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Yamareco

記録ID: 4187181
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
白山

【白山】残雪の紅滝・二重滝(鳴谷から目附谷へ)

2022年04月17日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
24.3km
登り
1,686m
下り
1,679m

コースタイム

日帰り
山行
10:50
休憩
0:00
合計
10:50
6:10
50
駐車地
7:00
7:00
190
10:10
10:10
20
10:30
10:30
20
鳴谷へ下降開始
10:50
10:50
30
目附谷本流に合流
11:20
11:20
40
紅滝
12:00
12:00
40
二重滝
12:40
12:40
50
屏風平(屏風山P1712の北側の緩傾斜帯。勝手に命名)
13:30
13:30
60
鳴谷峠(苛原峠とも。P1554とP1535の間の鞍部)
14:30
14:30
100
鳴谷山
16:10
16:10
50
17:00
駐車地
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2022年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
百合谷林道の路肩に駐車。百合谷林道は除雪が完了しておらず,林道に入ってすぐに簡単な車止めが置いてあり,公式にはそこで冬季通行止め。
(林道が百合谷から離れて4つ目のヘアピンカーブくらいまで除雪されているが,それ以降は断続的に積雪がある。)
コース状況/
危険箇所等
【鳴谷山までの夏道ルートの状況】
・まだかなり積雪があり,夏道は未だに雪の下。マーキングや看板の類もほとんど露出していない。砂御前山手前までは百合谷源頭部の右岸に沿って歩き,そのまま谷沿いに稜線まで詰めてしまうのが最も簡単と思われる(早い段階で稜線に上がってしまうと,ヤブが露出している区間が多く苦労するのでおすすめしない)。砂御前山はほぼ夏道通りにトラバース可能だが,鎧壁に雪が残っており雪崩や落雪の恐れがあるので,安全を期すなら稜線伝いに砂御前山を経由したほうがよい(ただ,ヤブが出てるかも)。

