鋸岳(日向八丁尾根からの日帰り予定だったのだが)
- GPS
- --:--
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 3,133m
- 下り
- 3,133m
コースタイム
- 山行
- 20:29
- 休憩
- 2:30
- 合計
- 22:59
天候 | 晴のち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
南アルプス最恐と言われる鹿窓からの鋸岳登頂を果たすことができて大満足です。
今回の第二高点から第一高点を目指すルートは、今年6月のyoisaさんをはじめとする皆さんのレコで、鹿窓ルンゼ下部のバンドが一部崩落しているとの情報を目にしていました。そのため最近の記録は北側の釜無川ゲートからの往復がほとんどで当然のことだと思います。しかし、自分的には『穂高と言えばジャンダルム!ノコギリと言えば鹿窓!日光を見ずして結構というな?』です。若いころから鹿窓を見てみたかったことと怖いもの見たさもあり、南側からの鹿窓経由のルートを選択しました。
今から8年前、尾白川渓谷〜日向八丁尾根〜甲斐駒ケ岳〜黒戸尾根を日帰り周回したことがあり、三ツ頭までは問題ないので今回も日帰りにチャレンジしました。8年前は尾白川駐車場から三ツ頭まで5時間半を要したので、今回は8年の加齢と荷物を考慮し、三ツ頭に午前8時までに到着するよう矢立石駐車場を午前1時出発としました。仮に三ツ頭の到着が9時になっても、鋸岳を往復して23時までには下山できるとの計算です。なお、ルート上には水場がないため水は多めの4.5Lを持参しました(下山後に1L残ってました)。そのほかの装備については防寒具と食料以外は極力軽量化を図りました。
八丁尾根は長大なルートだが、甲斐駒ヶ岳七丈小屋の先代のご主人が整備され安全に通過できるようになったと聞いている。それ以降何年も経過しているが、鋸岳までの登山道を含めても倒木などコースを塞ぐ箇所はほとんどない。こんな不便な場所であるのに、新たに引き継いで整備されている方々のご努力にも頭が下がります。ただ1点だけ、三ツ頭の標識にある「鋸岳1.4h」はいただけません。1.4hとは1:40の意味?と思いますが、ガレ場・クサリ場が多い超危険なコースをこの時間で鋸岳まで行くには、命知らずのカミカゼトレランナーでも無理です。10キロのザックでルートミスせずに行っても3時間は要します。この表示は、時間切れや疲労遭難の原因ともなり得る危険な表示だと思います。北杜市か関連団体でしょうか、修正すべきと思います。
さて、このルートは第二高点〜第一高点が危険地帯で、核心部は大ギャップルンゼから鹿窓ルンゼへの移る部分だ。先ほども書いた通り、鹿窓ルンゼに入るバンドが一部崩落し通過が難しくなってしまったとのことだが、ダメもとで行ってみた。
なるほど、バンドが左へ折れ曲がる地点、つまり左上バンドへの踏み変え地点が崩落してえぐられたようだ。残った岩盤が樋状になっていて、その岩の上をチョロチョロと水が流れ数メートル先の崖下へ消えている。樋状の岩は傾斜はあるもののスラブ状ではなく凹凸があり、今は水ゴケもないので滑らなそうだ。いま立っているバンドより50cmほど下にあるこの岩樋へ降りて、樋の底を2〜3m右上すれば左上バンドへ取付くことができそうだ。
(掲載写真の中に、鹿窓からの復路でこの地点を反対側から見下ろしたショットがあります。→写真は、左上バンドの下部に立ち、右下の水の流れる岩樋へ下りようとしているところです。写真だと分かりづらいが2〜3mの落差があります)
しかし、岩樋へ降りる場所が岩ではなく、砂利混じりの土なのでザレて滑るのが心配だ。お尻を下げて片足を伸ばし、靴裏で何度も土を蹴ってステップを1つ作りそろりと樋へ降りた。数メートル下流は崖となっているので緊張を強いられる。傾斜のある樋の底を四つん這いの三点支持でゆっくり確実に進み、左上バンドに上がることができた。
もしも、ここの通過が無理だったら大ギャップルンゼに戻り、コルの手前まで上がった付近に狭いバンドがあるようなので、そこを登るつもりでいた。そう、グレートトラバース3で田中陽希氏が今回のバンドを見つけられずに通過した上部のバンドだ。
さて、左上バンドから草付きに入り踏み跡をたどって登って行くと、鹿窓から垂れ下がっている長い鎖の末端に到着した。そこから鎖に沿って鹿窓ルンゼの急傾斜を登って行くが、前後に人がいる場合は人為的な落石の危険もあるので間隔をあける必要があります。(特に鎖場の終了地点には落ちそうな小石がたっぷりある。→写真参照)
鹿窓をくぐり抜けて左へ水平に回り込んだのちに、数メートルの簡単な岩場を登って稜線上に出ると前方が開け第一高点がすぐ近くに見えた。しかし足元は切れ落ちており、最後の難所の小ギャップでここにも鎖が設置してある。
小ギャップの下り始めは傾斜がゆるいのと、最初の部分は鎖が太くて握りづらそうなので鎖の右側につけられた踏み跡を数メートル降りた。そして傾斜が強くなり始めたあたりで踏み跡は鎖へ誘導されており、このあたりで鎖の太さも手頃なものに変わっている。それを伝って小ギャップの底まで降下した。
小ギャップの登り返しも鎖場だが、こちらの方が傾斜は強く垂直に近い。しかし、ホールドも多数あるので心配はなく、この小ギャップを登り切り稜線を少し登って行くと第一高点に達することができた。
第二高点から見たときは人影があったが誰もおらず、結局のところ今回の山行では誰にも会うことはなく単独行を堪能することができた。
南アルプス最恐と言われる鋸岳だが、足場の悪さと落石の危険度が高いという意味で、一般ルートでは西上州山域を含め中部山岳最恐と言えるのではないかと思う。
岩場(鎖場)の難易度を他で例えると、小ギャップから第一高点への登り返しは奥穂〜西穂縦走の天狗のコルから頭への登り(鎖場)ほどのレベルで、鹿窓の登りはそれを少し上回るレベルで高低差もある。
しかし、それよりも鹿窓ルンゼ下部の崩落したバンドの通過が非常に危険だ。技術的に難しいというよりも鎖などはなく緊張を強いられるため、岩登り経験のない人は絶対にやめた方がよい。一般ルートとは呼べずヤバすぎます。
最後に反省点だが、登山口の日向山付近まで戻って来たところでルートロストしてしまい、更に降雨となり日帰りできずビバークとなったことだ。夜が明けて分かったことだが、雁ヶ原のかなり手前から錦滝方面へ降りるルートなど幾つかの踏み跡やテープがある。注意していたのだがやってしまった(ヤマレコにルート外れ警告があるが、この時はガラケーでした)。夜間登山は何十回も実施してきたことから慢心が原因であったと思う。今後は充分気をつけ慎重に行動すべきと反省した山旅でした。
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