台風を気にしながらの富士登山 御殿場ルートで山と向き合う
- GPS
- 11:40
- 距離
- 17.3km
- 登り
- 2,340m
- 下り
- 2,332m
コースタイム
天候 | 午前中は晴れ 昼の山頂はガス、のち午後には濃霧の時間(場所)も。 雨は15:30に下山するまで降らず。 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ガイド等にある通り、砂礫の登山道は足を取られやすく疲れがたまります。 体が前のめりになると足が後ろに流れて力が吸収されて前に進まず疲れがたまります。 日影がなく水分の確保は重要です。 ポストは登山口にあるはずが未確認です。 九合目あたりにはまだ数mの積雪が残るところもあり、雪渓を辿る踏み跡と岩場を歩くものに分かれます。 |
予約できる山小屋 |
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写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ 1
予備電池 1 カメラ、ヘッデン、スマホ
1/25,000地形図 1
ガイド地図 1
筆記具 1
保険証 1
飲料 2 ℓ
ティッシュ 1
タオル 1
スマホ 1 GPS機能
計画書 1
雨具 1 式
防寒着 1
ストック 1
水筒 1 2ℓ/人
時計 1 コンパス、高度計
非常食 1 1日分相当
カメラ 1
ツェルト 1
ファーストエイドキット 1
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感想
富士山を頭に描いてみるときにいつも出てくるのが山頂近くの渋滞。
行ったことがないから聞いた話でしかないのですが、去年の世界遺産騒ぎもあって、当分自分が行くことはないだろうと思っていました。
何かで目にした登山ルートの情報に、御殿場ルートは歩く人が少なくてマイカー規制もないと出ていました。
ここを平日歩くならかなりストレスのない登山ができそうだとあっという間の計画です。
7月1日に山開きのニュースがあって、何も知らない私は全ルート一斉に開通したつもりでいたんです。
ガイドをめくってみても、御殿場コースは長い、景色が変わらない、足元が砂礫、日影がない、etc...
あまりいいことは書いていません。
下りの大砂走りが売りのようですね。
富士山らしいスケールを五感で感じながら歩けそうなこのルート、初富士山の舞台としては文句なしです♪
それより天候が問題。
展望が悪かろうが雨に降られようが別にかまいませんが、遭難につながるような状況を判断して避ける責任は自分にあります。
とんでもない勢力で沖縄に近づいている台風と、本州の上に今が旬だと言わんばかりに伸びている梅雨前線。
このタイミングで登山に出かけるのは…無謀ですよね。
いつものように中止、撤退の判断を間違えないように心の準備をして滋賀を出発しました。
暗い中で登山口の駐車場に車を止めると他には車の姿はなく、肩透かしを食ったような気分で外に出ると雲の間から星が見えています。
天の川まで見える澄んだ空気のトンネル(?)にしばらく立ち尽くして流れ星を2つまで数えました。
着いて早々にいいものを見せてもらって気分よく車に戻り、とりあえずの仮眠…zzz
午前までの仕事と長いドライブの疲れもあって、しばらく熟睡して目を覚ますと…
信じられない快晴の空!
