[反省の丹沢] 塔ノ岳〜丹沢山〜太礼ノ頭〜円山木ノ頭〜早戸川林道
- GPS
- 42:18
- 距離
- 34.9km
- 登り
- 2,116m
- 下り
- 1,956m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
(バス運休のため徒歩) |
コース状況/ 危険箇所等 |
当初、本記録の投稿は控えようと考えておりましたが、このような事例を反面教師として参考にされる方がいっらっしゃるかも知れないと思い、投稿することにしました。 あくまで、失敗例としてご参照頂ければと思います。 ・渋沢駅 - 大倉 大雪のためバスが運休となっており、大倉までは徒歩で移動しました。 道は凍結しており歩行は滑らないよう注意が必要でしたが、 雪は浅く歩くのに大きな問題はありませんでした。 なお、渋沢駅から大倉までタクシーは動いていましたので、 グループの場合はタクシーでの移動も良いと思います。 ・大倉 ‐ 塔ノ岳 しっかりトレースがあり、大雪でしたがとても歩きやすかったです。 トレランで軽快に登っている方もいる程度にラッセルされていました。 ・塔ノ岳 - 丹沢山 ここから先はつぼ足のみとなりますが、何人も踏んでいる為とても歩きやすかったです。 なお、丹沢山の積雪は2mとのことでしたが、大きく潜る事はありませんでした。 なお、稜線の一部に雪庇ができており、トレースを外れると危険な箇所がありました。 ・丹沢山 - 円山木ノ頭 1人分のつぼ足があり、そこを辿っていくと途中でソロの方とお会いしました。 その先はノートレースでした。(そこまではその先行の方のつぼ足でした) ここは場所により非常に潜りやすい箇所があり想像以上に時間を要しました。 (特に西峰、中峰の登りに苦労し、全体でコースタイムの約3倍かかっています) ・円山木ノ頭 - 早戸川(林道) 宮ヶ瀬まで歩くと遅くなることが予想されたため、安全を考えて林道にエスケープしました。 丹沢山の先でお会いした方は宮ヶ瀬でピックアップとの事で円山木ノ頭で別れました。 早戸川へのエスケープルートは誘導マークやリボンが多くあり迷うことはありません。 早戸川まで下りたところで17:00を過ぎたため、暗くなる前に雪洞を掘りツェルトを 設営してビバークの準備をした後、着替えて夕食を取りました。 林道なら満月であれば雪でも問題なく歩けると考え、月が上に来る頃に出発できるよう すぐに睡眠を取りました。 なお、この時点では林道の下り(バス停まで通常CT3:00)を歩けば、雪道で2倍要しても 仕事には間に合いそうだな程度にしか考えていませんでした。 ・早戸川沿い林道 1時に起き満月が出ていることを確認し、朝食を食べツェルトを撤収して出発しました。 満月が明るく視界は良好で、ヘッドライトと合わせて無事に早戸川を下り林道に 出たのですが、ここで考えが甘かったことに気づきます。 早戸川の林道の多くは下山方向の右手に早戸川(10-30m程度の堤)、左手に山(落石 注意警告の崖)が続きます。 もちろんガードレールはあり、通常は山側からの落石以外は心配の無い道なのですが、 大雪でガードレールの上30cmまで雪があり、山側は雪が吹き溜まり、川側に向かって 雪の傾斜ができていました。そして、日中の温度上昇により、表面がアイスバーン状に なっている箇所があちこちにありました。 このため、うっかり足を滑らせると川側への傾斜によりガードレールの上を通過して、 早戸川に落ちてしまう状況になっていました。川の堤は場所により10-30m程あるため、 落ちたら無事では済まず、非常に慎重に歩かざるを得ません。また、山側からは落石と 雪落ち(昼が酷かった)に警戒が必要で、この林道は全く速度が出せませんでした。 さらに、場所により腰まで潜る状況のため、このような場所でもスピードが落ちます。 たまに提の低い所で川原に下りても堰の滝が多くあり林道に戻らざるを得ませんでした。 唯一の救いは所々にあった鹿ラッセルで、ここだけは多少潜るものの歩き易かったです。 