記録ID: 3292801
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科
赤岳主稜で滑落事故。救助の(ちょっとだけ)お手伝い(行こう!歯科健診登山部)
2021年06月20日(日) [日帰り]


体力度
4
1泊以上が適当
- GPS
- 07:03
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,319m
- 下り
- 1,314m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 2:32
- 合計
- 7:03
距離 11.9km
登り 1,319m
下り 1,322m
15:04
ゴール地点
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
---|---|
アクセス |
写真
文三郎道から赤岳主稜への分岐付近に人だかり。
滑落事故発生とのこと。
主稜とりつきから少し登ったところで滑落した模様。
既に山岳関係者のAさんが長野県警と連絡を取り合っているものの、松本空港付近の雲が取れずヘリが飛べないとの事。
歯科医師と名乗り、手伝える範囲で手伝いますと申し出ました。
滑落事故発生とのこと。
主稜とりつきから少し登ったところで滑落した模様。
既に山岳関係者のAさんが長野県警と連絡を取り合っているものの、松本空港付近の雲が取れずヘリが飛べないとの事。
歯科医師と名乗り、手伝える範囲で手伝いますと申し出ました。
要救助者とは直線距離で50m程。
呼びかけには応えるものの、右手を負傷。左手は動くが、ザックの中のものを取り出せない状態。
ヘリがいつになるか分からないので、水と食料、防寒着を届けようとしたら、通りすがりの山岳関係者から
「二重遭難になるから、やめた方がいい」
「遭難救助をやろうとして怪我をしても、保険は降りない」
と、強く止められました。
忸怩たる思いですが、言う通りです。
要救助者の側に行くことを断念します。
この時、この山岳関係者の方に失礼な態度を取ってしまいました。この場を借りてお詫びいたします。
貴方がハッキリと止めてくれなければ、二次遭難を起こしていたかもしれません。止めて頂いてありがとうございました。
呼びかけには応えるものの、右手を負傷。左手は動くが、ザックの中のものを取り出せない状態。
ヘリがいつになるか分からないので、水と食料、防寒着を届けようとしたら、通りすがりの山岳関係者から
「二重遭難になるから、やめた方がいい」
「遭難救助をやろうとして怪我をしても、保険は降りない」
と、強く止められました。
忸怩たる思いですが、言う通りです。
要救助者の側に行くことを断念します。
この時、この山岳関係者の方に失礼な態度を取ってしまいました。この場を借りてお詫びいたします。
貴方がハッキリと止めてくれなければ、二次遭難を起こしていたかもしれません。止めて頂いてありがとうございました。
文三郎道から見える松本空港方面は雲の中。
歯科医師の立場で自分ができることは、今の状況を聞き取り、救助隊に聞き取りのまま伝える事。
50m離れた要救助者に声を張り上げて問診。
手足の痛み、痺れ、吐き気、めまい等を聞き取る。年齢、身長、体重、持病の有無等を確認。
歯科医師の立場で自分ができることは、今の状況を聞き取り、救助隊に聞き取りのまま伝える事。
50m離れた要救助者に声を張り上げて問診。
手足の痛み、痺れ、吐き気、めまい等を聞き取る。年齢、身長、体重、持病の有無等を確認。
今の所要救助者の声は力強く聞こえます。
しかし、見えないのでなんとも判断しようがありません。
時折声をかけて容体を確認するが、悪くなったとしてもどうすることもできません。
それでも声をかけ続けます。
11時23分。
赤岳天望荘から応援到着。
Aさんと私がこれまでの状況と要救助者の状態を報告します。
しかし、見えないのでなんとも判断しようがありません。
時折声をかけて容体を確認するが、悪くなったとしてもどうすることもできません。
それでも声をかけ続けます。
11時23分。
赤岳天望荘から応援到着。
Aさんと私がこれまでの状況と要救助者の状態を報告します。
ヘリの手配が済んだので、文三郎道の交通規制をする事に。
ヘリが隊員を下ろし、要救助者をピックアップする時に広範囲にダウンウォッシュ(吹き下ろし)の風が吹き危険なのです。
登ってきた外人さんが2人足を止めておりAさんが「日本語…通じるか?」と困惑。
私が英語で説明、了解して頂き急いで上がって貰いました。
ヘリが隊員を下ろし、要救助者をピックアップする時に広範囲にダウンウォッシュ(吹き下ろし)の風が吹き危険なのです。
登ってきた外人さんが2人足を止めておりAさんが「日本語…通じるか?」と困惑。
私が英語で説明、了解して頂き急いで上がって貰いました。
青字にオレンジのライン。
長野県警のヘリの「やまびこ1号」が飛んできましたが、行者小屋の上空を旋回してそのまま茅野市方面に戻ってきました。
ぬか喜びさせられて、ガックリ来る私とAさん。
下見?無関係の定期パトロール?