一点のシミもない青空にドンと鎮座する富士山に口が開いてしまいました。
時間は4時。
スタート予定は5時でしたが、この天気に一瞬でテンションが上がってしまい、すぐに準備を済ませて登山口に向かいます。
鳥居をくぐり、まるで海岸の砂浜のようなザクザクした登山道を歩き始めました。
ここで一つ失敗したこと、登山ポストを見落としてしまい、提出のないままにスタートしてしまったんです。
いくつか案内所や店の臨時の建物があって、その並びにポストもあっただろうと思いますが、うっかり失念したままでした。
この位置から見上げる山肌は、ほぼ山頂近くまで土壌の質が同じように感じられます。
見通しはよく、白いポールが並んでいるので遠目にも登山道ははっきり見えています。
何列かポールが並行して立っているのは、登山道が登りと下りに分かれているうえ作業車が通るブル道も別にあるためです。
道の幅は広く、砂が踏まれて締まっているところとそうでないところがあります。
雪山と同じで気持ちだけ先走ると体が前のめりになり、足が後ろに流れて疲れるだけで進まない歩き方になってしまいます。
足をしっかり下ろして重心を確認しながら進み、地面を後ろに蹴らないことを念頭に置いて歩きます。
あとは呼吸。
穂高での高山病の経験を踏まえて最初から呼吸のリズムを一定にしようと頑張ってみました。
天気はいうことを聞いてくれませんが、体のコントロールは何とか自分でしてみたいものです。
左に見える二ツ塚や宝永山を目安にしながら標高を上げていきます。
気を使って歩きながらも足のダメージは確実に積み重なり、立ち止まる間隔が目に見えて縮まってきました。
今日の行程は七合目の山小屋「わらじ屋」までなので気分は楽です。
スタートが早かったのでゆっくり進めばいいし、早く着けば今日のうちに山頂に向かえるかとぼんやりイメージしながら歩いています。
ただこの御殿場コースの登山口、新五合目の表示がありますが、他のルートの五合目よりも目立って標高が低いんです。
案内を見ると、そこはもともと二合目だった高さらしく、登山口から六合目への道のりが恐ろしく長い!
あれこれ考えても気分を変えても歩く道のりが変わることはなく、目の前に見えている次の目印に向かって立ち止まりながらも近づき続けます。
七合目手前で追いついてこられた男性は登山口の指導所のブースの方で、10日のルート開通に向けて確認をしに歩いているとのことでした。
世界遺産になった富士山は登山客や観光客が増え、安全管理を司る立場の方には負担がかかることですね。
ご苦労様です。
わらじ館に着いたのは9時ごろで、当然今日のうちに山頂を目指すことにしました。
小屋にしても本開業はルートの開通からだろうし、私の予約を受け付けてはいますが、まだあれこれ小屋開きの準備作業をされているようです。
小屋の方の好意で荷物を一部デポさせてもらい、軽くなった身でさらに上を目指しました。
…張り切ってまた歩き出したのはいいのですが、体の疲れはほとんどそのままだったんです(泣)
いくらも行かないうちに立ち止まって息を整える始末。
剣ヶ峰まで登ってお鉢巡りをして明るいうちに小屋に戻れるか…
でも急いでもメリットはないので、ここまでと同様に立ち止まりながらゆっくり登ります。
九十九折りの道を、次の折り返しまでと目標を決めながらなんとか進みます。
決して急な傾斜でもないのに、ちょっと体力が落ちたかも…とテンション下がり気味で歩いていました。
それでも少し、少しずつ標高を上げ、高度計は3500mに近づいてきました!
このあたり、上から降りてくる登山者に多くすれ違います。
挨拶がてら伺うとみなさん朝に富士宮ルートを上がって登頂し、これから下るとのこと。
かなり所要時間は違うんだと実感しました。
(私がのろまだったのではないとほっとしたのも確かです…)
雪渓を踏み、岩場を乗り越え、山頂の鳥居を潜ると周囲は真っ白なガスの中。
もう富士の最高峰、剣ヶ峰は目の前です。
ガスにぼんやり浮かぶ最高点に向かって最後の登り。
もう急ぐことはないと一歩一歩を踏みしめて急な坂道を登り切りました。
そこは大きな建物の陰。
気象庁の富士山レーダーがあった気象観測所です。
もう御用済みのはずで、レーダーは撤去されていますが建物はそのまま残されています。
その脇に二等三角点(一等じゃないことにびっくり!)と、山頂の碑がたっています。
ソロの登山者らしい男性が5人ばかりたむろして休憩がてら会話に花が咲いていました。
その中にお邪魔して15分ほどでしょうか、楽しい時間を過ごすことができました。
ついさっきまで日光にさらされていた(?)山頂の岩が、触ってみるとぽかぽか暖かくて、空気の冷たいこの場所でもいい気分で昼寝ができそうでした!
