迷滝上部 ヒウラ谷左俣から大峰主稜線へ
- GPS
- 13:46
- 距離
- 21.9km
- 登り
- 2,246m
- 下り
- 2,276m
コースタイム
天候 | 06/17 晴れ 06/18 晴れ→曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2023年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ヒウラ谷出合まではバイクで通れたし林業車両も通行していた 高野辻ヘリポートへの林道は通行止めだった |
コース状況/ 危険箇所等 |
ヒウラ谷 迷滝とその上部の連瀑帯は大高巻きするしかない。テープは迷滝の高巻き中に消滅する。 その上には大滝は3,4個。小さなゴルジュや滝は直登したり巻いたりで楽しく進める。 トップリ尾 部分的にトレースは薄かったりするし、2個ほどルートを外しうるところはあったがまあ普通のバリルート。 |
写真
感想
大峰舟の川の支流、ヒウラ谷にかかる迷滝という大瀑布を見に行こうと思い立った。しかし滝を見に行くだけというのは個人的に好みではなく、出来ればそのまま稜線まで詰めたいところ。詰めると高崎横手のちょい奥くらいの稜線に出るらしい。下山はトップリ尾というのが使えそうだし、悪くなさそう。
ただ問題は迷滝より上の状況がほぼわからないこと。迷滝は左岸から巻けるらしい、その上の連瀑帯は右岸から巻くらしいというとこまではわかったが、Co1050の二俣より上はネットで調べたぶんには全く情報がなかった。地形図的には右俣はかなり深く切れ込んでいて結構難しそう。左俣はそこまでではなく、googlemapの航空写真で何個か滝は見えたものの両岸そこまで切り立っているわけではなく進めそうな気配である。というわけで左俣を詰めて日浦山へ→トップリ尾で下山という計画にした。
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国道168号を進み大塔エリアへ。すごい眠いし、高野辻ヘリポートへ向かう林道は真偽のほどは不明だが崩土で通行止めとされていたり、県道235号の奥の方で何もないところでバイクでコケたり、なんか滑り出しはよくないのだが9時にヒウラ谷出合を出発。今回は上部が未知なので下部はパス。ま、まあ紅葉の時期に合わせて見に来ることにしよう。
廃林道を歩き、途中で迷滝を眺めたりしつつ終点へ。小さな沢を渡ってじきヒウラ谷本流に到着。前衛滝は1つめを右手から越し、2つめを直登して迷滝直下へ。ものすごい大瀑布なのに滝下には圧迫感や威圧感はあまりなく、水流さえもやさしく降り注いでいるような印象である。遠くから見ても直下から見ても両岸にそびえる岩壁がまるで巨鳥が翼を広げているみたいに見えるこの滝は秋には見事な紅葉に彩られるらしく、是非ともそのシーズンに見てみたいと思える姿だった。
さてこの迷滝は巨鳥の左翼にあたる大岩壁の基部を岩壁が切れるまで回り込んでいく。やがて急傾斜の登りとなるがピンテがついている。岩壁の上に回り込んだところでピンテは消失し、以降稜線に出るまで見かけることはなかった。
岩壁の上をトラバースして進んでいく。下手なとこから谷への復帰を急ぐと迷滝からフリーフォールする羽目になりかねないので大事を取って標高を落とさず進んでいく。やがてルンゼを横切ったところで下を見れば沢床が見えたので、そこから谷に復帰。降りたところは小さな、しかし越えるのはちと骨を折りそうな滝の上で、向こう側には迷滝の落ち口とおぼしき空間が見えた。
上流側は束の間の平穏な河原になっており、少し進むとまたすごい連瀑帯が始まる。一つだけ参考になった記録ではこれを最初から右岸巻きしていたが、どうも右岸もさほど良く見えなかったので一つ目の滝を左岸から越えてみる。ここは存外楽に越せたがこの上はもう全く手が出せない領域であり、右岸からまとめて大高巻きすることとした。あまり良くないように見えた右岸だが、まあ巻きというのは得てしてこんなもので取り付いてみれば普通の沢の高巻きという感じだった。
高巻きトラバースを終えて1050mの二俣にたどり着くがそこは連瀑帯のてっぺんでありV字に切れ込んだ滝の底を恐る恐るのぞき込む。もしここから落ちて、万一幸運にも墜落死しなかったとしても滝の中段で身動きがとれず一生を終えるのだろうなという感じだった。
左俣へ進む。いきなり30m級の滝がお出迎えだが傾斜は比較的緩く、両岸も先ほどのような切り立ち方ではないので左岸の小尾根で楽に越える。再び降り立った谷はまさに原初の姿そのままという出で立ちで、トレースは人なのか獣なのかわからないような感じ、ピンテの類いは一切なし、人工物はおそらくトップリ尾から落ちてきた林業用ワイヤーを2つほど見かけただけという素晴らしい谷だった。さらにその中に通過に難渋しない程度のプチゴルジュや小滝を豊富に配している。傾斜も緩いので泊適地もいっぱいあった。後ろを振り返ってみれば谷中にありながら遙か対岸の山々まで見渡せるようなところもあった。
