葛川越道〜比良岳〜烏谷山〜擂鉢山☆雨上がりの表比良で躑躅三昧
- GPS
- 04:38
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 958m
- 下り
- 947m
コースタイム
- 山行
- 4:18
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 4:38
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
葛川越の古道は数ヶ所わかりにくい場所あり クルシ谷からの尾根は踏み跡はなく、シャクナゲの藪があり通行は容易ではないと思われる (葛川越を辿ったレコを備考にリンクを貼りますので、もしも行かれる場合にはそちらをご参照ください) 擂鉢山からの西尾根には明瞭な踏み跡あり |
写真
装備
備考 | 昨年のGWの葛川越道の山行 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3128182.html 一昨年秋の葛川越道の山行 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2670176.html |
---|
感想
前日の金曜日からこの日にかけてまとまった雨が降っていたが、午後からは晴れの予報となる。
午前中に用事があったので、午後から短い山行を考える。この時期、ついつい足が趣くのは比良岳から烏谷岳の一帯だ。比良岳の周辺ではユキグニミツバツツジがおそらく花盛りを迎えていることだろう。烏谷岳ではシロヤシオツツジも咲き始めている頃だ。雨の後で谷は水量が増しているだろうから渡渉をせずに周回出来る葛川越の古道から比良岳に向かうことにする。
京都の周辺ではしばらく前には色鮮やかな若緑のパッチワークを見せていた新緑も瞬く間に色が濃くなっている。花折峠のトンネルを抜けると冬は景色がまるで異なるのだが、京都側とは異なり、安曇川源流の谷の周囲ではまだ色鮮やかな新緑が残っているようだ。
坊村に到着すると風がかなり強い。
続々と団体のパーティーが下山してこられるが、一様にリュックにレインカバーをかけておられるので、山の上では雨だったのだろう。大型のバスも駐車場には停められているので、さらに大人数の団体が登山しているようだ。雲の合間から晴れ空が覗き始めると、下山してきたばかりのパーティーは「山の上は天気が散々だったが、下山するとこの天気・・・」という声が聞こえてくる。
地主神社に参拝すると、いつものように右手の斜面に取り付き、林道をショートカットする。明王谷の林道は以前は三の滝のあたりで土砂崩れにより林道が塞がれていたが、土砂はすっかり撤去されていた。
林道が白滝谷の登山道に入ると、いつも一気に新録の緑の包み込まれるような感覚を感じる。おそらく登山道周囲の大きな岩の苔の緑のせいもあるのだろう。右手の沢から音が大きく谷間に響く。前日からの雨で水量が増しているのだろう。
登山道が左手の斜面に大きく近づくところが葛川越の古道への入口となる。斜面を登り始めるとすぐに左手に登ってゆく踏み跡に入る。九十九折りに斜面を登るとまもなく水平な道となり、新緑の自然林を眺めながら、植林との境界を進む。
しばらくすると道は折り返して、植林の中を左手に登ってゆくのだが、このポイントを見逃して先に進んでしまうと急斜面に入ってしまうので要注意だ。古道脇にはいくつもの炭焼き窯の跡が現れ、いまはほとんど登山者も通ることのないこの道に独特のノスタルジーを漂わせる。この道はかつては炭を琵琶湖側に運び、米などを葛川側に運ぶための道だったらしい。
やがて旧街道風に樅の大樹が立ち並ぶ箇所を通過すると、わずかではあるが、なだらかな台地状の自然林の樹林が広がる。すぐに前方には明るい谷が現れる。クルシ谷が四俣に分かれるところだ。左から二つ目の谷が葛川越へと続く谷である。
谷の入り口は鬱蒼として陰鬱な雰囲気だが、谷に入ると驚くほど広々としたU字の谷の両側に鮮やかな新緑が広がり、なんとも谷相の美しいところだ。右岸の尾根にはシャクナゲが多く見られるが、花はほとんど終わっている。
本来の葛川越えの古道は谷筋を辿るのだが、この日はこの右岸尾根を比良岳に向かってダイレクトに辿ってみることにする。尾根上にあるのは動物のトレースがあるばかりだ。シャクナゲが続き、その固い枝の間を塗って進むが、藪の間にはサルトリイバラがあり、擦過して手掌に傷を追ってしまう。
