八ヶ岳/阿弥陀岳
- GPS
- 56:00
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 1,632m
- 下り
- 1,615m
コースタイム
2:30 茅ヶ崎発
5:00 美濃戸口着
6:47 出発
7:42-8:02 美濃戸山荘<1720>
12:20 行者小屋<2350>
13:45 雪上訓練に阿弥陀山麓を目指し出発
14:25 雪訓場所に到着
15:30-35 阿弥陀岳山頂<2805>
15:50 中岳のコル
16:10 幕営地に帰投
・12/30 強風雪
7:10 幕営地発
8:30-9:00 地蔵尾根の頭直下の鎖・梯子場手前<2650近辺>
9:20 幕営地帰投
9:30-10:30 埋没体験及びビーコン捜索訓練
・12/31 曇り後晴れ
7:20 行者小屋発
9:20-9:40 美濃戸
10:00 駐車場着
14:00 茅ヶ崎着
天候 | 12/29 快晴、12/30 強風雪、12/31 曇り後晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
KSTACの八ヶ岳冬季山行に同行させて貰った。
主目的は学生(3名)に冬季山行の経験を積ませることである。
計画では主峰赤岳登頂を謳っているが実際に登ったのが阿弥陀岳であるためタイトルは上記のとおりとした。
≪12/29≫
美濃戸口を6時半に出発する計画だったが、未だ6時半は暗い。漸くに明るくなり始めたばかりで一番凍える時間だ。
美濃戸口でOBのY田氏をピックアップし、これより少し先の河原に駐車する。
準備をしているとヘッドライトが要らない程度に明るくなってきた。
T木-K井-N崎-13Kさん-Y田氏-tadomasa-Aki-CLさんのオーダーで歩き始める。
気温は-10℃。
美濃戸までは林道歩きだ。
時折振り返ると朝焼けの南アルプスが望まれる。
美濃戸山荘前で一休憩入れ、学生はここでアイゼンを装着する。行者小屋まで特にアイゼンが無くても済む道のりだが、これもアイゼン歩行の訓練のため。
Y田氏は手製の横笛を取り出して演奏にいそしんでいる。
美濃戸辺りからは阿弥陀岳が猛々しく眼前に迫ってくる。
以前3月に阿弥陀南陵を登ったときよりも雪が未だ少ないようだ。
御小屋尾根も岩混じりに見える。
美濃戸から道は赤岳鉱泉へ向かう北沢、行者小屋へ向かう南沢と別れる。
堰堤を越えると山道らしくなる。
9:38に行者小屋から降りてきたSAC Y田氏とH田氏に出逢う。
阿弥陀北稜をやってきたが新雪が積もっていてまた岩も未だ凍結が甘く不安定と言うことだった。
ここら辺りから我々のペースは落ちた。
流石に入山してくる登山者が多い。次々にと道を譲った。
コメツガの樹林に囲まれた登山道だが徐々に雪も増えてくる。
気温は変わらない。
11:19 南沢の河原に出た。
前方が開けるとそこには横岳西壁の荒々しい姿が眼前に迫る。
雪化粧した大同心と小同心の姿が魅せてくれる。
天候は最高に良く、白い塔はハレーションを起こす。
壁の下まで続くコメツガの樹林の穏やかさと凍結した岩壁の雄々しさが対照的だ。
こんなに良い画幅はなかなか遭遇しないものだろう。
行者まであと少しと鼓舞して先を歩む。
12:20に行者小屋に到着した。
早速にテントを張る場所を探し、スコップとピッケルで整地し、学生組とOB組それぞれに設営した。
昼飯をそれぞれに摂って荷を軽くして阿弥陀岳北東尾根下部を目指す。
雪上訓練の内容はコンテ(コンテニュアス)確保だが、なかなか適当な斜面が見つからない。
ここらでどうか、と言うところは既に中岳のコルの真下で、阿弥陀岳は指呼の間だ。
Aki-CLさんとtadomasaはここで誘惑に耐えかねず雪上訓練はKSTACチームに任せてと、阿弥陀を目指した。
コルまでの急登はさらさらの新雪が被っていることも相まって結構なアルバイトを要した。
途中まで先行したが息が上がり、Aki-CLさんに先に行って貰う。
コルに到着したところでアイゼンを着ける。
先にすれ違った男女のパーティは赤岳から阿弥陀を登攀してきたと言うが、中岳からコルまでのトレースは薄い。