【鳴谷下降〜目附(めっこ)谷  ※あくまで残雪期の状況】
・目附谷支流の鳴谷は,かつて鳴谷峠(苛原峠とも)が源頭部に存在し,尾添の目附谷流域に存在していた出作り集落と,白峰の大杉谷川沿いの出作り集落との往来に使われていたと言われている谷。今回は,鳴谷山のひとつ南の小ピークから鳴谷の左俣を下降したが,往時に峠があったというだけあって,鳴谷の左俣はとても穏やかで谷も広く,ひとつの雪割れにも会わずに目附谷まで容易に下降できた。この分だと,無雪期でも滝はほとんどないかもしれない。目附谷への登下降におすすめ。(ただし,鳴谷山の東側に直接突き上げている鳴谷の右俣の状況は不明。地形図的に何となく険しそうな印象があるため,こちらをルートに採る場合は注意してください。)
・目附谷は,紅滝(にじたき。ただし滝の名称には諸説あり)より下流は既に谷割れが生じているが,両岸が積雪に覆われているため,容易に谷沿いに歩行可能で,スノーブリッジも多数あるため,右岸・左岸の往来も比較的容易。紅滝から上部の谷はほぼ雪渓が完全につながっている。なお,言うまでもないが,雪崩や雪渓崩壊には十分注意が必要。基本的に険しい谷なので,積雪期は,残雪期など雪が安定しているとき以外は安易に下降すべきではない。
百合谷林道の路肩に車を停めて歩き出す。林道の除雪は4つ目のヘアピンカーブくらいまでで終わっており,それ以降は残雪がまだら状に残る中を歩いて行く。
百合谷林道の路肩に車を停めて歩き出す。林道の除雪は4つ目のヘアピンカーブくらいまでで終わっており,それ以降は残雪がまだら状に残る中を歩いて行く。
林道終点から鳴谷山登山道に入るが,まだかなり積雪があり,夏道は未だに雪の下。適当に百合谷の右岸沿いに稜線まで登る。
林道終点から鳴谷山登山道に入るが,まだかなり積雪があり,夏道は未だに雪の下。適当に百合谷の右岸沿いに稜線まで登る。
砂御前山もほぼ夏道ルートどおりにトラバースしたが,鎧壁にはまだかなり積雪が乗っかっている。雪崩や落雪の恐れがあるため,砂御前山の山頂を経由したほうが安全だったかもしれない。
砂御前山もほぼ夏道ルートどおりにトラバースしたが,鎧壁にはまだかなり積雪が乗っかっている。雪崩や落雪の恐れがあるため,砂御前山の山頂を経由したほうが安全だったかもしれない。
鳴谷山への途上は,相変わらず素晴らしいスギの大木が多い。
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鳴谷山への途上は,相変わらず素晴らしいスギの大木が多い。
鳴谷山までのたおやかな雪尾根を歩く。まだまだ残雪豊富だ。
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鳴谷山までのたおやかな雪尾根を歩く。まだまだ残雪豊富だ。
大長山や赤兎山も見える。
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大長山や赤兎山も見える。
鳴谷山に到着。安定の大展望。
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鳴谷山に到着。安定の大展望。
四塚山・大汝峰・御前峰のアップ。
4
四塚山・大汝峰・御前峰のアップ。
ショウガ山や大辻山へと連なる稜線の眺め。
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ショウガ山や大辻山へと連なる稜線の眺め。
白山の大展望をしばらく楽しんだ後,鳴谷の左俣を下降すべく,鳴谷の一つ南の小ピークを目指す。シゲジへと繋がる稜線が美しい。
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白山の大展望をしばらく楽しんだ後,鳴谷の左俣を下降すべく,鳴谷の一つ南の小ピークを目指す。シゲジへと繋がる稜線が美しい。
鳴谷山の一つ南の小ピークから,穏やかな鳴谷左俣の源頭を下降していく。
鳴谷山の一つ南の小ピークから,穏やかな鳴谷左俣の源頭を下降していく。
鳴谷は,地形図から想像していた通り,明るく開けた穏やかな谷が続く。向かいに見える加賀禅定道の稜線が美しい。
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鳴谷は,地形図から想像していた通り,明るく開けた穏やかな谷が続く。向かいに見える加賀禅定道の稜線が美しい。
ちなみに,この写真は,かつて鳴谷峠(苛原峠)があったP1554とP1535の間の鞍部へとつながる枝谷を出合から見上げたところ。奥の鞍部が,往時の出作りの村人たちが往来した鳴谷峠だ。確かに,歩きやすそうな穏やかな枝谷。
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ちなみに,この写真は,かつて鳴谷峠(苛原峠)があったP1554とP1535の間の鞍部へとつながる枝谷を出合から見上げたところ。奥の鞍部が,往時の出作りの村人たちが往来した鳴谷峠だ。確かに,歩きやすそうな穏やかな枝谷。
ブナと青空。
本当に明るくて気持ちいい谷だなぁ。
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本当に明るくて気持ちいい谷だなぁ。
地形図上で少し険しくなっている区間に差し掛かると,古いデブリ跡が出てきたが,通過には全く問題ない。