しかし結局、間に非常食の休憩を2回挟みつつ歩き通して、八丁橋までCT2時間のルートに 20時間を要しました。途中、傾斜がキツイ場所で川へ滑落しかけた後に早戸川へ逃げて 川縁を歩いている際に、氷を踏み抜いて川に落ち、脱げたアイゼンを探すのに手間取って しまったのも大きな時間ロスになったと思います。 そして、22時に八丁橋先の3分岐に出たところで再びツェルトを設営し、夕食を食べ 仮眠しました。 ・荒井林道 朝1時に起きて朝食を食べ出発します。ここで3分岐を、コッコパーク側の八丁林道か、 宮ヶ瀬側の荒井林道に行くか悩みましたが、早く携帯で電話連絡ができるポイントに 出られそうな登り方向の荒井林道に進みました。 7時過ぎに電波を掴み、メールで会社や家族に連絡。しかし電池が少ないのか 寒さなのか電話を掛けると何故か切れてしまいます。そしてメールも不可に。 このため、携帯をポケットに入れて暖めながら歩き11時に民家のある所まで出ました。 ここで携帯を再チェックすると、電話機能も動作しました。 ここで山行終了です。 そして、多くの方にご迷惑をお掛けすることになり、大反省の雪山となりました。 |
写真
感想
全体を通して、1500mの低山の雪山ということで、甘く見ていた点が大きな反省点です。
また安全を考えて途中で林道へエスケープしましたが、この時も丹沢の南側の登り口までの
楽な林道のイメージが頭にあり、北側でも林道に出れば安心という油断がありました。
後日、道志側は大雪の影響で国道すら1週間も通行止が続いたことを知りますが、
このような最悪の状況を想定できなかったことを大いに反省しなければなりません。
なお、もともとは日帰り予定でしたが、冬は特に過剰に食料(非常食)を持ってきており、
最後まで食料が余ったことが幸いだったと痛感しています。
もし1日分しか余分が無ければ、3日目の最後の登りは歩けなかった可能性が高く、
道路が数日通行止になっていたことを考えるとかなり危険な状況になったと思われます。
今回は多くの方々にご心配をお掛けし、また多くの方々にご迷惑をかけることに
なってしまいました。当面、雪山は自重いたします。
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補足 (油断の生まれたポイント)
・渋沢から大倉までの歩き
この林道の浅い雪の状況から北側も林道に抜ければエスケープできると考えてしまった。
例え林道でも、雪により歩くのが非常に困難な状況になりうることを見落としていた。
・引き返しの判断ミス
丹沢山の先で道を見失われていたソロの方にお会いした時、去年の雪山シーズンに
宮ヶ瀬から大倉まで歩いた経験があったこともあり、何故かペアであれば大雪でも
道案内をしながら一緒に宮ヶ瀬まで行けそうな気になってしまった。
ソロであれば常に取っていたマージンを無視して宮ヶ瀬方向に進んでしまった。
・安易な林道へのエスケープ
山中で日が暮れるより、遠回りでも早めに林道に出た方が夜に歩く場合に安全と考え、
最短の山道を進むことを避けて林道方向にエスケープしてしまった。ビバーク装備を
持っていたことも、安全な場所で仮眠して林道を歩いた方が良いとの判断になった。
実際には北尾根の稜線の山道より、凍結した川沿いの林道の方が危険で時間も
要したが、それを見抜けなかった。
・林道からの丹沢山への引き返し
危険な林道も暫く下れば雪が減るのではと考え、丹沢山に登り返さなかった。
実際には道志側は国道も通行止となり孤立村落ができる程に雪が降っていた。
当然、車両ゲートのある林道は終盤までガードレールの高さより上に雪が積もった
危険な道が続いていた。これによりCTを大幅に超え、長時間を要してしまった。
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最初にも記載しましたが、当初は本記録の投稿は控えようと考えておりましたが、
このような事例を反面教師として参考にされる方がいっらっしゃるかも知れないと思い、
