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Yamareco

記録ID: 6545204
全員に公開
アルパインクライミング
八ヶ岳・蓼科

旭岳東稜(滑落敗退)

2024年03月10日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
14:02
距離
8.7km
登り
706m
下り
1,086m
歩くペース
ゆっくり
1.51.6
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
12:25
休憩
1:40
合計
14:05
4:50
300
9:50
10:15
80
五段ノ宮取り付き
11:35
11:35
55
滑落
12:30
12:30
155
下山開始
15:05
15:05
5
15:10
16:25
105
18:10
18:10
45
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2024年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
その他周辺情報 前日は地獄谷本谷
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6540942.html
風邪っぽく体調が悪い。朝食が喉を通らない。少し歩いてから様子を見てみようと考える。

出発。旭岳東稜の末端から取り付く。末端あたりは急な雪面で、雪が薄くて岩や地面が出てきてしまうので、わかんだと登りづらかった。

ペースは上がらないが体調は問題になるほどでは無さそうなのでそのまま継続することに
2024年03月10日 05:13撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 5:13
風邪っぽく体調が悪い。朝食が喉を通らない。少し歩いてから様子を見てみようと考える。

出発。旭岳東稜の末端から取り付く。末端あたりは急な雪面で、雪が薄くて岩や地面が出てきてしまうので、わかんだと登りづらかった。

ペースは上がらないが体調は問題になるほどでは無さそうなのでそのまま継続することに
夜明け
2024年03月10日 05:33撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
3/10 5:33
夜明け
-14℃ほど
2024年03月10日 05:59撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 5:59
-14℃ほど
日が当たった
2024年03月10日 06:11撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
3/10 6:11
日が当たった
権現沢右俣の右岸枝沢にかかる滝
2024年03月10日 06:33撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 6:33
権現沢右俣の右岸枝沢にかかる滝
権現岳と旭岳
2024年03月10日 06:33撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 6:33
権現岳と旭岳
旭岳アップ
2024年03月10日 06:33撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 6:33
旭岳アップ
天狗尾根
2024年03月10日 06:34撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
3/10 6:34
天狗尾根
痩せ尾根の開始。ここでわかん+ストックからアイゼン+アックスに変更
2024年03月10日 06:35撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 6:35
痩せ尾根の開始。ここでわかん+ストックからアイゼン+アックスに変更
ステップを作りながら通過。この後、都立大の3人パーティが追いつき、交代でラッセルしていく
2024年03月10日 07:02撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 7:02
ステップを作りながら通過。この後、都立大の3人パーティが追いつき、交代でラッセルしていく
権現沢右俣三ツ滝ルンゼの三ツ滝かと思う
2024年03月10日 08:07撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 8:07
権現沢右俣三ツ滝ルンゼの三ツ滝かと思う
いくつか木登りを交えて急傾斜を登る
2024年03月10日 08:39撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 8:39
いくつか木登りを交えて急傾斜を登る
富士山
2024年03月10日 09:13撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 9:13
富士山
五段ノ宮手前の雪壁。雪崩そうな地形なので要注意。この日は雪は安定していた
2024年03月10日 09:36撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/10 9:36
五段ノ宮手前の雪壁。雪崩そうな地形なので要注意。この日は雪は安定していた
五段ノ宮に到着
2024年03月10日 09:48撮影
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3/10 9:48
五段ノ宮に到着
一段目。ホールドなどが分かりやすく、比較的登りやすかった。それでも、一段目だけで権現岳東稜よりもはるかに難しく感じた
2024年03月10日 10:15撮影
1
3/10 10:15
一段目。ホールドなどが分かりやすく、比較的登りやすかった。それでも、一段目だけで権現岳東稜よりもはるかに難しく感じた
二段目。最初は右側から登ろうとしてみたがホールドが無さそうで諦め、左側を灌木目指して左上するように登った
2024年03月10日 10:28撮影
1
3/10 10:28
二段目。最初は右側から登ろうとしてみたがホールドが無さそうで諦め、左側を灌木目指して左上するように登った
二段目を乗っ越す。三段目が見えた
2024年03月10日 10:44撮影
1
3/10 10:44
二段目を乗っ越す。三段目が見えた
パートナーが一段目を登ったところ。二段目は難しかったようでフリクションノットで登った。静荷重にはビレイ支点は耐えていた
2024年03月10日 11:02撮影
1
3/10 11:02
パートナーが一段目を登ったところ。二段目は難しかったようでフリクションノットで登った。静荷重にはビレイ支点は耐えていた
三段目取り付きに構築したビレイ支点。残置ハーケン2枚を利用。フォロービレイ中に固定分散にした方が良かったなと考えていたが、結局流動分散のままとしてしまった
2024年03月10日 11:30撮影
3/10 11:30
三段目取り付きに構築したビレイ支点。残置ハーケン2枚を利用。フォロービレイ中に固定分散にした方が良かったなと考えていたが、結局流動分散のままとしてしまった
三段目を乗っ越すポイント。左はアックスを草付きに引っ掛けて、右手はカンテをピンチ。左手が抜けないように左手の荷重は下に向けたまま体を上げていったが、突然アックスが草付きから外れてしまいフォール
2024年03月10日 11:35撮影
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3/10 11:35
三段目を乗っ越すポイント。左はアックスを草付きに引っ掛けて、右手はカンテをピンチ。左手が抜けないように左手の荷重は下に向けたまま体を上げていったが、突然アックスが草付きから外れてしまいフォール
ビレイ支点の上のハーケンにアルパインヌンチャクを掛けてランナーを取っていたので、まず上のハーケンが耐えられず抜けた
2024年03月10日 11:36撮影
4
3/10 11:36
ビレイ支点の上のハーケンにアルパインヌンチャクを掛けてランナーを取っていたので、まず上のハーケンが耐えられず抜けた
その後、もう一つのハーケンも抜けてパートナーと滑落。フォールが止まらないのと、パートナーが吹っ飛ぶところが一瞬見えて、ビレイ支点が崩壊したと悟る。これはヤバいと考え、なんとか滑落から身を守るように、またパートナーとぶつからないように体を動かそうとしたと記憶している
2024年03月10日 11:36撮影
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3/10 11:36
その後、もう一つのハーケンも抜けてパートナーと滑落。フォールが止まらないのと、パートナーが吹っ飛ぶところが一瞬見えて、ビレイ支点が崩壊したと悟る。これはヤバいと考え、なんとか滑落から身を守るように、またパートナーとぶつからないように体を動かそうとしたと記憶している
滑落途中で灌木に当たる。恐らくここで左足が灌木に当たり、左膝を捻挫する。五段ノ宮を左の灌木帯から登っていた都立大のパーティを横切って落ちていく。巻き込まなくて本当に良かった
2024年03月10日 11:36撮影
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3/10 11:36
滑落途中で灌木に当たる。恐らくここで左足が灌木に当たり、左膝を捻挫する。五段ノ宮を左の灌木帯から登っていた都立大のパーティを横切って落ちていく。巻き込まなくて本当に良かった
雪壁にぶつかり、その後は回転しながら滑落していった気がする
2024年03月10日 11:36撮影
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3/10 11:36
雪壁にぶつかり、その後は回転しながら滑落していった気がする
木にロープが引っ掛かり滑落が止まった。2P目を登り始めてすぐにフォールしたので、私とパートナーとの間のロープは短く、雪壁には木もほとんど生えていなかったので、滑落が止まったのは奇跡的だった。