地形図上で少し険しくなっている区間に差し掛かると,古いデブリ跡が出てきたが,通過には全く問題ない。
再び谷が開け,谷底というよりは明るい広間のような空間を進んでいく。
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再び谷が開け,谷底というよりは明るい広間のような空間を進んでいく。
両岸は立派なブナが多い。
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両岸は立派なブナが多い。
新緑の頃に来たら,本当に美しかっただろう。
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新緑の頃に来たら,本当に美しかっただろう。
ここまで一つも谷割れに会わなかったが,目附谷との出合いまでもうすぐ,というところで,やっと水流が見え始めた。
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ここまで一つも谷割れに会わなかったが,目附谷との出合いまでもうすぐ,というところで,やっと水流が見え始めた。
目附谷本流との合流部に到着。合流部は,深い谷底とは思えないほど,ブナとトチノキの広濶な平となっている。
目附谷本流との合流部に到着。合流部は,深い谷底とは思えないほど,ブナとトチノキの広濶な平となっている。
一昨年の秋に目附谷を遡行したときは,いいところだなぁと思いながらも,ヤブが深すぎて沢筋以外は自由に歩き回れなかったのだが,深い雪に埋もれている今は,この秘境を気ままに散歩することができる。何だか不思議な感じだ。
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一昨年の秋に目附谷を遡行したときは,いいところだなぁと思いながらも,ヤブが深すぎて沢筋以外は自由に歩き回れなかったのだが,深い雪に埋もれている今は,この秘境を気ままに散歩することができる。何だか不思議な感じだ。
トチノキの大木もちらほら。
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トチノキの大木もちらほら。
目附谷の谷底で,人知れず年輪を重ねたトチノキ。
2
目附谷の谷底で,人知れず年輪を重ねたトチノキ。
さて,今回の山行の目的である紅滝をめざすべく,目附谷本流を上流へ。無事紅滝までたどり着けるだろうか。目附谷本流は既に谷割れしているが,両岸は意外に開けていて十分な積雪があり,容易に歩いて行ける。
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さて,今回の山行の目的である紅滝をめざすべく,目附谷本流を上流へ。無事紅滝までたどり着けるだろうか。目附谷本流は既に谷割れしているが,両岸は意外に開けていて十分な積雪があり,容易に歩いて行ける。
雪解け水のためか,一昨年遡行したときより,明らかに水量が多い。
雪解け水のためか,一昨年遡行したときより,明らかに水量が多い。
雪代で轟々と水勢を増した目附谷の流れを眼下に眺めながら,残雪を踏んで上流へと向かう。
雪代で轟々と水勢を増した目附谷の流れを眼下に眺めながら,残雪を踏んで上流へと向かう。
こんな感じでスノーブリッジが残っている箇所も。おそらく,厳冬期は谷全体が完全に雪に埋もれていたのだろう。
こんな感じでスノーブリッジが残っている箇所も。おそらく,厳冬期は谷全体が完全に雪に埋もれていたのだろう。
と,いくつも連なるスノーブリッジ群の向こうに,巨大なエネルギー反応!
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と,いくつも連なるスノーブリッジ群の向こうに,巨大なエネルギー反応!
出た! 紅滝だ!
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出た! 紅滝だ!
いやー,まさか紅滝に再会できるなんて。しかもこの時期に。
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いやー,まさか紅滝に再会できるなんて。しかもこの時期に。
手前でスノーブリッジを渡って左岸から右岸に移り,慎重に接近していく。
手前でスノーブリッジを渡って左岸から右岸に移り,慎重に接近していく。
白山の秘瀑のひとつ,紅滝(落差約40m)の滝壺に到着。滝壺には巨大な雪渓が残り,雪に丸く縁どられて幻想的な眺めだ。
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白山の秘瀑のひとつ,紅滝(落差約40m)の滝壺に到着。滝壺には巨大な雪渓が残り,雪に丸く縁どられて幻想的な眺めだ。
滝に接近するが,右岸側からだと,風向きの関係で滝の飛沫が暴風雨のようになっており,うまく写真が撮れない…。ていうか寒い…。
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滝に接近するが,右岸側からだと,風向きの関係で滝の飛沫が暴風雨のようになっており,うまく写真が撮れない…。ていうか寒い…。
なので,滝壺の真上に掛かるこのスノーブリッジを渡って左岸に移る。十分安定していそうだが,スノーブリッジの安定度は見た目で測れるものではないので,慎重に素早く…。
