葛根田川中ノ又沢〜戸繋沢周回 北東北の沢旅


- GPS
- 16:24
- 距離
- 23.8km
- 登り
- 1,047m
- 下り
- 1,035m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 8:30
天候 | オホーツク海高気圧 両日とも快晴 https://tenki.jp/past/2022/09/10/chart/ https://tenki.jp/past/2022/09/11/chart/ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
船
<新日本海フェリー> 新潟港 22:30 - 秋田港 翌05:05(途中下船。苫小牧行) 車両5m未満 \10,800 + 客室ツーリストA \1,200 計\12,000 秋田港〜乳頭温泉郷 下道で2時間。朝7時半には着きます |
コース状況/ 危険箇所等 |
・鶴の湯旧道 旧道入口にバス停と駐車場(10台程)あり。地形図にない車道に沿った遊歩道に騙されて10分ロス。旧道は休暇村HPで紹介されているが、入口がヤブで分かりにくく道の状態も吊橋を渡るまでは刈払いされていない。 ・鶴の湯〜小白森〜大白森〜大白森山荘 鶴の湯神社の左手から山道へ。すぐ出る林道を左へ10数m行くと右手に大白森登山道がある。所々ヤブが濃い(やはり刈払いされてなく、足元はしっかり広い道)のと、湿地でなくても足首上まで沈んでハマる泥沼が連続。沢靴や長靴が歩きやすい。アプローチシューズは逆効果。大白森の頂上は打って変わって天国の大草原が広がり、秘境感も感じる素晴らしい所。 ・中ノ又沢下降 大白森山荘から最低鞍部まで登山道を下りきり、横断する小沢から入渓した。暫くヤブの煩いボサ沢で進むのに苦労し、ブナ林の中を複雑に曲がりくねって似たようなボサ沢が合わさる。下るにつれて次第に開けるが、逆ルートで遡行すると迷うと思われる。滝はない。 中流はずっとゴーロ歩き。葛根田川との出合に唯一の小滝の3連瀑があり、1番下の滝だけ右岸を下る際へばり付いて大きく跨ぐ所がある。1番下の滝上右岸に2張り分テントスペースの台地があり、増水する日は不可たが快適だった。 ・葛根田川 中ノ又沢出合〜大石沢出合 葛根田大滝とは別にナメ滝があり、右岸から歩いて下れる。沼ノ沢出合も右岸。瀬で川の様子から直感的に右岸左岸と渡り歩けば、難しいへつりはない。渡渉は浅い所で膝上。 ・大石沢/戸繋沢遡行 ストック手持ちでのウォーターウォーキング。ゴルジュも左岸のバンドを歩ける。途中に通称「小ナイアガラ」8m滝があり、右岸の端に設置されたトラロープに沿って1枚岩を斜め上へ。唯一両手を使う箇所でヌメっている。その上は中段から滝の左端を登る。 詰めの出口は、蟹場分岐手前に至る左岸支沢の合流点にケルンとピンテの目印がある。支沢は途中大きな直瀑が出てきて驚くが、やはりピンテで明瞭な巻道に誘導され、涸れ沢を詰めれば藪漕ぎなく登山道に出れた。 |
その他周辺情報 | ロープ30mは持って行ったものの、使う箇所全くなし。 下山後は鶴の湯へ。10:00〜15:00 / 600円。 |
写真
装備
個人装備 |
ラバー足袋
トレッキングポール
テント
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感想
紀行文です
<プロローグ>
先日柏崎の米山に登って「北前船」の歴史を知り、そっかその手があったんだと閃いた。関越を北上して新潟から先、徹夜運転の代わりにカーフェリーに載せてしまえば、ぐっすり眠って翌日早朝には秋田に着く。車込みで1〜1.2万。1人だとガソリン+高速代と比べて動くカプセルホテルと思えば、何気にコスパも良いことに気づく。
22時半に出航。フェリーは月明かりの下、静かな海をゆっくりと航行していく。新潟市の夜景が遠ざかり、灯台の光の筋が夜の海面に反射して、水平線には漁船の灯りがぼうっと浮かぶ。船旅で行く登山って新鮮。山と海、両方で地球の広大さを肌で感じる。
<1日目>
翌朝4時、アラームより前に船内アナウンスで目が覚めた。デッキに出ると秋田港とモルゲンの空が美しい。5時過ぎに秋田港に降り立ち、車を走らせること2時間半で乳頭温泉に着いた。下山口にチャリデポし鶴の湯旧道から入山。「森で涼みながらウォーキングを楽しみましょう」の紹介文を信じ、初っ端から思い切り迷走。旧道は入口がヤブ化していた。