投稿することにしました。あくまで、失敗例としてご参照頂ければと思います。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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某新聞で拝見しました。
大変でしたね。
私は丹沢登山専門に3年目の初級者です。
大変、参考になりました。
はじめまして。
今回の山行ですが、正直に申しまして大雪というものを甘く見ていました。
120年ぶりの大雪と聞き、この機を逃したらこのような丹沢には
一生巡り合えないだろうと、気持ちを抑えられませんでした。
そして、丹沢山の北に進んだ際には、エスケープの林道でも何度も
死を意識するような状況になりうる事を想定できていませんでした。
ソロのため装備だけは慎重を期して色々準備していましたが、
心に油断ができればそんな準備など関係なく、簡単に危険な状況に陥るのが
山というものであることを改めて思い知らされました。
まずは、生きて帰ることができた事に感謝し、この経験を
自分を見つめ直す良い機会にできればと考えています。
不謹慎かとは思いましたが、ご無事の生還に拍手をさせていただきました。
丹沢では考えられないようなレコに、北アの稜線で何度も雪に閉じ込められことを思い出しました。
ソロの場合は、いつ何どき、どのような危険に遭遇するかわかりませんので、装備だけは手抜かり無くと思っていますが、まさにこのようなレコが上がると、再認識させられます。
大変な経験をしたしたと思いますが、今後の山行に是非役立てて下さい。
コメントありがとうございます。
丹沢の慣れた山域ということで、やはりどこかで油断が生まれてしまったと考えております。
山の難易度が雪で大きく変わることを頭では理解していましたが、
ここまで条件が変化するということを想像できていませんでした。
今回それを実体験したことは、山というものに対する良い経験になったと思います。
雪山は当面自重ですが、春になって雪の無い山歩きを再開する際には
この経験を活かせればと思っています。
まずはご無事でなによりでした
もう一人の人は尾根線を宮ヶ瀬までとのことでしたが、あの公式道は巻き道が多いんで危険そうです。。
あと余計なことかもですが、反省ポイントは”当日の計画変更”だと思います
> 掘ってみると宮ヶ瀬の字が。先にはつぼ足のトレースがあり、何か気になります。
> ここでは少し様子を見に行くだけのつもりでし
計画を変えずに強行するのもアレですが、その場のノリでつうのもヤバいです
そもそも計画を立てていたのかどうかも良くわからない。。
でも余裕のある持ち物はさすがですね。これは自分も学ばなければ
厳しい物言いすいませんでしでし
当日の計画変更のご指摘、まさに大きな反省点です。
今回は稀な大雪のため登山計画書はシンプルに大倉-丹沢山往復としましたが、
塔ノ岳まで歩きやすいトレースがあったため、昼食後の体力が一番ある時間帯に
丹沢山に着いた時、このまま戻るのは少し物足りない、と思ってしまったのが
正直な所です。
そして、丹沢山頂で大雪に埋まった石碑や指導標を撮影し
興奮気味になっていたところで北方向のトレースを見つけ、
宮ヶ瀬に向かった方がいるのかという驚きとともに、
このトレースを目印にして北斜面がどんな様子かも「少しだけ」見てみたい、と
ノリでリスク増加方向への計画変更をしてしまいました。
少しでも計画を変更すると、そのあと何かあった際に、より大きな計画変更を
許容しやすい心理状態になりますが、今回はまさにその通りになってしまいました。
今振り返って、ミスというのはこのような最初の「少しだけ」という気の緩みから
生まれるのだと実感した次第です。
このようなミスの傾向は山だけに言えるものではないと思いますが、
特に雪山はミスが文字通り致命的になりかねず、慎重すぎる位で良いはずです。
今後はそれを肝に銘じていこうと思います。
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