丹沢/鍋割山(ウシロ沢から)
- GPS
- 05:35
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,372m
- 下り
- 1,363m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
http://www.fujikyu.co.jp/syonan/rosen_time/time03_h.html ◆駐車場 寄バス停にも駐車可能になっているが本来的に地元の利用者優先。寄大橋には5台の駐車スペースがあるが、道幅が広いので+αの余裕がある。林道三𢌞部線にも数台は駐車余地がありそう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆登山ポスト 成長の森の管理センターに登山ポストがある。寄バス停の停車場にもあったが乗車する時に気が付くような配置なので往路で見つけられるか疑問あり。 ◆飲食店 寄バス停に「みやま浜膳」があり、1時間に1本と言うバスのペースに持て余した時間を過ごせる。 ◆危険箇所 基本的にウシロ沢、コシバ沢共に一般ルートではないので沢慣れていないと危険は常にある。 ●ウシロ沢 ウシロ沢は中途半端に木橋等が整備されているがそれを繋ぐラインがまるで見えないし、崩落も多数見られる。加えて沢の詰めの部分も崩落のため勘七沢の詰めと同様になっている。どこを踏んでもズルズルと崩れて行く急斜面、それを逃げて小尾根の3級程度の岩場に行ってもその後は同様にヒドイ。 登山道の登山者に起因する落石も多々あるため、ヘルメットは必須。 ●コシバ沢 コシバ沢は最上部の懸崖を避ける踏み跡を見つけられればそれより下部には沢には難しい場所は無いと思うが、測量用の赤テープが樹林に数多く見られ惑わされる。 ●寄〜雨山峠歩道 表丹沢の登山道と比較すると原野に近く、あちらこちらに崩壊、崩落によるルート変更が見られる。 それを除いても徒渉が多く、ルートがはっきりとしていない所も多々あるので道迷いの危険性は低くない。 成長の森管理センター等で事前に情報を収集出来ると良いだろう。 |
写真
感想
三連休だが自由になるのは中日の一日だけ。なので丹沢。一緒に行ける友も居らず、従って余り行っていない寄沢流域から難度が低くい沢沿いのルートで鍋割山を目指すこととした。
ウシロ沢については1995年刊行の「丹沢の谷110ルート」に1994年時点でのトポが掲載されているが、初級だし基本装備のみ。最近のレポートを見てもルートの整備状況も良さそうな印象を持った。そこで足ごしらえはハイカットのトレッキングシューズでヘルメットだけ持って行ってみることにした。
朝は新松田7:55発の寄行きの富士急バスに乗ったが、約25人全員が登山者のバスだった。寄で下車して上流に向かうのは自分を入れて5名だけと意外と少ない。寄大橋の先の成長の森管理センターで登山届けを出す。実は寄バス停にも登山ポストがあったのだがバス停小屋の中にあるのでそんな所に寄り道しない往路には気が付かないことになる。外に独立したポストがあった方が有効だと思うが。
管理センターから10分、沢が左に曲がったところで右手から入る沢がウシロ沢。脇には道標が立っているが「作業用径路」と示されている。径路は最初の堰堤を左から越えていく。堰堤は2つ連続である。これは94年のトポには描かれていない。2つ目の堰堤は左奥に鉄梯子が藪の中に隠れていた。堰堤を過ぎると河原が広いがすぐにF1(3段13m)が見える。最初の段も左右どちらからでも登れそうだが、釜が深いのでパスして左手の巻き道を行き、滝上に降りるとどうやら2段目の上の様子。残る3段目は左壁を快適に登れた。滝はここで実はおしまいである。
8m堰堤の左岸側に木橋が掛かっていた。下から見ると非常に頼りな気ではあったが、割合としっかりと固定されていた。ここを越えると94年の記録に書かれている炭焼き小屋の石組みがあった。更に6m堰堤があり、踏み跡も判然としないので右岸側の堰堤の隅をズルズル滑りながら登った。この後、小滝があるがそこは木橋が掛かっている。その上の4m程の堰堤も右岸側の木橋で越えるが、越えていくと二俣っぽい景色になる。トポではゴルジュの手前になる。ここは左俣に進む。これは正しかったようだ。立派な看板が出て来た。