なので,滝壺の真上に掛かるこのスノーブリッジを渡って左岸に移る。十分安定していそうだが,スノーブリッジの安定度は見た目で測れるものではないので,慎重に素早く…。
雪解け水で増水し,凄まじいほどの飛沫を上げる紅滝。一昨年の秋に遡行で見た時よりも確実に迫力がある。
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雪解け水で増水し,凄まじいほどの飛沫を上げる紅滝。一昨年の秋に遡行で見た時よりも確実に迫力がある。
面白いのが,紅滝の右側に,前回見た時にはなかった細い滝がもう一本出現していることだ。雪解け水が豊富なこの時期限定の眺めだろう。
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面白いのが,紅滝の右側に,前回見た時にはなかった細い滝がもう一本出現していることだ。雪解け水が豊富なこの時期限定の眺めだろう。
左側の雪斜面は,前回,沢登りで来た際に高巻いたルート。残雪が残る今は,むしろその時よりも簡単に高巻けそう。
左側の雪斜面は,前回,沢登りで来た際に高巻いたルート。残雪が残る今は,むしろその時よりも簡単に高巻けそう。
再びスノーブリッジを渡って右岸側に戻り,安定した場所に腰を下ろして,紅滝の雪の滝壺を眺めながら昼食とした。3月のもっと早い時期に来たら,滝全体が凍り付いて,例えば百四丈滝のようなスペクタクルが見られたかもしれない。次はもう少し早い時期に来てみよう。
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再びスノーブリッジを渡って右岸側に戻り,安定した場所に腰を下ろして,紅滝の雪の滝壺を眺めながら昼食とした。3月のもっと早い時期に来たら,滝全体が凍り付いて,例えば百四丈滝のようなスペクタクルが見られたかもしれない。次はもう少し早い時期に来てみよう。
しばらく滝を眺めて休憩したあと,目附谷のもう一つの秘瀑である二重滝を目指すべく,紅滝の右岸側斜面を高巻いていく。少し急なので,ピッケルとアイゼンを確実に効かせつつ,慎重に。
しばらく滝を眺めて休憩したあと,目附谷のもう一つの秘瀑である二重滝を目指すべく,紅滝の右岸側斜面を高巻いていく。少し急なので,ピッケルとアイゼンを確実に効かせつつ,慎重に。
高巻きながら,紅滝を見下ろす。純白の残雪の丸い額縁に収まった紅滝は,やはり何とも不思議な眺めで,何度も足を止めて振り返ってしまった。
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高巻きながら,紅滝を見下ろす。純白の残雪の丸い額縁に収まった紅滝は,やはり何とも不思議な眺めで,何度も足を止めて振り返ってしまった。
高巻きながら見下ろした目附谷の下流側。
高巻きながら見下ろした目附谷の下流側。
高巻きを終え,残雪の溶け残る紅滝の落ち口に降り立った。
高巻きを終え,残雪の溶け残る紅滝の落ち口に降り立った。
さて,上流側は…おっ,雪渓がつながってる! 何とか歩いて行けそうだ。
さて,上流側は…おっ,雪渓がつながってる! 何とか歩いて行けそうだ。
雪渓上を少し進むと,右岸側のカブト谷からのものと思われる土砂交じりの凄まじい雪崩跡に遭遇。おそらく,先々週に降雨があった際のものではないだろうか。通過は全く問題ないが,こんな雪崩に居合わせたらひとたまりもないな…。
雪渓上を少し進むと,右岸側のカブト谷からのものと思われる土砂交じりの凄まじい雪崩跡に遭遇。おそらく,先々週に降雨があった際のものではないだろうか。通過は全く問題ないが,こんな雪崩に居合わせたらひとたまりもないな…。
カブト谷出合に掛かる斜瀑。この滝,めっちゃ見覚えある! 一昨年,沢登りに来たときは,この下にある淵を泳いで滝に取りついたんだったなぁ…。分厚い雪渓に覆われた今は,想像もつかないが…。
カブト谷出合に掛かる斜瀑。この滝,めっちゃ見覚えある! 一昨年,沢登りに来たときは,この下にある淵を泳いで滝に取りついたんだったなぁ…。分厚い雪渓に覆われた今は,想像もつかないが…。
そして谷が狭まり,高い岩壁に囲まれたゴルジュに。急な雪渓を慎重に進んでいくと…
そして谷が狭まり,高い岩壁に囲まれたゴルジュに。急な雪渓を慎重に進んでいくと…
着いた! 二重滝(2段20mくらい)だ!
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着いた! 二重滝(2段20mくらい)だ!
あれ? 二重滝は2段の滝のはずなのに,1段しかないぞ…。どうしてだろう?
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あれ? 二重滝は2段の滝のはずなのに,1段しかないぞ…。どうしてだろう?
しばらく考えて,理由が分かった。今,目の前に見ているのは,二重滝の2段目(上段)の滝で,1段目(下段)の滝は,今自分が乗っかっている雪渓の下に埋まっているのだ。どおりで,妙に急な雪渓だと思った…。
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しばらく考えて,理由が分かった。今,目の前に見ているのは,二重滝の2段目(上段)の滝で,1段目(下段)の滝は,今自分が乗っかっている雪渓の下に埋まっているのだ。どおりで,妙に急な雪渓だと思った…。
しかし,二重滝とも再会できるとは思わなかった。名残惜しいが,この険しいゴルジュの中は今の時期に長居するには危険すぎるので,すぐに谷を引き返した。
