阿蘇山《日本百名山》
- GPS
- 11:05
- 距離
- 19.8km
- 登り
- 1,743m
- 下り
- 1,536m
コースタイム
天候 | 雨のち曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
下山:草千里ヶ浜BSからバスでJR豊肥本線阿蘇駅 |
写真
感想
昨夜は再び雨になり、今日は曇りで9時頃から晴れとの予報だがまだ雨が降っている。5:00に予約したタクシーに乗り大戸ノ口の前原牧場に向った。目的地直前に運転士が携帯で業務通話を始め駐車場への入口を通り過ぎてしまった。客の前で平気で法律違反をするのは如何なものだろう。牧場の奥に駐車場があり鉄条網の扉を開けて登山道に入る。雨の登山道は黒土で滑り易い、何度もズズッと滑り濃いガスの中を雨具を着けて登った。しかし案外早く45分ほどで根子岳東峰(1,408m)の山頂が突然現れたという感じで到着した。雨は止んだが依然ガスは去らず視界はない。3等三角点「根子岳」があり天気が良ければ天狗岩が素晴らしいのだろうが・・・
何の迷いもなく先に続く登山道を行くと右の“箱石→”の指導標を見送り直進する。ミヤマキリシマの枝が張り出す道は、断崖絶壁で道が途絶え箱石方面の途中で縦走路が分岐するのかと思い引き返し分岐を折れる。道はどんどん下るばかりで、やがて“?”を感じ地図で確認するとどうやら天狗岩への縦走路は山頂手前にあった分岐だと気付き引き返す。悪天候の日、地図を出すのが面倒でついついやってしまうミス。その代償は25分の無駄な歩きだった。反省!
漸く復帰した縦走路は流石に険しく、根子岳のギザギザを辿る。天狗岩の肩までの0.7キロの距離にコースタイムは1時間と相当な難路のようだ。鎖の助けも借りながら歩くこと45分、目の前に屹立する岩が立ちはだかり登山路はここで終り。岩肌に3mほどの鎖が残置されているが、かなり年代物で、しかもその先がない。かつては登ることができたとガイドブックにはあるが今や天狗岩は普通の人には決して登ることはできず、根子岳(1,433m)は目前にして引き返すことになった。
手前のピークまで戻り「見晴新道→」の標識のある分岐に入りヤカタガウドへと下る。もし稜線伝いに縦走できれば日ノ尾峠(975m)に下りてそのまま阿蘇本峰への登路に続くのだが、一旦ヤカタガウド登山口(805m)まで下山し林道を登り返さなければならない。昭文社地図にあるルートを下ったつもりだったが、実は見晴新道は地図に載っていない全く別の道だった。北尾根を通り結果的にはほぼ同じ地点へ下山することができた。下りだしは厳しい急斜面で、雨で濡れているので慎重に下る。余り歩かれていないので落石が起こりやすい。標高1,100mあたりで雲の下に抜け出し木々の隙間から阿蘇の街が見通せるようになってきた。尾根から谷間に下り左手に砂防ダムが近づき何本かを見送ると登山道は涸れた川床に下り、対岸の2mほどの土の断崖を登り林道に出る。ここでもズズっ・・・
暫し休憩し、当然林道を登れば日ノ尾峠だと思って歩き出すが、すぐに林道の終点となり何と天狗岩への登山口が現れたのだった。これには面食らった。冷静に考え、降りた地点の標高が900mほどあり、地図にあるヤカタガウド登山口は標高800m、しかも林道の分岐点らしいことから右手の尾根の張り出しを回りこんだところだろうと予想し不安なまま下ると果たして分岐点はあった。案内地図がありこの時点で初めて天狗岩から下った道が登山地図にある道とは別だったことが確定した。
分岐を左に曲がり延々と林道を登る。走る車は1台もない。日ノ尾峠(975m)から東に向けて根子岳西峰(1,394m)への登路を発見した。地図には載っていないルートで全くノーマークだった。初めから分かっていたら計画に入れていたのだが・・・・