TAKA10project パーティが五段ノ宮取り付きまで登ってきており、絡んだロープをほどいたり、雪稜上に戻るためのビレイをしていただいた。また、痛み止めも頂いた。

都立大パーティは草付きが悪く敗退とのことで、2パーティに付き添っていただき出合小屋まで戻る。都立大パーティには私達の一部装備を持っていただいた。

左膝を痛めているが、歩くことはでき無事に出合小屋に到着し、ここで2パーティとは別れる

いろいろと助けて頂いた都立大パーティとTAKA10project パーティには本当に感謝
2024年03月10日 11:38撮影
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3/10 11:38
木にロープが引っ掛かり滑落が止まった。2P目を登り始めてすぐにフォールしたので、私とパートナーとの間のロープは短く、雪壁には木もほとんど生えていなかったので、滑落が止まったのは奇跡的だった。

TAKA10project パーティが五段ノ宮取り付きまで登ってきており、絡んだロープをほどいたり、雪稜上に戻るためのビレイをしていただいた。また、痛み止めも頂いた。

都立大パーティは草付きが悪く敗退とのことで、2パーティに付き添っていただき出合小屋まで戻る。都立大パーティには私達の一部装備を持っていただいた。

左膝を痛めているが、歩くことはでき無事に出合小屋に到着し、ここで2パーティとは別れる

いろいろと助けて頂いた都立大パーティとTAKA10project パーティには本当に感謝
出合小屋から美し森へ下山。怪我を庇いながらのせいか、体調不良のせいか、結構疲労感がある
2024年03月10日 17:11撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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3/10 17:11
出合小屋から美し森へ下山。怪我を庇いながらのせいか、体調不良のせいか、結構疲労感がある
南アルプス
2024年03月10日 18:11撮影 by  TG-2 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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3/10 18:11
南アルプス
38.2℃あった
2024年03月10日 23:32撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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3/10 23:32
38.2℃あった

