甲斐駒ケ岳(黒戸尾根ルート)
- GPS
- 29:24
- 距離
- 14.2km
- 登り
- 2,023m
- 下り
- 2,024m
コースタイム
6:56竹宇駒ケ嶽神社出発-8:56笹ノ平分岐-11:15刀利天狗-昼食-12:56五合目-13:55七丈小屋
2日目
4:30七丈小屋出発-5:15登頂を断念-5:40七丈小屋-朝食-8:08五合目-8:50刀利天狗-12:20竹宇駒ケ嶽神社
天候 | 1日目 晴れ 2日目 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
広いがほとんど車は無い。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
私の目的はもちろん、山を楽しむ事。5月13日の道志川トレイル41.3kmで
地獄の山を経験したので、誰よりも楽しめる自信がある。
今回の参加メンバーは、TとKそしてY。Uは祖母が手術をする事になり参加を見合わせた。
1日目
3:00新横浜集合。16号を下り、八王子ICから中央道に入った。
談合坂SAで朝食。伝説のスタ丼屋で朝からスタ丼。スタミナがつきそうだし美味かった。しかし朝食には重く、午前中はニンニク臭のゲップに悩まされる事となった。
須玉ICを下り、コンビニで買い足し。チャーハン用材料としてお握りを購入。シーチキンとお握りをフライパンで炒めて作るチャーハンが、山で食べると美味いんだ。味のバリエーションがあった方が良いと考え、梅や赤飯お握りもチョイス。
竹宇駒ヶ嶽神社手前の広い駐車場。この時期に甲斐駒ヶ岳を登る人は、ほぼこの神社出発で黒戸尾根ルートのはずだ。しかし車はほとんど止まっていない。険しいルートなのでこのルートを選ぶ人は少ないのかもしれない。
6:56出発。私が先導したが、トレイルレースの感覚が残っておりハイペース。
Tからクレームがつき、Tと交代。Tはヒマラヤの5,000m級の登山を2回経験しているベテランだ。Kは私と一緒にトレイルレースをしているので体力がある。しかしYは
スポーツをしていないので体力が無い。Yは苦しかった様だが、こんなものかと思ったため弱音を吐かなかった。そう、彼は苦しさに対する感度が低いのだ。
そんなYは実はミュージシャンで、ギターがメチャクチャうまい。作詞作曲もするアーティストだ。彼に期待する事は、山で素晴らしい景色に出会った際に、アーティスティックな才能で、鳥肌が立つ様な素敵な詩を生み出す事だ。
刃渡り。岩が鋭角に突き出ていて迫力がある。しっかりと鎖を掴み慎重に登れば、それほど勾配はないので見た目より安全だ。後ろを振り返ると北北東方向に八ヶ岳連峰の素晴らしい景色が広がっている。
刃渡りから刀利天狗までの道のりは、梯子と鎖場の難所が続いた。崖に枕木で作られた道。足を滑らせ落ちたら命はないだろう。
刀利天狗に到着し、昼食。マルタイラーメンが美味い!
黒戸山(標高2253m)付近を通過すると、五合目までは少し下る。五合目からは悠然と聳える甲斐駒ケ岳が見える。山肌には深い雪が残っている。
五合目から七丈小屋までは1時間程度。梯子と鎖場の連続だった。標高は2,000mを越えているので、少し動くと息が切れる。空気が薄い事を実感した。手すりが無くロープだけが支えの橋。その橋を渡るとまた梯子だ。
13:55七丈小屋に到着。小屋の管理人によると、七丈小屋から甲斐駒ヶ岳山頂は、今年は雪が深く、6本歯以上のアイゼンが無いと危険だそうだ。私達のパーティの装備は、私が昨年6月に鳳凰三山登山のために過剰装備した6本歯アイゼンと、参加できなかったUが貸してくれた4本歯の軽アイゼンのみ。Tはリュックに入れたつもりが入っていなかった。おいっ!Kはもともと持っていない。滑落防止に役立つストックは3セット。明日、雪の状況を実際に見て判断する事にした。
夕食はKが下ごしらえをした豚キムチ鍋。具材は豚肉、ソーセージ、白菜、水菜、長ネギ、シイタケ。残り汁は米とチーズを入れて雑炊に。うまっ!
Yを見ると、黒とグレー基調のヤッケに黒のニット帽。この姿で調理をしている。
どう見ても浮浪者の炊き出しにしか見えない…。
定番となった、シーチキンとコンビニお握りで作るチャーハンも美味かった。
スーパードライ500mL3缶を4人で飲んだ。アルコールが疲れた体に染み渡った。
今回の夕食はKのおかげで大成功だ。
2日目
3:30起床。薄く雲がかかっていたため、少ししか星が見えない。残念だ。
4:30小屋の前でご来光。その後すぐに山頂を目指し出発。
小屋を出るとすぐにテント場があるのだが、その先が深い雪。アイゼンとストックをどう分配するかが、パーティ全員の無事帰還に繋がる。まず一番体力が無いYが6本歯アイゼンとストックを装備する事は満場一致で決定した。Tと私がストックを使い、ストックを持たないKが軽アイゼンを使う。意見はまとまった。経験豊富なTが先導。急な上り坂。前に上った人の足跡を辿る。上り坂はつま先で雪を「クックッ」と固め、滑落しない様に細心の注意を払う。それにしても上りが急過ぎるし、雪が深過ぎる。仮に上れたとしても、同じだけ下らなければいけない。下りは更に神経を使う。今上った上り坂だけでも、滑らず下れるか不安だ。雪山用の装備が十分ではない。想定を越えている。危険過ぎる。Tは次の上り坂を上り始めていたが私は声をかけ、2つの選択をする事にした。1つ目の選択は、
「2人がアイゼンとストックを装備し、2人は山小屋へ引き返す。」
2つ目の選択は、
「4人とも山頂をあきらめ、引き返す。」
私達が選択をしたのは、後者だった。2人だけ登頂しても、その気持ちは登頂しなかった2人には伝わらない。何よりもここから先、どの程度雪があるか分からないし、4人全員の無事帰還を考えたら当然の選択だ。5:10私達はこれ以上先へ進むのは危険だと判断し、引き返した。わずかな距離の下りだが、ストックを持っていないKが滑らせた。私はアイゼンが無いので慎重に下った。下りは滑り落ちない様に、かかとで雪を「クックッ」と固めながら下る。それでも滑り落ちたら勾配が急なので、谷底へ落ちる事は間違いないだろう。正直恐怖を感じた。私が恐怖を感じるくらいだからYは…弱音を吐かないのでよく分からん。恐怖に対する感度も低いのか?何が彼の感覚を鈍くしてしまったのか?その謎は帰りの車で明らかになるのだが、あまりに下衆な話なので、ここでは割愛させて頂く。そして何とか無事にテント場まで戻る事ができた。
ここでYが一言、
「自然は怖い。」
アーティスト?Yには申し訳なかったが、皆違った意味で鳥肌が立った。
テント場で朝食、ホットサンド。
五合目、刀利天狗を越え、12:20無事に竹宇駒ヶ嶽神社へ到着した。
甲斐駒ヶ岳山頂はできなかったが、正しい選択をしたと思う。
いずれ雪が無い時期に、再挑戦をしよう。その日まで山頂はお預けだ。
アーティストであるYからは、身震いする様な素敵な名言は
今回も出なかった。しかし、私達は彼にガッカリしている訳ではない。
常に期待をしているのだ。次の登山では頼むよ!
今回Uは行けなかったが、次回の登山は一緒に行けると良い。
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