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しかし,二重滝とも再会できるとは思わなかった。名残惜しいが,この険しいゴルジュの中は今の時期に長居するには危険すぎるので,すぐに谷を引き返した。
ちなみに,写真のこの雪斜面が,一昨年遡行した際に二重滝を高巻いた斜面。今の時期も(というより,むしろ今の時期のほうが)容易に高巻けそう。だが,今日はここまでにしておきましょう。
ちなみに,写真のこの雪斜面が,一昨年遡行した際に二重滝を高巻いた斜面。今の時期も(というより,むしろ今の時期のほうが)容易に高巻けそう。だが,今日はここまでにしておきましょう。
二重滝のゴルジュのすぐ手前にの左岸側に,比較的穏やかな斜面が下りてきている。当初は谷を忠実に引き返して稜線に戻ろうと思っていたが,この斜面を登って直接稜線に出てしまうことにした。
二重滝のゴルジュのすぐ手前にの左岸側に,比較的穏やかな斜面が下りてきている。当初は谷を忠実に引き返して稜線に戻ろうと思っていたが,この斜面を登って直接稜線に出てしまうことにした。
斜面を登高しながら,目附谷を振り返る。目附谷よ,また。
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斜面を登高しながら,目附谷を振り返る。目附谷よ,また。
目附谷を挟んで対岸にそびえる加賀禅定道の稜線。南側斜面であることもあり,大分雪解けが進んでいる。
目附谷を挟んで対岸にそびえる加賀禅定道の稜線。南側斜面であることもあり,大分雪解けが進んでいる。
そしてこの斜面,本当にブナの森が美しい。いい斜面に取りついてよかった。
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そしてこの斜面,本当にブナの森が美しい。いい斜面に取りついてよかった。
急斜面が続き息は上がるが,行く手を見上げるたびにブナと青空が励ましてくれる。
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急斜面が続き息は上がるが,行く手を見上げるたびにブナと青空が励ましてくれる。
そして屏風山(P1712)の北側に広がる緩傾斜帯に到着。美しいブナの雪原となっており,思わず,一人でうわーと声を上げてしまった。
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そして屏風山(P1712)の北側に広がる緩傾斜帯に到着。美しいブナの雪原となっており,思わず,一人でうわーと声を上げてしまった。
本当にいいところ。
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本当にいいところ。
ブナの天国。
いいねぇ。
加賀禅定道の稜線を背景に,ブナの大木がひとつ。
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加賀禅定道の稜線を背景に,ブナの大木がひとつ。
この平の南側には屏風山の北壁がそそり立っている。この壁を指して,屏風山と言う名前が付いたのだろうか。
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この平の南側には屏風山の北壁がそそり立っている。この壁を指して,屏風山と言う名前が付いたのだろうか。
あー気持ちいい。何となく登った斜面の先にこんないいところを見つけて,得した気分だ。
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あー気持ちいい。何となく登った斜面の先にこんないいところを見つけて,得した気分だ。
ここを屏風平と(勝手に)名付けよう。
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ここを屏風平と(勝手に)名付けよう。
屏風山に直接登るのは骨なので,屏風山はパスしてトラバース。この斜面がまたブナの森がきれいでして。
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屏風山に直接登るのは骨なので,屏風山はパスしてトラバース。この斜面がまたブナの森がきれいでして。
稜線に乗った。
白山遠望。
下山のため,再び鳴谷山を目指す。
下山のため,再び鳴谷山を目指す。
鳴谷山も,こうして見ると,ボリュームのある立派な雪山だなぁ。
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鳴谷山も,こうして見ると,ボリュームのある立派な雪山だなぁ。
ちなみに,これが鳴谷峠(苛原峠)。P1554とP1535の間の鞍部だ。
ちなみに,これが鳴谷峠(苛原峠)。P1554とP1535の間の鞍部だ。
峠から,北側の鳴谷側の眺め。確かに穏やかで往来には便利そう。
峠から,北側の鳴谷側の眺め。確かに穏やかで往来には便利そう。
峠から,南側の大杉谷川側の眺め。ちょっと急だが,通行は十分可能だろう。
峠から,南側の大杉谷川側の眺め。ちょっと急だが,通行は十分可能だろう。
ほどなく,再び鳴谷山。
ほどなく,再び鳴谷山。
白山よ,また。
往路を忠実に戻って,百合谷林道に降り立った。
往路を忠実に戻って,百合谷林道に降り立った。