ところどころでユキグニミツバツツジが鮮やかな赤紫色の花を咲かせているが、昨夜の雨で花がすっかり落下してしまったものがある。唐突に尾根を横切る古道が現れる。果たしてどこへ続くのだろうか、気になるところだ。古道からは展望が大きく広がり、すぐ右手には烏谷岳、その左肩からは武奈ヶ岳が顔をのぞかせる。
古道に沿って歩くとすぐに尾根に広い花崗岩のザレ地が現れる。こんなところにこんな場所があったなんて・・・と驚くような広いザレ地だ。古道はこのザレ地の下をトラバースして、その先の藪の中に消えていくようだ。ザレ地を登ると眼下にクルシ谷から白滝谷へと続く新緑の広大な谷、そして左に白滝山を望む白滝の谷の彼方には白倉三山を始めとする朽木の山並みの展望が広がる。
ザレ地の上は急斜面に濃密な藪が立ちはだかっており到底、通過できるようなものではない。尾根を左側に巻くことになる。その後も尾根芯には濃密なシャクナゲの藪が現れるので、左側の疎林の斜面を登る。まもなく斜面はなだらかになり、右手に大きな岩が見えてくると葛川越からの一般登山道に合流する。
比良岳の山頂にかけては平坦な広い尾根となっている。山頂が近づくとあたり一帯はブナの樹林となっている。山頂には根元から株立ちをした個性的な樹影のシンボリックなブナの大樹がある。比良岳の山頂は展望はないものの山頂を取り巻くブナの樹々が安心感を与えてくれるところだ。
わずかに山頂から南側に下ると正面に蓬莱山と森山岳の展望が広がる箇所がある。この時期は蓬莱山のゲレンデでは水仙の花が咲いていたかと思うが、斜面に黄色いものが見当たらない。
比良岳の山頂を後にすると尾根を北上して葛川越に向かう。ここでも尾根筋には花盛りのユキグニミツバツツジを見かける。
烏谷岳の南側には多くのシロヤシオツツジの株があるが、花を咲かせているものが全く見当たらない。山頂に到着するまで白い花に全くお目にかかることは出来なかった。ここから表比良の稜線を北上し、荒川峠までの間では多くの花に出遭うことが期待できるが、下山の時間を考えるとこの周回は無理がある。
山頂からの好展望が眺めて擂鉢山に向かおうと山頂の西側の樹林に足を踏み入れた途端、新緑の葉の下に下垂する数多く白い花に出遭う。すぐ近くには釣鐘状の黄緑色のウスギヨウラクも咲いている。ウスギヨウラクは比良で出遭うのは初めてであるが、花がなんとも地味なので見逃していたのだろう。風が強いので写真に収めるのに苦労する。
擂鉢山にかけてのなだらかな吊尾根はブナが次々と現れる。この尾根を歩くのは3度目であるが、前回はkol-yosiokaさんと一緒の山行にuriuriさんが途中で合流され、初めてuriuriさんと同行したのがこの尾根でありmその時の尾根に漂う湿潤した空気を思い出す。この日は雨上がりではあるが、既に空気はからりと乾いている。
擂鉢山の山頂も樹林に囲まれた地味なところではあるが、夕陽が新緑の樹林に落とす黄金色を帯びた透過光が綺麗だ。擂鉢山からは緩やかな尾根に歩きやすい道が続いている。下降するにつれ尾根が山陰に入ると急に薄暗くなった。
荒川峠からの一般登山道と合流したのは17時半、林道の終点までは近いような気がするものの九十九折の下降が意外と長い。明王谷の林道は登りの時と同様にショートカットして下るが、坊村に帰還したのは18時半近くになっており、山あいには黄昏が訪れていた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
毎年新緑の季節に白滝谷へ訪れるのですが、その楽しみのひとつに、ちょうど古道への入口付近で数は少ないですが山芍薬が咲くのです。今年はすっかりタイミングを逃してしまいました。
クルシ谷の四俣からは比良岳への尾根を登られたのですね!途中に開けたザレ地があるのには驚きです。また訪れてみたいです。
比良は幾種類ものツツジ祭りが始まりましたね。まもなく更紗満天星もたくさん見られそう。楽しみです。
そうそう、もう3年も前ですね。烏谷山から摺鉢山へ。豪脚のyosiokaさんとyamanekoさんに必死に喰らいついて行った僅か数十分間の山行、あれには度肝を抜かれました〜。でも大いに刺激を受けて、おかげで後の登山人生?が変わりました。
白倉岳の後で第二弾の山行をして頂きたかったです。
比良では山芍薬が咲くところはあまりないでしょうから貴重なポイントですね。山芍薬の季節は終わっているでしょうが、今度行く機会があれば注意深く探してみたいと思います。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する