更に赤岳から権現への稜線は殆ど踏まれていないように見られる。
阿弥陀へのルートは下から見ていたときは高をくくっていたが、取り付いてみると緊張をさせられる場面もあった。
雪の付き方が中途半端であるのも一因だが、足下が切れ落ちているのが心理的に圧迫する。
IIかIII-級程度の所が2箇所ほどと感じた。
大した距離ではないと思うものの結構喘ぐ。
山頂に達するとそこは360°の展望台だ。
左からは南陵が突き上げている。
だが、既に低気圧の影響で悪天の気配が近い。
赤岳の背後にも不穏な黒雲が近寄っていた。
風も北西から強く吹き付けてきているので、頂上を下がって一休みし氷砂糖を噛む。
下りは登りほどの難しさは感じずに降りることが出来た。
更にコルからはシリセード三昧で20分でテント場に帰投することが出来た。
夕食はAki-CLさん手配のおでん。ちゃんと辛子も用意しているのには感心する。
学生はすき焼きらしい。(^^;
食後にはWild Turkeyで歓談が弾む。
≪12/30≫
夜半から風雪が強まっているのをシュラフに潜りながらも感じていた。
テントを敲く風が強い。パラパラと雪が叩く。
朝の景色は昨日と一変していた。
およそ20 cmの積雪があったろうか。
灯りもなく正に冬山と言った風情だ。
森林限界を超えて悪天候時には行動しない、と言う規範を決めているが、とにかく地蔵尾根を進んでみる。
気温は-13℃程度だが強風のために体感温度は低い。
行動を待つ間にも手足の指先が凍えてくる。
樹林帯の中も時折風が抜けていく。
地蔵の頭の直下の梯子にさしかかる30 m程がまるでトレースがない新雪の斜面となっていた。
学生には輪かんを着けさせる。
13Kさん、Aki-CLさんが先行してラッセルして登った。
この手前で単独行の登山者がいたが、やはりこの斜面を前にして引き返した。
後続で3人パーティが来て登っていった。が、梯子の上で停滞している。逡巡しているようだ。
更に大人数のパーティが来て、先頭が梯子を登って偵察してきたが、風も強く視界も利かないと退却を指示していた。
赤岳頂上小屋から降りてきた2人組が視界もないしトレースも無いと伝えた。
先の規範もあることであり、我々も無理せずここで折り返すこととした。
下降は早い。
降りてきてからは雪上訓練の第2ステージ、埋没体験とビーコン捜索訓練だ。
テント場の裏の沢筋が丁度良い吹き溜まりになっているのでここを踏み荒らし、訓練場とする。
学生が順番に埋められる役と捜索する役を務める。
埋められる側は適当に場所を定めて、スコップで掘り、銀マットを敷いてその上に俯せに穴に入る。
なるべく雪が入ることがないようにツェルト等を被ってその上から雪で埋めていく。
その場面を見ていない捜索役がビーコンを鳴らしながら探索していく。
使用したビーコンはOrtovoxのアナログ型1個とデジタル型2個だが、デジタル型の探索効率は非常に高く、ピンポイントで発見できる。
T木が探索したときには埋没しているK井を踏みつけて「ここ」と言うくらいでこれには驚かされる。
今日のメニューはこれで完了だが、これでもまだ11時前だ。
雪訓後に暖かな行者小屋で珈琲を飲みながら、昼食を頬張り小休止した。
その後はテントで長い夜。(^^;
≪12/31≫
一夜明けると穏やかで無風の朝だった。
未だ雲が全天を覆っている。
学生達のテントで早くから声が聞こえてきたが、未だ早いと眠りを貪っていた。
とは言え睡眠時間は十分なので、皆あっさりと起きあがる。
朝飯はいつものマルタイラーメンだがY田氏が下仁田ネギと鰯団子、シメジを提供してくれたお陰で素晴らしい変身ぶりだった。
行者小屋を発って下界に近づくにつれて天候は回復していき、美濃戸に着く頃には阿弥陀岳が望まれるようになっていた。
そして高速からは八ヶ岳全体が・・・。
一寸惜しい日和だが、八ヶ岳は近くて良き山。
再び訪れることは間違いない。
そして、またY田氏との山行も非常に勉強になるものだった。
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