記録ID: 3335012
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沢登り
大峰山脈
【大峰】口剣又谷(水晶谷下降)
2021年07月10日(土) [日帰り]


- GPS
- --:--
- 距離
- 13.2km
- 登り
- 1,781m
- 下り
- 1,762m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【水晶谷】 ・水晶谷の1060m二俣までは,弁天ノ森のやや西側から派生している小尾根を下った。ちょっと急な箇所はあるものの歩きやすい尾根。ずっと谷沿いに下るよりは時間短縮できると思う。 ・水晶谷は(少なくとも今回歩いた区間は)悪場はほとんどなく,下降路にぴったりの谷。白川又川本谷との出合直前で出てくる15mほどのナメ滝が唯一の悪場だが,左岸側が階段状になっており歩いて下れる。しかし,最後に一段降りるところが少し高さがあるため,そこだけロープ出しました(この箇所は,水量が少なければ,水流の中を下りたほうが簡単かも)。 【水晶谷出合〜口剣又谷出合】 ・水晶谷出合から白川又川本谷を少し遡るときれいな20m直瀑が出てくる。この滝は左右どちらからも巻けるようだが,今回は一昨年の奥剣又谷遡行時と同じく左岸から巻いた。水晶谷を少し戻ると,水晶谷唯一の悪場である15mナメ滝の横に壁が途切れたところがあるため,そこから巻きに入れる。一昨年巻いた時には,割と簡単に巻けた(懸垂も不要で歩いて戻れた)記憶があるのだが,今回は下降点を見逃したらしく,無駄に大高巻きになった挙句,ロープいっぱいの空中懸垂をやる羽目になった。少しのルート取りの誤りでこんな目に遭うという悪い例。 【口剣又谷】 ・最初はゴーロ区間が多く,出てくる滝も割と簡単に登ることができ,どちらかというと穏やかな印象だが,源頭に入ったとたん急に険悪になり,側壁が高くそそり立った暗く狭いゴルジュにCS滝が連続し,ほぼ直登しか手がない状況になる。今回は単独であることもあり,自重して適当なところから小尾根に逃げてしまいましたが,少なくとも1300m二俣の右俣の滝は実際は登れると思うので,谷通しに稜線に至ることは十分可能だと思います(他の枝谷のCSも,登ろうと思えばショルダーなり人工なりやりようはあるはず)。 |
写真
一昨年,奥剣又谷を遡行したときは,この20m滝の左岸巻きは全く苦労した記憶がなかったため,油断していたところ,どうやら下降点を見逃したらしく,大高巻きとなった挙句,ロープいっぱいの空中懸垂までやらされてしまった。無駄に消耗した…。
両岸はいつの間にか高い壁になっており高巻きは難しそうなので,右手のこの浅いルンゼを登り,草付きバンドをトラバースして滝上に出た。バンドは足場が悪くちょっと緊張するが,手掛かりになる木の根があるので何とかなる。
右手の谷が一番水量が多い。断ち割ったような狭いゴルジュの中に,8mほどの滝と巨大なチョックストーン,さらにその上にも滝が見えている。最初の滝は何とか登れそうだが,果たしてその上は通過できるだろうか…。
しかし,その上にも滝が…。この滝も,多分右端が登れる。しかし,一旦取り付いたら,万一詰まった場合にクライムダウンが難しそうな形状の滝だ。未練を残しつつも,この滝には取りつかないことにした。単独なので,慎重にならないといけない。
しかし,その先が…。再び巨大なチョックストーンが立ちふさがり,あと一歩が登れない。ハンマーをひっかけて手掛かりにできないか何度か試みたが,うまくいかない。残念だが,タイムアップだ。運よく,この箇所から細いバンドが岩壁の上の草付きにつながっており,灌木に半ば飛びつくようにして小尾根に這い上がり,谷を脱出した。
眼下には今日辿ってきた谷が一望できる。中央付近が下降した水晶谷と白川又川本谷の出合,その右側に奥剣又谷と口剣又谷も見えている。こうして見ると,穏やかな切れ込みにしか見えず,まさかその中に荒々しい側壁と巨岩の連打を蔵しているようには到底見えない。
装備
備考 | ・フェルトソール沢足袋使用。基本的にフリクションは悪くなく,滝の登攀も多いため,ラバーの沢靴のほうが威力を発揮するかも。ただ,水流中の岩の赤くなっている部分はかなりぬめるので注意。 ・40mロープ携行。懸垂下降で何度か使用。特に口剣又谷の源頭部はゴルジュの中に巨大チョックストーンや滝が連続し,選んだ谷によっては行き詰ることもあるため,最低でも40mくらいのロープはあったほうがいい。 |
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感想
昨秋から北陸や奥美濃の山ばかり登っていたので,何だか無性に紀伊半島の山に登りたくなってしまった。口剣又谷を選んだのは,一昨年,奥剣又谷を登った時に,名物の水の飛び出る25m滝の前から反対側の左俣(口剣又谷)を眺めて,いつかこっちにも入ってみたいなと心にひっかかっていたからで,それだけの理由です(まあ,山選び・谷選びのきっかけはそんなものだろうが…)。
口剣又谷は,白川又川の源流の小さな支谷ながら,より有名な本谷筋の奥剣又谷よりも厳しいと言われることもある谷で,ちょっと身構えて入渓したのだが,最初はゴーロの区間が多いどちらかというと穏やかな谷で,ちょっと拍子抜けしてしまった。しかし,この谷の真骨頂は源頭に入ってからで,荒々しい岩壁がそそり立つ陰惨なゴルジュの中に巨大なチョックストーンが挟まって遡行者の頭上を威圧し,直登か後退か,二者択一の遡行が続く。今回は自重して適当なところから小尾根に逃げてしまったが,少なくとも1300m二俣の右俣の滝は十分登れると思うので,実際は稜線まで谷を詰め上げることも可能だと思う。チョックストーンの詰まり方の変化でいくらでも難易度が変わりそうな谷なので,要注意ですが…。
岩の隘路のような口剣又谷から抜け出して尾根に出ると,打って変わったように穏やかなトウヒとブナの原生の森に包まれ,先ほどまで彷徨っていた荒れた谷底が夢だったように思われて不思議な感じがした。このあたりを縄張りにしているクロツグミは喉自慢が多いようで,谷でも稜線でも終始耳にしていたその美声が妙に心に残る山行だった。
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