だと思いますので最高でしたね。小女郎ヶ池の水鏡がまた綺麗です。
シロヤシオは今年は花付きが良さそうですね。鈴鹿ほどたくさんの樹があるわけではないのですが、控えめな比良のシロヤシオは品があって好きです。観に訪れたいところなのですが天候とタイミングが合わず逃してしまいそう。
でもヤマネコさんのレコで比良の魅力を存分に楽しませてもらった充実感があります👍
コメントどうも有難うございます。
私はほとんど空身に近いほどの軽装ですし、ウリさんが学生の頃のテン泊山行であれば(私も同じ頃ですが)、相当な重さを背負われたことでしょう。地図で見るとリトル比良はそれほど高低差はないように見えるのですが、ここは何気に疲れますね。
坊村からの1000m級10座の縦走もそれは疲れるでしょう。
権現山〜蓬莱山は朝日が昇る前の湖面、そして始めてからの反射がいいですよね。その点、武奈ヶ岳よりもついついこちらに足を運んでしまいます。それから確かに小女郎ヶ池の池面にさざなみが立たないのは珍しいかと思います。
この数日は梅雨前線が日本列島を横断するようにかかっていますが、その後はしばらく晴れるみたいですよ。私のレコでは良さは全く伝わりませんので、是非、ウリさんの素敵なレコでシロヤシオを表現されて下さい。
yamanekoさん、こんばんは😊
なんと!金曜日はロングな縦走だったんですね〜。
この稜線、いつか繋げてみたいなとは思ってるんです。
もちろん、何回かに分けてですけど💦
リトル比良が手強いと聞きますがどうでしょうか…🤔
シロヤシオはやはり陽の光を浴びるときれいですね🎵
ヤケ山辺りはこれからはサラサドウダンが咲くようで、チャンスがあれば訪れようと狙っています😊
riepicoさん コメント有難うございます。
ののさんがコメント下さっておられるように当初はヤケ山から涼峠を経て下るつもりだったんですが、ヤケオ山からの展望を見ているうちに・・・それとこれからの暑い季節になるとここを縦走するのは難しいだろうな・・・という思惑もありました。
リトル比良は大きなアップダウンはないように見えますが、確かに手強いでしょうね。実際には小さなアップダウンを繰り返し、しかも南比良や表比良に比べて疲れを吹き飛ばすような開放的な展望や華やかな花々も少ないので、黙々と樹林を辿ることになりますね。今回は標高が下がったのと時間帯のせいもあってリトル比良に入ると急に蒸し暑くなり、一気に水の消費量も増えてしまいました。
シロヤシオが終わるとすぐにサラサドウダンの季節ですね。私はその季節にヤケ山のあたりを歩いたことはないのですが、サラサドウダンは北比良峠〜南比良峠、それから武奈ヶ岳の西南稜でも多いと思います。今週末あたりはユキグニミツバツツジも満開になるのではないかと思いますが、これは比良岳〜葛川越あたりが多いかも・・・です。
山猫さん、おはようございます。
山猫さんのタフさに改めて脱帽です。まあ1day比良十座一筆書きを歩かれる方ですからね。すごいです。
きれいな写真のレコを拝見していていろいろと思い巡らしておりました。
まず一つ。日の出時間が4時台になっているんですよね。北アなどでの朝焼けを久しぶりに見たいものです。
二つ目は、琵琶湖バレイの水仙が満開の季節なんだ。GWも実感のないままに過ぎちゃったものな〜
しんどいことはしない家族とは、ワンコ連れでロープウエイとリフトに乗って蓬莱山のゲレンデ散歩とドックランが一つの楽しみなんですけどね。これも自重です。
このルートだとヤケオ山から普通は涼峠経由で北小松ですよね。リトル比良の稜線に魅了され寒風峠へ降りられたご様子。それも当日の夕方にプレゼン予定がおありだったとのこと。心身ともにタフでございます。
和邇駅から登山口までのタクシー料金は2,390円なんですね。ここは積雪期のお気に入りルートでして、栗原までの朝一バスが平日限定になりましたからタクシーにて「行けるところまで行ってください」と乗車しましたが、積雪で進めず2,000円手前で下車した記憶があります。
横スレでごめんなさい。riepicoさんに言っておりました「比良で登山口〜駅間が一番近いのは北小松駅」は訂正です。リトル比良ですが、こちらの音羽〜近江高島駅の方が近いです。リトル比良も面白いですよ。真夏はお勧めしませんけど。
ののさん コメント有難うございます。
久しぶりにトレラン・シューズを履いたのですが、この時期の比良はトレランは難しいでしょうね。黙々と走るには好展望や素敵な花々が多すぎて
>まず一つ。日の出時間が4時代・・・
私も日の出の時間を確認して驚きました。
>北アなどでの朝焼けを久しぶりに見たいものです
山小屋泊、テン泊共に今年も難しいかもしれませんね。
半国高山あたりで如何でしょうか?
>二つ目は、琵琶湖バレイの水仙が満開
今週末は終盤だと思います。季節の過ぎるのが本当に早いですね。
>当日の夕方にプレゼン予定・・・
準備に3時間は必要・・・と思っていたのですが、自宅に帰ってシャワーを浴びると2時間ほどしかなくて
まさに自分で自分の首を絞める結果になりました
>積雪で進めず・・・
それって、ここ2〜3年の話ではないですよね?
今や昔話になりつつあるような?
>真夏はお勧めしませんけど。
御意です。
yamanecoさん こんばんは
空も花も緑も湖も見えるものすべてが美しいですね。
感動だなあ。。。
コメント有難うございます。
この日はこの季節にしては珍しく空気が澄んで、そのお陰で綺麗な朝焼けや天の川を見ることが出来たのだと思います。よくよく考えると朝露もそのせいだと思います。
確かに今は新緑と花が美しい季節ですね。季節の変わり目は美しい天候が見られることが多いですが、それにしても今年は梅雨入りが早いですね。
yukkyさんも熊野で美しいものに加えて美味しいものや気持ちいいものを堪能されたことでしょう
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