長野県警のヘリの「やまびこ1号」が飛んできましたが、行者小屋の上空を旋回してそのまま茅野市方面に戻ってきました。
ぬか喜びさせられて、ガックリ来る私とAさん。
下見?無関係の定期パトロール?
立ち止まって体が冷えてきました。Aさんの連れの方も寒そうにしています。
Aさん「山荘の方も到着したので、ここで我々にできることはもうありません。低体温症になる前に動きましょう」
と私に促します。
実際、もう後はヘリを待つだけなので、赤岳展望荘のHさんを残して、私とAさん(と連れの方)は文三郎分岐まで登りました。
Aさん「山荘の方も到着したので、ここで我々にできることはもうありません。低体温症になる前に動きましょう」
と私に促します。
実際、もう後はヘリを待つだけなので、赤岳展望荘のHさんを残して、私とAさん(と連れの方)は文三郎分岐まで登りました。
最初の場所から少し上がった、赤岳主稜取り付きの石碑付近で撮影した写真。
要救助者は岩陰になり見えなくなりました。
ロープでぶら下がっているのか、それとも岩のくぼみにすっぽりはまっているのか…
※後で確認したら、岩のくぼみに仰向けですっぽりハマったような状況だったとのこと。右手の骨折だけで済んだそうです。ザックがクッションになってくれた?
要救助者は岩陰になり見えなくなりました。
ロープでぶら下がっているのか、それとも岩のくぼみにすっぽりはまっているのか…
※後で確認したら、岩のくぼみに仰向けですっぽりハマったような状況だったとのこと。右手の骨折だけで済んだそうです。ザックがクッションになってくれた?
文三郎分岐まで登りました。
赤岳から下山してくる人が降りてきますが、ヘリでピックアップが終わるまでは交通規制をしなければいけません。
Aさんが降りてくる人に
「救助のヘリ待ちですので、ここで待ってください」
と声をかけます。
赤岳から下山してくる人が降りてきますが、ヘリでピックアップが終わるまでは交通規制をしなければいけません。
Aさんが降りてくる人に
「救助のヘリ待ちですので、ここで待ってください」
と声をかけます。
12時23分
現場に残っていた山荘の方から「降りていいよ」との合図。
要救助者のピックアップ準備に時間がかかる?
待って頂いた方々にまとめて文三郎道から降りてもらうと、完全にやる事が無くなりました。
現場に残っていた山荘の方から「降りていいよ」との合図。
要救助者のピックアップ準備に時間がかかる?
待って頂いた方々にまとめて文三郎道から降りてもらうと、完全にやる事が無くなりました。
できれば要救助者のピックアップを見届けたかったのですが、時間がかかるようです。
12時28分。
この時間から登ってくる人はごく少数なので、Aさん(とお連れの方)とは解散し、各自のペースで赤岳山頂を目指すことに。
下山の方とすれ違う際、簡単に事情を説明しながら山頂へ。
12時28分。
この時間から登ってくる人はごく少数なので、Aさん(とお連れの方)とは解散し、各自のペースで赤岳山頂を目指すことに。
下山の方とすれ違う際、簡単に事情を説明しながら山頂へ。
13時15分。
救助現場の様子。要救助者は救助隊員にビレイされて、自分の足で立っているように見えます。
脊椎の損傷はなかったのかな?
良かった。
天望荘の方に挨拶、いつも利用しているお礼を言います。
救助現場の様子。要救助者は救助隊員にビレイされて、自分の足で立っているように見えます。
脊椎の損傷はなかったのかな?