ゴルジュの中の古い石積みの堰堤を連結された木橋で越えていくのはトポ通りだけど越えるルートは右岸側になっている。これを越えると本当の二俣になり左俣を取る。突然のように赤テープが現れシカ柵に沿った踏み跡に誘導され、これを進んでいくと数分で「埋まってしまって2mくらいになった堰堤」に辿り着く。しかしこの堰堤左岸側にはその遺構が残っているが、沢は右岸側に大きく広がっていて堰堤としてはもう機能していない。ここから先は水流も消えて、ガラガラの登りが続く。15分程登って二俣になっているが、左側が本流っぽく見える。トポでは右側になっているが幅も狭く両岸も切り立っていていずれ行き詰まりそうで、少し剣呑な様子である。目印も何も無い。後からGPSのログを見ると右に行って左に行くのが正解だったようだ。そうすれば少しは傾斜が緩いままに後沢乗越に出られたようだ。でも左に進んで行ったので、傾斜もきつく大変なアルバイトになってしまったようだ。トポでは稜線が見えるようなことが書いてあったのだが、現在ここを右に少し登っても稜線が見えなかったのも要因の一つかも。ここから登山道に合流するのに結局30分以上掛かってしまった。左を行くとやはりだんだんと立って来て歩きにくくなる。右手の小尾根に赤テープがあったので、それに誘導されて小尾根に木の根を頼りに這い上がって行く。植生があっても未だ足下は不安定。上を仰ぐと岩場になっていたが、そこの方が未だ登りやすかろうと取り付いて登って行く。3級程度で2ピッチ分は登ったか。杉林になると稜線を歩く人声が聞こえて来た。しかし傾斜はどんどん急になっていく。喘ぎながら杉の幹を頼りに登って行くともう間近に登山道が見えた。流石に登山者が多い。と、石が落ちて来たので避けた。自分も登りながら足下から石を落としているが、余りパーティで登るには調子が良くない詰めだ。漸く登山道に飛び出してやや平坦な所で落ち着くことができた。どうも後沢乗越より30m位高い所に出たようだった。
鍋割山への尾根道を真っ直ぐ登り45分で山頂に出た。今日はうどんは食べません。朝一番ではどこもくっきりとした展望を期待できたのだが、気温が上がったせいか海も富士も薄ぼんやりしている。カメラのバッテリが途中で切れてしまったので仕方なくここからは携帯で記録写真を撮っていく。山頂の賑わいは相変わらずで、みな思い思いに景色を楽しみながら昼の休憩を採っている。
鍋割山からは雨山峠を通って寄に戻る予定だったが、もう1日分の運動は充分と言う気になって、ショートカットして鍋割峠からコシバ沢を降りることにした。これで1時間分は助かることになる筈だ。鍋割峠までは急坂を降りていく。こちらに来ると途端に登山者が減る。峠までには数人とすれ違っただけだ。鍋割峠には「この先寄方面滑落注意」と看板が立っているが一方で落ちている看板が「稲郷、寄」を指している。踏み跡も明瞭。じゃあ行ってみようと降りていく。振り仰ぐと広葉樹林と青い空のマッチングが美しい。しかも自分一人で実に静かな山だ。峠から数10m下ると沢の詰めの懸崖に出くわすが、踏み跡はこの懸崖を避けて右岸側をジグザグに降りていくように付いている。この辺りは赤テープとか赤丸とかが散見された。
懸崖の下で沢に降りてしまい、周囲を見渡すと右岸側の樹林に赤テープが見えた。結構高いところにあったので、そこに道が付けられているのかと汗をかきながら登ってみるとそこら中の杉の幹に赤テープが巻かれている。どうやら林業用のマーカーのようだ。実に紛らわしい。結局、この先は滝も無いし沢に降りて真っ直ぐ下ることにした。登山道と合流する所で赤テープは測量用と書かれた札があった。
雨山峠から寄の登山道もあちらこちらで崩壊、崩落があって付け替えられていた。その部分は間違うことが無いのだが、広い河原で徒渉してと言う所ではルートを見失いやすい。表丹沢の登山道に比べると原野に近い状況で五感を活かしていく必要があるが、それも登山の面白さとも感じる。数回の徒渉を繰り返して成長の森の整備された区域に辿り着き、すぐにウシロ沢出合になる。
バス停までの3kmが長く感じる林道歩きだ。バスは1時間に1本で、次のバスまで40分ある。バス停脇の浜膳で生ビールと冷や奴、しらすおろしを頂戴し、喉を潤した。美味い。雨山峠を省略したので予定よりは2時間短かったが、それでも充分と健康増進に効果的な山行だったんじゃないだろうか。鍋割の南稜を除くと人に逢うことも少なく静かな山行を楽しめた。紅葉には未だ1ヶ月は早いがコシバ沢源頭部の広葉樹林は美しく色づくのではと期待される。そんな時期にまた訪れてみたいものだ。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する