谷が北からやや東に向きを帰る地点にはgooglemapの航空写真でも見えていた大滝があった。15mほどの綺麗な滝であった。もし越すのが難しいなら遡行を早々に打ち切って尾根に上がらないといけないかなぁと思っていたが、左岸から小さく巻けた。その上には水流で彫れた一枚岩が続き、ふたたび北へ転じるところにはまた綺麗な2連滝がかかっていた。こちらは上段を右岸から巻いたが、高巻きトレースもごく薄く本当に遡行者も少ないんだろうなという感じだった。
そのうちトップリ尾の崩壊地を見て谷は日裏山から北西に延びる尾根を回り込むように90度向きを変える。このあたりは本当に泊適地であり、当初はここでツェルト泊の予定だったが時間がまだ早いのでもう少し進んでみる。また小滝や小ゴルジュを散りばめつつ楽しく進める谷であった。Co1500くらいになると水が涸れてきて、もう稜線まで標高差にして200m程度しかないのでいっそ今日中に抜けてしまって狼平でツェルト泊する方向に急遽変更した。
その後傾斜はさらに強まり、水が復活したりもしつつ、源頭に入っていく。ガレガレだったので暫定最初の一滴を認定してから山腹に上がる。ギンリョウソウを愛でたりしながら登っていくと日裏山の少し北の稜線に到着し、登山道と無事合流した。
その後は快適な登山道を狼平まで進む。狼平の小屋にはまだ誰もおらず、弥山小屋に泊まるという二人組が小屋前の川で水浴びと水汲みをしていた。弥山でテント張ったことがないので比較はできないが、狼平に勝るシチュエーションの宿泊地はそうそう無いと思うんだがなあ。小屋でゆっくりしてもいいのだがまあ練習と言うことで久々にツェルトを張る。固定のロープがまさかの1本しかなく、細引きで止めるという事態になった(もしかしてもともとロープがないから細引きが入っていたのだろうか……)が、まあまあうまいこと張れたのでよしとしよう。太陽の沈む時間も遅いので、余裕を持って晩ご飯と持ってきた日本酒を味わうことができた。
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2日目。朝3時半に起きたが結局狼平を出たのは4時前。弥山に向かって登っていくと途中で夜が明けてきて、ヤベエこれ間に合うのかなと昨日の疲労が否めない中で進んでいく。弥山に到着して東側が見える地点に着いたのが04:37。日の出寸前ギリギリセーフといったところだった。実際2分後に太陽が顔を出してきてたっぷり拝むことができた。
その後八経ヶ岳に向かう。八経ヶ岳山頂でご来光を見ていたであろう人々が降りてきたのとすれ違ったが、自分が着いたときには無人で気持ちの良い山頂を独り占めできた。西側・天川村方面を見ると雲海が広がっており、さらによく見ると環水平アークのようなものも見えていた(ほぼ360度全体に広がっていたが、これ環水平アークじゃないのかもな)。素晴らしい景色とシチュエーションを堪能し、明星ヶ岳経由で狼平に戻った。しばらく休憩したのちツェルトをたたんで撤収。荷物が一気にグンと重くなり足取り重くトップリ尾分岐へと歩く。
さてこのトップリ尾、昨夏にとある2人PTの遭難騒ぎの舞台となったところで、八経ヶ岳から川合に降りようとしていたらこの分岐にある標識に「惑わされて」トップリ尾に入り込み、さらにそのトップリ尾のルートも外して野江俣谷に入り込み、降りられない堰堤の上で身動きがとれなくなった……ということらしい。まあ、遭難というのは時刻や気象や精神状態などに大きく左右されるし、この2人PTが1週間近く経ってから生還したのは良かったしその精神力はすごいとは思うが遭難までの経過が正直あまりにお粗末であるという印象だった。方角をいっぺんでも確認していれば明らかにヘンなところに向かっていることはわかるんじゃないかという……というか、無事にトップリ尾を完走したとて電波も通じない人里離れた舟の川奥地の林道上で途方に暮れていたんじゃなかろうか。
そのトップリ尾だが、確かにトレースが薄いところとかは部分的にある。ただ、そこまで複雑な地形でもないし、危険箇所もないし一般バリルートの範疇という感じだった。無雪期にこれを登ることはまずないだろうが、途中展望が良い草原もあったりして降りる道としてはまあ悪かないかな、という感じ。途中2カ所ほど進む向きを間違えるとあらぬ方へ進みかねないところ(Co1380と1030)こそあったがその地点には的確に標識が設置されており五條市もこれで文句言われる筋合いはないわな、と思った。
まあその件に関しては他でも触れられているだろうからもうおいとくとして、無事廃林道の上に着陸し、堰堤の水流を走り幅跳びで越えて今回の登山も無事終了となった。ほぼ情報のない状態で突っ込んだヒウラ谷左俣だが最後まで詰めることができてたいへん満足である。あとは10月末くらいに下部のアメドマリ滝、雌滝、雄滝を拝んで迷滝まで見に来たいところである。
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