その会話の一団にいらっしゃったのが富士山のガイドをされているHさん。
お鉢巡りは雪とガスの状況からやめておくようにアドバイスをいただき、わらじ屋に下りると言うと、下りに効率のいいルートを教えてくれるというのでご一緒することになりました。
富士宮ルートを下り、途中でトラバース道を辿ると御殿場ルートに合流します。
確かに地図には線が引かれていますが、よく知らない人間が行ってみる気にはなかなかならない道です。
そこはさすが案内のプロだけに、ルートの気づかないポイントを教えてもらいながらどんどん下っていけました。
「ヤマレコの知り合いで富士山のガイドをされている方がいて、奈良の方ですが…」と切り出すとよくご存じで、miztrekさんと同じルートのガイド仲間だそうです。
(このHさん、富士登山マラソンに出たり、海外のヨットレースに出たりとすっごいスーパーマンでした!)
わらじ屋さんで本当なら予約通り受付をするのですが、ご主人がおっしゃるには、登頂もできたなら、天候のこともあるし下りられるなら下りた方がいいとのことです。
Hさんも御殿場口まで下りるとのことで、小屋のみなさんにはお礼だけ申し上げ、下ることにしました。
7合目からの下山道は大砂走りの醍醐味が味わえる素晴らしいポイントですが、上部除雪のために重機が動いていたりで走れないところもありました。
Hさんはならば!と宝永山の方にルートを変え、その途中から脇道を抜けて邪魔のない大砂走りのルートを確保に動いてくれたんです。
この下りの砂地を走るスケールは半端じゃなく、終盤には本気で膝の心配をしだす始末でした。
当然登りの所要時間とは全く違い、信じられない早さで新五合目の駐車場に戻ることができました。
後半に一人では到底味わえなかった経験をさせてくれたHさんにはお礼の言葉しかお返しできませんでしたが、このとんでもない山のほんの一部、でも一日分としては十分お釣りの来る楽しい山行になったこと、ほんとうにありがとうございました。
車に乗り込むときになって雨が降り出し、見る間に雨足が強くなりました。
結局一度もレインウェアを出さなかった一日、山に歓迎されたつもりになっていいですよね!
晴天でしたね〜!
アルプスでの貯金(?)が効いてたかも
足の方は大丈夫でしたか?
私も初富士はこのルートにしようと思いました!
その前に2位に行ってきますね
良いレコありがとうございました!
いらっしゃいませ〜
アルプスの貯金って…こんなところで下ろせたわけですね
山頂で出会った登山者や、山小屋の方々から「初めての富士山で御殿場コースを歩く人はいませんよ 」 と珍しがられてしまいました
こちら側が山開きしてしまうと歩く人は増えるんでしょうが、他のルートと比べると空いているようですから山としっかり向き合って歩けそうですよ
2位に行かれるんですね。
あちらもでかい山なんだろうな
また教えてくださいな
普段は富士宮口ばかりですが、実は一番好きなのが御殿場口です。登りと下りのギャップがたまりません。また登ってください。
keniyaさん、はじめまして
プロフィールをちょっとのぞかせてもらいました。
富士山の達人ですね
今回が初めての富士山でしたが、ルートごとの味わいの違いなんかぜひ楽しんでみようと思っています
また教えていただけたら嬉しいです。
monsieurさん、こんにちは!
こんな梅雨と台風の晴れ間にどんピシャで富士山に行けて、
しかもHさんという富士山のスペシャリストに案内していただけて
すごくラッキーでしたね
わたしは渋滞を経験したひとりなので、もう行かないつもりですが、
こんな素晴らしい経験ができるのならもう一度行ってみたいです
eechanさん、こんにちは
天気予報を見れば見るほど絶望感を抱きながら車を走らせてました
全行程ガスと雨と風を覚悟していましたが…夜が明けるとまさかの
前線と台風の隙間のような青空だったんでしょうね
渋滞の中を歩くのはストレスが溜まりそうですね
今回歩いた御殿場ルートは4つのルートの中ではシーズンの登山者数が少なく、混雑といっても知れているそうで、駐車場もほぼ空いているとのことです。
施設が少ないので良くも悪くも自然を一番残した富士の登山ルートになるんでしょうね。
eechanさん、ぜひこちらからも歩いてみてくださいな
富士山の他のルートや季節など、いろんな条件で山の表情を見せてほしくなってます
お鉢巡りもしてみたい!
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