装備

備考 全行程ツボ足。朝方は雪が硬かったためアイゼンを使用。ワカンは携行したが,雪がよく締まっており不要だった。

感想

 鳴谷山やシゲジなどの峰々が連なる白山の長大な稜線である目附谷左岸稜線に,鳴谷峠(苛原峠とも)と呼ばれる峠がかつて存在していたことを知る人はあまりいないだろう。私自身,白山麓の民俗誌(「白山奥山人の民俗誌」橘礼吉著,白水社)を読んでいてこの峠のことを初めて知り,まさか奥深く道もない(かつては青柳新道という登山道が通っていたが,現在は廃道)この稜線に,人が往来していた峠があったとは,と驚いた記憶がある。同著によれば,この峠を使って,目附谷流域に点在していた出作り集落と白峰の出作り集落との間で往来があり,また白峰の人々が残雪期にこの峠から鳴谷を下って目附谷流域に入り,熊狩りをしていたらしい。今では人跡絶えた秘境としか思えないこの山域を舞台にして,山に生きた往古の人々は縦横無尽に活動していたのである。
 と,いうことは,昔の人々が行き来した鳴谷を使えば,白峰側から容易に目附谷流域にアプローチできるのでは,という考えが,今回の山行のきっかけだった。それから,もう一つ…白山の秘瀑のひとつである目附谷の紅滝(「にじたき」と呼ばれるが,読みは一定していない。落差約40m)の積雪期の姿を覗いてみたい。もしかしたら冬の百四丈滝のような,凍り付いた幻想的な滝の姿が見られるのではないか,というのももう一つの目的だった。しかし,あの険しい目附谷の紅滝に,残雪期とは言え積雪期に果たしてどこまで肉薄できるか全く未知数である。後者の目的は,あくまであわよくば,といったところだった。
 結果として,鳴谷は,往時の白山麓の村人たちが行き来していたことがうなずけるほど,確かに穏やかな谷で,全く問題なく目附谷にアプローチすることができたうえ,紅滝まで首尾よく辿りつくことができた。雪代で増水し,もうもうと飛沫を上げる紅滝は迫力十分,大きな滝壺は雪渓に円く縁どられ,何とも不思議な眺めだった。通常は2〜3日かけて目附谷を遡行しないと対面できない紅滝にものの数時間でたどり着けるという,ある意味お得なルートかもしれない(言うまでもなく,雪崩やスノーブリッジ崩壊などのリスクがあるため,十分注意が必要だが)。残念ながら,訪問時期が遅かったため,滝壺の全体凍結のようなスペクタクルには出会えなかったが,再訪を期したい。
 今回下降路とした鳴谷を使えば,紅滝訪問だけなく,コエ谷から加賀禅定道に登ったり,目附谷源頭部からスキー滑降して鳴谷まで滑り抜けたり(紅滝や二重滝も,今回見た様子からすると,スキーで側面を通過可能なように見えた)するなど,いろいろな楽しみ方ができそうだ。
 
※ なお,地形図上では目附谷に2つ滝記号があり,上流側のほうに「紅滝」と表記がありますが,実際は下流側のほうが「紅滝」,上流側のほうが「二重滝」です。その辺りも含めて滝の名称の諸説についてこちらの記録の感想欄にまとめてます↓
【白山】目附谷遡行(2020.9.10〜9.12)https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2563161.html

※ ちなみに,こっちは目附谷をスキー滑降した際の記録
【白山】目附谷滑降(2021.4.10)https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3066995.html

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