良かった。
天望荘の方に挨拶、いつも利用しているお礼を言います。
大量に口の中に含み、なるべく長持ちさせます。
噛み砕くとすぐ口の中からなくなってしまい、眠気覚ましになりません。
副作用?として、必ず下痢をします。
まあ、推奨される用法よりも遥かに多く使っているから仕方ありません。
噛み砕くとすぐ口の中からなくなってしまい、眠気覚ましになりません。
副作用?として、必ず下痢をします。
まあ、推奨される用法よりも遥かに多く使っているから仕方ありません。
撮影機器:
感想
登山そのものより、バイクで450キロ走行の方がキツかった。
Twitter、ヤマレコでも現地にいた方々からの報告がいくつかありました。
的確な指示を出して頂いたAさん。
展望荘の小屋番さん。
救助に来て頂いた長野県警の隊員さん。
ヘリのパイロットさん。
下界の署の皆さん。
交通整理にご協力頂いた登山者の皆さん。
本当にありがとうございました。
滑落された方も、助かってよかったです。
回復をお祈りします。
時系列、事実関係に誤りがあればご指摘をお願いします。
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コメント
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無雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科 [2日]
美濃戸(南沢)〜行者小屋〜赤岳(文三郎尾根)〜横岳〜硫黄岳〜赤岩の頭〜行者小屋〜阿弥陀岳(ピストン)
利用交通機関:
車・バイク
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5
事故発生後 滑落者安否確認中横を通らせてもらった者です。
滑落後の対応 冷静な行動に感動していました。状況を聞きたかったですが迷惑かと思い相方様?に聞かせてもらいました。
行者小屋に降りた後もwakodental様の様子がしっかりと見えてました。
何はともあれ右腕骨折という事だけで済み帰宅途中ずっと心配でしたが帰宅後に情報を知り一安心しました。
赤岳晴れて良かったですね またどこかの山で会える事 楽しみにしてます。
因みにログで滑落現場まで道具を届けに行くと書かれてますがあそこまで行くのは難しくないですか?
素朴な疑問でした。
コメントありがとうございます。
>相方様?
多分Aさんの事ですね。自然関係のお仕事をされており、救助にも何度も関わっているとのことでした。
>滑落現場〜あそこまで行くのは難しくないですか?
難しいので断念しました。
私とAさんがいた場所(文三郎道中間よりちょっと上。石碑のあるあたり)から、赤岳主稜とりつきには踏み跡があり、岩壁登攀のガイドブックにはルートとして記載されています。
(参考:日本登山大系 八ヶ岳)
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%99%BB%E5%B1%B1%E5%A4%A7%E7%B3%BB-%E6%99%AE%E5%8F%8A%E7%89%88-%E5%85%AB%E3%83%B6%E5%B2%B3%E3%83%BB%E5%A5%A5%E7%A7%A9%E7%88%B6%E3%83%BB%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%97%E3%82%B9-%E6%9F%8F%E7%80%A8-%E7%A5%90%E4%B9%8B/dp/4560093229
ただ、ガイドブックにルートがあることと、私の技量や装備で安全に行けるかは別問題で…
通りすがりの方に止めて頂かなければ、突っ込んで二次遭難を起こしていたかもしれません。止めて頂いた方には感謝しています。
「行こう!歯科健診」のヘルメットか帽子をかぶっているので、どこかで見かけたら声をかけてください。
お礼が遅くなってしまって、申し訳ございませんでした。
主稜滑落の救助活動、本当にありがとうございました。
あの状態でお声がけいただき、精神的に楽になれたのが軽症で済んだ大きな要因だったと思っております。
滑落の原因は、懸垂下降する際のアンカー崩壊でした。ソロでしたので、中間岩稜でピッチを切る際に、一旦懸垂下降してロープを回収しに行く必要があったのです。崩壊したアンカーは、3メートルくらいの大きさの岩でした。。崩壊したアンカーとともに頭から10メートルほど落ちたのですが、登攀時に設置したランニングビレイに引っ張られる形で助かりました。
チョックストーン上部のV字型の岩場でザックが引っかかり、ザイルがちょうどテンションも効いていた幸運もあって宙吊りは免れたのが幸いでした。
おかげさまで、怪我は手首の関節部分の尺骨骨折のみで、ずれた骨を元の位置に戻し、数カ所折れていた部分を八ヶ所ボルトで繋ぎ、プレートで固定してます。全治2ヶ月から3ヶ月だそうです。
近いうちに、お礼をさせていただきいと思っております。
おお!ご本人から。コメントありがとうございます。
私がやったのは声をかけたくらいです。直接行ければよかったのですが、文三郎道から主稜取り付きまでのトラバースが怖くて断念しました。
指揮を取って頂き、警察や山小屋等に連絡をしていたAさんの方が大変だったと思います。
ニュースでは「右手骨折の重症」と報じていましたが、全治2〜3ヶ月ですか。
しばらくは不自由かと思いますが、生命があって本当に良かった。
>滑落の原因は、懸垂下降する際のアンカー崩壊でした。
そうでしたか。レポありがとうございます。
事故が起こった時の状況を書くことは勇気がいることですが、再発防止の為には大事なことだと思います。
>近いうちに、お礼をさせていただきいと思っております。
お気持ちだけで充分です。ありがとうございます。
怪我が治ったら、また登られるのでしょうか。またどこかの山でお会いしましょう。
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