大白森への登山道も初夏の記録で既にヤブとあったが、9月半ばでヤブは更に元気になった感じだった。所々濃い区間では足元は広い登山道でも、上半身はヤブに埋もれ、掻き分けて抜けると今度は厚い泥濘で足首上までずぶずぶ泥にハマる。それだけに大白森の頂上に飛び出した時はびっくりした。どこまでも広がる大草原と、青空へ向かう木道。大白森って全然知られていない寂峰だけど、湿原の解放感は平ヶ岳より勝ると思った。大白森はこのレコを見た登山の方もぜひ、長靴で訪れて欲しいと思う。
大白森山荘はロッジのような2階建てでカマドと木炭も備わっていた。山荘下で鞍部まで下りきると小沢が横切ったので入渓。中ノ又沢の下り初めはボサ沢で進み辛いけども、水面を見ると魚影が頻繁に走る。頑強なヤブに守られて迷路のような源流、そこはイワナ達の聖域だった。水温の冷たさが靴を通しても伝わる。竿を出してみるが、ヤブで極小スプーンすらキャストが困難ことに気づくまで時間は掛からなかった。ロストして一切残置することのないよう、釣りは止めた。更に下流で何本か支沢を合わせて歩きやすくなると、聖域のイワナ達はぱったりと姿を消した。
広大なブナ林の中を中ノ又沢はゆったりと流れ、奥入瀬に似た雰囲気だ。ゴーロを歩く。日が傾いてゆき、そろそろテン場探すかと思った矢先、連瀑が出てきた。緩やかなナメ滝で、左右から歩いて下れる。葛根田川に出るまであと残り滝1つのところで、右岸に砂地の平坦スペースが現れた。滝からの微かな風で虫も少なくて絶好のテン場。アルミホイルでクスクスを蒸し、天然のせせらぎをBGMに安眠を得た。
<2日目>
テントを撤収し5時半に出発。朝一番に昨日残したラストの滝を右岸から下りるも、1個所へばりついて大きく跨ぐ所がある。スタンスを拾って問題なく通過、葛根田川本流に出た。
葛根田川は100mも下ると両岸の立った大きなナメとなり、早くも平凡な渓では無いのが分かった。幅広く水量があり沢というより川。行き詰まったら渡渉出来るかが心配になったものの、意外と膝程度の浅瀬を見つけすんなり縫って行けた。滝が出てきて右岸から歩いて下る。次の瀬を左から降りると、景勝地のような渓谷が目前に広がった。車道が通じていたら間違いなく観光地化していたであろう。朝日が差し込むと神秘的な雰囲気に。核心のお函も見ようと、川が蛇行する所まで足を伸ばしてみるも渡渉は深さを増し、へつりも出てきた。時間がかかる。お函はまたの機会にとっておこう。
大石沢/戸繋沢へ入る。最初から絵画の題材になりそうなナメが続き、ため息しか出ない。大石沢を左に分け、左から滝が落ちている小ゴルジュを通る。左岸のバンド伝いに歩いて抜ける感じで、再び幅広ナメに。戸繋沢は岩盤がよく発達しているが、岩の色がオフホワイトを帯びている。白いナメに青い水が流れていて、サンゴ礁のようなナメ模様が何とも言えない美しさ。
更に歩くと流れが止まり、湖のような水鏡のトロにグリーンの広葉樹林が映えている。まるで京都のお寺。10月紅葉したら凄い世界になると思う。距離の長い沢なのと、帰りの運転も長く7時間近いので、ふと時計が気になる。それはずっと眺めていたい水鏡を壊すことを意味した。鏡面はさざ波に。砂絵のように儚い。
そしてクライマックスが現れた。轟音が近づく。高さ8m、幅30mほどだろうか。ナイアガラと呼ばれる簾滝。ひとり思わず叫び声を上げた。休憩しつつ見回すと滝の左端にトラロープがあった。複数支点で結びもしっかりしてるので、片手を使わせてもらう。初めてヌメヌメの1枚岩を登った(ここまで1日目も含めてヌメりは全くなかった)。ホールドを拾って斜上したあと、中段から滝の左端を登る。さくっと登り切った。ほっと緊張がほくれた。
ナイアガラ滝のあとはブナの沢歩きとなった。段々暑くなってきてメマトイが纏わりつく。何かに首を刺されたか腫れて全身かゆい。金堀沢との出合には登山道のような立派な「遭難防止」標識が木の幹にあった。先ほどの固定トラロープと言い人は案外入っていて、恐らく釣師だろう。ゴーロの小滝を幾つか越えて詰めていくと、蟹場分岐へ至る支沢の出合にはケルンとピンクテープがあった。支沢を登る。ん?最後の最後に高さ15m近い直瀑。もちろん巻き道が右手にあり、その後もクモの巣払いしつつ丁寧なピンテに導かれてお昼、登山道に出た。ほぼヤブ漕ぎのない綺麗な詰めだった。素晴らしい。
下山。デポチャリで車に戻り、折角なので乳頭温泉郷を代表する鶴の湯へ。明日は東京出社だ。みちのく沢旅の余韻に浸りつつ、東北道を飛ばし長い1日は終わった。
ありがとう、北東北。
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