感想





TAKA10projectパーティと都立大パーティには、事故の際には絡んだロープの処理や取り付きに戻るための確保をしていただいたり、下山時には荷物を一部持っていただいたり付き添っていただいたりと、大変感謝しています。おかげさまで、二人とも怪我の状態は大事には至らず、無事に下山することができました。

事故の原因と今後の事故防止について私なりにまとめてみました。

【事故の原因】

■アックスが外れてフォールしてしまったこと

そもそもアルパインクライミングでフォールしてはいけませんが、今回フォールしてしまいました。

・アックスが外れた原因

アックスが外れた原因は分かりません。アックスを引っ掛けてから何度か軽くテストはしてみたものの、かかりが甘すぎたのかもしれません。右手は甘く、支点もプアだったことは分かっていたので、もっと慎重にアックスが効いていることを確認すべきだったと思います。

・アックスの選択

アックスの選択も最適では無かったかもしれません。今回、前日のアイスクライミングでパートナーに貸すために CASSIN X-LIGHT とノミックを両方持って来ていました。旭岳東稜では歩きが長いので CASSIN X-LIGHT を選択しましたが、五段ノ宮では乗っ越しのポイントで草付きにピックを差すような使い方をしたので、ノミックを選択した方が安定してアックスを効かせることができたかもしれません。

・三点支持ができていないこと

今回のルートで三点支持ができたかは不明ですが、上手い人なら三点支持で安定して登れるのかもしれません。私のクライミング能力不足ということかと思います。(実力以上のルートを選択してしまった)

■ビレイ支点が崩壊したこと

残置ハーケン2枚を利用して流動分散で支点構築しました。

・支点の確認不足

残置ハーケンが簡単に動いてしまったりガタついていないことまでは分かっていましたが、それ以上の状態を確認していませんでした。ただし、フォローのテンション(静荷重)には耐えていたので、いずれにせよテストでは分からなかった可能性があります。

・固定分散にしなかったこと

ハーケンは非常にプアな支点であるため、固定分散にするべきでした。また、途中で固定分散にした方が良いと思っていたにも関わらず、そのまま流動分散のまま2P目のリードを開始してしまいました。ここは完全に安全に対する意識が欠如していたと思います。

ただし、支点をしっかりテストしようが固定分散にしようが、プアな支点なので落ちないことが第一かと思います。

・支点を足さなかったこと

カム(C#0.3〜C#2)を持ってきていたので、ハーケンのすぐ隣のクラックにC#2を効かせることができたかもしれません。C#2だと小さすぎるだろうなと思い試すこともしませんでした。

【事故の防止】

今回のケースで事故防止に特に重要な点は以下かと考えています。

・草付きなどの不安定な箇所にアックスを効かせる場合は、より慎重に効いているか確認すること
・ルートにあった適切な装備(例えばアックス)を選択すること
・実力に合ったルート選択をすること(実力以上と感じたら撤退を選択すること)
・プアな支点の場合は支点を強化すること(十分だと判断できる支点が取れない場合は撤退を選択すること)

以下は当たり前のことであり当然実施しなければいけないことですが、これらを実施してもプアな支点であることは変わらないので、これだけでは事故防止としては十分ではないかと考えています。

・支点の強度を確認すること(特にハーケンやリングボルトなど)
・プアな支点の場合は固定分散とすること

【怪我・体調の状態】

・左膝が捻挫したような痛み(整形外科で左膝を診てもらったが骨や靭帯には異常は見られないとのこと)
・右腿が打撲のような痛み
・左手親指を突き指したような痛み
・左足首に多少の違和感
・上の前歯の1本が少し欠けた

あの滑落でこの程度の怪我で済んだのは不幸中の幸いだったと思います。
また、発熱についてはコロナでもインフルエンザでも無かったため、ただの風邪かと思います。

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コメント

動画も自分が登っているかのようにハラハラしながら拝見しました。
出合小屋から駐車場までの下山も地味に長くてつらかっただろうと思いますが、とにかくご無事で何よりでした。
しっかり傷を癒して、来年再挑戦されることを期待しています。
2024/3/14 2:14
juqchoさん
コメントありがとうございます。いつも記録拝見しております。
はい、ちゃんとトレーニングなり段階を踏んで、また再挑戦したいと考えています!
2024/3/14 8:45
いいねいいね
2
いまさらのコメントで恐縮です。当日4人パーティで小屋の中で一緒だったと思います。乾杯させていただいたかと。
我々も天狗尾根は途中撤退しました。明日は我が身と思って慎重に、丁寧に、落ちないよう今後も登攀したいと思います。
無事で何よりです。
2024/4/10 0:47
ジロウさん
コメントありがとうございます。出合小屋では暖炉の火起こしなどありがとうございました。
この週末はラッセル結構ありましたね。こちらも核心までのアプローチに時間がかかりました。
2024/4/10 7:46
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