樹林帯から草原帯に変わり、阿蘇高岳まで標高差600mを登る。コースタイムは1時間30分だが結構時間がかかる。阿蘇の山にもミヤマキリシマが咲き始めている。そして花期を過ぎようとしているせいか一寸白っぽいイワカガミも沢山咲いていた。標高1,200mより上で再び雲の中に突入しガスの中となった。山頂稜線に乗り上がると人の声が聞こえ、高岳東峰(1,580m)のピークに達した。通称“天狗の舞台”とも呼ばれている。ここまで誰にも会わなかったが突然人の中に飛び出したので戸惑いさえ感じた。空に晴れ間が覗き時々ガスが切れ展望が現れ出してきた。この先大いに期待が持てる。
東峰からは大鍋と言われる火口の周囲を歩き阿蘇最高峰の高岳(1,592m)山頂に達した。鍋の底には月見小屋が見えているが訪れる人は少なそうだ。山頂に到着したときは人が群れていたが、暫くすると誰もいなくなり、ガスも晴れて二人だけの静かな山頂を楽しむことが出来た。仙水峡の駅の周辺はミヤマキリシマが満開で遠目にも紅に染まっている。昨年九重に行って以来病み付きになった“坊ガツル賛歌”2番の「ミヤマキリシマ咲き誇り 山紅に大船の 峰を仰ぎて山男 花の情けを知る者ぞ」が実感される光景だ。天候回復し中岳越しに杵島岳まで見通すことができるようになったが、その南の烏帽子岳は未だガスの中だった。
西の縦走路を下り登り返すと中岳(1,506m)に達した。中岳の東に広がる砂千里ヶ浜の広大な平原と火口群が阿蘇の正に核心部で雄大な眺めを見ることが出来る。仙水峡ロープウェイ火口東駅からここまで来る観光客も多い。阿蘇の風景を楽しんだ後は観光客とは反対方向の南に進む。時計回りに火口周を歩き砂千里ヶ浜に下りた。800mほど南のP1496からは根子岳、高岳の展望が素晴らしく写真を撮ろうと頑張るが再び覆いだしたガスの晴れるのを辛抱強く待ちようやくモノにした。
P1496の直下から岩場を下り砂千里ヶ浜に入る。その名のとおり一面に広がる砂地でその先は火口壁が屹立する圧倒的な光景だ。行儀松・色見からの登山道が合流すると火口西のロープウェイ駅が近く観光客が闊歩している領域となる。この先杵島岳、烏帽子岳を登り阿蘇五岳(根子、高、中、杵島、烏帽子)完登を目論んでいたが、同行者はバテがでて、阿蘇山西駅で行動終了し別府に先行することになった。駅で別れ時間的に2峰は無理なので杵島岳を登ることにした。
暫く車道を歩き人工スキー場からP1224を通り反時計回りに火口跡を巡る。可憐に咲くハルリンドウが点在し心和む。北に聳える往生岳(1,238m)がどっしり見事に見える。しかし一番北まで行くと砂防ダムがいくつも見え無様な姿を晒していた。いったい砂防ダムは何のために作るのだろう。公共工事のための工事としか思えない。山は崩れるもの、崩れるのを止めようとするのは人間の浅はかさではないだろうか。下流に危険があるというなら安全な所に移転し危険な所に住まなければいいと思うが、間違っているかなあ?
火口の切れ目の鞍部からは火口に下りる微かな踏み跡があり火口湖に達している。鞍部からの登り返しは標高差200m程ほどあり本格的な登りだ。火口を見ると大鍋・小鍋の二つの火口跡があり、活動の痕跡を見ることが出来る。山頂域に達すると本火口があり道は火口を一周している。距離のある西側を通り火口南側の杵島岳(1,326m)山頂に達した。急にガスが上がってきて楽しみにしてきた山頂からの展望はまたも見ることが出来なくなってしまった。下山路は何とアスファルトとコンクリートの階段で完全に整備された道が下まで続いていた。阿蘇パノラマラインに接しても遊歩道は別に作られ、車道歩きはなく草千里ヶ浜に達した。砂千里ヶ浜と対象に、こちらは広大な草原が広がり、観光用に馬が放牧されている。有料で乗馬も楽しめるようだ。そして草千里ヶ浜の奥には烏帽子岳が優雅に鎮座し阿蘇の代表的な風景を醸しだしている。バスまであと20分、烏帽子登山は断念したが1等三角点峰でまた何時の日か訪れることになるだろう。
阿蘇駅での列車待ちの1時間余り、“坊中温泉夢の湯”で汗を流し同行者の先行した別府に向かった。
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